■あらすじ
心霊スポット巡りが趣味の5人の若者男女。今回向かったのは人里離れた山中。ちょうど今から20年前、謎の幻聴を聞いた農夫が妻そして娘と息子を斧で皆殺しにしたが、なぜか息子の死体は見つからなかったという。以来、誰も住まなくなった廃屋を目指し、まずは近場のキャンプで一夜を明かした一行だが、朝になってみると一緒にいたはずの仲間たちが姿を消していた。残された2人は不審に思いつつ、目的地の廃屋にたどり着く。しかし彼らに知るよしはなかった。20年間眠っていた「なにか」が、おぞましい姿でよみがえったことを。そして消えた仲間たちが引きずりこまれた廃屋でどんな凄まじい目にあっているかを。2人が廃屋のドアを開けたとき、鬼畜の人間狩りレースが始まる…。（メーカーサイトより）
■ネタバレ
＊森の中の一軒家［レッドウッド・ハウス］では過去に凄惨な殺人事件が起こった。事件から20年が経つ週末、その家で一夜を過ごそうと若者達が集まって来る。マークもその内の1人だ。恋人カースティは乗り気ではなく、山道に対して文句を言っている。更にマークの元彼女であるジェシカも合流予定のため、カースティはずっと不機嫌だ。
＊ジェシカの方は、友人パメラが気になっている相手ブルースと一緒の時間を過ごせるように、敢えてこの旅に参加した。ジェシカとパメラは2人で山道を進み、やがてマーク達と落ち合う。カースティの態度は一層刺々しくなる。ブルースは1人自転車に乗り、合流地点を目指している。森の中の若者達を密かに見詰める中年の男が居るが、パメラ達はそれには気付かない。森でキャンプ中の夫婦が、斧で斬殺されてしまった事も。
＊ブルースは山道を遮るように張られた鎖に引っ掛かって転倒してしまう。壊れた自転車を押しながら歩いていると、背後から麻袋を被った男が接近して斧を振り下ろす。一方パメラがブルースに電話を掛けると、近くから携帯電話の着信音が聞こえてくる。周囲を探してみると見付かったのは道に転がった携帯だけで、そこにブルースの姿はない。4人で探しても、ブルースは何処にも居ない。携帯を落として1人で直接あの家を目指しているのかもしれない。
＊パメラは不安を覚えるが何も出来る事はなく、4人はテントを張ってキャンプの準備をする。夜になると［レッドウッド殺人事件］についてカースティが話し始める。悪魔の声を聞いた農夫が、斧を手にして妻に襲い掛かった。農夫は妻の腹部を切り裂いて、生きたまま内臓を引き摺り出して貪り食った。その様子を娘が目撃、農夫は娘の首を斧で切り落とした。息子は何箇所も刺されて埋められ、農夫は首を吊った状態で発見された。しかし、警察は重要な事を伏せている。息子の墓は空で、死体は見付かっていない。墓から這い出した息子は悪魔に操られ、家族が眠る森に立ち入る人々に襲い掛かるのだ。
＊翌朝になると、マークとジェシカが姿を消していた。自分の恋人が元恋人と共に居なくなった事で、カースティは怒りを露わにする。実際にはマークとジェシカ、そしてブルースは麻袋の男に拘束されてレッドウッド・ハウスに居た。手足を縛られて猿轡もされている。麻袋男に別室へと運ばれるジェシカ。横たえられて腹部に鍬を突き立てられ、同じ場所を繰り返し、執拗に刺される。
＊次にマークが運ばれ、椅子に拘束される。脚にハンマーを振り下ろされた後、糸鋸で額を切開されるマーク。麻袋男は死体を切り刻み細かいパーツに分けて、瓶に詰めていく。1人残されたブルースはどうにか拘束から逃れて床に転がる斧を手に取るが、足が竦んでマークを助けに行く事は出来ない。
＊残されたパメラといつまでも不満気なカースティは、地図もないまま歩き続けてやがて大きな一軒家に辿り着く。周囲には他に建物がなく、どうやらこれがレッドウッド・ハウスだろう。壁や天井は汚れて崩れていて、2人を出迎えたのはキツネの死骸だけだ。20周年を迎えた廃墟には多くの人々が集まるだろうと考えられていたが、他に人の気配はない。
＊パメラ達とは離れた棟で、ブルースは囚われていた部屋から逃げ出し身を潜めていた。追って来た麻袋男が、苛立った様子で通路に置かれた木箱に斧を振り下ろす。中に居るのはブルースではなく別の女性だ。麻袋男が立ち去った後でブルースが木箱を確認すると、女性は血塗れで息絶える。この家に近付いた人々は、自分達同様に拘束され殺されてしまったのだろう。やがて麻袋男に発見され、ブルースは再び捕まってしまう。彼は手酷く殴られて、血塗れで気絶する。
＊パメラとカースティが家の内外を調べても、ブルース達や他の誰かは見付からない。何にせよ、今日はこの家に泊まるしかなさそうだ。酷い旅だが、高慢だったカースティの態度は幾らか和らいでいる。「携帯電話が繋がるかどうか試してみる」と家から出るパメラを心配して「遠くへ行かないで、近くでね」と声を掛けるカースティ。1人になると、カースティの耳に微かな叫び声が聞こえてくる。
＊マークの声ではないかと考えたカースティは、元居た場所とは別の棟にも足を踏み入れる。マークを呼ぶが、現れたのは麻袋男だった。必死で駆け出して身を隠し、一旦は遣り過ごすカースティ。しかし助けを求めてパメラを呼ぶと、ワラの中に隠れていた麻袋男が躍り出る。麻袋男はカースティを壁に押さえ付け、鋸を腹部に突き刺す。開いた傷口に手を捻じ込み、内臓を引き摺り出しては投げ捨てる。
＊結局携帯電話は繋がらず、家の中へ戻るパメラ。すると息絶えたカースティが、麻袋男に担がれ運ばれていくのが見える。麻袋男が死体を解体している気配を感じながら怯えて身を潜めていると、中年男性がパメラに銃を突き付けてくる。声を出さないように念押しする男。麻袋男から離れた場所に来ると、男は「娘を殺されて、奴を調べている」と話す。
＊麻袋男はこの家を死体置き場にしているようだ。男は「皆死んでいるだろう」と言うが、友人達を諦められないパメラ。「生きていると思うなら、あの部屋を調べてみろ」と男が促す。それはブルース達が拘束されていた場所だ。部屋へ向かおうとすると、麻袋男が2人を追って来る。扉を押さえながら、男は銃をパメラに託す。予備の弾はない。
＊男はパメラを逃がした後、麻袋男に刃で貫かれる。パメラは部屋の奥へと進み、やがて犠牲者達が腕を縛られ吊るされた通路に辿り着く。血塗れの死体を押し退け、嗚咽しながら逃げるパメラ。背後には麻袋男が迫るが、パメラと同様に自分が吊るした死体に行く手を阻まれている。距離を保ったまま通路を抜け出すが、その先は行き止まりだった。
＊逃げるのを止めて立ち向かおうとするが、パメラは不慣れな銃を手早く扱えず発砲出来ない。麻袋男は、素手でパメラの顔を集中的に殴る。血塗れで倒れ込むパメラの視線の先に、放り出された銃がある。パメラが銃を手にするより先に麻袋の男が掴み掛ろうとするが、そこにブルースが現れて麻袋男に体当たりする。麻袋男が腹部を殴り付けると、拳が身体を突き破りブルースは絶命する。しかしその時間稼ぎのお陰でパメラは銃を手にして、麻袋男を撃つ。
＊夜明けの森や草原を走り続けて、舗装されていない道路に辿り着くパメラ。通り掛かった車に助けを求める。血だらけのパメラに驚きながらも、運転手の男性が車に乗せてくれる。舗装された道路へ出て、長距離を走る車。眠っていたパメラが目を覚ますと再び夜になっている。すると運転手が「道を間違えたようだ」と詫びる。「同じ場所を回っていたらしい。家が見えたから助けを呼ぼう」と言って車から降りる運転手。一本道で迷うようには思えず、同じ場所なら他に家はない。
＊パメラが運転手を制止しようとするとその背後から麻袋男が接近、振り向いた運転手の首を刃物で切り裂く。車に逃げ込むパメラ。ヘッドライトの中に麻袋男の姿が浮かぶ。麻袋男はパメラを車から引き摺り出そうとするが、必死で抵抗して反対側のドアから這い出す。暗い森の中を逃げるパメラ。麻袋男が追い掛けながら鋸を投げ付ける。木に突き刺さった鋸を回収しては、パメラを責め立てるようにまた投げてくる。
＊傷だらけで逃げ続けていると、車の廃棄場のような場所に辿り着く。こんな森の中に不自然だが、麻袋男の犠牲者達の車だろうか。クレーンに掴まれて宙に浮いている1台の車。パメラは麻袋男がやって来ると、鉄パイプで殴り掛かる。クレーン車の傍で麻袋男が倒れると、腹部に鉄パイプを突き立てる。これで暫くは動きを封じる事が出来る。
＊身体を貫通して地面まで到達していた鉄パイプを引き抜いて、やがて麻袋男が立ち上がる。大きなダメージはないようだが、パメラはその間にクレーン車に乗り込んでいる。麻袋男の頭上に車を落下させるパメラ。車の下敷きになり、麻袋男の身体は潰される。パメラは疲弊し立ち尽くし「このクソ農夫」と吐き捨てた。
■雑感・メモ等
＊映画『鬼畜の森 ゴアマスク・ファーマー』
＊レンタルにて鑑賞
＊キャンプ系悪霊寄り殺人鬼ホラー
＊雑誌『コミックガンマスクリーム』1冊目の付録になっていた模様。日本未公開のホラー作品が付録と言う楽し気なDVDマガジン。2冊目の付録だったらしい『デスキャンプ 屍獣たちの宴』を先に見て、遡ってこの『鬼畜の森』を見てみた。生憎3冊目は発行されていない模様。
＊タイトルバックはアナクロなホラー映画的でベタな雰囲気を醸し出している。そして悪役の麻袋男は森の中でオーバーオール姿・斧…とくればハチェット風味が強い。でも今作は1つ1つのパートが長めでテンポが緩々。お陰で特に好きでもないのに「ハチェットを見習って欲しい」と口走ってしまった。（面白いと言う訳でもないけど『ハチェット』シリーズには勢いがあると思ってる。）
＊適当な役名が付いているなら［麻袋男］ではなく他の呼び名で書こうかと思ったけど、IMDbによれば［Evil Highlander］が役名かな。これじゃ恰好良過ぎる。中年男は［Hunter］らしいけどあの人ハントしてないよね？ずっと調べてただけ？
＊あらすじでは仲良し5人組みたいになってるけど、現在の恋人同士と元カノを含むって面倒過ぎる組み合わせ。主人公はその諍いに直接関係ないし、もう少しシンプルな関係でも良かったような。パメラとカースティが僅かに親密になる部分は楽しかったし、協力して2人共生き残ってたらもっと良かった。
＊ジェシカの眉がどうにも気になるから何かの伏線になるのかと思った。そのくらい気になる眉をしている。
＊導入部分に麻袋男に襲われる女性の描写あり。最近殺された犠牲者なのか Hunter の娘なのかは不明。（長々と喋る割には娘が殺された状況等が不明なので。）この導入部分を含めて腹部への攻撃が多く、しかも同じ場所ばかり繰り返し刺すのが特徴的。
＊主人公パメラは恐竜の絵柄に［vegetarian］て書かれたTシャツを着用。マークのシャツは類人猿からヒトへと進化していく絵柄で、最後には刀を構えている姿？になってる。
＊家はアングルによっては大きめに見えて、別アングルだとどう見ても物件が違う感じに。周辺の風景は時々無駄に綺麗。
＊パメラは最後に「Fucking farmers」と言っているように聞こえるから「クソ農夫」て書いたけど、字幕では「クソ野郎」。襲ってきてるのが息子なら死んだ時には農夫ではなくまだ子供だったと思うから、農夫だった事はないよね。「クソ野郎」の方が適当かも。
＊銃でも鉄パイプ串刺しでも死なない（停止しない）から車を落としても完璧とは言えない思う。ラストシーンの直後から（でも主演女優が変わって）続いてもおかしくはないけど続かなくて良いです。