朝5時半の改札でピッタリ抱き合ってキスする、し続ける二人。
ふむ。
まぁ、いんじゃない?
昨日は午後から会議が並行して皆さん離席。課の島は俺ひとり。
だけれどもサボったりは決してせず、過去俺が入力したデータの間違い探し、修正。
あと6日、出来るだけのことをする。
俺の机の脇は腰までの高さのキャビネット、その向こうは通路。階段が近いこともあって皆さん良く立ち話をする。
この階で唯一の女性管理職で出世頭だと聞いていた方が、左手に開いたノーパソ載せて立ち話。
良く通る声。
俺、ディスプレイから目を離して「ぽけぇ」と見上げる。
綺麗な人だな。
それで仕事が出来るんだから凄いな。世の中こういう人っているんだよな。誰かの奥様なんだろな。ご主人自慢の奥様なんだろな。
横顔にかかる髪の隙間から「キラキラ」揺れるピアス。見惚れてしまう。
ふと、
こんなに美人で仕事の評価も高いのに、なんの為に会社でおしゃれするんだろ?
と。
あ。
あー
これがすとーかーの心理か。
なるほどー
このおしゃれは「誰かの為」
そのおしゃれは「僕の為」と誤変換してしまうのか。
うわあ。
俺は、誰かの奥様に決して感情を持たない。それは失礼を通り越して無礼だ。
だって自分に奥さんが居て(居ないけど)それやられたら嫌だもん。
それに何より、
勝ち目がない。
歴史が違い過ぎて勝負にならない。
馬鹿みたいに「ぽけぇ」と見上げた俺の視線に気が付いたのか(そりゃそーだろ)「ふ。」と笑われた。
いかんいかんいかん。
ただでさえ悪目立ちしてるのにこれ以上、変な人だと思われたくない。
まぁ、
二物を与えられた人って居るよね。
ま、
何も無くても誰も居なくてもギターあるもん。
あと5日。