ハンティング・ナンバー1 | m-memo

m-memo

ネタバレだらけの映画メモ。

忘れ易いので自分用にメモしてます。
ネタバレ部分は詳細を記載することもあれば、
二言三言のこともあります。

 

■あらすじ
アルコール中毒のウォーレンはアメリカとメキシコの国境の、荒れ果てた町に辿り着いた。ひと気のないその町には伝統的な【狩猟祭】が毎年開催されていた。かつては荒野に生きる野生生物を狩猟し、町の人々が楽しむ祭りだったが、19世紀に狩猟禁止令が出され、伝統は消えたかに見えた。が、その町の住人たちはターゲットを【人間】に置き換えて、【人間狩り】を楽しんでいたのだ。主催する保安官/様々な武器を備えたハンターたち/彼らのゲームに優劣をつける審判/リアルタイムでゲームを実況中継するメディア/ラジオでゲームの行方を見守る住人たち…。わけもわからずこのゲームに放り込まれたウォーレンは、荒野を逃げ惑う。しかし、怒りがこの男の生存本能に火をつけた―!!兵役時代に身につけたサバイバル本能を研ぎ澄ませ、思いもよらぬ方法でハンターたちを追い詰め、次々とハンターに逆襲していく。そして、最大の敵が立ちはだかる―!!(メーカーサイトより)

■ネタバレ
*酒に溺れた生活のウォーレン・ノヴァク。ある日、存在も知らなかった自分の子供がメキシコに居ると知らされる。疎遠になったままの女が1人で出産し育てていたらしいが、彼女が死んだために連絡が入ったのだ。その日暮らしの彼は旅費を得ようと手持ちのドラッグを売人に持ち込むが、粗悪品だと見抜かれて騒動になる。男2人を撃ち殺して逃げ出すウォーレン。その場の僅かな現金やドラッグを掻き集め、心許ない状態でメキシコへ向かう。
*聞かされているのは電話番号だけで、目指すべき住所も知らない。情報提供者に電話をしてみても詳細は分からないままだ。それでもメキシコへと車を走らせる。彼はやがてメキシコとの国境近くの町、ベッドフォード・フラッツに辿り着く。金は既に残り少なく給油もままならない。それでも酒を呷り続ける。
*ベッドフォード・フラッツは砂漠の中の寂れた町。ベッドフォード社が開発したためこの名前が付いている。「昔は塩原でバッファローを追い掛けていた」と酒屋の店主ドンが教えてくれる。その後砂漠で拳銃を撃つが、禁断症状で手が震えて狙えない。酒を呑むと震えが止まり、地面に立てた空き瓶を撃ち抜く事が出来る。
*いよいよ金も尽きて、食料が提供される断酒会へ参加する。依存症を克服したスティーブと言う男が名前を尋ねてきて「ゲイのナンパじゃなく単なるお節介だ」と電話番号を寄越す。ウォーレンと過去の自分を重ねているのかもしれない。町は[狩猟祭]を迎え、ラジオで旅行者にも参加を呼び掛けている。砂漠に生息する多様な野生動物を狩るのが祭りのメインらしい。
*スタンドの店員を言い包めて、後払いを了承させてガソリンを持ち帰る。勿論払う金はなく、このままメキシコへ向かうつもりだ。モーテルへ戻って給油しようとすると、自分の部屋から光が漏れている。スキンヘッドの屈強な売人カルと、細身の青年ロビーが追って来たのだ。已む無くスティーブに電話をするウォーレン。彼の妻シェリルと共に歓迎され、食事をしながら兵役の経験を話す。数ヶ月基礎の訓練を受けたが、ヘリを盗んで除隊になったと。
*食事だけでは足りず、トイレを借りて洗面台を漁る。手の震えが止まらない。僅かなエタノールを求めて洗口液を呷り、ピルケースを見付けてポケットに捻じ込む。テーブルに戻るとスティーブは、酩酊状態で妻を転倒させ、流産させた過去を語る。「多くの人が飲酒ではなく断酒で死ぬ」とも。「最初に身体が震え出し、視界が変になる。身体も頭も働かなくなり、ピークは24時間後だ」
*その夜は、スティーブ達が亡くした息子が使う筈だった寝室を提供される。無事に生まれていれば野球選手にしたかったと言っていた。部屋にはバットやボールも置かれている。ボールで錠剤を潰して鼻孔から吸引する。車を盗んで逃げ出すつもりで壁に掛けられた鍵を握ると、激しい眩暈に襲われる。昏倒して朦朧とした状態で、スティーブとシェリルが自分を見下ろすのが見える。「他人の薬を漁るなよ。クズはどこまでもクズだな」と嘲笑う声がする。
*意識を取り戻すと拘束されている。自分以外にも手錠を掛けられている男が4人。自分を追って来たカルとロビー、ホームレスのジムと酒場で酔い潰れていたボブ。住民達も未だ暗い町外れに残らず集まっている。保安官が町民に「今年も5人の悪党達が揃った。全員が社会のお荷物だ」と語り掛ける。「動物が消えても我々は変わらない、伝統こそが我が町の宝。厄介事を解消すると同時に、過去を思い出すための行事だ。狩りを始めよう」そして5人に向けて「ルールは簡単だ。逃げるお前達を我々が捕まえて、殺す」と言う。
*[狩猟祭]とは野生動物ではなく、人間を獲物とする狩りだったのだ。彼等は野放図に狩りをするのではなく、年に一度狩猟祭の時期のみ、町にとって有害な人物を標的にする。ハンターも決められた者だけだ。今年のハンターは苦難を乗り越えたスティーブとシェリルのパターソン夫妻、性悪の3人組ワコウスキー兄妹、12年の出場を誇る酒店主ドン・リンカーン。ウォーレンがスティーブとシェリルに捕まったのと同様に、カルとロビーは3兄妹にダイナーで目を付けられた。残りの2人は町の厄介者だ。スティーブ自身、妻を流産させた時に標的になった過去がある。彼は1ヶ月生き抜いて、町に帰還し受け容れられた。
*狩りの獲物が放たれ、狩猟祭の事情に詳しいボブは真っ先に駆け出す。それを見てカルやロビーも夜の砂漠を走り出す。ウォーレンも身を起こそうとすると、スティーブがスキットルを手渡しながら「トンネルの先に光がある、お前も見付けろ」と言う。ウォーレンの背中を見送り、楽し気な笑顔を浮かべるスティーブ。
*一定時間が経ち、夜が明けると狩りが始まる。策もなく砂漠を走る面々。追跡者は車で移動するため、いずれ追い付かれるだろう。ウォーレンが励ますが、やがてホームレスのジムが走るのを止めてしまう。もう動けない様子のジムに「馬の鎮静剤とLSDだが使うと良い」とポケットに捻じ込んでいた錠剤を手渡す。やって来たワコウスキー3兄弟が弓矢を放ち、更に車でジムを轢き殺す。
*幾らか距離を稼いだ残り4人。ボブ曰く狩猟祭は「地域を団結させるための伝統行事みたいなもの」だと言う。「別々に逃げた方が助かり易い」と提案するウォーレンに「逃げ延びたらお前を殺す」と噛み付くカル。その背後から、ボブが岩を掴んで殴り付ける。制する余裕もない出来事で、ウォーレンとロビーは別方向へ逃げる。
*追い付いたワコウスキー達に「捕まえておいたぞ」と叫ぶボブ。それを横取りするかのように、離れた場所に陣取っているドンがライフルでカルの右目を撃ち抜く。ドンに獲物を奪われなかったとしても、兄妹達はボブを逃がすつもりもない。腹部に一発撃ち込み、止めを刺す瞬間を撮影するために準備していると、またしてもドンが獲物を射殺。これでワコウスキーが1ポイント、ドンが2ポイントだ。ドンがトランシーバーでそれを報告し、町民達が盛り上がる。
*一方スティーブ達はウォーレンを追っている。銃も持っているが、先ず使うのは拘りのある野球の道具だ。スティーブが運転し、シェリルが釘バットを握る。ウォーレンは逃げるのを止めて、シャツを脱ぎ待ち構える。やがてシェリルが襲い掛かろうとすると、両手で握り込んでいたシャツで釘バットを搦め捕るウォーレン。シェリルは車から引き摺り出され転落死、それに気を取られたスティーブは岩場に激突する。
*頭部を打ち付けたスティーブが気絶し、ウォーレンは彼の車からライフルや地図を持ち出す。ドンに狙われるが装填のタイミングを読み取り、草叢や岩陰を移動して山地へと逃げ込む。やがて山道でロビーと合流。彼には幸い追手が居らず、ここまで逃げ延びたのだ。
*地図を見ながら計画を練る2人。元々メキシコを目指していたウォーレンは、国境越えを提案する。ロビーは戸惑うが他に選択肢はない。「フアレスの領事館へ行けば送還してくれる」とロビーを説き伏せる。酒の禁断症状で身体の震えが止まらず、ライフルをロビーに託す。弾は残り1発、こちらを撃とうとは思わないだろう。やがて砂漠は夕暮れを迎える。
*獲物が死なずに夜になり、町民達は落胆している。保安官は町内放送で団結を呼び掛け、皆を鼓舞する。その頃ウォーレンとロビーは古い小屋を発見。禁断症状が酷くなっているウォーレンは、小屋に置かれていた物を掻き集めてエタノールを精製する。そしてシェリルの遺体の傍で目覚めたスティーブは暴走、町民バーニーを殺して銃やドラッグを奪う。
*壊れていると思ったが、小屋の無線機から『こちらエル・パソ、誰か居るか?』と声がする。『電気が点いてるが何をしてる?』「旅行者だ、友人が足を骨折した。重傷だから救急ヘリを手配して欲しい」相手が誰かは不明だが、この小屋を何処からか見ているらしい。更に無線機越しの男は『そこには着陸出来る場所がない。近くに無線標識局があるからそこまで来て欲しい。窓から見える筈だ』と言う。ロビーが窓から外を窺うと、声の主は『そのガキの頭の中が見たいか?』と言う。その瞬間ロビーは頭を撃ち抜かれる。
*咄嗟に照明を壊すウォーレン。やがて小屋にワコウスキー兄妹がやって来る。リモコンでテレビの電源を入れて攪乱した後、殺虫剤の缶を3人の中央に放り込む。缶を撃つと、回転しながら薬剤が撒き散らされる。ウォーレンはその中で防毒マスクを被り、斧を振り回す。斬り付けられ、握ったままのマシンガンが乱射され或いは床に落ちた銃が暴発して兄弟の身体を撃ち抜く。最後には妹の喉に斧が叩き込まれる。
*1人になり夜が明け、ウォーレンは再び山道を歩く。すると自分とは逆に、メキシコ方面からやって来る一家と出会う。逆戻りする羽目になった場合の目印なのか、道端の草にオレンジ色のリボンを巻き付けている。「ビールを持ってるか?」と尋ねても反応は芳しくない。「この先には悪人が居る」と言うと「何処も悪人ばかりさ」との返事。
*ウォーレンは山道を先へ進む。また指が震え出す。保安官が孫のジュニアを連れてスティーブを追っている。ドンと、釘バットと銃を持ったスティーブはウォーレンを追っている。山道には所々にトラバサミが設置されている。ドンの店で取り扱っている品だ。少し先のトラバサミを見て警戒した矢先、足許のトラバサミに足を挟まれてしまう。
*必死に足を抜こうとするが叶わず、やがてドンが射程距離に入り発砲してくる。しかしライフルの弾がなくなり、ドンは拳銃を手に接近。ウォーレンが応戦してドンの拳銃が山道に転がる。丸腰で駆け寄るドン。身体の自由が利かずライフルを取り上げられ、銃床で殴られる。ドンはナイフでウォーレンを刺し、転がった拳銃を拾う。ウォーレンは装填し損なった弾を拾い、指を筒のようにして握る。拳銃を拾ったドンが振り返った時、弾の底部をナイフの先端で叩くと、ドン目掛けて弾が飛び出す。
*また夕暮れ、そして夜になる。どうにかドンを倒したが、足はまだ罠に挟まったまま。銃身代わりにした指も酷く痛んでいる。すると最近ずっと夢に出て来た男が現れる。自分が殺したカルの仲間、片方は初対面だったが面識のある方の男ボーだ。今夜は今まで以上に明瞭な姿で、幻覚とは思えない。ボーは「断酒する気になったようだな、なかなか度胸がある」「友達は俺しか残ってない」等と話し掛けてくる。そして禁断症状に苦しむウォーレンに、スティーブの言葉である「多くの人が飲酒ではなく断酒で死ぬ」を繰り返す。「こんな砂漠でサイコ野郎に殺されて良いのか?」と自害を促すかのように拳銃を差し出すボー。「頼みがある」「何だ?」「消えろ」ウォーレンはボーの幻に向かって発砲する。
*夜明けに渾身の力で、トラバサミを脱する。昨日はどう足掻いても無理だったのに、禁断症状を乗り越えた結果だろうか。もう手も震えていない。地図を頼りに足を引き摺りながら国境を目指す。辿り着いた国境には、紙の地図上に書かれた国境線と同じように黒い線が走っている。ウォーレンを遮るように、高い壁がどこまでも続いているのだ。
*スティーブには保安官と孫のジュニアが追い付く。保安官は可能ならスティーブを連れ戻そうと考えていたが、バーニーを殺害して以前のような依存症に戻っているならそれは無理だろう。どうにか宥めて話をしようとするが、孫のジュニアは保安官曰く「頭の回転は鈍いが人を殴るのは得意」で、制止も聞かずに発砲する。銃弾がスティーブの肩を掠め、スティーブが撃ち返した弾はジュニアの額に命中、保安官もスティーブを撃つが外れる。「あんたは自分では狩らない、撃てないからな」と蔑むように言うスティーブ。保安官の車載無線から、町の住人に語り掛ける。「狩りなんか終わりにして、アメリカらしく野球をしよう」と言い、保安官目掛けて釘バットを繰り返し降り下ろす。
*壁を前に崩れ落ちるウォーレンだったが、傍の草にはオレンジ色のリボンが括り付けられている。あの家族はここを通ったのだ。彼等は何処からやって来たのか。周囲を注意深く見回すと、砂に埋もれた板を発見する。それを捲ると、地面にぽっかりと穴が開いている。スティーブが言っていた[トンネル]とは断酒の事を指すのかと思ったが、文字通りのトンネルがあったのだ。トンネル内には酒瓶が幾つも転がっている。スティーブが1ヶ月逃げ延びた理由もこれなのだろう。
*僅かな照明があるものの、薄暗いトンネルを進んで行く。やがて照明が消えて、発煙筒を手にしたスティーブが姿を見せる。トンネル内が赤く染まる光景は最近ずっと見ていた悪夢に似ているが、これは現実だ。逃げようとしても、トラバサミで痛めた足ではままならない。釘バットが腹部に突き刺さる。スティーブは倒れたウォーレンを撃とうとするが、拳銃は弾切れだ。ウォーレンの傍に座り、度数の高い酒を呷るスティーブ。零れるのも構わず、顔が酒塗れになっている。酒とドラッグで上機嫌のスティーブは、ウォーレンにも酒を寄越す。口に含んで、更に煙草を要求すると快く1本差し出してくる。ライター代わりの発煙筒も。炎とその向こうのスティーブの方へ、呑み込まずにいた酒を噴き出すウォーレン。忽ち上半身が炎に包まれスティーブは悶絶するが、やがて動かなくなる。
*ウォーレンは倒れたまま、トンネルに転がった携帯電話で覚えてしまった番号に掛けてみる。すると初めて繋がり、幼い少女の『もしもし、どなた?』と言う声がする。戸惑って何も言えずにいる内に、圏外になる携帯。立ち上がり暗いトンネルを抜けてみると、外の光景はメキシコ側もアメリカ側と大差ない。携帯は未だ圏外だ。
*満身創痍で電波を探していると、やがて[着信]の文字が表示される。笑顔を浮かべた途端、狙撃され倒れる。屈強な男4人が見下ろして、口々に言う。「アメリカ人がメキシコに侵入するとはな」「何事だろう」「追われてたようだな」「何故ここに?」「酔ってたんだろ」ウォーレンからはテキーラの匂いがしている。思わぬ幕切れに、声を上げて笑い出すウォーレン。男の1人が更に1発、腹部に撃ち込む。それでも未だウォーレンは笑い続ける。

■雑感・メモ等
*映画『ハンティング・ナンバー1』

*レンタルにて鑑賞
*人間狩り系サスペンス

*この類いの作品では狩られる側の機転や反撃が必須だと思うけど、この作品の場合はそれに加えて狩る側が一定のルールに則っている点が好印象。総体的に見て面白いと言う訳ではないけど。
*主人公は基本的に屑なんだけど、自分に子供が居ると分かってメキシコを目指す部分は律儀だなと感じる。お陰でラストは少々遣る瀬ない。でも屑だから、主人公が駆け付けてもそれが子供のためになったのかどうかは謎。
*小屋での攻防は正直、何が起こってるのかよく分からなかった。死体を解体していたように見えたんだけど、バーニーが何者かも分からない。
*純正品の麻薬は溶け難いのかな?売人の台詞で「5分待つ」とか「3分も残ってる」とか言っていたけど。麻薬を題材にした作品をあまり見ていないせいか、この遣り取りは初めて聞いた気がした。