■あらすじ
サンフランシスコの海辺の崖から転落したひとりの子供が、病院に救急搬送された。その少年ルイ・ドラックスは生体反応がなく、一度は死亡が確認されたが、遺体安置室で奇跡的に蘇生。しかし全身にむごたらしい大ケガを負っており、昏睡状態に陥ってしまう。著名な小児神経科医アラン・パスカルがルイの担当医として外部から招かれるが、この愛くるしい容姿の少年にはいくつもの謎があった。ひどい難産の末にこの世に生を受けたルイは、奇妙なことにそれから毎年、8度にわたって生死に関わる大事故を経験していた。そして美しい母親ナタリー、別居中の父親ピーターに9歳の誕生日を祝ってもらうためのピクニックで事故現場となった渓谷を訪れ、9度目の悲劇に見舞われてしまったのだ。地元警察のダルトン刑事はこの事故を“事件”ではないかと疑い、現場から忽然と消え失せたピーターの行方を追っていた。ルイの命を救うためにあらゆる手を尽くし、憔悴しきったナタリーを励ますパスカルは独自の調査に乗り出し、学校で友だちがいないルイが精神科医ペレーズのセラピーを受けていたことを知る。ルイを襲った幾多の事故は、大酒飲みのピーターによる虐待だったのか。それともルイの自傷行為によるものなのか。やがて深まる謎の答えを見出せないパスカルは恐ろしい悪夢にうなされ、ナタリーのもとには差出人不明の警告文が届くようになり、ルイの身近な人々や関係者に次々と不可解な出来事が降りかかる。とても偶然とは思えないそれらの現象は、悪意を持つ何者かの仕業なのか。事故や事件に巻き込まれ続けるルイは、いったい何者なのか。すべての鍵を握るルイが病院のベッドで眠り続けるなか、このミステリアスな少年の秘密を解き明かそうと苦闘するパスカルは、予想だにしなかった衝撃的な真実に迫っていくのだった…。(公式サイトより)
■ネタバレ
*ルイ・ドラックスは僅か9歳にして、何度も生死の境を彷徨った。逆子で帝王切開での出産、生後16週間目には部屋の照明がベビーベッドに落下して肋骨が粉々になった。毒蜘蛛や蜂に刺されたり、感電死しそうになったり。他の人には起きない事が、ルイには頻発したのだ。食中毒は年中、破傷風・髄膜炎…去年は叫び続けた後に呼吸が9分半止まった。9回目の大きな悲劇は、9歳の誕生日に崖下へ落ちた事。
*瀕死の状態で搬送され、死亡が確認されるルイ。しかし2時間後、検視解剖を待つ間に息を吹き返す。「誤診だ」と肩を落とす担当医ヤニックを「小児の低体温症は死亡と酷似している」と宥めるアラン・パスカル。彼は著名な医師で、専門は小児昏睡。以降ルイの主治医となる。とは言えルイは身体中を骨折しており、意識のない状態だ。それでもパスカルを始め昏睡病棟のスタッフ達は、ルイに話し掛け続ける。
*ルイの美しい母親ナタリーは、我が子について「この子は天使なの」とパスカルに話す。「互いに心が通じ合っている」とも。彼女の証言によれば、ピーターはルイを崖から突き落とした後で逃走したようだ。父親が現れるかもしれないと、警官2名が24時間体制で病院に待機している。パスカルが「治療に有益な情報はないか」と担当の女性刑事ダルトンに尋ねると「学校に馴染めず友達も居ない、渾名は[ヘンテコ少年]」との返事。
*ルイが一時期、精神科医マイケル・ペレーズのカウンセリングを受けていた事も分かる。ペレーズは度重なる傷病について、ルイの自傷行為の可能性もあると考えていたようだ。しかしルイの怪我は幼児期から続いており、パスカルは元ボクサーで酒好きな父親の虐待を疑う。パスカルが問い掛けても、ダルトンはそれについて明言しない。
*ルイは昏睡状態の中で、自分の周囲で起こる事を何もかも感じ取っていた。母からの呼び掛け・次第に母との距離を縮める医師・同じ病棟で死んでいく子供。やがてルイの前に、海からやって来たモンスターが現れる。海藻だらけの怪物は、ルイの話を聞きたがる。ルイは父と遊びに行ったシーワールドの思い出を語る。母を休ませるために2人で出掛けたが、旅先で偶然ケイトリンと言う女性に会った。それは父の元妻で、彼女にももう新しい家族が居る。「ママは傷付き易いから、彼女と会った事は秘密にしよう」と提案する父。しかしルイはケイトリンについて母に話し、その結果両親は大喧嘩したのだ。
*この一件はペレーズにも話した事がある。ソファに寝転がって、ついでのように「パパは僕の本当のパパじゃないんだ、ママは本当のママさ」と言ったルイ。それでも彼は、父が大好きだった。両親は結局これを切欠に別居したが、父は決してルイを責めず、家を出る日も「パパがママを悲しませてしまったんだ」と言った。
*パスカルは同僚ヤニックのホームパーティに招かれるが、そこにはナタリーも居た。美しいナタリーに男達が群っている。彼女を意識し始めているパスカルはぎこちない態度になり、それを感じ取った妻ソフィーと険悪な雰囲気になる。別の日、ナタリーはルイが可愛がっていたと言うハムスター[ラスプーチン3世]を病棟に持ち込む。それについて強く咎められないパスカル。
*3代目は9歳の誕生日に父から贈られた。先代のラスプーチンは、ルイが厚い本で叩き潰してしまった。ペレーズが「ハムスターが死ななければいけない理由は?」尋ねると、ルイは「ルールを知らない?法律とは違う、秘密のルール」と嗤った。「小動物が平均寿命より長生きした場合は、飼い主はそいつを殺して構わないんだ」そのルールの名前は[処分権]。「誰に教わった?パパかい?」とペレーズが訊くと、ルイは怒ったような困ったような顔をした。
*その後、母が怒ってルイのカウンセリングは中止になった。ペレーズが2人だけの秘密を母に話したせいだと考えて、ルイはハムスターの糞入りの手紙をペレーズに送った。「大人の男は皆、嘘吐きだ」と言うルイ。海藻の怪物が「何故大人の男を嫌うんだ?」と尋ねると「ママを虐めるから」と答える。現実でのルイは昏睡状態のままだ。パスカルはナタリーから散歩に誘われ、病院の庭を歩いている。ペレーズのカウンセリングを止めた理由について、ナタリーは「彼は夫の虐待を疑ってたの。私を夫を対立させようと…被害妄想かしら」と話す。事故についても訊くとルイの誕生日、ピクニック中の出来事だったと言う。
*その日はナタリーの誕生日でもあった。別居中で、今はサンディエゴで母親と暮らしている夫がやって来て3人で出掛けた。楽しかったが些細な事で口論になり、暴力的になった夫を怖がったルイが逃げ出した。揉み合うような状態で、ルイが落下。泣きもせず、ルイはただ絶望の表情を浮かべていた。「ご主人は以前からルイに暴力を?あなたにも?」パスカルの問い掛けに「夫とは18歳で出会ったの、私は他の人を知らない。比べる対象がないの」と答えて俯くナタリー。「君は幸せになれる」「そう思う?」「分かるんだ」2人は抱き合いキスをする。ナタリーが伏せていた目を開くと視線の先には病棟があり、昏睡状態だったルイがベッドの上で起き上がっているのが見える。
*慌てて病棟へ駆け戻るパスカル。ルイは微かな声で「パパが…」と繰り返している。その先を聞き取ろうとするが、僅かに遅れて駆け付けた母が奪う様にルイを抱き締めて「ママはここよ」と言う。ルイはそれ以上何も言わず、再び昏睡状態に陥る。
*ルイの愛読書はクストーの『生きている海』。父が出て行った日にも読んでいた。それを知ったパスカルは、ルイのベッドの傍に座ってその本を読み聞かせる。やがて何かの気配に振り向くと、床が水の跡と海藻らしきもので汚れている。夜間とは言え病棟には他のスタッフの気配がない。汚れを辿って行くと手術室に海藻の怪物が居て、パスカルを見る。ベッドの上のルイも、自分を見ている。
*それはパスカルの見た悪夢だったが、目覚めても調子が悪い。ヤニックから「病院の庭だ、皆見てたぞ」とナタリーとの関係を揶揄され更に気が滅入る。そんな中、ナタリーが「夫が家に来たみたい」と電話を掛けてくる。『パスカル先生はママとセックスをやりたい。男を近付けちゃ駄目だ、先生もね。警告する、危険だよ。悪い事が起きる』そんな文面の手紙が届いたのだ。差出人はルイで、内容も如何にも彼らしい。しかしルイは書ける状態ではない。他に書けそうなのはピーターだった。
*警察に手紙を提出すると、利き手ではない手で書かれているらしいと判明。正体を隠すためだろう。「家に戻るのは危険だ」と、病院のゲストルームに泊まるようナタリーを促すパスカル。ダルトン刑事はその提案には賛同するが、パスカルだけを呼び寄せて「彼女とセックスしたの?」と訊く。戸惑って否定するとダルトンは「止めときなさい、夫が現れるまでは。身のためよ」と言う。
*クレメンツ精神科病院を訪ねるパスカル。開業医として20年間働いたペレーズの、現在の勤務先だ。「あの仕事を1人で抱えるのは限界だった」と言うペレーズ。ルイのセラピーは2~3ヶ月と言う短い期間で終わった。彼はハムスターの糞入りの、ルイからの手紙を見せてくれる。秘密を漏らした事を怒り「酷い病気にかかれ」との罵り言葉がタイプされている。ナタリーに届いた手紙を見せると「これはルイの声だ、彼には独特のトーンがある」と笑う。「或いは彼をよく知る人物かも」
*パスカルが病院に戻ると、妻ソフィーが待っていて「あなたが家に帰らないから、郵便を持って来たわ」と硬い態度で言う。開封されている事を咎めると、ソフィーは一言も答えずにそのまま立ち去る。封筒の中身はナタリーに届いたものと同種の手紙だ。『先生はママとセックスをやりたい。近付くな、悪い事が起きる。これは警告だ』
*ダルトン刑事が病棟を訪れ、ルイの状況を確認する。相変わらず昏睡が続いていて、手紙が書ける状態ではない。パスカルは「父親がストーカーになったのか?」と訊くが、ダルトンはそれを聞き流してナタリーの様子ばかりを尋ねる。「ピーターは実父じゃないわ」と言われ咄嗟に「知ってる」と返すが「彼女がルイを養子に出そうとした事も?」と畳み掛けられて言葉に詰まる。
*パスカルがゲストルームへ向かうと、シャワー後にバスタオルを身体に巻き付けただけのナタリーが出迎える。「夫以外は知らないと言っていたが、ピーターは実父じゃないのか?何故そんな嘘を?」と問い掛けると「屈辱的な行為の結果よ」との返事。ナタリーの言葉に納得したパスカルは彼女を抱き寄せ、ルイを名乗る手紙やダルトンの警告に反してセックスする。
*母がベッドの傍に座り、昏睡状態のルイの手を握って話し掛ける。初めてルイが瀕死の状態になり、父を頼って電話で呼び出した夜の話。当時父には妻ケイトリンが居たが、1年後には母と結婚した。母がそんな話をする様子を、少し離れた場所から見ているルイ。「くだらない話を延々としてる。ママは壊れちゃったの?」と隣りに立っている海藻の怪物に訊いてみる。怪物は「世界で一番暗い場所へ行こう」とルイを誘う。
*パスカルを含めて病院のスタッフは、筆跡鑑定用に利き手とは逆の手で[悪い事が起きる]と書かされている。「もっと穏便な文章では駄目なのか」とパスカルは不平を言うが、それが2通に共通した文言だ。そんな中、病棟で[悪い事]が起こる。ナタリーとピーターの母バイオレットが遭遇してひと悶着あったのだ。2人は犬猿の仲だと、ダルトン刑事に忠告されていたのに。パスカルはナタリーを宥めて部屋で待つように告げて、オフィスでルイの祖母と話す。バイオレットは僅かな時間で、パスカルとナタリーの親密さを見抜いている。
*「息子がルイを傷付けるなんて有り得ない。あの子が居たから離婚もしなかった」と主張するバイオレット。「息子は再婚なんです。前妻は優しい人だった。それをあのメス犬が…あの女は誰にでも嘘を吐くの」堪らず言葉を遮って「聞きたくない」とパスカルは言うが、バイオレットは「レイプされたと聞いたの?生まれつきブロンドだと?」と続ける。聞き覚えのある内容に何も言えずにいると、ダルトン刑事がやって来る。
*ダルトンの用件は「ピーターらしき死体が発見された」と伝える事だった。泣き崩れるバイオレット。その頃ルイは、海藻の怪物に導かれて自分が落ちたあの崖に立っていた。2人で飛び降りて海中へ、そして洞窟へ。怪物は「壁に妻と子の名前を書いた、一緒に捜してくれ」と言う。ルイが捜す間に、怪物はコウモリの話をする。1匹のオスと2匹のメスの話。
*1匹のメスはいつも笑っていて、もう1匹はいつも泣いていた。オスはどちらを選ぶか悩んだ。オスはよく笑うメスを愛していたが、よく泣くメスに同情もしていた。彼女は自分を必要としている。自分が彼女を選べば、泣き止むかもしれない。彼女が泣くのは周りから同情してもらえるから。彼女はそれが何より好きだった、笑うよりも愛されるよりも。
*ルイにはそれが誰の話なのか分かった。「それで、あなたはどうなったの」「幸せだったさ、コウモリの赤ん坊の父親になれたから。世界中の誰よりも素晴らしい子だ。私はその子を愛した。家一軒よりも」「町全体より?」「海の魚全部よりも」壁には[ナタリー+ルイ]と書かれている。「死なないで、パパ」
*洞窟で発見された死体は腐敗が進んでおり、歯の治療痕でピーターだと確認された。腸内には海産物があり、落下後も1~2週間生きていたらしい。手紙は当然ながらピーターの筆跡ではないとの鑑定結果が出た。
*パスカルは病棟で朝を迎える。いつもなら誰かに起こされるが、ワザと起こさなかったのだとスタッフが言う。「夢中歩行してたのよ。ルイの傍に座ってその後で机に…処方箋の用紙を取り出して何か書いて、それをゴミ箱に放り込んでたわ」捨てられた処方箋を見てみると『ナタリー・ドラックス:インスリン30・クロロホルム75000』と記載されている。量はデタラメだが、それはナタリーの死を望むものだろうか。そしてその筆跡は、例のルイからの手紙と同じだ。
*パスカルは病棟の監視カメラの映像を確認し、ダルトン刑事にも見せる。記憶にはないが、利き手ではない左手で書いている自分の姿が残されている。左利きのルイが昏睡状態から自分を操っている…それがパスカルの主張だ。「突飛過ぎる」と一蹴するダルトン。彼女は手紙の件は問題視していない。パスカルは事件以前ルイに面識がなく、容疑者ではないからだ。同じ場所に2つの死体…ダルトンが疑っているのは唯一生き残っているナタリーだ。
*ペレーズに意見を請うと「手紙は君の頭が生み出したものだ」と言うが、催眠療法を引き受けてくれる。ヤニックや病棟スタッフとナタリーが見守る中、ルイのベッドの傍で装置に繋がれるパスカル。ペレーズは、海辺で自分以外に1人だけ残っている人影をイメージさせる。その人影がルイで、ペレーズはパスカルではなくルイに話し掛ける。
*僕の誕生日、ピクニックでケーキのロウソクを吹き消した。ママは僕の無事を、僕はパパが本当のパパでありますようにと願った…目を閉じたまま、そんな話をするパスカル。遣り取りする内にペレーズは、相手がルイであると感じる。やがて父と母の喧嘩が始まった。母がルイにだけお菓子を食べさせようとして、父には頑なに渡さなかったのが発端だ。父は、母がお菓子に何か仕込んだのだと察した。
*ルイが逃げ出すと2人が崖の先端まで追って来た。父は母からルイを引き離した。「何故あの子を傷付けようとするんだ?」と詰め寄る父を、母が突き飛ばす。父はそのまま崖下へと落下した。「事故かもね。僕は事故のプロだ」「本当に事故か?」「どちらとも言える。その後、ママの望みを叶えた。いつもそうさ」母は狼狽えながらルイを呼び、ルイは後ろ歩きした。「今回はママの手助けは要らなかった。たった5歩、簡単だった」6歩目があるかと思ったが、もう地面はなかった。「そのまま海に落ちた、そして死んだ」
*パスカルが話し終えると、ルイが心肺停止に陥る。パスカルも加わり、救命措置が行われる。電気ショックの度に、母の行為がフラッシュバックする。ピクニックの前に注射器で、お菓子に洗剤を注入する姿。食中毒になった時は、料理に生肉の肉汁が混ぜられていた。乳児の頃、フォークをコンセントに差し込んだらタイミングを見計らってスイッチを入れられた。ベビーベッドに照明が落下する前には、クッションを覆い被された。やがて意識は戻らないものの、ルイに鼓動が戻る。パスカルが振り返るとナタリーはルイに駆け寄る事もなく何処かを見詰めて、ただ立ち尽くしている。
*ナタリーは代理ミュンヒハウゼン症候群と診断され入院する。担当医はペレーズだ。近親者を傷付ける事で、周りの同情を引こうとする虚偽性障害。幼いルイを傷付けたのはナタリーで、成長したルイは母の望みを察してそれに応えた。ルイが傷付いてナタリーが救う、それを繰り返して2人は絆を強めたのだ。彼女は息子を愛し、同時に邪魔にも思っていた。妻との関係を修復する事なく家を出たパスカルが、精神科病院へ面会にやって来る。ナタリーは笑顔を見せて、大きなお腹を撫でる。そろそろ臨月だろう。
*病棟のベッドに横たわるルイ。バイオレットがその手を握り、本を読み聞かせる。彼は昏睡も悪くないと考えている。「9番目の人生は、これまでで最高だ」と平和な水の中を漂う。9年間これを待っていたのだ。母を心配したり父を恋しく思ったりする事はない。父とはいつでも話せるからだ。水中に父の声が響く。「お前が望むなら、目を覚まして生きても良いんだよ。未来に興味があれば戻れば良い」ルイが「パパが居ないのに戻るの?」と訊くと父の姿が浮かぶ。家を出て行った日、2人だけで話した時の姿。
*「いつも一緒だ、姿が見えなくても心の中に居る。いつでも話せる、愛してるよ」立ち去ろうとする父を呼び止めて、互いに泣いて抱き合った。「一緒に居てよ、大好きだよ。家一軒よりも」「パパも同じだ。町全体よりも、海の魚全部よりも。…お前は大丈夫だ、約束する。世界一強い子だ」水中深くを泳いでいた意識がゆっくりと浮上して、ベッドの上のルイが目を覚ました。
■雑感・メモ等
*映画『ルイの9番目の人生』
*レンタルにて鑑賞
*リズ・ジェンセンの小説『ルイの九番目の命』を原作としたドラマ
*店舗でジャケットの惹句を見てふらりとレンタル。お話に何か仕掛けでもあるのかなと思ったんだけど、怪我や病気で何度も死に掛ける子供の親が代理ミュンヒハウゼン症候群だった。と言うのは捻りがなくて随分直球。(自傷行為との合わせ技もあったみたいだけど。)台詞やエピソードの積み重ねは丁寧で悪くないけど、サスペンス映画と言う触れ込みの場合はどうだろかと思う。
*「自傷行為では説明出来ないケースもある」とか言いながら医師2人が母親を疑う素振りがない辺り、若干ファンタジー寄り。女刑事も母親を怪しんでたのに、疑惑が強まってからは動きが控えめになるのは何なのか。海藻の怪物(勝手な呼称)はルイの精神世界やパスカルの夢の中の存在だけど、医師が「昏睡状態の少年に操られてる」と言い出す辺りもファンタジー風味が強い。
*ヤニックは「父親に突き落とされた」と言い切ってたけど、ナタリーが警察にどんな説明をしたのか不明瞭。でも少なくとも「父親は逃走中」て事になってるんだよね。事実の通りに「夫と息子が崖から落ちた」と言っておいた方が、後々死体が発見されても辻褄が合うと思うんだけど。
*監督がアレクサンドル・アジャだったのが、一番意外性があった。