■あらすじ
ペンシルヴェニア州で小さな工務店を営むケラーの幸せに満ちた日常は、何の前触れもなく暗転した。感謝祭の日、6歳の娘アナがひとつ年上の親友と一緒に外出したまま、忽然と消えてしまったのだ。まもなく警察は青年アレックスを容疑者として拘束するが、自白も物証も得られず2日後に釈放。刑事ロキの生ぬるい対応に不満を隠せないケラーは、アレックスがふと漏らしたひと言から、彼が犯人だと確信し、自らの手で口を割らせようとする。最愛の娘を取り戻したい一心で、法律とモラルの一線を踏み越えていく父親。粘り強い捜査によって、新たな容疑者の存在を突き止めていく刑事。もがけばもがくほど混迷が深まるこの難事件の背後には、想像を絶する闇が広がっていた…。(公式サイトより)
■ネタバレ
*ケラー・ドーヴァーはペンシルベニア州コニャーズで小さな工務店を営んでいる。近所に住むフランクリン・バーチとは家族ぐるみの付き合いだ。感謝祭の日もバーチ家で揃って寛いでいる。ケラーには息子ラルフと娘アナ、フランクリンにはイライザとジョイの姉妹、それぞれ2人の子供達が居る。アナとジョイは年齢が近い。
*兄や姉と一緒に外で遊ぶアナとジョイ。2人は『ジングルベル』の替え歌で「バットマンもロビンも馬鹿」と歌っている。途中で見慣れぬRV車の梯子に登ろうとするアナをラルフ達が止める。車内からは微かに音楽が聞こえ、誰かが居るようだ。
*ケラー宅に戻るとアナは「家に帰りたい」と言う。失くした赤いホイッスルを探したいと。兄達と一緒なら良いと許可するが、妹達は兄と姉に声を掛けずに出掛けてしまう。暫く経って異変に気付くケラー。警察に通報すると周辺の捜査が始まり、例のRV車が逃げ出そうとして林に突っ込む。車を運転していた青年アレックス・ジョーンズが取り押さえられる。警察犬も駆り出されるが強雨の中で足取りは掴めず、車内からも少女達の痕跡は見付からない。
*アレックスは6歳の時に事故で両親を亡くしており、伯母ホリーと一緒に暮らしている。事件を担当する刑事ロキがホリーを訪ねる。ジョーンズ宅の庭先には動きそうもない中古車が停められている。ロキがそれを覗き込んでいると、ホリーが「欲しければ売るよ」と声を掛けてくる。彼女の夫も5年前に姿を消していた。今はホリーとアレックスの2人だけで暮らしている。
*ロキはバーチ家やドーヴァー家も訪ねる。彼は担当した事件を全て解決している優秀な刑事で、グレースは信頼出来ると感じるがケラーの態度は硬い。子供達の両親もアレックスも嘘発見器には反応が出なかった。アレックスのIQは10歳児並みで、白昼2人の少女を誘拐してその痕跡を消すのは不可能だ。ロキがそう説明しても「車は運転出来るのに」と納得出来ず、ケラーは声を荒げる。しかもアレックスは逃げ出そうとしたのだ。「あいつを拘束しておけ」と捲し立てるケラー。告発しなければ48時間しか拘束は出来ない。ケラーは「規則を曲げても拘束するんだ、頼んだぞ」と一方的に怒鳴り散らす。
*ロキが上司であるオマリー警部に訴えるも、当然聞き入れられない。「少女達を見付ければ全て解決だ」と警部は言う。半径16km以内に9人の性犯罪者が居るため、1人ずつ訪問する事にする。何軒か訪ねてやがて神父の居る教会へ。返事がないため窓から覗くと、神父が倒れているのが見える。慌てて室内に駆け込むが、神父は酔い潰れているだけだった。意識のない神父に「中を見させてもらう」と声を掛けるロキ。冷蔵庫を動かした跡に気付いて元の位置に戻してみると、地下室への扉が現れた。階段のない地下室へと飛び降りると、そこでミイラ化した死体が見付かる。椅子に縛られて猿轡、胸には丸いペンダントがある。
*神父を叩き起こして詰問すると、拘束した男は「名前を言わなかった」と言う。指や首に目立つ刺青があるロキは「6年間少年院に居た、正直に言わないと痛め付けるぞ」と凄む。神父の話では、告解にやって来たその男は「子供を16人殺した」と自慢そうに話したと言う。また来るように促すと「もっと殺す」と答えた。神父は小児性愛者で逮捕歴があるが、男を見逃す事は出来なかったのだ。
*川や森では2人の少女の捜索が続いており、ケラーも息子と共に参加している。すると妻グレースから「アレックスが釈放される」と電話が入る。捜索を投げ出して駆け付け、報道のカメラを押し退けてアレックスに掴み掛かるケラー。「2人に何をしたのか言え」と迫るとアレックスは「僕が居る間、泣かなかった」と小さな声で言う。ケラーとアレックスは引き離されて、アレックスは伯母に連れ帰られる。
*アレックスが娘達と一緒に居たに違いないと確信するが、その微かな声を聞いたのはケラーだけだった。オマリー警部は「あなたの父親は刑務所の看守だった。私にも娘が居る。今回の件はなかった事に」と事を穏便に済ませようとするが、ケラーの怒りは収まらない。「拘留をもう1日延ばせれば」とロキも憤る。
*言葉の真意を確かめるため、アレックスを訪ねるロキ。彼は「何も言っていない」と言う。ホリーに席を外してもらい2人で話そうとすると「隣りの部屋に居るからね」とアレックスを安心させるように言う伯母。「君が何か隠すと伯母さんも刑務所に行く事になるんだぞ。それで良いのか?世話になったのに」ロキは「嫌だ」と小さな声で言うものの、それ以上は何も語らない。
*娘達が居なくなって3日経っている。妻は泣き続けている。アレックスの家の傍に車を停めて見張るケラー。アレックスは犬のタッカーを散歩に連れ出す。突然リードを持ち上げて首輪を締め上げるが、次の瞬間には散歩を再開する。その様子は不安定で挙動不審に見える。更にアレックスは、アナ達が歌っていた『ジングルベル』の替え歌を口遊み始める。やはり娘達と一緒に居たのだ。ケラーは車を降りて、アレックスに銃を突き付ける。
*フランクリンを連れて、父が住んでいた古い家にやって来るケラー。修理には大金が掛かるために放置しているものだ。フランクリンは着替え等を持参するよう言われていたが、詳しい事情は聞かされていなかった。その家の中にはアレックスが拘束されており、フランクリンは「こんなの間違ってる」と訴えるが、ケラーは「間違ってない、奴を吐かせなければ娘達は死ぬんだ」と繰り返す。遂にはフランクリンもそれを受け容れる。
*神父の住居の地下室にあった死体については、DNA・歯形・指紋の記録はなく正体は掴めなかった。アレックスのRV車が停まっていた家は、現在空き家で売りに出されている。持ち主に会おうと調べてみると、その家の少年バリーも過去に行方不明になっていた。バリーは地下室の死体の獲物だったのかもしれない。「息子を攫った人間が2人の少女を誘拐したのよ」と今はコニャーズを遠く離れて暮らす母親は言う。それは26年前の8月の出来事で、昼寝から起きたらバリーが消えていた。「息子も停められていたRV車の傍で遊んでいた」と話すバリーの母。
*神父が地下室の死体について「詳しく話す」と言い出したためロキが話を聞く。「奴は神に戦いを挑んでいた。昼間に子供を攫う、時には複数を。家族が居ると語っていた」神父は嘘を言っていないのだろうが、捜査の役には立たない。「有益な情報だな」と吐き捨てると取調室から立ち去るロキ。
*一方ケラーはアレックスを殴り続けているが、彼は一向に喋らない。ハンマーを持ち出して脅しても怯えるばかりだ。フランクリンが憔悴して家に戻ると、無数のロウソクが灯されて町の人々が2人の少女の無事を祈っていた。ロキもその様子を見守っている。そこで1人の挙動不審な男を見付ける。ロキの視線に気付いて駆け出す男。彼を追い掛け揉み合いになるが、大きな道路へ出たところで見失ってしまう。ロキの証言を元に似顔絵が作成される。フランクリンの気持ちは揺らぐが、ケラーは駐車場で聞いた言葉がある以上、アレックスもシロではないと考える。
*アレックスの犬が撥ねられて、アレックス自身が行方不明だと知るロキ。アレックスを監視していなかった上司を詰る。そんな中、似顔絵を見たショッピングセンターの店員から通報が入る。サイズがバラバラの子供服を買いに来る男が居るのだと言う。名前は分からず支払は現金。ロキは「また店を訪れたら知らせてくれ」と頼む。
*少女達が消えて5日。毎日姿を消すフランクリンを詰問するナンシー。秘密を抱えている事に堪え兼ねたフランクリンは、妻にアレックスの件を打ち明ける。ナンシーは怒りを露わにするが、やがて「アレックスに会わせて欲しい」とケラーに頼む。彼の顔は腫れ上がり、人相も分からなくなっている。ナンシーは2人だけで話し、情に訴えて娘達の居場所を聞き出そうとするが暴れられてしまう。
*ケラーは板で仕切りを作って、その中にアレックスを閉じ込める。「こうしなければ殺してしまうから」と。光は入らず座るのがやっとの広さ。ボタンを押せば熱湯か水が出る仕組みも作り「情に流されそうになった時には気を引き締めるために」と娘達の写真も貼ってある。フランクリンは非人道的な行動に反対するが、ケラーは「こうしなければ娘達は死ぬ」と譲らない。「娘達が死んでもいいなら壁を壊せ」と言い放つケラー。壊そうとするフランクリンをナンシーが止める。「手は貸さなくても、やらせておくのよ」
*その頃キャンドルナイトで逃走した男が、ケラーとフランクリンの家にそれぞれ侵入していた。バーチ家では気付かれなかったが、ドーヴァー家では妻グレースが気配を感じ取る。アナが戻ったのではないかとその気配を追うグレースは、閉めた筈の窓が開け放たれているのを発見する。警察に通報するとロキがやって来るが、事件にどんな関係があるのかは分からない。念のため家の中を見て回り地下室に下りると、沢山の非常用品が蓄えられている。ケラーは常々非常事態に備えるようにしているのだ。そう言えばケラーの姿が見えない。グレースに尋ねると「毎日夜遅くまで警察と一緒に娘を探している」との答え。娘が居なくなったのだからそれが当然だと考えているようだ。ロキはアレックスが消えた事との繋がりに思い至り舌打ちする。
*雨の中、ケラーを尾行するロキ。しかし後続車に繰り返しクラクションを鳴らされて、ケラーに尾行を気付かれてしまう。父の家に向かおうとしていたケラーは逆方向の酒屋へ戻る。その後ロキの車に近付いて「何故俺を尾行するんだ?」と厳しい口調で詰め寄る。車に乗るように促すロキ。何処へ行こうとしたのかロキが訪ねると、ケラーは「9年半呑んでいなかったから躊躇って歩いていたが、アンタを見て決心が付いて酒を買った」と話す。「俺は容疑者か?俺を尾行せずに娘を捜せ」と怒鳴り散らすケラー。
*誘拐されて1週間経てば見付かる見込みは薄くなるため、ケラーも追い込まれていた。2人が居なくなって6日経つ。酒を呑んだ事で久し振りに深い眠りにつくケラー。夢にアナが現れて「ホイッスルを見付けたの」と言う。手にはあの日探したがっていた赤いホイッスルが握られている。
*警察署に戻ったロキは古い記事を探し、ケラーの父についての記事を読む。自宅で自殺したと言う内容だ。自宅はキャンペロ通り234番地。ケラーが酒屋の前に歩き出そうとしていた方向だ。
*目を覚ましたケラーはまた父の旧家に赴き、アレックスに熱湯を浴びせる。いつも何も言わないアレックスだが、その日は微かな声で「僕はアレックスじゃない…アレックスじゃなかった」と言う。「待ってたけど彼は来なかった、僕は遊びたかっただけだ、彼は来なかった」ケラーにはその意味が分からない。そこへロキがやって来る。「静かにしてろ」と念押しして、アレックスを拘束している2階から1階へ駆け下りる。寝ていた振りをして「妻の前では無理だからここで呑んでいる」と説明する。「家の中を案内して欲しい」と頼むロキ。もう少しでアレックスの居る壁の前と言うところで、ショッピングセンターの店員から着信がある。似顔絵の男が子供服を買いに来たのだ。
*男は視線に気付いたらしく逃げ出すが、店員がナンバープレートを見ていた。ロキは車の持ち主を特定してキャロル通りの家にやって来る。出迎えたのは確かにキャンドルナイトで揉み合いになった男だった。男の部屋には幾つものボックスがある。南京錠を壊すと血で汚れた衣類と、無数の蛇が出てくる。最後の箱には「迷路を全部解いたら帰っても良い」と書かれた紙の束があった。
*箱に入っていた衣類を撮影し、写真で確認する事になる。フランクリンとナンシーはジョイの物を見付けて嗚咽する。グレースは来る事が出来る状態ではなく、ケラーが1人で警察署に出向く。彼は血塗れの娘の靴下を確認する。涙を流し「時間を無駄にしたな、俺の尾行で時間を無駄に…」と言うケラー。帰宅してラルフに「母さんにはテレビを見せず、新聞を捨てろ」と言い付ける。ラルフはそれに反発して「妹は死んだ、僕らを放っておいて飲んだくれていたクセに」とケラーを責めるが、父は聞き入れず逆に怒鳴りつける。
*捕まったのはボブ・テイラーと言う男だ。彼は尋問では口を割らず、丸い迷路を書いている。「少女達の居場所を示した地図を書く」と言ったのに、3時間も迷路を書き続けているのだ。苛立ったロキはボブを責め立て、頭を机に叩き付ける。慌てて止めに入った警官の腰から、銃を抜き取るボブ。ロキと警官の必死の制止も虚しく、ボブは銃口を咥えて引き金を引く。
*またケラーが父の家に居ると、アレックスが「2人は迷路に居る」と呟く。ヒントを求めてアレックスの家を訪ねるケラー。「昔は亭主も私も信心深く、キャンピングカーであちこち出掛けてチラシを配ってた…[神の言葉]のね。息子が癌で死んでから考えが変わり始めた。アレックスを養子にしたけど悲しみは癒えず…」「お気の毒に」「疲れ切った顔ね」「ロクに眠れなくて…迷路で迷う夢ばかり見て」反応を窺うが、ホリーの表情には変化がない。「ごめんなさいね、アレックスはあまり話さないから私も会話が苦手で」「話さない?」「挨拶程度ね、事故に遭ってから口数が少なくなって」「どんな事故だったんです?」「昔主人が蛇を飼っていて…良い思い出じゃないわ」そこでテーブルの上にある新聞に気付くケラー。ボブが自殺した事を初めて知る。
*オマリー警部はロキを励まそうと「これでお前を州警察に引き抜かれずに済むな」と軽口を叩く。ロキは憔悴しており、自分のデスクの上の書類を撒き散らして、パソコンのキーボードを机に叩き付けて破壊する。頭を抱え込むロキ。床に散らばる捜査資料。神父宅の死体の写真もある。その胸に掛けられた丸いペンダントの模様が、迷路になってる事に気付く。
*ボブの家を調べていた同僚から連絡が入る。顔を潰された子供のマネキン2体が発見された。庭に埋められていて、着せられた服にはタグが付いたままだ。他の衣類を汚していたのは人間のものではなく豚の血だった。[迷路の本]はボブが作ったが、元FBI捜査官が書いた本も見付かっている。ボブはその真似事をしていただけらしい。子供の誘拐事件の犯人と思われる男の事を[透明人間]と称している本。
*ボブ自身も子供の頃に誘拐されていたと判明。攫われて3週間後に逃げ出したが、薬の影響で記憶が曖昧だったため犯人は捕まらなかった。彼は本を読み真似をして、挙句に自殺してしまったのだ。ロキは同僚に神父宅の死体と迷路の話をするが「それも本を読んだ模倣犯か何かだろう」と言われる。迷路の事もまた本に載っているからだ。
*それなら何故少女の親達は衣類を確認したのか?ロキは聴取の際のメモを見直す。グレースが侵入者の気配を感じた時、閉めた筈の窓が開いていた。窓から近い花壇を調べると、アナの靴下の片割れを発見。ボブが真似事に必要な衣類を盗むために侵入したのだ。
*体調を崩して寝込んでいるグレースが電話を受ける。アナと一緒に行方不明になっていたジョイが、生きて発見されたと言う。夫婦で病院に駆け付けると、ジョイに目立った怪我等はないようだ。病院のベッドで目を覚ますジョイ。彼女は曖昧な記憶の断片を話す。『迷路が解けたら帰っても良い』と書かれたノートの表紙・黒っぽい液体の入ったペットボトル・口にはテープを貼られていた…そして「あなたも居た」とケラーに言うジョイ。2人で逃げ出したが、後ろを走っていたアナは捕まってしまった。はっきりした場所は思い出せない。
*自分が居た場所と聞いて、ケラーは病院を飛び出す。少し遅れて病院に駆け付けたロキは、その姿を見てケラーを押さえようとするが間に合わない。しかし行き先は分かっていた。あの旧家に違いない。ロキは先日も訪れたその場所で、アレックスを発見して保護する。
*ケラーが向かったのは別の場所だった。アレックスの家だ。今日もアレックスの伯母ホリーが出迎える。「警察署で怖がらせた罪滅ぼしをしたい」と言い、壊れているドアを直そうと申し出る。家に入ると「痛め付けたくはない。2人はここに居た」と話すケラー。ホリーは狼狽えもせず、既に手にしていた銃をケラーに向ける。
*キッチンの引き出しから錆び付いた手錠を取り出させると、それをケラー自身の両手に嵌はめるように命じるホリー。彼女は冷蔵庫からペットボトルを取り出し「飲まなければここで撃ち殺して、娘に血を拭かせるよ」と言う。已む無くその黒っぽい液体を口にすると「美味いだろ?愛する夫のレシピさ」と言う。携帯電話をディスポーザーの中に入れさせ、車の鍵を出させると、ホリーはケラーを外の車まで誘導する。「気落ちした顔だね。主人もそんな顔をしてたからアレックスを攫ってきたんだ。最初に攫った子供だよ。名前はジミーかバリー…あの子も覚えてないだろう。大勢攫った。ボブ・テイラーの事はニュースを見て思い出したよ。子供を消し去るのは神への挑戦だ。希望を奪って、あんたのような化物に変える」
*2人はロキが覗き込んでいたあの古びた車までやって来る。ケラーに銃を突き付けたまま運転させ、少しだけ移動させると、車体で隠されていた部分に板がある。板の下には暗い穴が空いている。「警察が来た時には2人は穴の中に居たけど、1人で居るのが寂しくて出してしまった」と話すホリー。それでケラーが来た時には、アナとジョイは家の中に居たのだ。穴に入るように促されて拒絶すると、ケラーは足を撃たれる。呻きながら穴の中へ。「止血をするんだよ、24時間は生きられる。娘の死体を入れるまでは生きていておくれ」
*穴は再び板で塞がれ、ケラーの周囲は真っ暗闇になる。持っていたライトで辺りを照らすと、ペットボトルや野球のグローブ等が転がっているのが見える。子供達の持ち物だったのだろう。それらの中に赤いホイッスルを見付け、アナの無事を神に祈るケラー。
*アレックスが監禁されていたケラー所有の家では、オマリー警部がロキに「アレックスの伯母に伝えてこい」と指示する。ロキはケラーを探したかったが、仕方なくまずはホリーの家へ。ノックをしても反応がないが人の気配はする。不審に感じて家の中へ入るロキ。以前にも見たホリーの夫の写真。改めてその写真を眺めると、胸にはあの迷路のペンダントがぶら下がっている。子供達を殺して神父の家で死んだのは、ホリーの夫だった。
*アナを隠している部屋で、細い腕に薬物を打つホリー。ロキが銃口を向けるとホリーが振り向き様に発砲。ホリーの弾丸がロキの頭を掠め、ロキはホリーを仕留める。雨の夜、ロキは必死に病院へと車を走らせ、幸いアナは一命を取り留める。
*自分も治療してもらい、病院のベッドで新聞記事を読むロキ。26年間[アレックス]だったバリーは、本物の母親の元へ帰る事が出来る。その記事の下には『ケラー・ドーヴァー、依然行方不明』の見出し。そこへグレースが、車椅子に乗せたアナを連れて来る。「ヒーローにお礼が言いたいから」とグレースは言うが、まだ元気がないアナは何も言わない。アナの首には赤いホイッスルがある。「誘拐される前に見付けた」と言っているようだが、グレースは思い違いだろうと考えている。これは新しく買ったものだ。
*2人になると「信じてもらえないかもしれないけど、何の連絡もない」とグレースは言う。ロキはその言葉を信じる。ケラーが見付かれば投獄されるだろう。しかしそれは娘を見付けるためだった。「私は感謝してる」と涙を流すグレース。
*現場に復帰するロキ。ホリーの家で捜査が続けられているが、寒さの厳しい季節で地面も凍て付いている。陽も落ちて、今日の作業は終了になる。皆が立ち去った後、静かになると物音が聞こえてくる。気のせいかと思ったが、ロキの耳にやはり微かな音が聞こえる。それは僅かな力を振り絞って吹かれている、ホイッスルの音だった。
■雑感・メモ等
*映画『プリズナーズ』
*レンタルにて鑑賞
*ヒュー・ジャックマンとジェイク・ジレンホール出演のクライムスリラー
*少女の誘拐事件を軸に、その父親と事件を担当する刑事の姿を描くドラマ。娘を想うが故の父の暴走が主題みたいだから、サスペンス映画としてはどうなのかと見る前は訝っていた。(事件自体は解決しない可能性もあるのかなと。)ちゃんと決着するので安心。寧ろ全てのピースが機能していてお見事。惜しむらくはネタに対して尺が長過ぎると感じる。もう少し絞ってくれたら、より満足度が高かったと思う。
*メインの2人が好きな俳優なんだけど、今作では特にロキのキャラクターが良かった。少年院に居た経験があって刺青が目立ち、担当した事件は全部解決してるって言うのが楽しい。(そんな優秀な刑事なんだから、当然ラストのその後はケラーを助け出すよ。)ロキの他の事件も見てみたい。指に入れてる刺青はホロスコープの記号かな?