いつも通りの地下鉄が「ぽん。」地上に出る。
街の灯り。
紺色の空に鈍色の巨大な積乱雲のシルエット。クリスマスのようにそこここで稲光。
先週はもう少し明るかったよな。
薄暮て感じで。
ついこないだまで明るかったな。
陽が落ちるの早くなったね。暑くても確実に秋。
夏から秋。
あと何度見れるかな。
見たいんじゃなくて、
そろそろ死なないとなぁ。
悲観的になってるわけじゃない。
例えて言うなら、
外に停めっぱなしで薄っすらホコリの被った車。そのまま出掛けて出先で「ぱらっ」と雨、まだら模様。
「そろそろ洗車しないとなぁ。」
くらいなもん。
前にも書いたけど、
この先いくら生きたところで今までより楽しいわけがない。
それはさ、残された時間を考えたら当たり前のこと。
いつでもいいよ。
出来れば近いうち。
こんなふうに思ってる人、案外多いんじゃないかな。
こないだもうちの会社の管理職で『仕事が出来て人望厚く、男前独身海沿いに住んで出勤前毎朝サーフィン』て人が、
「しょうがないよ。死にたくても心臓止まんないんだもん。動いちゃうんだもん」
て言ってた。
毎日忙しく良く働いてる。
上司が、
「kenさんが指示を出して、動くのは派遣さん達」
「kenさんはその間、事務仕事に徹してください」
いやそうなんだろうけど。
前々職で「なんでも一人でやっちゃう」て言われた。今はそんなことないと思うけど。
俺がさ、派遣さん達に、
「kenさん、kenさん」て言って貰えるのは、何でも率先してやるからだと。
自分が汗かかなかったら支援班は着いて来てくれないよ。
俺が黙って梱包する隣で、派遣の女性3人おしゃべりしながら賑やかに作業。
仕事なのか女子会なのか?いやいいんだけどね。そんなに急ぐ作業じゃないから。
「結局ね。今まで誰もあたしのこと本気で好きじゃなかったのよ」
「だから結局ひとりで居るのよ」
俺、手を止めて顔上げて見ちゃった。
(へぇぇ。凄いこと言うな若いのに。ある意味、真理だ。耳が痛いです)
「だから結婚は」て流れの話しなんだろう。
「kenさんっ」(その「誰もあたしに」さんが突然)
あん?
「kenさん力持ちだからいいですけど」
え。(力餅?なの?俺?)
「受け取るのが女の人だったらどうするんですか?」
「それ。」
あ。
「持ち上げられませんよ」
「それ。」
あー、2キロが13枚で26キロ。ダメかな。
「持ち上がりません」
6枚と7枚で分けるよ。
「腰やっちゃいます」
「kenさんを基準に考えちゃダメなんじゃないですか?」
じゃあ・・
「2枚ずつとか」
「出来ませんか?」
はい。
2枚ずつ紐で縛って段ボールにまとめて入れて・・
「それって同じことですよね?」
そだね。
半分くらいの歳の人に指導されちゃった。
だめだなぁ・・
何も考えてなかったな。
そういうとこ。