■あらすじ
ホラー映画フリークのジョー・フォスターは、日頃から人を驚かせたり、驚いたりするのが心底好きな人間だ。ある日、顧客に人生最大の恐怖を提供するという会社FEAR,INC.(フィアー・インク)の存在を知り、怖いもの見たさに電話してみる。「チケットは売り切れだ」と謎のメッセージと共に電話を切られたジョーだったが、翌日から彼とその友人たちを巻き込んだ、連続殺傷事件が起こる。次第に現実と妄想の境が曖昧になったカオスの中で、ジョーたちが最後に辿り着く究極のゴールとは?命を懸けた異常なまでのホラーゲームが今、幕を開ける!(メーカーサイトより)
■ネタバレ
*深夜の駐車場で逃げ惑い、身を隠す女性。携帯電話で「キャンセルしてよ」と訴えるが、相手は『ご希望通りですよ』と素っ気ない返事だ。彼女はマスクを被り釘バッドを握った男に追われている。絶体絶命と言うところで男は姿を消す。キャンセルが受け容れられたのかもしれない。彼女は自ら恐怖を求めてこのプログラムに申し込んだのだが、想像以上に過激な内容で疲弊してしまった。漸く恐怖が去り安堵して車に乗り込んだが、後部座席に潜んでいた別の男に首を締め上げられる。
*無職のジョーは、家事を引き受けつつ職探しする事を恋人リンジーに約束していた。しかしリンジーの実家は裕福で、2人で暮らす家も大きく立派だ。ジョーの危機感は薄い。今日もゲームやサウナ、プールで適当に過ごしている。帰宅したリンジーは当然呆れ顔だが、どうにか宥めてデートへ出掛ける。ホラー映画好きのジョーはリンジーを怖がらせる事を楽しんでいて、今夜出掛けたのもホラーハウスだ。リンジーは充分怖がっているが、ジョーには刺激が足りない。
*2人の会話を聞いていた男が「確かに子供騙しだ」と声を掛けてくる。彼は[フィアー・インク/FEAR INC]と印刷されたカードを差し出し「電話してくれ、君好みの恐怖を提供出来る」と言う。ジョー達は知らない事だが、彼は駐車場での企画にも警備員として参加していた。帰宅すると隣家の老人ビルが声を掛けてくる。地域防犯活動に熱心なビルは、ジョーにもパトロールへの参加を呼び掛ける。
*ハロウィン前夜にはジョーとリンジーの友人ベンとアシュリーの夫婦が家にやって来る。ジョーはベンの家に転がり込んでいた時期もあり、その頃は毎週末にピザを食べながらホラー映画を見ていた。『13日の金曜日』『エルム街の悪夢』『ハロウィン』…ベンも映画が好きで、キャラクターのモノマネをして笑い合う。酒やドラッグで盛り上がる4人。やがてジョーが姿を消し、別の場所から刃物を手にしたホッケーマスクの男が現れる。それはジョーの扮装だったが「イカれてる」と皆には不評だ。
*4人の話題はやがて[フィアー・インク]に及ぶ。恐怖体験をカスタムすると言うその会社を、ベンの上司が利用した。パトロンでも居ないと払えない料金設定で、恐怖を感じるだけではなく実際に傷付けられると言う。真夜中の駐車場で追い回されたベンのボスは精神的に参ってしまったのか、それ以来出社していない。「お前は絶対に関わるなよ」とジョーに忠告するベン。
*夜も更けてそれぞれの部屋へ。フィアー・インクの事が気になるジョーは、リンジーの入浴中密かに電話を掛ける。「詳しく話を聞いてから申込みたい」と伝えるが、繁盛しているようで新規受付は難しそうだ。いつ頃なら空いているのかと尋ねても、一方的に電話を切られてしまう。その後、玄関の扉が開き4人以外の人影が屋内を横切るが、誰も気付かない。
*翌日もプールサイドで怠惰に過ごす4人。隣家のビルが「バンに乗った怪しい男が居た」と訪ねて来るが、ジョーはまともに取り合わない。しかし警報装置が鳴り響き、調べてみると『人生の最終章が始まる』と書かれた紙が見付かる。血のように赤いインクが使われていて、ナイフで壁に固定されているのだ。
*「何だよこれ」と呟くと、見知らぬ男が体当たりしてきてジョーの口を塞ぎ「子豚ちゃん、中に入れておくれ。狼なんか入れるもんか。それなら俺の鼻息で、ワラの家を吹き飛ばしてやる」と捲し立てる。頭突きをして、笑いながら走り去る男。通報すると、やって来た警官は「恐らく道に迷ったホームレスか何かだろう」と結論付ける。それ以上は出来る事もなく、警備を強化して様子を見る事になる。
*ハロウィンの夜、フレディの仮装をするジョー。今夜ジェイソンになっているのはベンの方だ。昼間の憂さ晴らしとばかりに、ジョーは酒とドラッグでハイになる。その時ダイニングのテレビの電源が突然入り、ニュースが流れる。『4人が殺された現場に来ています。3人は屋内で殺害され、ジョー・フォスターが主犯と見られています。夕方、遺体で発見された隣人ビル・ピーターソンについても、フォスターの犯行と考えられています』
*ジョーが名指しされ、リポーターが居る現場はジョーとリンジーが住むこの家に見える。ニュースは始まった時と同様に唐突に終わる。ジョーの悪戯だと思っているリンジーは「手は込んでるけど笑えないわ」と非難する。外を確認しても、リポーターや死体は見えない。状況を察したジョーは「頼むから怒らないでくれよ」と笑って「これはきっとフィアー・インクの仕業だ。実は電話したんだ」と白状する。昼間の出来事も同様だろう。「危険な会社だと言っただろ」と怒るベン。それにしても、自分好みの恐怖をカスタム出来るような情報は何も伝えていない。
*その時、家の電気が落ちる。3人は怯えているが、ジョーはゲーム気分で楽しんでいる。ブレーカーを戻しに自ら外へ出ると、ビルが「今度はお宅の敷地内に不審者が居たぞ」と声を掛けてくる。その背後からマスクと黒いマントを着けた人影が近付き、ビルの胸にナイフを突き立てる。思わず「恰好良い」と叫ぶと、マスクの人物は次の標的としてジョーに狙いを定める。「『スクリーム』だ、ビルも仲間だ」と家へ駆け戻るジョー。「ビルがドリュー・バリモアの役を演じてた。ナイフでめった刺しだよ、これは開始の合図だ。『シャイニング』に『スクリーム』、全部ホラー映画を再現してる」と1人で盛り上がる。
*しかしベンは「直ぐにキャンセルしろ」と言う。リンジーも「2人だけの時にして、これは遣り過ぎだわ」と否定的だ。落胆しつつフィアー・インクに電話をすると、ジョーには幸いな事に話し中だ。「仕方ないからこのまま続けよう、本当に危険だと思ったら電話するから」と言ってもベンは納得せず、自ら警察へ通報。到着まではドアや窓に鍵を掛ける事になる。「嫌だよ、俺達を殺してくれ」とボヤくジョー。そこで彼はリビングの窓を僅かに開けておく事にする。
*家の外から人の気配がする。「寝室に隠れたら?」と提案するリンジーを一蹴し「閉じ込められて悲惨な死に方をするぞ。家に居ちゃ駄目だ、車に乗ろう」と皆を誘導する。しかし配線が切られていて、車のエンジンが掛からない。どうやら想像以上に危険な会社らしい。近隣に助けを求めようとすると、ナイフを持った人影が現れる。反対方向には斧を持った人影。已む無く家へ戻ると、いつの間にかアシュリーが姿を消している。
*外へ出てアシュリーを探そうとするベンを止めるジョーとリンジー。「1人ずつ消される。じわじわ不安を広げるのがホラー映画の鉄則だ」「私達は一緒に居なきゃ駄目よ、彼女の事は諦めて」「ホラー映画のルールだ、一緒に居よう」2人で言い募るが、ベンは「また[ホラー映画]と言ったら俺がお前を殺す」と言い捨てて外へ出る。
*リンジーは「もう一度警察に電話して」と言うが、携帯電話は圏外だ。不安気なリンジーを宥めるジョー。「俺の望み以上の状況だ、君も楽しんでるんだろ」と身体を寄せると「勃起してるの?こんな時に」とリンジーは呆れてキレる。「暗さと雰囲気で」と言い訳した上に逆ギレして「部屋に居たら全部見逃してしまうぞ。俺等は裕福な白人だし、直に警察も来る。これが現実なら居場所がもうバレてるだろうけど、ゲームならプレイしなきゃ」と捲し立てる。リンジーも遂に折れて、ゲームとして対応する事を承諾する。喜び活気付くジョーに、リンジーも笑顔を見せる。「普通の暮らしがしたいわ」「来年だな」
*ブレーカーを戻せないまま暗い室内を、懐中電灯の光を頼りに進んで行く2人。裏庭を見るとアシュリーが居る。左目と足に矢が突き刺さり、突き抜けた矢で木に固定されている状態だ。「『13日の金曜日』だ」と呟いて矢を抜こうとするが、斧を持ったマスク男が迫る。「逃げて」と絞り出すように言うアシュリー。2人は家へ駆け戻る。
*家には入って来れないと思ったが、ジョーが鍵を掛けなかった窓から進入されてしまう。「一時中止してくれ」と訴えて、リンジーには寝室からバットを持って来るよう指示。「皆楽しんでるよ、仲良くしよう。ハグするか?」と言っても、マスク男は何も答えず接近する。蹴局殴られて気絶するジョー。
*目を覚ますとガレージの中で、傍には拘束されて喋る事も出来ない状態のベンが居る。ジョーは思わず「スゲエ」と呟く。近くに置かれたモニタから、ノイズ混じりの声がする。「ジグソウか?」と言うと『残念だが三輪車に乗った人形じゃない』との返事。モニタにはベッドに拘束されたリンジーの姿が映し出される。『彼女を救うためにベンもゲームに参加している』と告げられて「凝ってるな」と感心するジョー。
*『第一部:ヒントは目に見えない。映画では右脚が自由をもたらす。彼女の命は彼の左手に掛かっている。制限時間は2分、さあどうする?』モニタからのヒントを聞いて周囲を見回すと、ガレージには様々な刃物や工具が並んでいる。「1作目で足を切断してたよな」と掴んだチェーンソーの刃は本物に見えるが、これもゲームの一部の筈だ。覚悟を決めて拘束されているベンの左手首附近を切断すると、血が溢れ出る。恐らく偽物の手だろう。これで第一部完了だ。
*『第二部:自由への鍵は友人の中だ』ベンのシャツを開くと、粗雑に縫われた皮膚が現れる。この中に鍵が隠されているようだ。ハサミで糸を切っていくとベンが悲鳴を漏らし、腹部からは大量の血が流れる。それは本物の血に思え、先刻切った手首も本物のような気がしてくる。「死ぬな、ベン」と繰り返すジョー、明滅する照明。やがてベンは忽然と姿を消し、彼が拘束されていた椅子の上に鍵が残される。
*鍵を使ってガレージを脱出し、寝室へ急ぐ。モニタからはリンジーの助けを求める声が聞こえていたが、辿り着いてみるともうリンジーは意識がない。通報して「随分前にも通報したのに誰も来ない、友人が死んで恋人は怪我してる」と訴えると『落ち着いてください、家の中には誰も居ないんですね?』と911のオペレーターが念押しする。ふと振り返るとそこにはマスク男が居た。
*突き飛ばされ、窓ガラスを破って庭へと転がるジョー。起き上がって掴み掛り、無我夢中で相手の首を締め上げる。「止めろ、望み通りだろ」と言う仮面の男。必死に抵抗しているがやがて動かなくなる。マスクを取ってみると、ホラーハウスでカードを寄越してきた男だった。やはりこれもゲームの一環だったのだ。彼は目を見開いたまま微動だにしない。
*911との通話はまだ繋がっている。『もしもし?何があったんです?』と問い掛けるオペレーター。「家の中に男が居たんだけど、もう死んだよ」と伝えると、意識がない筈のリンジーが「何て言ったの?」と跳ね起きる。電話を切るようにジョーに指示して、自ら拘束を解く。カードの男の首筋を確認するが、やはり脈はない。動揺するリンジーに問い掛けると「これはフィアー・インク劇場よ」と言う。反対していたのはジョーに信じさせるためだった。「もう終わりなのか?朝まで続くのかと思ってた」とベンも笑顔で家に戻って来る。アシュリーも一緒だ。
*聞けばベンがジョーのために、リンジーとアシュリーを説得したのだと言う。「最高だったな」と笑うベンに「問題が起きたの」と告げるリンジー。[役者]の死を知り4人は口論になる。「現実だと思ったんだ」「そんな訳ない」「ホラー映画のパクリだ、これが本物だと思ったのか?」「ゲームだと思ったから始めたんだ。でもどんどんリアルになったから本気で戦った。演技が上手過ぎるよ」必死に引き留めようとするが、ベンとアシュリーは「守るべき子供達が居る」と2人を残して帰ってしまう。
*「どうして警察は来ないんだ?」と困惑していると、リンジーは「911はフィアー・インクに繋がるように、携帯電話の設定が書き換えられているの」と言う。つまり先刻のオペレーターもフィアー・インクのスタッフで、仲間の死が知られてしまったかもしれない。自首すれば自分以外に危害は及ばないのではないかと考えるが、リンジー曰くフィアー・インクは苦情を受け付けず、逃げる事も不可能。そこで彼女は遺体の処分を提案する。ゲームは無事終了し、男は帰った事にするのだ。ベン達も口裏を合わせてくれるだろう。リンジーの叔父が砂漠地帯に土地を持っているため、そこに遺棄する事にする。
*2人の車は壊されているため、男の遺体から鍵を探してフィアー・インクのバンを使う。社用車にはゲームのための様々な道具が積み込まれている。中にはジョー達の資料もある。電話番号や写真、捨てたレシートまで…数週間前から調べていたようだ。そんなフィアー・インクから逃げ切れるのかと不安になる2人。信号待ちで隣に並んだ車にも怯えるが、それはハロウィンパーティ帰りの若者達だった。
*幾らか緊張が解れたせいかスピードを出し過ぎてしまったジョーは、張り込んでいたパトカーに停車させられる。免許証不携帯で登録証の内容は会社名、しかも死体を積んでいる。そもそも相手は本物の警官ではなく、フィアー・インクの仲間かもしれない。警戒していると、免許証を渡しておらず名前も伝えていないのに、相手がジョーの名前を呼ぶ。興奮して「どこの警察署の警官なんだ?」と捲し立てる。警官は「落ち着いて、車を降りて」と言って、ドアを開けさせるために一歩下がる。するとそこに車が突っ込み、警官を跳ね飛ばす。車から降りて来た男達が警官を回収する。「行くのよ」と叫ぶリンジー。
*砂漠地帯に到着して穴を掘る。掘り終えた穴に遺体を入れようとした時、車が接近してくるのが見える。バンにGPSが付いているのだろう。慌てて草叢の陰に隠れる2人。到着した車からはリーダー格のエイブと言う男と、何人かのスタッフが降りてくる。隠れているジョーに向けて「取引しよう、君が出てくれば女は助ける」と言う。覚悟を決めて出て行こうとすると、それより早く2人共捕まってしまう。「殺された男の名前はトムだ。彼には妻子が居る」と言い、ジョーを殴るエイブ。「彼がリンジーを殺すと思ったんだ」「君が我々を雇った」「売り切れだと言っただろ?事故だったんだ」弁明も虚しく拘束され、麻袋を被せられる2人。エイブは「彼女も私の友人と同じ目に遭わせる」と言い、リンジーの首を締め上げる。車は走り去り、ジョーと死んでしまったリンジーが残される。泣き崩れるジョー。
*どうにか拘束を解いて、1人砂漠地帯の暗闇を歩く。漸く辿り着いたガソリンスタンドには人の気配がなく、公衆電話はあるがコインがない。しかしその近くにダイナーがある。扉は閉ざされているが24時間営業と表示されている。ドアを叩いて「電話を貸して欲しい」と伝えると、傷だらけのジョーを訝り店主が「何があったのか言え」と要求。「砂漠で恋人が殺された。俺はここまで歩いてきた。電話を貸して」と淡々と告げると店主が迎え入れてくれて、カウンターにある電話を使うよう促される。
*店内は薄暗くはっきり見えないが、カウンターには他の客も居るようだ。電話を掛けようとすると『充分な恐怖を味わえた?』と声がする。受話器と、直ぐ傍からも。電気が点いて、カウンターに座っていたのがリンジーだと分かる。彼女が生きていた事を喜び抱き合うが、混乱もしているジョー。「どうなってるんだ?」「契約の一部よ。申し込んだ時に、ホラー映画オタクだと話したの。あなた用に考えられたのよ」どうやらここまでの全てが計画通りらしい。
*驚いていると、エイブが笑顔でダイナーに入って来る。「打ち上げだ。感想は?」ダイナーの店主もスタッフらしい。他の役者達も次々にやって来る。ジョーが殺したと思ったトムも、家に侵入した男も。「こんなのクレイジーだ、ベン達も知ってるのか?」と訊くと、ベンとアシュリーが現れて偽物の手を投げ付けてくる。「お前なんて大嫌いだ」「強烈な経験をしたわね」「経験どころじゃない、こんなの悪夢だよ」
*3人は大雑把な流れは把握していたものの、殆どはアドリブだったらしい。詳細を知らない方がリアルな仕上がりになるのだ。「奴等への批判も嘘なのか?」「違うよ、奴等は本当にイカれてる。お前のために依頼したけどもう関わるなよ」と小声で話すジョーとベン。誰も怪我をせずに終わって幸いだったが、時には危険な状況もあった。
*4人はダイナーの同じブースに座っていて、フィアー・インクのスタッフ達も集まって酒を飲んでいる。エイブが仲間達に語り掛け、ジョーも讃える。「この8年間、世界中の特権階級の人々が弊社に忘れられない経験を依頼している。そして我々は期待に応えてきた。計画の内容や規模の大きさを問わず君達は110%の力で取り組んでいる。ジョー・フォスターは本気で戦った。生還するとは素晴らしい。しかし、幾つかのホラー映画ではそれは難しい。大好きな映画の台詞がある。『お前が病気で、俺が薬だ』」
*酒を呷ると、スタッフがジョー達のテーブルを取り囲む。抵抗する間もなくフィアー・インクがベンの首を捻り、アシュリーの頭を撃つ。血飛沫がジョーに降り掛かる。叫ぶリンジーが羽交い締めされて、ジョーは肩を刺される。「君の大好きな死亡シーンを盛り込まないと思うのか?」とエイブが言う。首を切り裂かれて崩れ落ちるリンジー。ジョーの首にも刃物が突き付けられる。「ここで暗転だ」エイブの言葉通り、ジョーの世界が暗転する。
■雑感・メモ等
*映画『フィアー・インク』
*レンタルにて鑑賞
*ラストで長い暗転の後、電話の呼出音。「残念ながら完売です」と言って電話を切る男。仲間に向かって「新規発注だよ」と告げる…と言う映像が挿入される。
*恐怖売ります系ホラー。[恐怖]を商材とする集団・刺激を求める客・究極の恐怖はリアルでの死…と言う展開は些かお安い印象。映画と言う虚構の中で、虚構の死とリアルな死を描き分けるのもなかなか難易度が高いよね。
*前半は主人公が軽薄なお調子者で鬱陶しい。後半は一転して重苦しくて鬱陶しい。状況を考えれば仕方がないけど、どうせ鬱陶しいなら題材的には能天気な方で貫いて欲しかった。
*主人公がホラー映画オタクとの設定で、劇中にも色々と映画その他のタイトルが出てくるのは楽しい。4人が揃った夜に何のモノマネか当てる場面では「俺は闇から生まれた。最初に崩壊するのは精神か?それとも肉体か?」「あああ魔法の言葉はそれじゃないよ」「エディ、私を覚えてるか?君の弟を殺した時、こんな風に叫んだんだ」「君の話はよく聞いてるよ。ボートでナタリーにあったことは、私とは関係ない」等の台詞が。順番に『ダークナイト ライジング』『ジュラシック・パーク』『ロジャー・ラビット』らしい。最後は不明。
*他の場面でも「『ゲーム』を見た?90年代の映画だ。ショーン・ペンがマイケル・ダグラスに[経験]を贈るんだ。リアルだが全部ゲームだった」と言ったり、手近なもので傷の手当てをするリンジーに対して「頼りになるな、マクガイバー」と言ったりする。エイブの「お前が病気で、俺が薬だ」はスタローン主演の『コブラ』。
*映画とは関係ないけど「お前が日本車?プリウス?ファッキンプリウス!?」なんて台詞もあり。
*[ホラー映画の好きな死亡シーン]について話す場面もあって『エルム街の悪夢』のジョニデ(ベッドに殺される)『タイタニック』、『ファイナル・デスティネーション』のシャワーシーン等の意見が。ジョーは『ゲーム・オブ・スローンズ』の[血塗れ結婚式]推し。「映画じゃないわ」と言われても構わず「滅茶苦茶怖いんだぞ。山程映画を見てきたが、史上最高の死亡シーンだ」と主張。もしかしたらこの部分がジョーの死に方に繋がってるのかな?と思ったりもするけど、GoT未見なので不明。
*その僅かに手前、フィアー・インクのスタッフに囲まれる場面でジョーが「この曲を知ってるぞ」と言う。音量を上げても全然聞こえなくて、この部分の意味も分からなかった。
*追記:その後GoTを全て視聴したけど、[血塗れ結婚式]はS3第9話の『キャスタミアの雨』。宴の最中に仲間が次々と殺され、最後の1人が首を切られる…という流れを取り入れたということかな。(この場合はジョーも首を切られる?)まあGoTの方が随分酷い有様だけど。