ザ・ボルト 金庫強奪 | m-memo

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ネタバレだらけの映画メモ。

忘れ易いので自分用にメモしてます。
ネタバレ部分は詳細を記載することもあれば、
二言三言のこともあります。

 

■あらすじ
ギャングから命を狙われる弟マイケルの命を救うため、疎遠になっていた二人の姉リーアとヴィーは犯罪チームを結成、センチュリオン信託銀行に強盗を企てる。緻密なプランを立てた後、実際に銀行に押し入ってみると、金庫室にはわずか7万ドルしかなかった。茫然とする犯人グループの前に現れた銀行の業務部長、エドは「地下金庫(ザ・ボルト)には600万ドル入っている。他の行員たちに暴力を振るわないと約束するなら、金庫のコードを教える」と名乗り出る。その言葉に半信半疑ながらも、応じるリーアとヴィー。だが金庫を目指し、地下に降り立った犯人たちは次々と消えていくのだった。果たして、地下金庫室にはどんな秘密が隠されているのか?1982年、同銀行に強盗が入った際、残酷非道な実行犯は行員を次々と虐殺。数日間、水も食料もない中、籠城し、逃走車両の要求を警察に時間稼ぎされた犯人は逆上、地下金庫室に火を点け、行員全員が炎と共に非業の死を迎えた。その事件以来、その地下金庫室には誰も近づいてなかった…。そう、このビルは呪われた建物だったのだ。警察に完全包囲される中、次第に明らかになる地下の恐ろしい謎とは?今、時代の闇に葬り去られたゴーストたちの復讐の時がやって来た…。(メーカーサイトより)

■ネタバレ
*男性の声で通報が入る。『センチュリオン信託銀行だ。今、強盗に入られている。人質を取られてるんだ、急いで…』オペレーターが確認のため聞き直すと別の男の声がする。『電話を切れ』と。その後はオペレーターの問い掛けに反応はなく、電話は切れる。
*閉店間近、17時直前にセンチュリオン信託銀行にやって来るヴィー。「昨日残高不足だと言われて、小切手を拒否された」と強い調子で窓口で訴える。別の窓口では刑事アイガーが、顔馴染みの出納係長スーザンに預金の手続きを頼みながら「マシュマロはあるかな?」と訊く。外は消防車のサイレンで騒がしい。「近くの倉庫で火事だ、一緒に焼きマシュマロを食べよう」と軽口を叩くアイガー刑事。待合場所では行員らしき男が初対面のリーアに話し掛ける。「サイレンは嫌いだ、自宅が家事かもしれないと不安になる」リーアはその言葉に反応する前に名前を呼ばれて、奥の事務室で面接を受ける。アイガー刑事が外へ出ると通りの向こう側には3人の消防士が居る。刑事と擦れ違い、センチュリオン信託銀行へ向かう消防士達。
*リーアの面接官である支店長カークマンは「この建物は古くて、何かを見たり聞いたりして気味悪がる者も居る」と言い難そうに吐露する。「気のせいだと断言するが、君は簡単に怖がるタイプかな?」「いいえ、全く」「良かった、僕はローン地獄の方が怖いよ。ところで君の身辺調査を行う事になる、形式的だが厳しいものだ」その頃、ヴィーは窓口で捲し立てている。「支店長を呼んでよ」と大声を出すと、スーザンが介入。調べてみるが、ヴィーの言う口座はセンチュリオンには存在しない。
*順番を待つ客は辟易し警備員も警戒して接近、騒ぎが大きくなる。それを見て密かに微笑むリーア。5時を過ぎて鍵が閉められていたドアを消防士が叩く。配置されている警官ジェームス・エイキンが招き入れると、消防士は「危険だから、全員外には出ないように」と言う。リーアとヴィーの視線が絡んでリーアが目配せすると、ヴィーが警備員を殴り倒す。リーアは鞄からライフルを取り出して、カークマンへ銃口を突き付ける。
*ヴィーの様子を見ていたエイキンが『センチュリオン信託銀行で暴行事件発生』と通報する。それを警察車両内で聞くアイガー刑事。ヴィーを拘束しようとするエイキンを、消防士姿のマイケルが斧の柄で殴る。リーアとヴィーは姉妹で、マイケルはその弟だ。他に協力者のサイラスとクレイマーが居て、銀行強盗の面子は5人。監視カメラはスプレーを噴射して潰す。ヴィーも銃を手に「見える場所に居ろ」と指示しながら、窓口の行員達を後方に下がらせる。そこに通報の折り返しが入り、エイキンに無線機を差し出し「返事を間違えるなよ」と言うマイケル。エイキンは忌々しそうに『状況は安定した、悪ふざけだった』と返事をする。アイガー刑事は念のため銀行へと戻る事にする。無線機を手に歩いていると『センチュリオン信託銀行だ。今、強盗に入られている』と声がする。『急いで警察を呼んでくれ、連中は建物の中だ』
*カークマンは事態を受け容れ難い様子だが、リーアから「あんたの身辺調査もしたわ。白い柵の素敵な家に2人の息子、妻は妊娠中」と言われて相手が本気だと悟る。リーアが「幸せな人生を捨ててまでヒーローになる気はない。そうでしょ?協力して」と続けると、カークマンは抵抗せずにそれに従う。マイケルは「暴力は駄目だ」とヴィーを怒鳴り付ける。「自分だって警官を殴ったでしょ」とヴィーが言えば「お前のためだ」と返ってくるが、彼女には反省の様子はなく「悪かったわね」と半笑いだ。「分かったから早く済ませよう」と言うヴィーに「暴力は駄目だ。約束しただろ」とマイケルが言い募る。
*リーアの指示で「落ち着いて、何もするな」と行員や客に呼び掛けるカークマン。人質の男が1人逃げ出そうとすると、カークマンは咄嗟にサイラスの銃を払う。弾が男の足を貫き、マイケルが止血してやる。カークマンはサイラスに手酷く殴られる。一方クレイマーに連れられて、金庫を開けるスーザン。中に入っていたのは僅かに7万ドル。必要なのは50万ドル。仕方なく撤収しようとするリーアだが、ヴィーは「マイケルのためなんだよ、このままじゃ帰れない。別の銀行を襲って…」と喚く。しかし下調べもなく別の銀行を襲う事は得策ではない。無軌道なヴィーの首を締め上げるリーア。マイケルが仲裁し「帰るしかない」と宥める。
*サイラスが「金も持たずに帰れるかよ」と仲間に銃口を向ける。リーアもサイラスへ銃口を向け「銃を下ろせ」と言う。ヴィーは「金も持たずに帰れない、ここは臨機応変にやろう」と事態に便乗する。「金はもうないだろ」「銀行ならある筈だ」「何処にある?教えてくれ」マイケルとサイラスの遣り取りに「私が知っている」と男の声が加わる。人質は皆、布袋を被せられ拘束されている。顔の見えない声の主に「あんた誰?」と問い掛けるヴィー。男は「業務部長のエド・マースだ。この銀行の事は詳しい」と言う。
*マースは先ず、窓口の裏にある警報を解除する必要があると話す。銀行強盗が発生したせいで起動したものだ。5時20分に全処理を照合し、データベースと同期させる必要がある。そして窓口の現金を確認して、支店長の認証番号で金庫をロックする。そうしなければ警報が鳴る。猶予は2~3分。金庫をロック出来るのは支店長か業務部長のみ。支店長も袋を被せられているが、その中央部分は血で汚れている。サイラスに殴られて意識がないのだ。「私が助けになる、もう暴力は振るわないと約束してくれ」
*マースの袋を取ってやり、拘束も解く。袋の下から現れたのは「サイレンは嫌いだ」と話していた男だ。強盗団は[暴力なし]の条件も受け容れる。業務部長は1人で各窓口での処理を行い、手際よく金庫をロックする。次は金の在処だ。リーアとヴィーが銃を突き付けると、マースは「地下の金庫に金がある」と言う。それは個人に貸している金庫室で、アナログな年代物らしい。恐らく60年代か70年代製造で、中身は現金で600万ドル。リーアはその話を疑うが、マースは鍵も差し出してくる。この状況は想定していなかったが幸い脱出のための溶接機やドリルがあり、倉庫で発生中の火事のため周囲は麻痺状態で、時間もあるだろう。どうやら金庫を開ける事が出来そうだ。
*ヴィーとクレイマーで地下の金庫へ向かう。リーアとマイケルはフロアで人質と、無用なトラブルを避けるために暴力的なサイラスの動向を見張る。マイケルがリーアと離れていると、スーザンが袋越しに「貴方はまともだわ」と声を掛ける。「喋るな」と制するが「トイレに行かせて」と懇願され、マイケルは断る事が出来ない。2人でトイレへ行くと「手を怪我しているんでしょ?その理由は知らないけど、貴方は悪人じゃないわ」と言うスーザン。彼女の言葉通り、マイケルの左手の薬指は千切れている。
*「姉妹は居るか?」と訊いて、スーザンが肯定すると「愛してるか?」と重ねて尋ねるマイケル。「愛してるわ。あの2人は貴方の姉妹なの?似てないわね、貴方は暴力が嫌いだし。貴方はあの警官を助けようとした、悪い人じゃない。何があったの?」スーザンの問い掛けに「ヤバい連中を怒らせたら駄目だ、理由が何であれ」とマイケルは言う。彼は金銭トラブルを抱え、2人の姉の手助けで銀行強盗を企てたのだ。トイレを終えるとスーザンは「病院に行くべきよ。連れて行かせて、貴方は良い人だから」と訴え、マイケルはそれには応えないが「あんたを家族の許へ返す、約束だ」と言う。
*ヴィーとクレイマーは金庫に到着。見たところシンプルな構造で、クレイマーは20分もあれば開けられると判断する。クレイマーと互いに無線機を持ってチャンネルを合わせ、地下を彷徨くヴィー。背後には人ならざる者の姿が浮かぶが、彼女は気付かない。階上では照明が不安定に明滅し、リーアは不安を覚える。明滅の合間にはフラッシュバックのように、不穏な影が浮かぶ。トイレから戻ったマイケルを「何してるの」と咎めるリーア。マイケルには脱出のため、地下の管に穴を開ける任務があるのだ。マイケルは「直ぐに取り掛かる」と返事して地下を目指す。
*階段の途中にはヴィーが座っていて「私達、立ち止まって考えてみるべきかもしれない」と言う。マイケルは彼女らしくない言葉に戸惑う。「大金を手に入れてここから逃げて、それでまた幸せな家族になれるの?無理だね。私はあんたを好きだけど、これが済んだらリーアは出て行く。直ぐに居なくなるよ、分かってるんだろ?」ヴィーの言葉にマイケルは「それは嫌だ」と答えるが、かと言って為す術もなくそのまま地下階へ向かうしかない。ヴィーは反対に地上階へ戻る。
*監視カメラで地下金庫の様子を見守っているリーアに合流するヴィー。傍の床には再び拘束された業務部長も居る。カメラ越しのクレイマーの作業は順調そうに見える。そこから少し離れた場所で、マイケルもバーナーを手に作業を開始。銀行の外は喧騒に包まれているが、それは強盗とは無関係に火事のせいだ。やがて金庫が開くと、クレイマーの傍に人影が現れる。ヴィーかと思ったが別人のシルエットらしい。見過ごしてしまった行員か客だと思い「他の連中と上に居ろ」と促すクレイマー。床に置いていた無線機を掴む間に、人影が2人に増える。無線機に向かって「地下に人が居る」と告げるが、リーア達が見ているモニタ映像ではそこに居るのはクレイマーだけだ。
*クレイマーは危険を感じて、武器になりそうな物がないか手探りする。その間に更に人影が増えて3人になる。困惑していると、今度は背後から何かの気配がする。上階の姉妹はクレイマーが何に怯えているのか分からない。照明が明滅し、監視カメラの映像も乱れる。それでもやはり、クレイマー以外の人影は見えない。地下では次第に人影が増え、クレイマーを取り囲み襲い掛かる。カメラ越しには怯えたクレイマーが、1人で金庫室へ入るように見える。姉妹と業務部長がその様子を無言で見守る。
*何にせよ異変が起こった。ヴィーが階段へ向かおうとすると、地下へと繋がるドアが勝手に閉まってしまう。鍵も掛かっているため、無線機でマイケルに呼び掛けて「鍵が必要だから持って来て」と伝えるが反応がない。その頃マイケルはバーナーの切断音の合間に、クレイマーの悲鳴を聞く。地上階の金庫室で人質を見張っていたサイラスは、リーアの指示で人数を調べようとするが、誰も地下へは行っておらず寧ろ何人か増えているようだ。人質には白い布袋を被せていた筈なのに、血で汚れた布袋を被っている者が数人居る。立ち上がり、赤い布越しに叫ぶ人影。袋が外れると、現れたのは黒く燻されたような顔。到底生者とは思えない。次第に増える不穏な人質に取り囲まれ、持っていた銃を口へと押し込まれるサイラス。リーアは異変を察知するが、金庫室の扉にも鍵が掛かっていて開かない。
*開かないドアに焦れたヴィーは、鍵を待たずに発砲してノブを壊す。同時に金庫室の扉も開くが、リーアが確認すると中にサイラスは居ない。人質達は白い布袋を被せられたままで、何が起きているのか分からない様子だ。無線機でマイケルに呼び掛けても相変わらず反応はない。マイケルは銃を手に金庫室へ向かおうとしている。慎重に歩を進めていると、足許に転がっているライターに気付く。その先、廊下の奥には椅子に座って布袋を被せられた人影。袋を外してみるとそれはクレイマーだ。怪我をして血を流している。苦し気に「止めてくれ」と言うと、握っていたドリルを自分の頭部に押し付ける。
*業務部長に「嘘はなし、簡潔に」と詰め寄るリーア。「ハメたのね。下には何があるの?」「私は何も知らない」「嘘は吐くな、下には誰が居るの?」リーアが声を張り上げても、マースは静かな声で「君を怒らせるつもりはない、暴力はなしと言う約束だ」と言う。リーアは彼の言葉を信じない。そこに電話が掛かる。マースに受話器を差し出して「追い払って」と囁くリーア。電話の相手はアイガー刑事で『主犯格と話したい』と言う。「君を出せと言ってる」とマースが告げると、リーアは受話器を自分の耳に寄せる。『私はアイガー刑事だ、事件を終わらせたい』
*アイガー刑事の言葉には答えず受話器を投げ出すと、窓に駆け寄るリーア。ブラインドの隙間から外を窺うと銀行は包囲されていて、警官達がこちらへ銃を向けている。先刻確認した時には、外は火事で騒がしかったと言うのに。電話に戻ると刑事は『人質の無事を確認したい』と言う。脱出経路も考えてはいるが、通報されないように警戒していたためリーアは動揺する。何も言えずにいると、刑事は『話を聞いてるか?聞くんだ、状況は単純だった筈が今は変わったようだ』と続ける。『人質を解放すれば我々も無理はしない。段階を踏んで、誰も傷付けないと約束しよう』リーアは目を潤ませ、漸く「そっちが聞くんだ刑事さん、この先30分電話してくるな」と告げる。「そうすれば解放する。突入したら人質は全員死ぬぞ」
*リーアは電話を切って業務部長に向き直り「行員の誰かが通報した」と言う。「それは有り得ない」と言われると笑みを浮かべ「出納係長は誰?」と訊くリーア。躊躇いつつマースは「7番窓口のスーザン・レイノルズだ」と答える。礼を言って立ち去るリーアの背中に「手を出すな」と言うマース。程なくしてリーアはスーザンを連れて戻って来る。今度はスーザンに「嘘はなし、簡潔に」と告げる。「通報した?」「どうやって?」「そうでなければこの状況は何なの?」スーザンは何かを言い掛けるが、気が進まない様子だ。「貴女は信じないし、また誰かを傷付けるかもしれない」リーアは不敵に笑うと「試してみて」と言う。
*渋々話し始めるスーザン。「この銀行の地下には何かが居るの。金庫室に、私達以外の何かが」カークマンの言葉を思い出し、方向性を察したリーアは話を遮ろうとするが、スーザンは食い下がる。「嘘じゃないのよ。警備員も地下には行かない。1982年、ある男がこの銀行を襲った」その狂気の男は、食料も水もない状況で人質を何日も監禁した。逃走車両を要求したが警察に時間稼ぎをされ、キレた男はやがて行員同士に殺し合いをさせた。最初は女性行員に支店長を射殺させたのだ。逃げたが捕まって殺された者・倉庫で処刑された者…案内係の若い女性は地下のボイラー室で殺された。そして幾人かは金庫室で、生きたまま焼かれた。
*結局人質は全員死亡、犯人は今も捕まっていない。犯人は白い仮面を着けており、誰も顔を見ておらず素性は不明。手掛かりもない。「ペンキ屋みたいに塗って終わりじゃない。行員は皆『この銀行の地下には、今でも何かが棲み付いて居る』と言うわ」スーザンの話が終わるとリーアはゆっくりと拍手して「良かったわ。真に迫ってた」と言う。本気にしていない反応だが、スーザンは構わず「まだ間に合うわ。今直ぐここを出れば、貴女は助かる」と言う。スーザンのその態度が気に入らないリーアは手近なスタンドライトのシェードを外して、デスクに叩き付けて電球を割る。スーザンの顔面に割れた電球を突き付け「120ボルトよ。あんたが苦しむのを見るのは、私には無上の喜びだわ」と言う。怯えるスーザン。
*地下金庫に到着するヴィー。マイケルやクレイマーを呼ぶが返事はなく、暗い金庫の中の様子も分からない。金庫に足を踏み入れるが、マイケルはその頃地上階へ戻っていた。そこで暴力的なスーザンの姿を見咎め「ルールを決めた筈だろ」と怒りを露わにする。状況を端的に説明しようと「外に警察が居る」と告げるリーア。窓の外を覗くまでもなく、警察車両の青色灯が行内にも光を投げている。狼狽え涙ぐむマイケルにリーアが「何があったの」と訊くと、弟は「クレイマーが死んだ。ドリルを自分の頭に押し付けたんだ。何か良くない事が起こってる」と言う。
*そもそも銀行強盗なんかする羽目になったのは自分のせいだと、悔いるマイケル。「迷惑を掛けて悪いと思ってる。ここを出よう、早く逃げないと」泣きながら抱き合うリーアとマイケル。そこへ札束の詰まった鞄が投げ寄越される。ヴィーが地下金庫で手に入れたのだ。反応の芳しくない妹と弟にヴィーは不満気だ。リーアはクレイマーの死と、警察に包囲されている事をヴィーに伝える。窓の外を見て「それなら最初の計画に戻ろう。家へ帰るんだよ」と言うヴィー。リーアは鞄の中の札束を確認して「有り得ない、発行年が全部1982年よ」と声を荒らげる。1982年と言えば先刻スーザンが話した、銀行強盗が起こった年だ。そんな事情は知らないヴィーは「金は金だろ」と反発する。
*「この金で幸せになれるのか?私に謝れよ。いつも自分勝手で、これが済んだら消えるんだろ?悪いのはあんただ、私や家族をどれだけ傷付けてきたか…一言ごめんって言えないの?」捲し立てる言葉を黙って聞いていたリーアだが、喉元にレーザーサイトの赤い光を認めてヴィーの身体を突き飛ばす。喧騒に包まれる中「何が起こってる?」とヴィーに問い掛ける業務部長。「外から銃で狙われたんだよ」「これからどうするんだ?」「金を持って逃げるよ、決まってるだろ」「まともなのは君だけだ。彼女は精神が壊れてる。彼女を信用するな。私には分かる、このままでは皆死んで…」一方的に話すマースを遮って「死なないわ」と叫ぶヴィー。「誰も死なない、あんたもね」ヴィーは立ち上がり監視カメラのモニタを見る。マイケルが地下室へ戻ったようだ。
*リーアは警察の次の行動を掴もうと、警官エイキンを追求する。エイキンは「外部から撃った理由は分からない」と話す。「現場も統率されている訳ではない、舞い上がったんだろう」との推測にリーアは「ふざけてるの?」と怒るが「警察やFBIの連中が縄張り争いをしてるんだ、まとめる者が居ないのさ」と警官は主張する。「それにしても発砲は妙な行動だ。君達を孤立させようとしているのかもしれない。連中に誠意を見せろ、人質を解放するんだ」リーアはその助言に反発するが、エイキンは「助かりたいなら穏便な方策を採るべきだ」と言う。
*脱出のため、中途になっていた穴開けの作業を再開しているマイケル。先刻はクレイマーの悲鳴が聞こえたが今度は女の声で「お願いよ、助けて」と聞こえる。声のする方へ行くと、ボイラー室の床に横たわった若い女性が「お願い、私を痛め付けないで」と泣き声で言う。困惑しつつマイケルは「誰も何もしない」と伝える。「名前は?」「サマンサ・キャンベルよ。足首が折れてるの。あなたも仲間なの?」「仲間って誰の?」その時離れた場所から、ヴィーがマイケルを呼ぶ声がする。ふと顔を上げて視線を元に戻すと、若い女性の姿だったものは黒く干乾びた異形に変貌している。慌てて逃げ出すマイケル。
*電話の音がする。リーアが傍に居るスーザンに「誰から?」と尋ねる。外線なのか内線なのか。スーザンは「受信じゃなくて発信してるわ」と答える。何処かの電話機から、誰かが外へ掛けているのだ。受話器を取ってみると、その会話を聞くことが出来る。『センチュリオン信託銀行だ。今、強盗に入られている。急いで警察を呼んでくれ、連中は建物の中だ』リーアは警察の振りをして「犯人の詳細を」と告げるが、相手はそれに答えず『人質を取られてるから至急…』と続ける。
*窓から外を窺うとそれに気付いたアイガー刑事が手を上げて見せるが、反応せず部屋の中央へ戻るリーア。そこへ再び電話のベルが鳴る。今度は外線で、相手はアイガー刑事だ。『一般人を保護する観点から突入命令が出た。だが我々は待機する。君達を誰も傷付けたくはない。何か材料を見せてくれ』それを了承して、人質を1人解放するリーア。銀行の外へ出て、人質の後ろで両手を上げながら「人質は今も監視下にある。何かあれば死ぬからね」とアイガー刑事に向かって言い放つ。「誰が通報したの?」「通報は受けてない」「私は聞いたわ。誰が通報したの?」「無線を聞いたんだ、混線したらしい」
*屋内に戻るとまた電話の音がする。リーアが受話器を取ると、会話の内容が聞こえる。『センチュリオン信託銀行だ。今、強盗に入られている。急いで警察を呼んでくれ、連中は建物の中だ』先刻と全く同じ内容で、そもそも銀行は既に警察に包囲されている。リーアが不審に思っていると、最後に別の男の声で『電話を切れ』と聞こえる。「今のを聞いた?」と問い掛けるスーザン、返事をしないリーア。少し離れた床の上には業務部長が居る。スーザンは彼の姿を見詰める。
*マイケルを探している途中でサイラスの死体を見付けるヴィー。上顎より上が完全に吹き飛んだ状態だ。その後油を撒いているマイケルに合流すると、弟は「右のドアの先に管がある。デカい穴があるから飛び込め。それで逃げられる」と言う。「あんたは?」と訊くと何も言わずにヴィーを抱き締め、周囲に油を撒くのを再開するマイケル。ヴィーが「お願いだから一緒に来て」と頼んでも聞き入れない。仕方なくヴィーは1人で地下室の奥へと向かう。
*マイケルが火を放ち、警報が鳴り響く。「これで警察も突入せざるを得なくなった。人質を解放しろ」と言う業務部長。リーアはその言葉に従いマースの拘束を解いてやり、他の人質を解放出来るようナイフも手渡す。リーアは次いでスーザンも自由にしてやる。「君を誤解してた」と言うマースを「良いから早く行って」と促すリーア。業務部長は警官エイキンの拘束を解いてやり、ナイフを彼に手渡す。他の人質も解放されるだろう。やがて武装した警察が突入し、リーアは札束の入った鞄を掴み上げる。屋内が煙に包まれる中「地下には行くな」と声が響く。
*背後から発砲され、階段を転がるように地下へ向かうリーア。痛めた足を引き摺りながら管に入ろうとすると、自分を呼ぶ声がする。声を頼りに辿り着いたのは金庫室。今まではカメラ越しに見ただけで、この場に立つのは初めてだ。中に足を踏み入れると、間もなく布袋を被った幾つかの人影が現れる。先刻までは居なかった者達。スーザンの話を聞いたリーアには、それがどんな存在なのか分かる。慌てて踵を返すと、金庫室の扉が閉まるところだ。自分の力だけでは扉を動かすのは困難だが、加勢が入る。扉を掴めば酷く痛むだろう、指のない左手が見える。リーアは弟と共にどうにかその場から逃げ出す。
*「止まるな、俺も直ぐに行く」とリーアを管へと送り出すマイケル。彼は地下を念入りに燃やしている。マイケルを気に掛けながら、リーアは消防士の服を着込む。この地下階には不似合な音楽が微かに聞こえ、何かの気配を感じて振り返ると、そこには白い仮面の男が居る。首を掴まれ投げ飛ばされるリーア。今でも支配されているのか、仮面の男の周囲には布袋を被せられた過去の人質達も居る。リーアは取り囲まれ後退る。そこへマイケルが駆け付け、斧でガス管を叩き割る。ガスが噴き出す中、拾ったライターを取り出すマイケル。それは嘗て、仮面の男が人質に火を放ったものだろう。「ヴィーを頼む」「あんたを置いて行けないわ」「行くんだ」リーアが管に入るのを見届けると、マイケルは「大丈夫さ」と笑いライターで点火する。周囲は忽ち炎に包まれる。
*リーアが運転する車、ラジオのニュース番組では『昨夜の銀行強盗事件の捜査は今も続いています』とアナウンサーが話している。『行内からの事件の一報は午後5時15分、行員6名と顧客1名が人質に取られているとの通報でした。強盗団は全部で5人。武装した白人男性3人と女性2人でした。解放された行員達は病院で手当てされ帰宅、犯人は全員焼死しました』1人で走っていたリーアはやがて町外れの道でヴィーと落ち合う。ヴィーも『犯人は全員焼死』のニュースを聞いて戸惑っている。
*リーアにはもう1つ気掛かりな事がある。「あれは何?地下室で襲われたでしょ?何なのか言ってちょうだい」とヴィーに訴えるが、返事は「警察の襲撃から逃げる時、戸惑ってるあんたは見た」と言うものだ。「金庫室も見たけど空だったわ。金は何処なの?」リーアが車から鞄を取り出すと、漸くヴィーは「マイケルはどうしたの」と訊く。「一緒だったでしょ?見捨てたの?」「連れて行こうとしたわ」金はここにあるが、そもそも銀行強盗はマイケルのためだった。路上で泣き崩れる2人。
*警察により監視カメラの映像が仔細に調査される。スプレーで潰されていなかった何台かの録画には、姉妹や弟の姿が残っている。ドリルで頭に穴を開けるクレイマーも、銃を咥えるサイラスも。しかしアイガー刑事はスーザンに「君が言う男は写っていない。何処にも居ないんだよ」と話す。「どう言う事なの?」「こちらが聞きたいね。あの銀行に最も詳しい筈の君が、その男が誰だか分からないんだろ」
*警官エイキンも「人質の数は7名」と話したが、実際には6名しか居なかった。全ての人質も同様にその男の話をしたが、業務部長エド・マースが存在しないのだ。銀行の事情に詳しかったため、過去に勤めていた人物かもしれない。しかし過去10年の行員全てを知っているスーザンは初対面だった。スーザンは困惑し、壁に視線を泳がせる。すると捜査資料が貼られたボードの中に、業務部長の写真を見付ける。
*「彼よ」と指差すと、アイガー刑事は「有り得ない、1982年の事件の人質だぞ」と言う。あの事件では人質は全員死亡した。業務部長エド・マースは1982年の事件発生時に1人で給湯室に居て、その部屋から通報した。そして背後から仮面の男に銃を突き付けられて「電話を切れ」と告げられたのだ。オペレーターが聞く事はなかったが、その後銃声が響いた。アイガー刑事が無線機で、リーアが電話で聞いた通報は過去のマースの声だったのだ。
*姉妹は涙を堪えて車に乗り込むが、エンジンが掛からない。ヴィーがボンネットを開けて様子をみて、リーアが再度試すとエンジンが掛かる。ラジオからは音楽が流れる。リーアは咄嗟に周波数を変えようとするが、どの局に合わせても同じ曲が流れる。何度もラジオを操作してどうにか曲を止めると、ヴィーがボンネットを閉める。車の前に立つヴィーの背後に白い仮面の男の姿が見えて、リーアは必死に叫ぶが、男の腕がヴィーを抱え込む。

■雑感・メモ等
*映画『ザ・ボルト 金庫強奪』

*レンタルにて鑑賞
*クライム・サスペンス+呪縛霊系ホラー。
*『ワナオトコ』が好きで「侵入してみたら先客が居た」系のお話はつい見たくなってしまう。強盗+霊の組み合わせも珍しい気がして、店舗であらすじを読んでレンタル。逆に言うと地下金庫に幽霊が居るんだなと言う予備知識を持っている状態で見ているので、そこに到るまでが些か長くて歯痒い。テンポが悪い訳ではないけどもう少し緊張感が欲しかった。姉妹+弟で銀行強盗すると言う部分も肝なんだろうから、多少の緩さは仕方がないのかもしれないけど。
*非業の死を遂げた人質の霊が、新たな銀行強盗一味に襲い掛かるのは納得出来る。でもそこに過去の事件の犯人である仮面の男が加わると、お前は何の恨みで成仏出来てないんだ?て気持ちになる。最後にはわざわざ銀行から離れて姉妹を襲っているのも謎。センチュリオンは自分の縄張り…と言う独占欲みたいなものなのかな。でもそもそも犯人は事件の際は逃げ果せてる筈なのに、いつ何処で死んだ設定なんだろ。
*謎と言えば「犯人は全員焼死」とされているのはどう言う事なの。霊体だった業務部長が銀行の締め作業をしてしまうくらいだから(映像には残らないけど)過去の被害者の死体がカウントされてる?と思ったけど、それだと数が多過ぎるよね。クレイマーとサイラスと、恐らくマイケルも死体があるし、最後にマイケルがガス爆発を起こす場面では仮面の男以外に5人の人影があるから。
*細かい部分の謎としては、最後の車内で流れる曲。リーアの反応からしてもしかしてマイケルと離れてしまった時に聞こえた曲なのかな?と思って聞き直したけどよく分からない。
*途中リーアが「私もここに居たいわ、同じ人質だから」と言う場面があるんだけど、どう言うニュアンスなのかな。人質に紛れて逃げる計画かと思ったけど、そんな展開はなかった。「自分も逃げ出せない」程度の意味合い?スーザンが「あなたは警官を助けようとした」と言うのも何を指してるのか分からなかった。揉み合いになった場面?そう言えば最初は警備員かと思ってたけどエイキンは警官だった。閉店間際のあの時間帯だけ配置されているとかなんだろか。
*言動や関係性からして序盤はリーアが姉なのかと思って見てたけど、年齢的にはヴィーが姉だよね。リーア役のフランチェスカ・フィッシャー=イーストウッドはクリント・イーストウッドの娘。
*男達が消防士の扮装だったから、近隣倉庫の火事は姉妹&弟が火を放ったのかな。計画の一部だとするとなかなかに酷い。
*営業部長はエド・マースと言う役名があるようなのでそれで記載したけど、終盤に「誰も名前を聞いてない」との台詞があるから劇中には名前は出てこなかったんじゃないかと思う。