■あらすじ
ダンとスカイラーの結婚パーティー。二人を祝福するために集まった家族や友人たちが突然バタバタと倒れ、幸せそうな宴の場の空気は一変した。空からは雷鳴とともに巨大な氷魂が降り注ぎ、式場の屋根を突き破る。慌てて外に飛び出したダンたちが目にしたものは、制御を失い墜落していく旅客機と絶命して地面に横たわる人々の姿だった。街中が大パニックに陥るなか、教会に逃げ込んだダンたちは、牧師から黙示録に記された終末が始まったのだと聞かされるが…。(メーカーサイトより)
■ネタバレ
*ダンとスカイラーの結婚式に集まる仲間達。親友の結婚式だが、恋人のジャックと付き合って7年にもなるアリソンは些か浮かない表情だ。撮影役を引き受けているトミーも密かにアリソンに想いを寄せている。ブーケトスでスカイラーがアリソンに向かってブーケを投げるが、ジャックは気不味い表情を浮かべるばかり。それに憤慨したアリソンは、パーティの終盤で席を立ってしまう。
*トミーが会場で招待客の撮影を続けていると、傍に居たスカイラーの両親が突然転倒して絶命する。瞳は白く濁っている。助けを呼ぼうとするが他にも多くの人々が倒れて死んでおり、場内は騒然となる。全ての子供達と何割かの大人が一斉に息絶えたのだ。そして、それは会場内だけの異変ではなかった。
*外へ出ると、方々で事故が起こり火の手が上がり、旅客機が墜落している。畳み掛けるように地震と雷が起こるが、その前に亡くなった人達の死因は何なのか。やがて、昏い空が歪んで奇妙な音が鳴り響く。何が起こっているのか分からないが、何処か安全な場所を求めて彼等は移動を始める。同時に、居なくなってしまったアリソンを探さなくてはならない。現在携帯電話は繋がらないが、トミーは30分前に「ノース45番地に居る」との内容でメールを受信していた。
*トミー・ジャック・ダン・スカイラーの4人はノース45番地を目指しながら、この状況について話をする。あの白い眼はエイリアンの仕業なのか?するとスカイラーは「聖書に記された世界の終末よ」と言う。信心深い両親が「善人は引き上げられて悪人だけが残る」と話していたと。しかしスカイラー自身も教会に通っている[善人]ではないのか。そんな会話をしていると、突然巨大な雹が地上に降り注ぎ始める。
*近くの図書館に逃げ込む4人。スカイラーは必死に聖書を探して[携挙]の部分を示す。「第一のラッパが鳴ると、雹が降り血の炎が上がる」…自分も教会に通い正しい行いをしたのに、何故両親とは違ってまだ生きているのかとスカイラーは困惑する。ジャックは取り合わず、アリソンを探しに行こうとする。スカイラーは図書館に残るべきだと主張。しかしここには食料もない。嵐が収まっている間に移動すべきだろう。図書館で出会った女性サムも加わり、5人で外へ出る。
*ノース45番地への途中には教会がある。アリソンはそこに居るかもしれない。彼女はジャックと揉めるとよくその教会へ立ち寄るのだ。自分が知らないその事実を仲間達が知っていて、面白くないジャック。しかし皆の意見を聞き入れて、教会を目指す事に同意する。通りには人の気配がなく、あちこちで木や車が燃えている。怯えるスカイラーの手を握っていたダンだったが、突如翼を持つ何物かに彼女を奪い取られてしまう。混乱していると、少し離れた場所にスカイラーが落下する。
*スカイラーは背中に大きな傷を負っている。爪か牙の跡のようだ。彼女が抱えていた聖書は、中身が焼けてしまっている。既に教会の近くまで来ていたため扉を叩くと、そこには多くの人々が集まっており、シェイ牧師が招き入れてくれる。充分な薬剤等はないが、看護師のレイチェルが可能な範囲で手当てをする。幸い教会には予想通りアリソンも居て、ジャックやトミーと再会を果たす。
*シェイ牧師も、この状況を携挙だと捉えているようだ。自分達以外にも次々と生存者達がやって来て、妊婦が出産するが死産だった。それも携挙の一部だとシェイ牧師は考えている。彼は[ラッパ]が鳴り響いた時に家族と居たが、自分だけが残された。「私が与えられた教会や役割が、正しい信仰とは限らない。私は失格なのさ」と牧師は言う。
*ダンとアリソンがスカイラーに付き添い、トミーとジャックは今後について話し合う。ジャックはここに身を寄せるべきだと言い、トミーは長くは持たないと反論する。しかしそうは言っても、スカイラーは移動に耐えられないのではないか。結論は出ない。やがてこの事態に陥って10時間が経過。トミーはアリソンに愛を伝える言葉を遺そうとする。「君を愛してる、相手が誰であれ幸せになって欲しい」と。その様子をサムが撮影する。一方で死に直面し、ジャックとアリソンは気持ちを確かめ合う。
*教会ではネットが繋がり、ニュースで世界の様子が分かる。子供を中心に何百万人もの死者が出ていて[即死症候群]と呼ばれている。異常気象も頻発し、イナゴが大量発生。結局原因は不明だ。サムもまた「信心深い両親を奪われた」と話し、これが携挙であると思っているらしい。自分も悪人ではないが[信仰心のある善人]ではない。「今更手遅れね」とサムは笑う。
*教会の隅でジャックがアリソンにプロポーズしていると、それを遮るようにトミーが声を掛ける。スカイラーを襲った物がカメラに写っていたのだ。シェイ牧師もそれを覗き込み「ヨハネの黙示録第9章」だと言う。「第5の天使のラッパで底なき穴が開いた。太陽も空も暗くなり、イナゴが地球を襲った」…スカイラーを襲ったのは[堕ちた天使]だと牧師は言う。苦痛と破壊が目的で、戦う事は不可能。災いは今後も酷くなるばかりだと。
*スカイラーの状態は悪化し、レイチェルは「抗生物質が必要よ」と言う。レイチェルの車にはサンプルの束がある。危険だと制止されるが、ダンは「自分が取りに行く」と譲らない。トミーとジャックが同行を申し出ると、ダンは「行くのは2人で良い」とトミーを連れて行く。車種や停めた場所を聞いて、教会を出る2人。乗り捨てられた車の間を縫っていると、車を物色しているのか彷徨いている男が居て「教会が安全だ」と声を掛ける。やがて目的の車を発見。ダンが後部座席を探している間、トミーはエンジンを掛けてラジオを聞く。何処かの牧師が携挙について「主へ続く道、永遠の生命の唯一の方法だ」と喚いている。
*ダンが抗生物質を見付けて車外へ出ようとすると、大きな音が響く。何かが車に向かって落下したのだ。それが繰り返し車にぶつかり動けずに居ると、先刻の男が「神の真似はするな、キリストの力で抑えられる」と叫ぶ。男に何かが襲い掛かった時、2人は飛び出して必死に教会へ駆け戻る。間一髪だったがどうにか抗生物質を手に入れ、ダンは安堵の表情を浮かべる。これでスカイラーを救う事が出来るだろう。
*幾らか落ち着いた状況で、トミーは撮影を再開する。アリソンやジャックに「もしも死んでしまった時のために」と後世へのメッセージを促すが、ジャックは生き延びる決意を語る。トミーはジャックに「アリソンを愛してる?」と尋ねて「それを自覚するのに7年も掛ったのか?失いそうになって気付くのは愛じゃない」と言い募る。怒ったジャックは「お前こそ言う事があるだろ」と強い調子でトミーを責める。観念したトミーはアリソンに「愛してる」と告白し、同時に「ごめんよ」と言う。トミーとジャックは険悪な状態で、アリソンは戸惑っている。するとダンが「魔が差した」と大学時代の浮気を告白する。「結婚前に話すつもりだった。スカイラーは知る権利がある」と言うダンを「もう良いのよ」とアリソンは宥めるが、携挙のせいなのかダンは「許してくれ」と眠っているスカイラーに触れる。
*政府は避難警報を発令した。家を離れないか、可能であれば民間や軍管理の避難所を目指すように促している。救援センターが主要都市に設けられているようだが、詳細な情報はない。そんな中スカイラーの傷を確認すると、抗生物質は効果がなかったらしく容態は好転していない。レイチェルにも初めての事例のようで困惑している。抗毒素か治療可能な医師が必要だ。夜にはシェイ牧師の言う[堕天使]が襲ってくるため、日の出を待って2時間後に病院へ出発する事にする。
*シェイ牧師は「携挙は終わった、我々は行けなかった。だが主への道と永遠の生命の望みはある。選択をするんだ」とトミーに話す。「今から生まれて初めて牧師になる」と言い、教会に居る人々に語り掛ける。すると教会に何かが繰り返し衝突する。衝撃で揺れる教会。牧師の先導で人々は地下室へと逃げ込む。逃げ遅れたレイチェルが何かに捕まり、通路の壁に打ち付けられながら連れ去られる。シェイ牧師は「私を奪いに来た」と言い、トミー達の制止も聞かずに地下室の扉を開ける。牧師の身体は扉の外に吸い出されて、恐らくは彼の身体が砕かれる音が聞こえる。
*夜が明け、扉の外からは何の気配もしなくなる。地下室を出てみると教会は無残に壊され、シェイ牧師の亡骸も転がっている。教会の外にも多くの死体があるが、堕天使は姿を消しているようだ。ダンがスカイラーを担ぎ、6人は病院へ。やがて無事に病院へ辿り着いたものの、医師の姿はない。残っていた看護師もここを離れると言う。「リバーフロント橋に救援センターがある」と言う看護師。略奪されたのか薬剤は何も残っていない。トミーとジャックは医師を探して別のフロアに向かう。
*スカイラーに付き添うダン。サムとアリソンがそれを見守る。サムは「死の間際には光が見えると聞いた。死の苦痛を和らげるホルモンが、脳から分泌されるって」と言う。アリソンは「そう言う説もあるし、光は神そのものだと言う説もあるわ」と答える。彼等以外にもう誰も居ない筈の病院だが、何かの気配がする。
*ベッドに横たわり、スカイラーは「全て許すわ。告白が聞こえたの」とダンに言う。「私が育った地域では、教会に行かないと変だと思われた。だから通っていたけど、信じてはいなかった。でも今分かったわ。…見える?眩しいわ、何て美しいの」ダンが「愛してる、僕を置いていくな」と涙を零すが、スカイラーはそのまま息絶える。誰も助けてくれる者は居ない。
*アリソンも涙を流し、スカイラーの傍で神に祈る。ダンは「彼女を見殺しにした神に祈るのか」とアリソンを詰る。そのまま部屋を飛び出すダン。アリソンは驚き言葉を失うが、サムの携帯電話を見て撮影を頼む。「自分は信仰のある人間だと言い聞かせて満足してた。当然それでは駄目だったわ」とアリソンは話し始める。
*一方、ダンは病院から出ると「憎んでやる」と天に向かって叫ぶ。スカイラーの死を知らず、院内を探し続けていたトミーとジャックはその声に気付いて外を見る。「憎んでやる、神よ聞こえたか?来てみろ」と声を張り上げるダンに、2人は窓を叩いて「止めろ」と制止する。やがてダンの身体を何かが貫いて、そのまま上空へと持ち上げられる。
*アリソンも異変を感じ取りながら「残された時間は少ない、決断しなければ」と泣きながらカメラに語り掛ける。アリソンの背後に何かの影が浮かび上がる。トミーとジャックはアリソン達の許へ駆け戻る。そこにはスカイラーの遺体とサムの携帯が残されている。携帯にはアリソンの身体が弾き飛ばされる様子が撮影されていた。アリソンの遺体を見付けて泣き崩れるジャック。サムは物陰に隠れていたようで無事だった。
*「アリソンの傍に居る」と言うジャックを説得しようとするトミー。お互い譲らず揉み合いになる。「行っても意味がない」「じゃあ僕等も残る」結局ジャックが折れるが、移動を始めた頃にはまた夜になっていた。3人は軍が管理しているリバーフロント橋の救援センターを目指す。そこなら食糧や備蓄品があるだろう。警戒しながら進んで行くが、今夜は未だ堕天使の襲撃はないようだ。
*辿り着いたリバーフロント橋では、充分な物資と人員が確保されていた。人々は整然と登録を行い、必要な場合は医師の治療を受けられる。教会に居た人達と再会し、互いに人数は減ったが無事を喜び合う。牧師も居て、教会と呼べる場所もあるらしい。仲間を失くした事は辛いが、トミー達は幾らか安堵する。するとサムが、死の直前に撮影したアリソンの姿をトミーとジャックに見せる。「自分は信仰のある人間だと言い聞かせて満足してた。当然それでは駄目だったわ。でも今、真の信仰を感じた。悪魔達は神の言葉を取り去るために来た。偽りの信仰だと見破られるの。選択しなくては…受け容れ信じて新しい人生を得るか、神を無視し続け自己中心に生きるか。いずれ私は死ぬわ。残された時間は少ない、決断しなければ。…私は神を選ぶ」泣きながらそう言ったアリソンに、何かが襲い掛かる。
*アリソンの映像を見た後、ジャックは1人でベースキャンプの中を歩く。やがてこの場所の[教会]に辿り着く。テントの中では洗礼が行われており、ジャックもその列に加わる。トミーはサムと2人で、流れてくるアメージンググレイスを聞く。今までの一連の出来事が、信仰に引き寄せられていると気付くトミー。この曲を消すべきだと感じて、音響機器を探す。同時にジャックの姿を探すが、見付けた時には手遅れだった。洗礼を受けようとしていたジャックの身体が宙に浮き、本来動かない方向へ捻じ曲げられる。
*救援センターの周囲は堕天使の気配で包まれる。パニックに陥る人々。一度は離れてしまったサムを見付けて抱き寄せるトミー。サムには怯えた様子はない。「逃げ道はないの、選択しなければならない。ジャックもアリソンも正しい選択をしたわ。自分で選ぶのよ。私は神を選ぶ。あなたも」笑顔を見せて立ち上がるサム。行かせまいとして手を掴むが、振り払われてしまう。トミーが空を見上げると、堕天使が見える。今までのように1体ではない、無数の堕天使が空を埋め尽くそうとしていた。
■雑感・メモ等
*映画『リメイニング』
*動画配信サービスにて鑑賞
*黙示録の携挙を題材としたパニック・ホラー。(『レフト・ビハインド』も同じ題材。)『Detroit: Become Human』をプレイしてた時に俳優目的で見た1本。ブライアン・デッカートを眺める分には楽しい作品だった。
*こう言う題材の場合に自分にはあれこれ言える土台はないけど、割と親切な作りだなと思う。面白くはないし納得も出来ないけど比較的分かり易い。それに意外と予算が掛かっている感じ。映像はそれなりの水準。
*導入の結婚式風景が長めで後半はテンポが悪い。トミーがその結婚式の様子を撮影していて引き続き惨事を記録する…と言う流れで、若干POV風味の映像も盛り込まれてる。地下に逃げ込んだら暗視モードの映像になったり。最後もトミーが堕天使に襲われ引き摺られている感じの映像が入る。
*劇中、堕天使/悪魔の全体像は明瞭には映らない。最後に大量に現れるけど、一時停止しても不鮮明。ウナギのように細長い形状に見えるけど、途中で撮影された映像ではもう少しヒトの形ぽいのかなと思う。