毎朝5時半から6時の間に線香の匂いが漂って来る。
この家に『何か』あるとかじゃなくて、いやあるんだけれどもそれはそうじゃなくて、近所の何処かで線香立てるんだろ朝っぱらから。
夜寝る時タバコ臭い。
酒(ウイスキーだなこれは)の匂い。
開けた窓からご近所さんの何処かから。
石鹸の匂いの向こうにかすかな酸味。
なんだろう?このちょっと懐かしい記憶の匂い。なんだっけ?何の匂いだっけ?誰だっけ?
すんすん。
窓の方を「すんすん」嗅いでみる。
首を左右に「すっ。すっ」鼻から息を吸う。
ぐえ。
腋の下だ。
ぐええ。
俺のだ。
非番明け。
出勤するとメール78通。
いねんだから送るなよ。
いねえってわかるだろがー
ちょとなんかやな感じのメール来てんな。
管理職出勤して来て現実のものになる。
「kenさん○○○○○知らないですか?」
(げ。)
「医療チーム、kenさんに渡したって言ってるんですけど」
あー
はい。受け取りました俺です。
どーしたっけなぁあれ。なんかたくさん色々受け取って・・
大丈夫です探しときます。
「お願いします。」
「本庁から「所在不明」て連絡があって「探してください」て」
(まーじかー)
「7月の16日に在庫載ってるんですよ」
(それ俺の字でーす)
捨てちゃった。
だってボロいんだもん。
もー要らんよねこれ。て。
いや俺としたことが何で在庫票消さなかったかな。何か忙しかったんだろな。まさか必要なもんだとは。いや必要じゃないんだよ在庫消さなかったから騒ぎになってんだ。
あちゃー
あちゃちゃちゃちゃー
どーすっか。
行きがかり上「捨てました」とは言いにくい。
それまた騒ぎになる始末書もんかも。
はぁ・・
しょーがない。
いちまんいっせんにひゃくえんもした。
これは俺の信用の値段。
明日白々しく「ありましたー」て。