ぎぃぃぃやぁぁぁぁっっっっっっっ!!!!!
お魚さんがお魚さんがお魚さんがぁぁぁっっっっっ……△□×○※#!!!
(音声が乱れております。しばらくお待ちください)
……ぜはー、ぜはー、ぜはー。
し、失礼いたしました。
善男善女が「どうもどうも、日頃からお世話になっております。これはほんの気持ちですが」「まあまあご丁寧にどうも。このお返しは来月の14日に」とチョコレートその他を贈りあうこの良き日に、構成を無視した挙げ句古典的な表現でパニクってしまいました。
皆様ごきげんよう、ロマンチックムード全開で過ごされていますか?
本日はお休みです。
「ばれんたいんだぁ? そったらもん、昨日までに済ましちまったわい。(具体的には、家族と職場の人と友人とまあちょっとねコホンな人たちにチョコ、または別のものをあげた)」の一言で今日の話題が片づいてしまう私は、休日のお約束で夕飯を作っていました。
メニューは、初挑戦の海鮮八宝菜。
そこに至るまでには、
「りん~、お母さん買い物行ってくるけど、今夜は何食べたい?
何でもいいよ、あんたが作るんだから」
「う~ん、冷蔵庫の材料的には?」
「何もないから、何でもできるよ。材料は買ってくるから」
「特に食べたいものもないなぁ……お母さんは?」
「そうねぇ……八宝菜とか?」
「ちょっと待って、この365日の献立の本(←レパートリーが少ない私のバイブル)で2月3週のメニューを見るから……あ、海鮮八宝菜だ。んじゃそれで。」
「はいよ」
という母と娘の会話があったのですが、それはまあさておき。
ところで私、実はお魚さんを扱う料理が苦手です。
というか、できません。
切り身は全然平気だし、煮干しくらいまでのはまだ大丈夫ですが、鰯以上になるとダメ。
どうしてもね、顔が、目が、怖いんですよ。
頭が付いている間は、体も触れないし。
しかし、いくら嫁のもらい手が絶無だからと言って、30過ぎた女が「お魚さん触れないぃ~」と涙目になってかわい子ぶっているわけにはいきません。
いつかはこの手を血で赤く染めながら、素手で鰯の頭をぶっちんぶっちん引きちぎり、腹を開いて唐揚げ、またはつみれ汁が作れるようにならなければならない。
そう、いつかは。
いつかは――でも、今日はちょっとヤダ。
そんなギリギリの妥協点で、本日は初めてイカを扱ってみることにしたのでした。
「イカも扱ったことないんかい!」とは言わないで。
イカも、目がイカンのよ……。
雪女でさえ凍りつくような文章を思い浮かべつつ、私は極力目を見ないよう、そして触らないようにしながら、足を胴から引っこ抜きました。
が、中にはまだ何か残っているようです。
「内臓かな?」と何気なくのぞきこんで――
ここでようやく、冒頭の文章になる、と。
そう、お魚さんが!
お魚さんが入ってたんですよ、丸ごと一匹!!(後から判明したことですが、小さなアジでした)
いやぁぁぁっっっ、イカってお魚さん丸飲みするのねっ!?
しかもそれ、消化されないで残ってることがあるのね!?
っていうかこれ、どこまで消化されてるの!?
幸か不幸か、下から見えるのはお魚さんの尾びれから胴であって、頭はちょうど胴の先の方にすぽっと入りこんでいるために見えないのですが……
………………
いやぁぁっっ、想像したくないっ!
しかし、このお魚さんをどうにかしないことには料理ができません。
水を入れて振ったり、胴の先端をつまんでビニール袋の中に入れて振ったり(ヘタに押し出そうとして、頭がスプラッタになっても怖いので)してみましたが、お魚さんの頭はジャストフィットしているらしく、全く出てきてくれません。
仕方がないので、包丁を胴に入れて、内側から開くことにしました。
極力お魚さんを傷つけないように注意しながら、外に向かって包丁を動かし――何とか、頭が見えないところまで開くことに成功。
その後は、水で流して取り出すことができました。
……まあ、その際にちょっぴりよどんだ目と視線がかち合ってしまっ……いやいやいや、きっと気のせいよ、そうにちがいないわ。
それほど怖い状況になっていなかったのが、唯一の救いです。
そして、そのような試練を乗り越えて作った海鮮八宝菜は、我ながらそこそこに美味でした。
それにしても。
イカさんのお腹に収まったお魚さんを素手で引き抜けない私が、鰯の頭を素手でぶっちぎれるようになる日は来るのでしょうか。
道のりは険しく、しかも遠い……。