■あらすじ
1932年ウクライナで発生した大飢饉“ホロドモール”。多くの人が餓死し、生き残った人間たちは人肉で餓えを凌いだといわれる。“ドキュメンタリー20世紀の食人”の撮影にウクライナを訪れたアメリカ人のライアン、ジェニー、イーサンの3人は、食人で逮捕された男・ボリスに取材を申し込んでいた。ボリスは彼らに鍵を渡し、自宅で待つように伝える。現地のコーディネーターと通訳は、よそ者には口を開かないだろうと、地元の霊能力者を同行させる。しかし、夜になってもボリスは現れない…。翌朝、コーディネーターと車が消えていた。霊能力者は、人食連続殺人犯の悪霊の仕業で、誰もこの家から出られないと言う。脱出を試みる一行だが、その先には思いもよらない恐怖が待ち受けていた。(メーカーサイトより)
■ネタバレ
*「これはドキュメンタリー作品『20世紀の食人』第1章です」とカメラに向かって語り掛けるアメリカ人のジェニー。彼女はキエフで仲間達と共に[食人]を題材とした映像作品に取り掛かったところだ。パイロット版を製作して資金集めをしようと考えている。メンバーはリポーター役のジェニーの他、彼女の恋人で企画・出資者のライアン、ライアンと共にカメラマンを務めるイーサンだ。1932年にスターリンがもたらした大飢饉[ホロドモール]の生き残りや、食人の容疑で起訴された老人ボリス・グラスコウへの取材を予定している。
*現地のコーディネーターであるワレリーに出迎えられる一行。彼はカタリーナと言う美しい通訳を伴っている。彼女を気に入るイーサン。ホロドモールの生き残りから、地下道で多くの人々が食べられた話や少年の人肉で作られたコロッケの話を聞く面々。ホロドモールでは700万以上のウクライナ人が餓死。多くが人肉で飢えを凌いだのだ。その後、国立図書館で食人についての研究をしているアントノフ教授にもインタビューする。教授の話では、ボリス・グラスコウの件には謎が多いと言う。本人の了承の下に催眠を行った際には食人を認めたが、超常的な力のせいだと主張したのだ。「死体を食べさせられた」と。
*ヤブロチノエ村に到着すると、先ずはボリス・グラスコウの雇い主に話を聞く。ボリスは同僚トーリャの殺害容疑で逮捕されたが、遺体が見付からず結局釈放された。この地域は他にも失踪者が多いが、製材所の経営者はそれにボリスが関係しているとは考えていない。彼がボリスを雇ってもう15年になる。
*その後ボリスに接触すると、彼は撮影の謝礼について1000ドルの上乗せを要求。予算的には厳しいが、彼を取材するためにここまでやって来たのだ。撮影後に支払う約束をすると、ボリスはトーリャが姿を消した自宅の鍵を渡してくれる。後から合流すると言うボリスを、彼の家で待つ事になる。ボリスは「若くて美しい」と言うとカタリーナに年齢を尋ね、彼女の腹部を強く突く。その行動の理由は分からない。
*ワレリーはもう1人の女性イナを連れて来る。地元の[魔女]だと言うイナが居れば、余所者を警戒する住民も必ず話をしてくれるとの事だ。資金的には更に厳しくなるが、無下にも断れず同行を了承する。6人が森の中の道を走っていると次第に道が狭くなり、枝が車窓を叩き始める。やがて木が倒れて道を塞いでいる場所に到達し、彼等は徒歩で移動する事に。辿り着いたのは製材所がある村から約1時間、森の中の一軒家。
*家は古く、全体的に汚れている。屋根裏を確認すると、誰かが立っていて狼狽えるライアン。しかしそこには、ボリスが置いたのであろう靴があるだけだった。彼等はカメラを設置し、撮影の準備を進めていく。一方でイナは、家に入るのを拒絶しているようだ。彼女は車に乗ってから一言も話していない。ワレリーが彼女を宥めている。
*夜の8時になってもボリスは現れず、製材所に電話をしても誰も出ない。幸い水や食料、発電機用のガソリンはあるため、今夜はここに泊まる事にする。どうにか家には入ったが帰りたがるイナを、ワレリーが説き伏せる。食事をして楽しいひと時を過ごしていると、ライアンが「ボリスはこのテーブルで同僚と一緒に降霊術を行った。そして霊から、この家で少年を殺して食べたと言う話を聞いたらしい」と言い出す。
*自分達も降霊術を始めようとテーブルクロスを外すと、木のテーブルに魔法陣のようなものが直接刻まれている。所謂ウィジャボードのようで、YES/NOとロシア文字や五芒星が彫られている。イナは「時間が悪いから明日にした方が良い」と忠告するが、ジェニーは「ボリスが来ないんだからトーリャに取材しましょ」と言う。カメラを構えたライアンと、イナ以外のメンバーでテーブルを囲む。指を置いたグラスがテーブルの上を動いて、彼等は声を上げて笑う。夜が更けて恋人同士のジェニーとライアン、そしてイーサンとカタリーナがそれぞれ同じベッドで眠る。
*翌朝にはワレリーが車と共に姿を消していて、イナが「彼はもう死んでいるから戻らない」と言う。ワレリーは昨日呼び出した霊に殺されたため、再度降霊する必要がある。そうしなければ誰もここから出られない。降霊術に使ったグラスをひっくり返せば誰かが死に、このままならいずれ全員が死ぬ…イナの主張を通訳しているカタリーナは困惑の表情だ。構わずグラスに手を伸ばそうとしたライアンを、激しく叱責するイナ。「あなたのお兄さんなら、そんな馬鹿な事はしない筈」と言われると、ライアンは顔を強張らせ「何故兄が居る事を知ってるんだ?イカれてる」と呟く。それでもグラスには触れない事を約束するライアン。
*村までのタクシー代は800ドルと高額だが、最寄りのハルキウまでは100キロもあるのだから仕方がない。そこでカタリーナはキエフに居る友人を呼ぶ事を提案。ガソリン代を払えば来てくれるかもしれない。カタリーナが連絡すると、明日の午後には彼女の友人が迎えに来てくれると言う。有り難いが、それまではする事がない。
*ライアンはジェニーに、イナへの取材を提案。ウクライナの文化や迷信の話が聞けるかもしれないからだ。イナは「悪霊はまだこの部屋に居る、除霊しなければ誰もここから逃げられない」と話す。霊を信じていないジェニーが「超常的な現象が実際にあると証明して欲しい」と言うと、イナは「あなたは子供が産めない、そしてそれを周囲に隠してる」と答える。撮影していたイーサンがジェニーに問い掛けると、それは彼女自身も最近知った事実なのだと分かる。
*誰も撮影していない筈の、屋根裏の映像を見付けるイーサン。屋根裏に置かれた木箱に近付くと、中には別の箱が入っていると言うだけの内容だ。ライアンが屋根裏の様子を確認すると、昨日置かれていて先刻の映像にも映っていた靴が消えている。木箱はあるが、中には箱ではなく黒猫が入っている。
*他の録画内容を見直すと、全く記憶にない映像が見付かる。ワレリーとイナが口論になり、ワレリーが家を出て行く。それを止めようと喚き散らすイナ。まるで呪いを掛けているように見える。問題は何故記憶にないのかと言う事だ。自分達が同じ部屋に居る様子が映っているのに、誰もこの口論を覚えていない。
*ジェニー達は酒に何か薬物でも入れられたのではないかと考える。ワレリーが持ち込んだ酒をカタリーナが注ぎ、イナは台所で料理をしていた。ライアンは現地協力者の3人を疑うが、イーサンはこれに否定的だ。他の映像を再生すると、降霊術の際に誰も触れていないように見えるグラスが動いている。更に「昨日はカメラ2台の電源が完全に同じタイミングで切れていた」と言うイーサン。ライアンは各部屋にカメラを設置する事を決める。
*夜になり再び降霊術を行う事になる。カメラマンであるイーサンも参加を促されて、カタリーナの肩を掴む。やがてグラスが動き出すと発電機が切れる。照明が消えた暗闇の中、グラスの動く音が響く。イーサンがカメラのライトを点けると、誰も触れていないグラスが勝手にテーブルの上を動いている。イナは突然「納屋の中央を掘って」と言う。それは霊の指示らしい。先ずは発電機の様子を確認し、その後で納屋を掘り返す事にする。奇妙な音に怯えるイーサン。納屋からは、屋根裏の木箱の中から消えていた箱が見付かる。
*箱の中には写真とカメラとテープが入っていた。テープを再生すると、自分達が居るこの部屋が映し出される。降霊術用のテーブルと椅子に腰掛けるボリス。1995年、トーリャが消えた日の映像らしい。「霊に従わなければ家から出られない」と言っているのはトーリャだろう。「早くやれ」とトーリャに促されてボリスはシャツを脱ぎ、爪で自分の胸部や腹部を切り裂き肉を剥ぎ取る。そして撮影中のトーリャに襲い掛かる。その後はカメラが投げ出されて音声のみになるが、ボリスがトーリャを殺しているようだ。
*その時、また照明が消える。ライアンは再び発電機へ向かおうとするが、ジェニーやイーサンはそれに反対する。発電機の動作音は聞こえているし、誰かが待ち伏せしているのかもしれない。「だからこそ行く必要がある」と譲らないライアン。仕方なくイーサンも同行する事になり、イナは「身を護ってくれる」と彼等にランタンを持たせる。
*発電機はやはり動いているが、配線が抜かれていた。誰かが潜んでいて自分達を揶揄っているのだろうか。今度もイーサンは奇妙な音に怯えている。更に何かが動く気配がして、ライアンはイーサンの制止も聞かずにその正体を突き止めようとする。小屋から黒猫が飛び出して、驚き転倒したイーサンの左腕にランタンの炎が燃え移る。慌てて火を消すが、普段は穏やかなイーサンが「お前はいつもそうだ、人の意見を聞こうとしない」と怒鳴る。その時、家からジェニー達の悲鳴が聞こえてくる。
*ライアンとイーサンが家へ駆け戻ると、ソファに黒い肉片が撒き散らされていた。原形を留めていないが先刻まで黒猫だったもののようだ。イナの話によれば、血が流れると霊は強くなり標的は弱くなる。悪霊は猫に憑依出来る。ここに居るのはボリス達が呼び出したものと同じ悪霊らしい。力が強く危険な霊だ。
*翌朝、不機嫌なジェニー。セックスの最中にライアンが強く引っ掻いて怪我をしたせいだ。しかしライアンにはそもそも昨晩セックスした記憶がない。カタリーナも同様にイーサンに引っ掻かれたと主張するが、イーサンにも自覚がない。そこで各部屋に設置していたカメラを確認してみると、カタリーナの主張通りにイーサンが引っ掻く映像が残っている。一方ジェニーは、ベッドで眠るライアンの隣りで1人乱れ、自ら腰を引っ掻いていた。全く記憶にない状況に愕然とするジェニー。霊が操り易くするために、身体に傷を付けさせたのかもしれない。
*午後にはカタリーナの友人が来る筈だが、連絡しようとしても今日は電話が繋がらない。ジェニーは家に居るのを嫌がり、徒歩で出発しようとする。作品をどうにか形にしたいライアンは必死で追い掛ける。イナは眺めていた写真を差し出し「これは霊に関係していて、調べれば正体が分かる」と言い出す。写真にメモされていたヤブロチノエ村についてネットで検索すると、連続殺人犯のアンドレイ・チカチーロがヒットする。
*やがてジェニーとライアンの2人は、自分達が乗って来た車を発見。呼ばれて駆け付けたイーサンとカタリーナも合流して確認すると、フロントガラスには木が突き刺さり運転席は血塗れだ。ワレリーの姿はない。車は動きそうにもなく、ドアを開ける事すら出来ない。
*家へ戻ると彼等を代表して、カタリーナが「あなたの呪いでワレリーは死んだ」とイナを責める。イナは「私にそんな力はないわ。霊がやったのよ」と言う。結局話は平行線で、4人はイナを残して森の中を歩き始める。暫くするとジェニーとカタリーナが進めなくなる。傷が酷く痛むのだ。ライアンは皆をここで待たせて自分だけで村へ向かおうとするが、間もなく彼も鼻血を流して動けなくなる。家から離れると出血するようだ。已む無く彼等は家へ戻る。
*イーサンは、先刻調べたチカチーロについてライアンに伝える。女性や子供を標的にして50人以上を殺した男だ。歯で身体を噛み千切り、性器を食べて何度も刺した。[切り裂き魔][ロストフのブッチャー]等と呼ばれた。自分を[自然の失敗作]だと主張し、1994年に処刑されるまで心神喪失を申し立てていた。心神喪失については、子供の頃に兄を殺され誰かに食べられた事が原因だと語っていた。箱から見付かった写真はチカチーロの兄のものらしい。ネットで確認可能な犠牲者に残された傷は、ジェニーとカタリーナに付いたものと全く同じに見える。
*いつの間にか携帯電話は圏外になり、もうイナに頼る他はない。イナはテーブルを指し示しながら「十字架のある木で作った五芒星の中心にこの家がある。家の下には地下道がある。今は家の中なら安全だが、霊は強さを増している」と話す。霊はチカチーロのもので、彼は人間を食べたために霊力が強い。霊は傷から憑依が出来る。憑依されると人はいつもより短気で暴力的になるようだ。イーサンは猫の傷から憑依されて怒鳴り、ジェニーやカタリーナは引っ掻き傷で冷静さを欠いた。チカチーロの霊は殺された兄の復讐を求めている。
*夜にまた降霊術を行うと、灯していた火が次々に消える。チカチーロが居るようだ。「私達を解放して。あなたはあなたの世界に帰るのよ」と強い調子で命じるイナ。やがてカメラが倒れて照明が消える。ライトを点けるとイナの姿がない。彼女は黒猫の死骸が撒かれた部屋に移動していて、ソファに腰掛けて微動だにしない。カタリーナが「もう一度やりましょう」と話し掛けると、イナは突然叫んで彼女に襲い掛かる。イーサンとライアンがカタリーナを引き離すと、イナは「ニコール、安らかに…中絶は間違いだった」と泣き始める。次には笑い始め「穴を掘れ、北の十字架の下だ。ここへ持って来い」と叫ぶ。
*ライアンは朝になってから掘り返す事を提案するが、ジェニーは逆上して「ボリスは霊に従ったから解放されたんでしょ?私達も従えば良いんだわ」と叫ぶ。4人は暗い森の中で十字架の掲げられた木を探し出し、穴を掘り始める。1時間程掘った頃、自分ばかりが穴を掘っている事にキレるイーサン。ライアンが交代しようとすると、イーサンが地中に埋められていた木製のコンテナを踏み抜き、落下しそうになる。
*どうにか皆でイーサンを助け上げて改めて木の箱の中に下りてみると、ジャケットに包まれた子供の骨が見付かる。チカチーロの兄のものだろう。チカチーロは兄を埋葬するために掘り返させたのだろうか。ライアンはこの骨を利用出来ないかと考えるが、他の3人は強い調子でライアンを罵って、チカチーロの指示に従い骨を持ち帰るべきだと言う。「あんな奴には従わない」とライアンが反発すると、ジェニーは叫んでライアンを突き飛ばす。コンテナへ落下して、足を骨折するライアン。森へと姿を消すジェニー。
*冷静になったイーサンはジェニーを追い掛け、カタリーナはライアンの傍で待つ事に。やがてイーサンは森の中で倒れているジェニーを発見するが、彼女は何も覚えていないようだ。「君がライアンを穴に突き落とした」と告げると狼狽するジェニー。2人で十字架の木まで戻ると地面は元通りになっていて、穴もシャベルも消えている。掘り返そうにも手での作業には限界がある。2人は諦めて家へ戻る事にする。
*「自分が嘘を吐いたせいでこんな事に…どうしても彼に言えなかった」と涙を流すジェニー。ニコールと名付けた胎児を中絶したのは、イナではなくジェニーだ。彼女はこれが自分への罰だと感じている。「これ以上何が欲しいの?私が欲しいなら連れて行けば良い」ジェニーが叫んでランタンを放り投げると、周囲は真っ暗闇になる。イーサンがカメラの暗視装置を付けようとしていると、ジェニーが「何かが傷に触った、直ぐ傍で息遣いがする」と怯えた声で言う。暗視装置が作動しても何も居るようには見えないが、突風が2人を襲う。まるで巨大な獣の咆哮のようだ。2人は慌てて家へ駆け戻る。
*ウィジャボードのテーブルには骨とライアンのカメラが置かれている。ライアンとカタリーナが戻っているのだろうか。懸命に名前を呼んでも返事はなく、イナに話し掛けても全く反応がない。ジェニーとイーサンはライアンのカメラを確認する。映像の中、何故かコンテナの中へ下りようとするカタリーナ。「危険だから止めろ」と言うライアンの制止には耳を貸さない。彼女が箱の底へ飛び降りると、箱は更に下の地下道へと落下。カタリーナの姿は消え、遠くで悲鳴が聞こえる。ライアンが頭上を見ると、落ちてきた筈の穴は何故か塞がっている。暗い地下道を悲鳴の方へ進むと、何かの肉片が散らばっている。猫よりはかなり大きな肉塊だ。やがてライアンの呻き声が聞こえる。
*ライアンとカタリーナは殺され、わざわざそれを見せるためにカメラが置かれたのだ。恐怖に泣き叫び家を飛び出そうとするジェニーを必死に宥めるイーサン。どうにか落ち着いたジェニーはキリル文字を英語のアルファベットに書き換えて、もう一度2人で降霊を行う。チカチーロの望みを聞き出すのだ。指示通りに骨はここにある。グラスをテーブルに置くと、指を乗せなくても動き始める。グラスが辿る文字を繋げて読むと[INA][EAT HER]になった。イナを食べろと言うのだ。「ボリスは食べたかもしれないが、俺達は絶対にそんな事はしない」と叫ぶイーサン。
*その時、離れた部屋からイナの声が響いてくる。通訳のカタリーナ不在ではイナの言葉はジェニー達に伝わらないが「私には逆らえない。お前達は肉塊だ」と笑っている。イーサンはチカチーロの霊を退けようと、ロザリオを翳して除霊の真似事をする。イナは「私を食べる事になる」と言うと舌を噛み切ってしまう。
*堪らず家を飛び出すジェニーとイーサン。ジェニーは傷を痛がり、何かの気配が追って来る。それでも進むしかない。村か道に辿り着く必要がある。必死に走っていると、イーサンが何かに弾き飛ばされて姿を消す。1人になり、ジェニーはカメラを片手に泣きながら森を彷徨う。やがて屋根裏にあった靴を見たと思った時、突然地下へと落下。ライアン達も落ちた、ホロドモールの際には多くの人が殺されたと言う地下道だ。助けを求めるイーサンの声が聞こえるが、彼が居る場所にジェニーは辿り着く事が出来ない。
*やがてジェニーはカタリーナを発見。彼女は腹部の傷を押さえて立ち尽くしている。ジェニーが震える声で「何があったの?」と訊くと、カタリーナは「彼がここに居るわ」と答える。「チカチーロの霊のために人を食べている。力を蓄えるために…彼の中にチカチーロが居るのよ。チカチーロを復活させるために、私にも人肉を食べさせようとしている。私は嫌よ、食べたくない。復活なんてさせないわ」ジェニーがふと下を見れば、カタリーナの足首には足枷が付けられている。彼女はここに捕らえられているのだ。それが分かった時には既に遅く、ボリスが現れる。彼は村で出会った時とは風貌が違って見える。チカチーロに憑依されているせいなのか。
*ボリスはジェニーに襲い掛かり「役立たずの不妊女め」と罵り殴る。投げ出されたカメラにその様子が記録される。ジェニーの肉を貪り、噛み千切ってカタリーナにも差し出すボリス。「この女の肉を喰え」とカタリーナの口へと肉片を押し込む。カタリーナの力では抵抗出来ない。「これで準備は出来た。既に腹の中で育ち始めてるぞ」ボリスがカタリーナの腹を撫で、彼女の嗚咽が漏れる。ボリスは録画を続けているカメラを壊すが、その姿はチカチーロのようにも伝承の怪物グールのようにも見える。
■雑感・メモ等
*映画『グール』
*レンタルにて鑑賞
*チェコ製カニバリズム系POVホラー。とは言え映像的にはお食事場面は殆どない。細切れの猫の方が不愉快。
*これは自分で選んでなくて、タイトルとジャケット画像をチラリと見ただけの状態で再生。屍食鬼についてのお話が始まるのかと思ってたら実在の殺人鬼(の悪霊)が題材で吃驚した。
*悪霊だけではなく肉体を持つボリスも居る状況だけど、映像には明確なものが全然映らないから何が恐怖の対象なのか分かり難い。チカチーロの霊の目的もまた分かり難い。人肉を食べさせて孕ませると復活出来るとはどう言うシステム?そもそも誰かに憑りつくだけでは駄目なのかな。
*ボリスは所謂[憑依]されている状態だろうけど、ジェニー達は完全に操られていると言うよりは暴力的且つチカチーロの意に沿うような言動になってる感じ。身体に傷が付くと操り易くなるようだけど、意識がない(記憶に残らない)状態で自分の身体を傷付けさせてる時点で既に「操ってる」とは言えないのか?
*降霊・発電機・逃げ出す・宥めて戻る…と言うシチュエーションが繰り返されるので退屈。仲間同士で喰わせようとする展開は緊迫感が出るかと思ったけど、そのルートは直ぐに塞がれてしまった。
*降霊術が毎回雑なのにチカチーロは律儀に現れる。(と言うか降霊しなくても常に居る感じ。)更に英語に書き換えても対応してくれるのは、何と言うか親切だな。