ステファニー 死体と暮らす少女 | m-memo

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ネタバレだらけの映画メモ。

忘れ易いので自分用にメモしてます。
ネタバレ部分は詳細を記載することもあれば、
二言三言のこともあります。

 

■あらすじ
人里離れた仄暗い森の中の一軒家に、両親に置き去りにされた少女ステファニー。森に潜む邪悪な闇の力を感じながら、瓶詰めの食料を食いつなぎ、ぬいぐるみと会話をして、何とか生き延びていた。そして、両親が家に戻ってくると、森に潜んでいた闇もまた不気味にその力を漂わせ始める…。(メーカーサイトより)

■ネタバレ
*少女ステファニーは森の中の一軒家で、1人きりで暮らしている。両親は彼女を置き去りにして姿を消した。家の周囲には果樹園があり、隣家は見えない。話し相手は亀のぬいぐるみフランシスのみ。ピアノを弾きテレビを見て、時にはフランシスとかくれんぼをして遊ぶ。汚い言葉を使っても咎める大人は居ない。一方で僅かな瓶詰の食糧やスナックで食い繋いでいるが、いつまで持つか分からない。
*ステファニーの心が乱れると、家の中には不穏な気配が漂う。彼女はそれを[怪物]と呼び、バスタブに入って息を潜めて遣り過ごす。別の日にも怪物の気配がすると、ステファニーは「怪物が戻って来た」と兄ポールの部屋へ入る。ベッドから出ている兄の腕を掴み「手が冷たいわ。今日はここで眠るね」と話し掛けても、兄は反応しない。その手は干乾びてミイラ化している。夜が明けると、テレビでは『隔離地域への立ち入りは禁止、空港も閉鎖』と言ったニュースが流れている。国中に[封じ込め施設]が設置されているが、彼女は興味がない。天井に突き刺さったままのナイフの方が気掛かりだ。
*ある日、逃げ出していたウサギのホッパーが死体になって戻って来る。ステファニーは激昂して再びポールの部屋へ。「ステファニーを頼むって、パパに言われたでしょ?パパとママが私を置いて出て行ったのはお兄ちゃんが死んだせいよ、酷いわ」と喚いて死体を叩く。シーツがズレると彼女は怯えて絶叫し、家中の電気が落ちる。暗闇の中、自室に籠り夜明けを待つ。
*いよいよ食糧が残り少なくなった荒天の夜、突如両親が家に戻って来る。2人は優しく娘に接し、その日は3人で並んで眠る。翌日から父は木材を用意し、家の周囲に巨大な塀を作り始める。母の腹部に酷い傷がある事に、ステファニーは気付かない振りをする。2人が戻ったのは嬉しいが、兄の死体がベッドから消えた事は寂しく不満だ。果樹園の奥に墓が作られていて、どうやら両親が兄を埋めたらしい。掘り返そうとするが、素手の少女には到底不可能だ。
*家に戻ると「外は危ない」と強い調子で叱責される。特に母は酷く狼狽えている。一緒にキッチンに立ち、ステファニーは母に「何故私を置いていったの?」訊く。返事を待たずに「私が怪物に殺されたと思った?」と言うと、母は逡巡しつつ「そうよ」と答える。「不安になると今でも怪物は家に来る。そんな時は音を立てないようにするの」と話すステファニー。「私もフランシスももう慣れた」「あなたは強い子ね」「強くないわ、だって怖いもの」
*医師である母はビデオ通話で外部と連絡を取る。相手は同僚だが、現時点では疾病予防管理センターからの指示は何もないと言う。ホワイトハウスは対策を協議中。ムンバイの封じ込め施設が治療法を見つけたとの話もあるが、噂の域を出ない。憔悴した様子の母に、通話相手が「様子が変よ、ポールとステファニーはどうしてるの?」と問い掛ける。同僚にはポールの死を伝えられていない。「2人共平気よ。隔離の実行手順を教えて」
*ポップコーンを作り和やかな夜を過ごしていたが、母の嗚咽で平穏が破られる。墓からポールの死体が戻り、ベッドに横たえられたのだ。沈痛な表情の2人に「お兄ちゃんが戻ったの?怪物の仕業?」と尋ねるステファニー。「そうだ」「何故?」「怪物のする事は分からない」ステファニーは「ここから引越する?」と質問を重ねるが、父は「ついて来るだけさ」と答える。母は以前「怪物は居ない」と言ったが間違いだったと認める。怪物はステファニーを狙って何度でもやって来る。
*父の背丈の倍もあるような、高い塀が完成しつつある。この塀でも怪物は防げないだろうが、ステファニーは父に「それでも素敵な塀だわ」と言う。母の書斎に入ってみると、壁に新聞記事や様々な資料が貼られている。『目に見えぬ侵略者』『1人の子供を除き村が壊滅』『フランスで症例報告』『脳松果体/穴を開け骨を除去』…母が部屋に入って来るが余裕のない様子で、蹲っているステファニーには気付かない。
*バスタブのステファニー。今日は怪物から隠れるているのではなく入浴中だ。父がやって来て、母が取り乱した事を謝っていると話す。「気持ちの乱れには気を付けないといけない。お前もだよ」「気持ちの乱れが怪物を呼ぶから?」ステファニーは父にも、自分を置き去りにした理由を訊いてみる。父は「怖かったんだと思う。やるべき事をやれるかどうか自信がなかった」と答える。母と同様、ステファニーに「お前は強い子だ」と言う父。「外見は親から受け継ぐが、頭の中はお前のものだ。善悪の判断も感情のコントロールも頭の中でする。恐怖や怒りや疑いが怪物と呼ばれるものだ。お前は強いから、頭の中の怪物を止められる」
*深夜、両親の会話が聞こえる。「あの子は他の子より長生きしてる、感情をコントロール出来る」と父は主張するが、母は「手術すれば助けられるわ」と反論する。「君の専門外だろ?失敗したら死ぬかもしれない」「あれが何をさせたか見たでしょう?」結局2人は暫く様子を見ると言う結論になるが、ステファニーはこの会話に不安を覚える。
*怯えた気持ちのせいか悪夢を見る。ベッドにもリビングにも居ない両親、地下室から聞こえる唸り声。父の首が180度回転して自分を見据える。恐怖で跳ね起きてベッドから出るが、夢と同様に両親の姿が見当たらない。地下室から聞こえる唸り声。そこへ両親が駆け付けて娘を宥める。それでもまだ怯えて「怪物が地下室に居る」と言うステファニー。すると地下室への扉が開き、見えない力に弾き飛ばされた父が吸い込まれる。母はステファニーを抱えて2階の部屋へ。2人で声を押し殺していると、やがて怪物の唸り声と気配が消える。もう安全かと思ったが、部屋の外へ出た母も何らかの力に弾き飛ばされる。

*1人になったステファニーは、フランシスを抱えて2階の窓から飛び降りる。無事だった両親が追い掛けてくるが、彼女は怪物から逃げようと必死だ。再び攻撃されて痛みに倒れ込む父。ステファニーが梯子を上って高い塀を乗り越えようとすると、母がその足を掴み2人で地面に落下。地表が大きく窪み亀裂が入る。「怪物が来たわ」と泣き喚く娘に薬品を嗅がせて「ごめんなさい、あなたが怪物なの」と呟く母。
*ステファニーは自分の状況を理解していない。彼女が意識を取り戻すと、父は兄が死んだ日の事を思い出すよう促す。ハロウィンを迎える頃、カボチャをくり抜こうとしていた兄と妹。ふざけた兄に対して「意地悪された」と感じたステファニーが怒り、兄が持っていたナイフが見えない力に弾かれて天井に突き刺さった。異変に気付いて近寄ろうとすると、母も攻撃された。腹部の傷はこの時のものだ。更に兄に攻撃を加えたステファニー。「両手で攻撃した?」「全部の手で」兄の首は捻じ曲がり、目から血を流して動かなくなった。
*現実に向き合った娘に両親が「ステファニー」と呼び掛けると「そう、私はステファニー」と答えるが口調はぎこちなく、眼球に黒いモヤのようなものが浮かぶ。照明器具が落下し砕け、危険を察した母が注射を打つとステファニーは再び意識を失う。「この子にコントロール出来る訳がないわ」と言う母の言葉を父も受け容れ、ステファニーに施術する事になる。医療施設程ではないが精一杯の道具を集める。首の後ろを開こうとすると、麻酔が足りなかったのか怪物の力によるものか、ステファニーが途中で意識を取り戻す。そして手術用の器具が細かく砕けて部屋中に四散する。
*テレビのニュース番組で『ムンバイでの悲劇を受け、ホワイトハウスの声明が待たれる』とリポーターが言う。実験的な手術が行われていたラボで、大きな事故が起こったのだ。死者の数は不明だが、施設には世界中から集まった200名以上の研究者が居た。4月に発生したパンデミックに対して、この施設での治療が最後の希望だと多くの研究者が考えていたらしい。そして希望は潰えてしまった。この家でも状況は同じだ。
*ホットチョコを作り、ステファニーを果樹園への散歩に誘う父。高い塀に取り付けてある扉を開けて、久し振りに外へ出る。額には、手術が失敗した時に飛び散った破片で出来た傷がある。ステファニーは詳しく覚えていないが「私のせいね。私は病気なの?」と訊く。父は「何かがお前の心の扉を開けようとしている。余所から来た得体の知れないものだ」と答える。「身体を持たないのかも。だからお前の身体を使うんだ。世界中の子供が同じ病気だ」
*「ごめんね」と言うステファニーに「お前は何も悪くない、謝らなくて良い」と父が言い聞かせる。立ち止まってそれぞれのマグボトルを手に乾杯する父と娘。ホットチョコを飲もうとすると、ステファニーのボトルが見えない力に弾かれる。すると眼球だけではなく、彼女の顔全体に黒いモヤのようなものが広がる。父が隠し持っていた拳銃を手に取ろうとすると、ステファニーは「待って、私は止められるわ」と言う。その言葉通りに黒いモヤが消え失せ、父は娘の顔を覗き込んで涙ぐむ。「愛してるわ、パパ」「お前はパパの大事なお姫様だ、愛してる」
*しかし再びステファニーの顔が黒く染まる。見えない何かに腕を捩じり上げられる父。「殺しておくべきだったな」と冷たく言い放つステファニー。父はどうにか力を振り絞って拳銃を掴み、娘に発砲する。果樹園から駆け戻って嘔吐する父を、母が抱き締める。「愛しているのに」と涙を流す2人。その後父は娘を埋葬するためにシャベルを握って、再び果樹園へ向かおうとする。そこへステファニーが現れる。何発も撃ち込んだ筈なのに、全く無傷に見える娘。
*家に入ると、ステファニーは無言で父を弾き飛ばす。2階へ逃れた母も瞬く間に見付かり悲鳴を上げる。階段を下りてくるステファニーの背後で母の身体が宙に浮き、壁にぶつかっては跳ね返る。傷付き倒れた父の前まで来ると、ステファニーは「私を殺そうとした」と母に言う。宙に浮いたまま「娘を返して」と言う母の身体は本来曲がらない方向へ折れて、床に崩れ落ちる。それに為す術もなく「お前は何者だ?」と父が問うと、怪物は「大いなる者」と答える。床に磔にされ身動き出来ない父の背中に、天井に残されたままだったナイフが突き刺さる。「置き去りにして悪かった」「戻って来たのが間違いよ」突き刺さったナイフが移動して、父の背中を裂いていく。
*家が次第に崩れて、やがて崩壊する。ステファニーは外へ出て果樹園へ。背後には娘を追うように、両親の身体が見えない力に引き摺られている。兄の墓まで来ると、その傍に放置される2人の死体。代わりにステファニーの周囲には、黒いモヤのようなものが浮かぶ。多くの触手を持つ闇のような怪物。暫く歩いて他の家が見えてくると、ステファニーは掴んでいたフランシスを手離し踏み付けて先へと進む。怪物は次第に大きくなり、彼女が移動する先々で周辺の家を壊す。建物は崩れ或いは燃え上がり、その範囲は広がっていく。そして怪物はステファニーだけではない。町中に国中に、世界中に闇が広がり続ける。

■雑感・メモ等
*映画『ステファニー 死体と暮らす少女』

*レンタルにて鑑賞
*ジャケットを見たら役名が[父/男][母/女]となっていて、一見両親のように見えて実は違う設定なのかな?との興味でレンタル。でもまあそこは普通に両親だったよね。[父/男]役はフランク・グリロ。

*日本版ジャケットでは、ステファニーの年齢が実際より高めに見える。顔立ちの印象も違う感じ。本編ではもっと幼くて可愛い。

*序盤はステファニーが既に死んでいて、家は死後の世界的な雰囲気なのかと思ったら死体が登場。(タイトル通りだけどタイミングが結構早かった。)それなら両親も死んでいるのかと思ったら生きて帰宅。息子を殺され自分達も攻撃されたとは言え、本当に幼い娘を置き去りにしてたのは意外だった。
*そんな感じの意外性はあるけど、全体的にはエピソードが不足していると思う。開始30分程度は、ステファニーの1人遊びが延々続く。
*そのまま捉えると侵略系SFホラー的なんだけど、実際寄生されているのか或いは子供達の能力があの形で発現しているのか。「何者だ?」と訊かれて「大いなる者」なんて答えたりもしているから、他の含みもあるのかもしれない。