この記事は、オフィシャルホームページに掲載したブログを修正して掲載しています。
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↑『トランジット天体のハードアスペクト』の続きです。
海王星のハードアスペクトがあるなどで、海王星の「魔力」がかかった出生図の持ち主は、トランジットの海王星がアングルやライツにハードアスペクトのとき、自分を見失いがちになる場合がある、と言われています。
私の出生図で海王星は、金星・木星と90度でTスクエアを組み、まさに海王星の魔力が作用しています。
「境界を溶かす」海王星の力によって、高すぎる理想を求める夢見がちな性格を作るようです。
もう四半世紀ほど前になりますが、
「トランジットの海王星がASCを通過する」
経験をしましたので、ご紹介します。
「素質」がある人に強い作用がかかるとどうなるか。
結論から言うと、T海王星のASC通過で感じたのは、「夢を見させて、理想を追求する行動を取らせた」ということです。その行動によって「夢の中にいる」経験もできました。
それが「自分を見失いがちになる」ということならば、典型的な例になるかもしれません。
私には空想を楽しむ癖がありますが、行動力や瞬発力に欠けるので、頭の中でフワフワして終わり、というのが「素質」としてあります。
大胆な行動を取ったのはT海王星の影響だったのではないかと思っているのです。
約1年をかけて、トランジットの海王星はASC上を3回通過しました。
その1回目は就職して約1年後。このタイミングでスペイン語スクールに入りました。
それまで外国に行ったのは、高校の修学旅行で韓国、大学の卒業旅行でスペインに行っただけ、特に海外と縁があったわけではありませんでした。
しかし一度のスペイン旅行で完全に魅了されてしまい(これも海王星のなせる技かもしれません)、「スペイン語でスペイン人と話したい!」という情熱を抑えられませんでした。
海王星がASCを通過した3回目(ファイナル・コンタクト)の1年後。
まだ海王星がASCの1度先にあり、その影響が残る中で、「プログレス新月」が8ハウスであったので、その影響も後押ししたかもしれません。
「確実に安全でなければ行動を起こさない」ような太陽乙女座の私が、この時は冒険的な行動に出ました。
スペインへ「一人旅」に出たのです。
折しも、アメリカで飛行機を使った同時多発テロ事件があった直後だったので、周囲からは止めた方が良いと散々言われましたが、行かない選択肢はありませんでした。
海王星の魔力にかかった状態で生まれてきて、頭の中でいつも夢想にふけっていた私が、夢や理想を追求する「行動」に出た、ということがすでに、「私ではないような」状態でした。
海王星が私に仕向けたことは、ただ夢を見させるだけでなく、行動を起こさせ、夢に対してアクセスさせる力を与えた、と言えるかと思います。
その時の私には「じっとしていられない」というような切迫した衝動が存在していたのです。本来、持ち合わせていない素質です。
もうひとつ、私の中で大きく変わったと思うのは「自分への認識」でした。
T海王星の「ASC」通過とP「新月」ですから、「自分」に焦点が当たり人生が「リニューアル」される時期。
私のアセンダントは水瓶座にあるため「個人」がクローズアップされたこともあるかもしれません。
「アイデンティティ」というワードが常に頭の中にありました。
スペイン人という国民性に触れ、日本人である私個人の価値観が変わったのです。
スペインやスペイン人を「理想化」し、日本人である自分(スペイン人ではない自分)を自覚するたび自分に「失望」していました。
「夢と現実の境界を溶かす」という海王星の作用が、「夢を追う」ことと「現実を見て失望する」という経験をさせたのでしょう。
その頃、友人の多くは結婚に喜びを見出している様子でしたが、私はボーナスを使って一人でフラフラとスペインへ行くのが最大の喜びでした。
日本を遮断し、夢の世界(スペイン)に浸るのは、海王星の「中毒性」や「依存」を示すようにも感じます。
誰にも縛られない、幸せな時間でした。
以上が体験談です。
さて、私の出生図では「海王星は10ハウス」にあります。運行周期から、20代のうちに「海王星がASCを通過する経験」をすることになりました。
海王星の運行周期は約165年ですので、例えば1ハウスに海王星がある人は、海王星のASC通過を経験しない人生になります。
それは、海王星のASC通過を経験する必要がない人生、ということでしょう。
私には、その経験を通して何かを学びなさい、という宇宙の意図があって、めぐってきた経験だったと思っています。
海王星の力は強いので、その力に飲み込まれずに、一歩引いて冷静でいることが大切かと思います。
私はスペインが対象でしたが、お酒が好きな人はお酒、買い物が好きな人は買い物、といった具合に、現実逃避の対象が異なります。
体を壊したり、金銭的窮地に立たされる可能性もあるので、海王星の素質を持っている人は特に、心して海王星を迎えた方が良い気がします。
ただ、海王星の恩恵に与れる、ということは滅多にない幸運なので、「雲に乗せてもらえるなら乗って、高いところまで連れて行ってもらう」といいのです。自分の力ではなく、海王星の力で、高いところの景色を見られるチャンスだからです。
普段なら行動を起こせない人にも、起こさせる力を与える。
「いつか目が覚める」という覚悟を持ち、良きタイミングで現実に戻り、「ああ楽しかった」「なかなかできない経験をさせてもらった」というスタンスでいられれば、海王星の「魔力」を「魅力」として捉えられるのではないかなと思っています。
※出生図の海王星の位置や、その人の人生経験や性格によって、トランジット海王星のASC通過の影響は異なります。これは、あくまでも私個人が経験したことで、私個人の感想です。
ミラーダ