デス・フロア | m-memo

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ネタバレだらけの映画メモ。

忘れ易いので自分用にメモしてます。
ネタバレ部分は詳細を記載することもあれば、
二言三言のこともあります。

 

■あらすじ
クラウディオはクライアントとの重要なミーティング直前に、オフィスのエレベーターに閉じ込められてしまう。閉所恐怖症の彼は一刻も早く脱出を試みるが、救助が来る気配もない。わずかに開いたエレベーターのドアの隙間から外の様子を伺っていると、どこからともなく女の悲鳴が…。なんと、彼が閉じ込められている間にエレベーターの外では伝染性の高い謎の致死ウィルスが蔓延し、人々を凶暴なゾンビへと変えていたのだった…。(メーカーサイトより)

■ネタバレ
*ローマ、パノプティコム社を経営するクラウディオ・ヴェローナ。馴染みの運転手ステファノの代理として、今日はリカルドと言う男が送迎車でやって来る。リカルドに逐一嫌味な態度を取るクラウディオ。一方会社では若く美しいシルヴィアにコーヒーを差し出され、自分のチームに入れようと面談をセッティングさせる。
*エレベーターに乗り込むと、先客にマルタが居る。彼女とは以前不倫関係にあった。クラウディオが「キスはなし?」と言うと、マルタは「あんたとは終わったわ、結婚するのよ」と素気無い態度だ。「それがどうしたんだ?僕は結婚してもう5年だ」と悪怯れずに言うと、マルタはクラウディオの股間を掴んで捻り上げ「くたばれ」と言い捨ててエレベーターを降りる。
*1人になったエレベーター内で、携帯電話に妻ロレーナから着信がある。彼女は昨夜起こった襲撃事件の影響で、閉鎖された道路もあると心配している。「出掛けられないから帰りに牛乳を買ってきて」と言う妻に「そんな時間はないよ」と答える。会話の最中に瞬停が起こり、照明が明滅する。
*6階と7階の間で停止するエレベーター。緊急ボタンを押して係員と話すと「屋上にある発電機のせいかもしれない」と言う。2ヶ月前にも同じ理由で停止した事があるため、不機嫌になるクラウディオ。大事な商談があるのに間に合いそうにない。秘書のサラに電話をして、状況だけは伝えておく。
*外から人の気配がしたため必死に呼び掛けるが、反応が返ってこない。係員と再度話して、担当者の連絡先を聞く。直接電話すると「2ヶ月前とは別の発電機が原因らしい」との返事。途中で相手が狼狽え始めて「あれは何だ?逃げろ」と叫び、悲鳴が聞こえる。その後サラと話すと「商談相手のサンティが今にも帰りそう」と困っているが、クラウディオにもどうしようもない。
*どうにかエレベーターのドアを開けようとするが、何かが引っ掛かっているのか20cm程度しか動かない。頭部が通る程度で肩までは無理だ。その時再度ロレーナから着信がある。妻は「誰かがドアを叩いてる」と怯えて訴える。警察に通報するよう促すが、何処にも電話が繋がらないらしい。寝室で鍵を掛けるよう伝えて「ステファノを向かわせる」と約束する。ステファノに状況を説明して、妻の様子を確認して欲しいと頼む。
*ロレーナがまた電話を掛けてきて「変な連中が、人を襲っているみたい。テロかもしれない」と不安気な様子だ。クラウディオはテロについては笑い飛ばし、ステファノが向かっている事を伝えて落ち着かせる。しかし携帯電話でネットニュースを見てみると、妻の言う通りの状況らしい。
*エレベーターの外を逃げ惑う気配がする。必死に呼び掛けても誰も立ち止まらない。転倒したマルタがクラウディオに気付いて「中に入れて」と叫ぶ。しかし彼女の細身の体でも、中に入るのは不可能だ。やがて何者かがマルタを掴み、床を引き摺っていこうとする。マルタの腕を掴むが抵抗も虚しく引き剥がされ、彼女はクラウディオの視界から消える。
*何が起こっているのか。恐る恐るドアから顔を出すと、男と女が呻きながらクラウディオの方へ腕を伸ばしてくる。くすんだ顔色はまるで死人のようで、言葉を発せずに唸り声を上げている。所謂ゾンビのような状態だ。今にも捕まりそうになるが廊下の向こうで人の声が聞こえ、2人は覚束ない足取りでそちらへ歩き去る。
*ステファノが「渋滞で辿り着けないかもしれない」と電話してくる。疲弊して「イカれた連中に襲われた」と訴えても、彼には何の事か分からないらしい。クラウディオを宥めようとしているが、ステファノもやがて悲鳴を上げる。彼も襲われたのだろう。
*エレベーターの係員が呼び掛けてくる。状況が進展しないため、自ら屋上へ向かったようだ。「早くここから出してくれ」と懇願するが、彼もまたゾンビの餌食になる。ステファノが駆け付けられないため、ロレーナも心配だ。電話をするが繋がらず、サラも電話に出ない。クラウディオがここに居る事を知る者とは、誰とも話せない状態だ。
*暫くして「部屋から出られなかった」とサラが折り返してきて安堵するが、ドアの近くに立っているとマルタに肩を掴まれる。彼女は最早別人で、既にゾンビと化している。クラウディオはエレベーター内の手摺を外し、手に入れた鉄パイプで繰り返しマルタの頭部を叩く。彼女の血がエレベーターに流れ込む。鉄パイプを使って少しでも遠く、目に入らない角度にマルタの遺体を押し遣る。鞄に入っていたミネラルウォーターで血塗れの顔を拭い、床の血溜まりには書類を撒く。普段なら大切に扱う資料だが、今のクラウディオには必要がない。
*また人の気配がする。外に居るのはシルヴィアだ。ゾンビにはなっておらず、1人で周囲を警戒している。彼女に呼び掛けて協力を頼む。鉄パイプで梃子のようにドアを抉じ開けて、同じタイミングでドアを押してもらうのだ。しかし何度繰り返しても、ドアは微動だにしない。やがてゾンビの気配が近付いて来る。
*自分の身体をエレベーターの中に押し込もうとするシルヴィア。クラウディオも必死で彼女の脚を引っ張るが、やはり中には入れない。彼女の靴の片方だけがエレベーターの中に転がる。更にゾンビが接近すると、シルヴィアはその場を離れて走り出す。また1人になったクラウディオに、やって来たゾンビが掴み掛ろうとする。するとゴルフクラブを握ったシルヴィアが駆け戻り、ゾンビを撃退する。
*「マルキーニのクラブね。私解雇されちゃうわ」「彼はもう気にしないよ、君が頭を叩き割ったから」彼女が倒したゾンビこそマルキーニだった。それを知って笑い出すシルヴィア。クラウディオも笑顔になる。今日初めてかもしれない。しかしそんな時間は長く続かず、2体のゾンビがシルヴィアに襲い掛かる。鉄パイプでドアを叩いてゾンビの注意を逸らそうと試みるが、無駄な努力に終わる。
*ニュースによれば、外では軍も出動する騒ぎになっているようだ。またロレーナに電話をしてみると、今度は妻に繋がる。憔悴して「何が起きているんだ」と泣き崩れるクラウディオ。「記者が襲われるのをニュースで見たわ。次々に人がおかしくなってる」とロレーナが言う。何が原因かは分からないようだ。やがて「誰かが入って来た」と言う妻。「扉を閉めて家具で塞げ」と指示するが、それ以上はどうすれば良いのかクラウディオにも分からない。間もなく「助けて」と悲鳴が聞こえて、電話が切れる。
*シルヴィアが目の前で死んで、妻との連絡が途絶えた。男が1人助けを求めて来るが、疲弊したクラウディオはもうドアを開ける事を諦めている。男は結局ゾンビに追われて走り去る。自暴自棄になったクラウディオはわざと大声を出して、ゾンビを誘き寄せる。ゾンビがドアの隙間から腕を伸ばしても、ドアに近付かなければ捕まる事はない。引き寄せて、鉄パイプでゾンビの頭を叩く。またエレベーターにゾンビの血が流れ込む。
*「助けて」と声が聞こえて、走って来たのはサラだ。彼女に「走れ」と叫んで、クラウディオは鉄パイプでゾンビの気を引こうとする。サラが近くの部屋に逃げ込むと、ゾンビもそちらに向かう。「その部屋に近付くな、彼女に構うな」と声を張り上げ、腕時計を投げても駄目だ。何人ものゾンビがドアを押し開けて、部屋に傾れ込む。「もう限界だ」と頭を抱えるクラウディオ。
*エレベーターの床に座り込み、妻が言っていた動画を携帯電話で検索してみる。『正気を失った人々が市民を襲ってる』と手持ちのカメラに語り掛けていた女性記者がゾンビに襲われる。その音声を聞き付けたのか、新しいゾンビがエレベーターに群る。照明も消えてしまうが、もうクラウディオはそれらの事態に反応が出来ない。しかしゾンビが次々銃弾に倒れ、生気を取り戻す。
*「ここに1人残ってる」とドアの隙間から手を振ると、武装した警官が近付いて来る。噛まれるとゾンビ化するようで、クラウディオに怪我の有無を尋ねる警官。クラウディオは血塗れだが自分の血ではない。救援部隊かと思ったが、警官もまた1人だった。「本部とは連絡が途切れた」と言う。彼の名はマルチェッロ。
*屈強なマルチェッロが試しても、やはりドアは動かない。先ず電力を回復させるため、マルチェッロは発電機がある屋上を目指すと言う。屋上も危険かもしれないと伝えるが彼は怯まず、クラウディオに拳銃と無線機を渡して誘導を頼む。また1人になるが、無線機の向こうにはマルチェッロが居るため心強い。途中のゾンビを倒しながら順調に進むマルチェッロだったが、9階で物資が山積みになっていて上階へ行けなくなる。クラウディオは窓の外に足場が組まれている事を思い出し、マルチェッロをそちらに誘導する。
*足場を登り切り、再び窓から入るため発砲するマルチェッロ。銃声にゾンビが集まるが、どうにか切り抜けたようだ。やがて彼は操作盤に到着し、電力を回復する。照明は復活するが、エレベーターのドアには変化がない。携帯のライトで照らしてみると、ドアの奥に何かが詰まっているのが分かる。取り除こうとしても指が届かない。
*ドアの傍で奮闘していると、ゾンビが複数現れる。拳銃で撃つがクラウディオは及び腰で、狙いが定まらず跳弾する。無線機越しのマルチェッロが「狙いを定めて撃て」と繰り返し励ますと、エレベーターの前にゾンビが積み上がる。「殺したか?」と訊かれて「全員殺した」と答える。「弾は何発残ってる?」「そんなの分かる訳がない、これは僕の仕事じゃない。得意なのは金儲けで人殺しじゃないんだ」「奴等はもう人間じゃない」そうは言っても彼等は同僚であり部下だったのだ。「奴等は感染してイカれてた、バケモノだった」と言うマルチェッロ、その言葉を繰り返すクラウディオ。
*クラウディオを支えて励ましていた無線機から、マルチェッロの舌打ちが聞こえる。ゾンビに襲われているらしく、連絡が途切れる。いよいよ気持ちが折れそうなクラウディオ。携帯に保存してあるロレーナの画像を眺めるが、悲しみが増すばかりだ。その時廊下の奥に人影が見える。服装からしてマルチェッロと同様警官のようだ。ライフルを撃ちながらゾンビから逃げているようで、助けを求めてもこちらに気付かない。
*陽が傾き、夕日がエレベーターの中にも届く。もう生きた人間の気配はしない。ゾンビが群るがキリがなく、奴等を撃つよりも優先するべき事があるのかもしれない。夜になるとクラウディオは「お前等の餌食にはならない」と言い銃口を咥える。するとエレベーターの天井からマルチェッロの声がする。彼は生きていたのだ。内側から鉄パイプでハッチを押し上げると、マルチェッロが中に入って来る。エレベーターが停止してから、クラウディオ以外の誰かが中に入るのは初めてだ。今度はマルチェッロがゾンビを積み上げる。
*マルチェッロもドアを確認し、何かが引っ掛かっているのを見るが「このままで良い」と言う。彼の顔色は悪く、呻きながらクラウディオの隣りの床に座る。尋ねてみると「ゾンビに群られて、何発か撃ってシャフトに逃げ込んだがその前に噛まれた」と話すマルチェッロ。何も言えず黙って煙草を差し出すクラウディオ。マルチェッロは「2年前に禁煙したんだ」と言うが、ライターが壊れたクラウディオのために火を貸してくれる。「禁煙してるのにライターを持ってるのかい?」「何かの役に立つかと思ってな。…やっぱり1本くれ、ヤケクソだ」
*マルチェッロは「奇妙なもんだな、最期の瞬間を他人と過ごしてる」と呟く。奇妙なのはこの状況だ。「何故こんな事に?」「変異したウイルスが一気に広まった。感染源は動物…と言われてる、怪しいがな。ウイルスは研究所で作られたが制御出来なくなり、皆が巻き込まれたんだろう」それはマルチェッロの考えだが、本当のところは誰にも分からない。
*突如、苦し気に笑い出すマルチェッロ。妻と見た酷い映画に出てきた、くだらなくて笑えないジョークをふいに思い出したと言う。訊けば妻の名はキアラ。マルチェッロは写真も見せてくれ「彼女は警察のシェルターで無事だ」と話す。ロレーナについて「奴等が家に侵入して、悲鳴を聞いた」と言うと、同情を示すマルチェッロ。「僕は善人じゃない。浮気もしたし、今朝は牛乳の事で文句を言った」それはもう随分前の事に思える。
*体調が悪化するマルチェッロ。彼は「横になるから、俺が眠ったら後頭部を2発撃て。バケモノになるのは嫌だ、もう始まってる」と言う。クラウディオが怯えて拒絶すると「それなら自分でやる」と拳銃を握る。マルチェッロを必死で止めるクラウディオ。結局マルチェッロを撃てないまま夜が更ける。やがてマルチェッロが豹変。揉み合う内に自分の太腿を撃ってしまうクラウディオだったが、痛みに耐えながらマルチェッロを撃つ。彼が指示したように頭部に2発、更に念のためにもう1発。エレベーターの床に崩れ落ちるマルチェッロの身体。
*銃声を聞き付けたゾンビが集まって来る。ベルトで足を止血し、マルチェッロの残した銃でゾンビを撃つ。血を失ったせいか、群るゾンビを見ながら意識を失うクラウディオ。やがて気が付くとゾンビが消えている。目を覚ます前に遠くで「廊下に2人居る、撃て」と聞こえた気がするが、今はもう人の気配がない。
*携帯のバイブレーション音が聞こえて、着信かと慌てて手に取る。しかしそれは目覚まし用のアラームだった。朝7時、落胆するクラウディオ。しかし再度携帯が鳴る。未登録の番号からだ。出てみると相手はロレーナだった。諦めていたが妻は生きていた。クラウディオは「神よ、感謝します。良かった、愛してる」と喜びの涙を流す。ロレーナは家の外に逃れて軍に救助されたのだと言う。軍は街からゾンビを排除しているようだ。ロレーナが自分の居場所を告げる前に携帯の充電が切れてしまうが、クラウディオは活気を取り戻している。
*「許してくれ」と詫びてマルチェッロの身体を移動させ、踏み台にしてドアに挟まっていたものを取り除く。折れた滑車のような部品だ。残っていたミネラルウォーターを呷り、顔に振り掛けて気合を入れる。ドアを押し開けてマルチェッロの銃を掴む。念のためエレベーターの外に物を投げてみるが、ゾンビは近くに居ないようだ。幾重にも重なったゾンビの上に這い上がり、彼等を踏み締める。サラのために投げた腕時計を拾い上げ、嵌め直して歩き出す。
*膝から下がないゾンビが居て、クラウディオに這い寄って来る。発砲しようとするがもう弾が出ない。代わりに自分の足で頭を踏み潰す。ビルの外の状況も大差ない。血塗れの死体が無数に転がっていて、車は走っていない。街の方々から火の手が上がっている。

*橋に差し掛かると、牛乳が転がっているのを見付ける。ロレーナとの約束を思い出し笑顔になるが、傍に倒れていたゾンビが起き上がる。狼狽えている内にゾンビが銃弾に倒れる。周囲を見回すと、建物の屋上に狙撃兵が居るのが見える。「1人倒した」と言う狙撃兵。スコープの中の男はゾンビではないようだ。クラウディオは「ここだ、助けてくれ」と声を張り上げて、必死に手を振る。

■雑感・メモ等
*映画『デス・フロア』

*レンタルにて鑑賞
*イタリア製エレベーター系ホラー

*このブログでも以前のブログでもタイミングが合わなかったのか今まで一度も記事にはしてないけど、エレベーター系ホラー/サスペンスが大好物で恐らく日本で見られるものは一通り見てる。原因は『アウト・オブ・オーダー』(別タイトル『暴走エレベーター/恐怖の超高層25時』)で、生まれて初めて見た不条理オチの映画だったと思う。ある種のトラウマ的なものなんじゃないかなこれ。
*なのでこの『デス・フロア』も迷わず見た。外部と隔絶されている間に世界が激変する映画は色々あるし、その原因がゾンビなパターンは他にもある。しかしその舞台がエレベーターと言うのはかなり大胆に絞ってる印象。しかもエレベーター内部に居るのが原則主人公1人と言うのも割と珍しい。(因みに劇中[ゾンビ]と言う呼称は出てこないけど、メーカーサイトにも明記されているので便宜上使用。)
*エレベーターが舞台だと展開に変化を出すのが難しいと思うけど、この作品も似たような場面の繰り返しが多い。尺はもう少し短くても良かった。
*主に序盤だけど、主人公がこんなに嫌な奴でなくても良いのでは?とも思った。騒動が始まってからは、基本的に人を助けようとはするんだけどね。後半のマルチェッロとの遣り取りは良い。
*マルチェッロの「妻と見た酷い映画」のジョーク、字幕では「フランクシナトラは生きてる、死ナんトラ」でクラウディオは困惑顔だったけど、原語ではどんな感じなんだろ。
*マルチェッロが「何かの役に立つかもと」て言ってたライターや警察関係者のためのシェルター辺りは、何か活かされたり伏線になったりするのかと思ったけど特になし。妻との約束の定番は牛乳。
*あらすじ内にある[閉所恐怖症]と言う設定、本編中にはなかった。実際に閉所恐怖症なら極力エレベーターを避けたがるかなと思うし、已む無く乗っても落ち着かない描写等がありそう。クラウディオは自宅から出る時にも平然とエレベーターに乗ってたから違うんじゃないかな。
*最後に[THE END?]なんて表示されるから笑ってしまったけど、これが英語圏でのタイトルだったりするのかな。(原題は『IN UN GIORNO LA FINE』)