■あらすじ
冷酷無比の殺し屋スティーブンは、3年前に最愛の妻を亡くし、未だその悲しみの中で生きていた。ある夜、スティーブンの元にパーシバルと名乗る男から、「僕を殺してくれないか」と奇妙な依頼を持ち掛けられ顔を合わせた二人。ろくな会話も交わすことなく3発の銃弾をパーシバルの胸に打ち込んだスティーブンは、足早にその場を立ち去り、あっけなく事を済ませたはずだった。しかし1カ月後、スティーブンの前に再びパーシバルが現れる。その後、幾度となく殺害を試みるも必ず生き延びるパーシバルの生命力に、次第に疑念を抱き始めるスティーブン。そして、パーシバルの“死の依頼”は、自身の妻の死と何らかの関係があるのではないかと察知した時、そこには衝撃的な真実が待ち受けているのだった…。(メーカーサイトより)
■ネタバレ
*個人経営の小さなストア、妻アニーの好きなアイスクリームがない事をぼやくスティーブン・ライ。よく凍った別のアイスを買い、顔馴染みの店主ポールにアニーの妊娠を報告する。「父親には向いてない」と不安を吐露するスティーブンを励ますポール。終わらない会話に焦れて、別の男が割り込んで煙草を買う。そんな些細な出来事に怒ったスティーブンは店を出て先回りすると男を待ち伏せて、硬いアイスクリームで撲殺してしまう。
*3年後のある日、殺し屋であるスティーブンはパーシバル・ウェルズと言う男に呼び出される。電車の中で落ち合うと、パーシバルは「自分が死にたくないと思っている時に殺して欲しい」と言う奇妙な依頼をしてくる。「今は死にたいから駄目だ、ルール違反だ」と主張するパーシバル。彼は自ら死のうと何度も試したが、その度に失敗してきたと言う。そこで、死にたくないと思っている瞬間になら死ねるのではないかと考えたらしい。他に人影がなくなった車両で大金を受け取ると、別れ際に前触れなく3発の銃弾をパーシバルに撃ち込むスティーブン。
*いつものダイナー、自分を通さず殺しの仕事をしたスティーブンを咎めるトーマス。彼は「どんな仕事も俺を通せ」と言う。まずはフランク・デュボアを殺す事が最優先の仕事だ。スティーブンはデュボアを殺そうと目的地に向かっていたが、乗車中のタクシーにビルから飛び降りたパーシバルが激突した。その後タクシーを降りて道路を横断しようとしたが、発作が起きて気絶してしまいデュボアを殺せなかったのだ。紙ナプキンにメモされた、デュボアの車のナンバーを渡されるスティーブン。
*パーシバルは病院で目覚める。3発も撃たれたが無事で、更に銃弾を取り出す際に脊柱付近で大きな腫瘍が見付かった。腫瘍が放置されていれば車椅子生活か、若しくは死んでいたかもしれない。医師から「幸運だ」と言われて苦笑するパーシバル。一方スティーブンは、自室で黒いドレスを着て口紅を塗り、オペラのレコードを流す。黒いドレスはアニーが死んだ時に着ていたものだ。2人でオペラを楽しんだ後、通りを渡ろうとした時にアニーは轢き逃げされて死んでしまった。それ以来スティーブンはトラウマを抱えてしまい、歩いて道を横断出来なくなった。目的地がどんなに近くても、道を横切るにはタクシーを利用している。部屋には空っぽのベビーバスケットが置かれている。
*呼び出されたバーで再会すると、パーシバルは「努力は認めるけど死んでないよ」とスティーブンを責める。パーシバルは死ねない事を[呪い]だと言う。スティーブンは偶然が重なっただけだと考えるが、パーシバルを納得させるために歩み寄ろうとする。話を聞くと「自分が死ぬためには、まず生きたいと願う事が必要」と言う。自分を殺して欲しいと頼むような男には、それは不可能に思える。結局スティーブンは特に工夫もなく、トイレでパーシバルを撃つ。
*パーシバルはまたも生き延びて「病院で1ヶ月間孤独だったから」と些か騒がしい店にスティーブンを呼び出す。無事だったものの、パーシバルは右目を失っている。死ななかった事を「偶然だ」と主張するスティーブンと「運命だよ、全てに理由がある」と譲らないパーシバル。会話を重ねる内にパーシバルがゲイで、クリスと言う名の恋人を亡くしている事が分かる。恋人を殺されて以来、パーシバルは死を願うようになったらしい。恋人を作るには時間が掛かるが、幸せを感じるにはセックスすれば良いのではないかとスティーブンは考える。
*ゲイだろうと見定めた客に声を掛けると、狙い通りだったが男はパーシバルと寝る事を拒否。男同士なら誰でも良いだろうと言わんばかりのスティーブンの態度に、相手は呆れ顔だ。それでも500ドル払うからと打診すると、結局男はその提案を受け容れる。2人がセックスしてベッドで眠り込んでいると、パーシバルを殺すために部屋に侵入するスティーブン。その気配で目覚めてしまった男を射殺する。
*スティーブンは男を殺す前に枕でパーシバルを窒息させたつもりだったが、彼は息を吹き返す。スティーブンが無関係な男を殺害した事・そもそも男を金で雇った事を非難するパーシバル。険悪な雰囲気で2人は別れる。気分転換にそれぞれ出掛けた店で、スティーブンは美女を、パーシバルはバーテンダーのブラッドを誘う。スティーブンはセックスの最中に女の首を締め上げて、罵られ拒絶される。パーシバルは事に及ぶ前に仲間4人を呼ばれて袋叩きになり「気持ちの悪いホモめ、下手に誘うからこうなるんだ」とブラッドに吐き捨てられる。
*スティーブンはその後、デュボアの家を訪ねる。ドア越しに撃とうとするが、子供の声が聞こえて断念。いつものダイナーでトーマスに会って「もう殺しは出来ない。変なんだ、何かが俺を止める。違和感が拭えない」と訴えるが、トーマスは「デュボアを殺すんだ」と念押しする。「あのホモを殺せ、そして次だ」と。
*パーシバルが襲われたと知ったスティーブンは、彼が入院中の病室を見舞う。人を殺す理由を問われ「生まれた時の記憶はあるか?初めての言葉とか」と逆に問い掛けるスティーブン。彼自身の最も古い記憶は父の事。ガラステーブルを投げ付けられて頭を50針縫った。それ以降、父が誰かに殺される事を思い描くようになった。まだ4歳か5歳だったのに。アニー以外は誰も愛情をくれなかった。「奴等の方がマシかもしれないが、5対1は卑怯だ」とスティーブンは言う。
*スティーブンはパーシバルが被害に遭った店へ行き、ブラッドを誘う。ホテルの部屋に招き入れると、ブラッドは新聞が敷き詰められた部屋を不思議がる。疑問に答える代わりに脚を撃って「仲間を呼び出せ、殺してやる」と促すと「もう呼んでる」と言う。到着した4人を次々に射殺するスティーブン。脚の痛みも忘れて茫然とするブラッドの下半身を露出させると、スティーブンはペニスを撃つ。泣き喚くブラッドに「何故ゲイを嫌う?信仰と関わるのか?お前が何者でも構わない、ゲイ・人種・地位…誰でも殺す」と言うと「さっさと殺してくれ」と叫ぶ。それを聞いて「つまらん」と呟くと「復讐しようとか誰かに話そうとか考えるなよ。その時は直ぐに始末してやる」と告げるスティーブン。「元気出せよ、幸運な日だぞ。生きているなんてな」
*パーシバルがノックに応えると、ドアの外には花束が見える。その陰から顔を覗かせるスティーブン。パーシバルに銃を突き付けるが「冗談だ」と笑う。右目を潰してしまった事を詫びて、銃を使わずに殺す事を約束したのだ。初めて入る部屋には沢山の絵画がある。パーシバルは画家で、今は誰かの顔を描いているようだ。タイトルは『クリストファー』。今は未だぼんやりとしている、殺されてしまった恋人の姿。スティーブンはブラッドの身分証を投げて「全員は殺してない」と伝えるが、パーシバルは浮かない表情だ。ブラッドの店を自分に教えたパーシバルは、復讐を望んでいると思ったのに。パーシバルは苛立つ様子のスティーブンを誘って、2人で屋上へ上がる。
*「何故殺したの?」と問い掛けるパーシバルに「善か悪か分からない俺を、あんたは求めた」と答えるスティーブン。パーシバルは眼下を見下ろし「以前は高い場所が本当に苦手で、初めての飛び降りは足が竦んだ。今は眩暈程度だ」と言う。「高さを恐れたんじゃない、死を恐れたんだろ」「死を求めたから恐怖を克服したんだ」スティーブンは少し笑うと「俺ならそれが呪いだとは思わない。恐れるものがなくなった気分だ。結果を気にせず何でも出来る。死が平気なら何を恐れる?」と言う。パーシバルは「子供の頃からピエロが怖い」と白状するが、スティーブンは「そうじゃない、理由がある筈だ。何故死にたい?俺だって誰かを失う悲しみは分かる。他に理由があるんだろ?」と畳み掛ける。「恋人のクリスが死んだ」「それで何故あんたが罪悪感を抱えてるんだ?」スティーブンは、パーシバルが描いている絵からそれを感じ取っていた。「助けが要るか?あんたは自分が何を恐れているのか知る必要がある」「それなら君は何を恐れてる?」
*それには答えられないが、1人になるとスティーブンは道を歩いて横断しようとする。しかし今回も発作を起こして、車道に倒れてしまう。搬送先の医師がスティーブンの病歴を見て、3年前にてんかんと診断されている事を指摘。治療していないと知ると「長生きしたいなら続けなさい」と薬を処方する。「薬は要らない」「どんなに幸運だったと思う?轢かれる寸前だったんだ」スティーブンは「幸運だった」と反復すると、帰路でドラッグストアに立ち寄る。
*街でパーシバルを見掛けるスティーブン。道路を挟んで声を掛けると、車の音が騒々しいためパーシバルが携帯電話を掛けてくる。「カフェがあるからこっちへ渡って来なよ」と言われるが、スティーブンには不可能だ。あれこれ言い訳をして、道を渡らずに済むボーリング場のフードコートに入る。着ぐるみが彷徨いていて、ゲームコーナーが併設されている場所だ。場違いに思えたが、2人はその時間を楽しむ。シューティングゲームをしながら「子供には悪影響だな」と言うパーシバルに「神の教えに反するか?」と笑うスティーブン。「あんた、神とか占いとか好きだよな。運命やら何やら…」「辛い事も神の計画だと思うようにしてる」「クリスは何故死んだ?彼の死にはどんな意味が?」「それが分かれば安心して死ねる」
*巨大なテディベアを抱えて、2人揃ってスティーブンの部屋へ。アニーの写真やアンティーク家具にはしゃぐパーシバル。スティーブンはヴォルテールの古典『カンディード』がパーシバルに向いていると考えて、本を貸そうとする。それは[運命]について書かれていて「起きる事は決まっていて変えられない」との主旨だ。「理屈っぽい理論化学さ。面白いぞ」と言いながら、見当たらない本を探し始めるスティーブン。死ねないながらも満身創痍のパーシバルは鎮痛剤を欲しがり、バスルームを探すように促される。戸棚の中の薬を見てパーシバルは「集団自殺が図れそうな量だ。どれも試した事があるよ」と笑う。
*「自殺を図った事は?考えるだけでも」と尋ねるパーシバル。「ないね」「一瞬も?何故?」「そんなの知るもんか」「仮に君が運命を信じたとして、起きる事の全てに意味があるなら、アニーは何故死んだ?何故君はここに居る?知りたいんだ」しかしスティーブンは「本を探してるんだから邪魔するな」と一蹴する。仕方なくパーシバルは、家の中を見て回る。やがて彼は壁に掛かった黒いドレスを目に留める。アニーが最後に着ていた服。パーシバルはその情報を知らないが、ドレスを装飾するボタンを見て顔色を変える。彼はそれに見覚えがあった。スティーブンが漸く本を見付けた頃には、パーシバルは挨拶もなく姿を消していた。
*1人になり、またドレスを着て口紅を塗るスティーブン。パーシバルには自殺について否定したが、銃を顎に当てて引金を引こうとする。その時、部屋に銃弾が飛び込んでくる。建物が面した通りで、警官と暴漢が銃撃戦になっているのだ。警官は劣勢で「妻が娘を産んだばかりなんだ」と命乞いする。相手はその言葉にも躊躇わないが、水を差されたスティーブンがやって来て男を撃つ。その後、スティーブンはドレス姿のままで事情聴取される。警官は撃たれたが命に別状はないようだ。対応した刑事によれば、娘が生まれたばかりと言うのも本当らしい。刑事はドレス姿のスティーブンにも極めて真面目な態度で接し「危険を顧みず彼を救った。あなたはヒーローだ」と言う。
*高揚したスティーブンは、タクシーに乗りながらパーシバルに電話を掛ける。「この俺が警官の命を救った。これには何か理由があるに違いない。こんな感覚は初めてだ。俺が生きる意味は今は分からないが、今夜意味のある事をした。上手く説明できないが、色々な要素が絡み合ってた。それを繋げると完璧なんだ、全て決まっていたんだ。アニーが死んだ意味は謎だ。クリスが殺された意味も。でも生まれて初めて、俺の行動が意味を持ったんだ。あんたが死ねない理由は俺には分からない。それはあんた自身が見付けるんだ。あんたに起きた事は何もかも、あんたに必要な事だったんだ。契約は終わりにしよう。金は返す。この世にはあんたが必要なんだ」部屋に居てその言葉を聞きながら絵を描いているが
、電話には出ないパーシバル。
*スティーブンが家を訪ねるが、パーシバルは居留守を使う。扉の前に契約金を置くスティーブン。その後、彼は身支度を整えオペラを楽しむ。隣に座るのはアニーではなく見知らぬ男だが、一歩前進したように思える。劇場を出て道路を渡ってみようとするが、なかなか一歩が踏み出せない。そこへパーシバルがやって来る。憔悴しているようで、足元が覚束ない。フラフラと車道に進み出たパーシバルの傍を、車やバイクが走り抜ける。思わず飛び出し、死ねない筈のパーシバルを庇って一緒に道路に倒れ込むスティーブン。立ち上がってパーシバルを助け起こそうと手を差し出すが、パーシバルはその手を掴まずにボタンを握らせる。それはアニーの黒いドレスを飾るのと同じものだ。「君と出会ったのは運命だった。全てに理由がある」
*その日、クリスを亡くしたパーシバルは閉店までバーで酒を飲んだ。雨の夜、濡れた路面。余所見をしている内に人を撥ねた。大量に飲んでいて、そのまま走り去ってしまった。人影のない場所で停まると、ワイパーにボタンが残されていた。その後何度も死のうとしたパーシバルは、ある時スティーブンが客として乗車中のタクシーの上に落下したのだ。人も車も溢れているのに。「全て決まった事だった。結末も決まってる」倒れたまま話し続けていたパーシバルは身を起こし「撃たれて当然だ、やれ」と叫ぶ。彼の額に銃口を突き付けるスティーブン。「これで終わるんだ」と涙を流すパーシバルを、スティーブンが撃てずにいる内に警官が駆け付ける。スティーブンは結局そのまま走り去る。
*今度はパーシバルが事情聴取を受ける。「銃を突き付けられたあなたが一番、犯人の特徴を知っている筈だ。それなのに何も思い出せない?生きていられて幸運ですよ」と刑事は言う。一方スティーブンは、あるバーで飲んでいる。同じ店にはデュボアが居る。「あんたの車のナンバーだ」と、デュボアに紙ナプキンを差し出すスティーブン。自分の情報を知るスティーブンを訝るデュボア。「アニーが死ぬ前から何人も殺してた。彼女が死んでから、殺す事に意味があるんだと考えた。あんたの車のナンバープレートを見たのに、目が覚めたら忘れてた。文字や数字は浮かぶがそれを組み合わせられない。俺は似たようなナンバーの持ち主を片っ端から殺した。そして遂にあんたに辿り着いた」状況が分からない
デュボアに構わず、喋り続けるスティーブン。「あと少しであんたを殺せた。でもあんたは幸運だった。助かる運命だったからか?今ここであんたの眉間に弾丸を撃ち込めば、運命だなんて考えを覆せるか?死ぬ運命だと諦めるか?」実際に銃を取り出したスティーブンにデュボアは狼狽える。「あんたを生かしてるのは運命か、俺の意思か?俺には分からない、知る由もない」スティーブンは「有難く思えよ」と言い捨てるとバーを後にする。
*屋上に立つパーシバルの元にスティーブンがやって来る。パーシバルは「僕には無理だ、君がやってくれ」と言う。「でもその前に、僕を許して欲しい。悪かった」「俺の方こそ」「許してくれるか」「それは出来ない」接近するスティーブンを一旦制止して、彼に抱き着くパーシバル。黙って抱き返すスティーブン。身体が離れると、スティーブンは無言のまま頷いてパーシバルの身体を押す。屋上から地上へと落下したパーシバルは、今度はもう目を開かない。
*いつものダイナー、スティーブンはトーマスに「殺し屋を辞める」と告げる。「お前は人殺しだ、本質は変えられない」「話は終わりだ」「取り敢えず、今はな」スティーブンの姿を、近くの席の女性が不思議そうに見詰めている。彼はブースの中に1人で座っていて、何かを呟いている。
*スティーブンはパーシバルの葬儀に参列する。パーシバルの兄トッドに声を掛けられ、関係を尋ねられると「親しい友人だった」と答える。トッドから追悼展示会について教えられ、ギャラリーに出向くスティーブン。暗く死を感じさせる絵はクリスの死後に描かれたものだ。それは同時に、アニーを轢いてしまった頃のものだろう。「陰鬱で心が痛む。死ぬ前に悲しみを乗り越えて欲しかった」と話すトッド。スティーブンは『クリストファー』を描き掛けの状態でしか見た事がなかったが、作品は完成して展示されている。それを見たスティーブンは、クリスに出会っていた事に気付く。自分にも非があったのに、くだらない事に腹を立ててアイスクリームで撲殺した男だ。クリスを殺したのは自分だったのだ。そして、アニーが死んでしまった発端も。
*ギャラリーを飛び出して、車道を歩くスティーブン。歩道には死んでしまった人達の姿が見える。パーシバルと彼の隣りに立つクリス、そして黒いドレスのアニー。微笑んで手を伸ばすアニーの方へ足を踏み出すと、スティーブンは車に跳ね飛ばされる。やがて、病室で目覚めたスティーブンに向かって「生きているとは幸運だ」と医師が言う。それを聞いてスティーブンは、微かに笑った。
■雑感・メモ等
*映画『エンドレス・マーダー』
*レンタルにて鑑賞
*死にたがる男を巡る、運命論系サスペンス
*予告編を見てレンタルしたけど、もっとコミカルな雰囲気なのかと思ってた。何度殺しても死なない男に翻弄されつつ、繰り返し殺害を試みる殺し屋の話なのかと。大筋はその通りだけど思っていたのとは違う。殺すのは4回で、主軸は2人の男の運命と友情。
*ジャケット画像はサスペンス・アクションのような印象だからそれを期待すると拍子抜けしてしまうと思う。2人の隠された関係も中盤には推察出来る。それでも丁寧な描写で最後まで楽しめた。
*スティーブンは事故のトラウマから道路を横断出来ない。(これじゃ殺し屋どころか普通の生活も送れないと思うんだけど。)更に妻のドレスを着用してメイク。設定盛り過ぎでは?こんな調子じゃパーシバルは実在しないかも。と思っていたら、実在しないのはトーマスだった。でもこの要素はなくても良かった気がする。スティーブンが本当に殺し屋だったのかどうかが曖昧になってしまった。
*轢き逃げ車両のナンバープレートは目撃したものの、事故のショック故か数字や記号を並べられない。それを鼓舞する存在として作り出されたトーマス。スティーブンはトーマスに焚き付けられながら、断片的な記憶に類似したナンバーの車の所有者を片っ端から殺していたらしい。トーマスが存在しないなら、アニーの復讐以外に殺し屋として仕事をしていたのかどうかが疑問に。でも些末な出来事からクリスを殺害している辺り一般人とは考え難いし、パーシバルが仕事を依頼しているから実際に殺し屋ではあるのかな。
*殺し屋として仕事をしているとしても、パーシバルはどうやってスティーブンに接触したのか。ビルから転落した時にスティーブンを見ているけど、あの状況で殺し屋だと判断出来る?出来たとしても、殺し屋に直接接触可能な連絡先が分かるもの?
*何故パーシバルは復讐の対象者として浮上しなかったのか。言及はなかったけど、事故以降は車を処分して運転していなかったと言う事かな。2人の初対面は電車の中で、それ以降も運転している様子はない。スティーブンは事故以前も以降も運転する場面がないけど、道は横断出来ないのにタクシーに乗れるのは不思議な感じ。こう言うのは理屈じゃないのかもしれないけど。
*トーマスの名前はIMDbにて確認。店主のポールも。クリスはネタバレ配慮か、役名はRude Man。
*ボーリング場併設のゲームコーナー、シューティングゲームの種類は分からなかったけどその前にワニワニパニックで遊んでた。