■あらすじ
カナダの山岳地帯、グレースフィールドの山荘に出かけたマットと5人の仲間たち。10カ月前の事故で片目を失ったマットは、超小型カメラを内蔵した義眼を装着していた。それでバカンスの模様を記録し、サプライズ・ビデオを作ろうというのだ。だがその夜、近くの山に飛行物体が落下。現場に向かったマットは不思議な隕石を拾うが、それを機に想像を超えた現象が彼らを襲いはじめる。携帯の画面に映る奇怪なマーク、夜の森を動き回る謎の生物。異変は彼らが逃げ込んだ山荘にも襲いかかり、やがて次々に姿を消してゆく仲間たち。そのすべてを記録し続けてゆく、マットの義眼カメラ。この恐怖に終わりはあるのか?そして、隕石に秘められた驚愕の謎とは?(メーカーサイトより)
■ネタバレ
*生まれて来る息子のために、自分達夫婦の姿を録画するマット。なんでも撮影したがるマットに妻ジェスは呆れ顔だが、嬉しそうでもある。しかしある日の運転中、衝突事故に遭いジェスは流産、マットは右目を失う。
*事故から10ヶ月後、10月下旬。マットは長い休職から間もなく復帰予定だ。その前に楽しめと、上司が山荘を貸してくれる事になる。マットとジェス、2人の友人ジョーとリズ、ジェスの弟トレイとジュリアの3組のカップル、そして愛犬テディも一緒に週末を過ごす。ニュースでは、人工衛星が未確認物体と衝突して破壊された話題を取り上げている。
*ジョーは高性能なカメラを購入したばかりで、山荘への旅にもそれを持ち込みご機嫌だ。マットも自分の義眼にカメラを仕込んでいて、見るもの全てを録画している。目的地のグレースフィールドまでは5時間程度、なかなかの距離がある。マットの上司は変わり者で「ビッグフットを捕獲したい」と自宅から遠く離れたこんな場所の山荘を入手していた。
*予定よりも遅れて現地に到着。しかし疲れも吹き飛ぶ程、山荘は大きく立派だった。調度品も豪華でジャグジーまである。この週末はマットの復職に加えてジョーの誕生日祝いも兼ねていて、部屋を飾り付けて皆で盛り上がる。やがて夜も深まると、空に浮かぶ光に気付く面々。燃え上がる光は徐々に近付き、轟音を上げて山荘の裏手に落ちる。
*女性陣の制止を聞かず、男性陣は光の行方を追って森の中へ。トレイを山荘が見える場所に残して、もう少し奥まで行ってみる2人。トレイとの声が届く範囲なら、問題なく山荘に戻れるだろう。やがてマットは森の中で火が燻ぶる場所を発見。地面に開いた穴の中から、隕石らしきものを取り出し持ち帰る事にする。しかしトレイが寒さと暗さの中1人で居る事に耐えかねて、持ち場を離れてマット達に合流してしまったため山荘の方向が分からなくなる。
*勘を頼りに夜の森を進む3人。途中で「携帯電話を落とした」とトレイが言うが、探しに戻る事は出来ない。これ以上進んでも山荘から遠ざかるだけかもしれないと、不安を感じるマット。そんな中、何かの鳴き声のようなものが聞こえてくる。ライトが必要だからと、マットはジョーのカメラを借りて様子を探る。マットの身体に人間以外の何物かの指が伸ばされた時、上司が仕掛けたらしい罠に掛かって彼は宙吊りになる。
*マットは駆け付けたジョーとトレイに助け出される。今度はテディの鳴き声が聞こえた気がして、ジョーを連れて走り出す。やがて洞窟が見付かり、嫌がるジョーを強引に促してマットは奥へ進む。雪が消え残る洞窟の中、光るものがある。近付いてみると、それはトレイの携帯だ。落としたと言ってたが何故こんな場所にあるのか。時間表示が乱れ、勝手に録画を始める携帯電話。慎重に腕を伸ばすと、マットの手首を何物かが掴む。何かは不明だが、明らかに人間ではない。
*慌てて駆け出す2人。洞窟を抜けて森の中を走り、岩陰に身を潜める。安全を確認しては少しずつ移動して、正体不明の相手から距離を取ろうとする。やがて女性達の声が聞こえ、トレイとも合流出来た。心配させてパニックになるのは避けたいと、彼女等には今夜の出来事は秘密にしておく事にする。
*詳細は伏せつつ、直ぐに帰ろうと主張するジョー。一方マットは、夜に出発するのは危険だと言う。昼間に来た時も実は道に迷っために予定より時間が掛かってしまった。ガソリンもスタンドまで持つかどうか分からない、夜の森で立ち往生したくないと。そう言われればジョーも反論出来ない。トレイ以外の携帯も動作がおかしくなっており、これは持ち帰った隕石のせいだろう。
*マットとジョーは、今夜録画した映像を見直してみる。森の中に居た時は把握出来ていなかったが、未確認生命体の姿がカメラに捉えられている。人間より遥かに大きな身体の[怪物]だ。ビッグフットなのか、隕石と考え合わせれば地球外生命体なのか?結論は出ない。マットは隕石をタオルに包み、鞄に仕舞い込む。
*何が起こったか知らないジェスは、マットに「また子供を作りたい」と提案する。しかしマットは事故で胎児を失ったことをまだ克服しておらず、今夜はテディも消えてしまった。また大事なものを失くすのは耐えられそうにない。そんなマットに対してジェスは不機嫌になる。ジェスが消えたバスルームから大きな音と悲鳴が聞こえて駆け付けると、窓ガラスにヒビが入っている。鳥がぶつかったのだろうと宥めるが、鳥は夜には飛ばないものだ。
*明け方、目を覚ましたトレイはふらりと地階にあるリビングへ。ソファで携帯を確認すると、やはり勝手に録画を始めている。訝し気な表情トレイの頭を掴む何物かの手。指が顔の上半分を覆い隠す程の大きさがある。同じ頃、マットも何かの気配を感じて部屋を出る。闇の中を飛ぶ赤い風船。吹き抜けになっているリビングに飾り付けていた物が、一斉に解き放たれたようだ。明滅するライト・出鱈目に回転する時計の針・狂った携帯。開いた状態のドアから外へ出ると、屋外の照明も車のヘッドライトも明滅している。リビングに向かうマットの背後で動く影。それには気付かず階段を下りると、ソファにはトレイが居た。「死んでしまう、手遅れだ」と不穏な言葉を繰り替えすトレイに呼び掛けても反応がなく、マットは彼を抱えて部屋に戻してやる。
*トレイが見ていたテレビの画面には、ノイズ混じりに見慣れない文様が表示されている。大きな円とそれを取り囲む幾つかの小さな円、円同士を繋ぐ直線。やはり直ぐにでもここを出るべきかもしれないと感じるマット。部屋に戻ろうとすると外へ続くドアが開け放たれている。気配を感じて振り向くと、別のドアから何かが外へと飛び出す。ドアを閉め直して外を窺っていると、背後にジュリアがやって来る。先刻ベッドへ運んだのに、トレイが部屋に居ないと言う。一緒に監視カメラを確認すると、彼は覚束ない足取りで森へ歩いて行く。
*制止を振り切ってジュリアは森の中へ。マットはナイフを握り、ジョーは黄色い風船とヘリウムガスの缶を持つ。トレイが催眠状態のようだった事・室内にあの[怪物]が居た事を考えると、トレイは奴に操られていたのだろう。そんな話をしながら進んでいると、マットが足を掴まれ地面を引き摺られる。程なく解放されて一旦怪物の気配は消えるが、恐怖は高まる。せめて迷わないようにと、マットは風船を枝に結び付けながら移動する事を提案。帰り道の道標にするのだ。
*山荘へ到着する1時間も前から携帯は圏外で、稀に電波が繋がっても勝手に録画を開始するため通話が出来ない。それでも繰り返し試していると、ジェスがレンジャーへの通報に成功する。しかしノイズが入り、こちらからの声が届いているのか分からないまま接続が切れてしまう。そんな中、リズが山荘周辺の地図を発見。地図にはビッグフットの目撃情報が記入されている。山荘・洞窟・まだ見ていないが近くにはトウモロコシ畑もあるようだ。こんな物を作るとは、マットの上司は想像以上に本気だったようだ。
*夜が明け、周囲が明るくなった頃にジュリアはトレイを発見。彼女の携帯も自動的に録画を始めて、その様子が捉えられている。トレイは話し掛けても反応しない。そこへ怪物が現れて、ジュリアの頭部を掴む。彼女の叫び声を聞くマットとジョー。駆け付けてみるがジュリアの姿はなく、靴が片方残されている。見上げれば高く細い木の枝に、彼女の衣類や下着がバラバラに引っ掛かっている。
*その時また叫び声のようなものが聞こえ、マットはそちらに向かって走り出す。森を抜けて、地図にあったトウモロコシ畑へ。丈が高く方向も分からないまま走るが、突然視界が開ける。ミステリーサークルのようにトウモロコシが円形に倒されている場所だ。その場所を嫌って帰りたがるジョーと、誰も見捨てないと譲らないマット。「ヘリコプターでもなければ探せない」と言うジョーの言葉で、マットは風船に携帯を結んで浮かせることを思い付く。
*残りの風船は2つ。携帯を浮かせるには不充分だろう。すると円から真っ直ぐに伸びる回廊のような空間に、森に残してきた風船が出現する。先刻まではなかった物で怪物の仕業としか思えないが、目的は分からない。躊躇っている余裕もなく、2人はその風船を利用する。試みは成功し、トウモロコシ畑の全景が分かる。マット達が居る場所は大きな円を取り巻く小さな円の1つに過ぎなかった。巨大で複雑なミステリーサークルの一部分だ。マットはそのシンボルに見覚えがあった。トレイが見ていたテレビに映し出されていた文様と同じだ。何を意味するかは分からない。
*上空からの映像でトレイを発見したマットは、また全力で走り出す。風船はジョーの手を離れて上空へ。やがてトレイが居た筈の場所に辿り着くが、そこには衣類が残されているばかりだ。茫然とする2人に怪物の気配が迫り、闇雲に走る。隠れていると、トウモロコシの間から人間以外の足が覗く。それは黒く巨大な昆虫のようにも見える。僅かな時間全身も見えるが、桁外れの跳躍力で瞬く間に視界から消える。
*2人はトウモロコシ畑から再び森の中へ。混乱は収まらない。怪物の行動の理由を説明出来ないが、トレイについてはメッセンジャーにしたのではないか。昨夜は怪物からのメッセージを受け取り様子がおかしくなったのだ。誰かが[死んでしまう]と言うメッセージを。先刻はシンボルを見せるために風船を寄越した。怪物は何かを伝えたがっている。ひとまず山荘に戻って救援を頼みたいが、帰る道が分からない。するとそんな会話に応えるように、黄色い風船が元の位置に戻されている。
*風船を頼りに無事に山荘へ帰還するマットとジョー。ジェスとリズに「ここから逃げる」と告げるが、ジェスは弟を置いていく事を了承しない。仕方なくジョーとリズだけで、40㎞離れたガソリンスタンドを目指す事になる。しかし車は動かない。過電流によるものかヒューズが焼けている。車は昨日から使っていないため、これも怪物の仕業だろう。それでも諦めず、ジョー達は自転車で出発する。時計は狂っているが恐らく日没までに5時間はあり、スタンドまでは3時間半もあれば着くだろう。
*ジョーとリズを見送って山荘へ戻ろうと背を向けると、車のリアガラスに2人が映る。弾き飛ばされて宙に浮かんだ姿が。目にしたものが信じ難く、マットとジェスは義眼で録画した映像を確認する。やはり2人は高く投げ出され、そのまま忽然と姿を消している。他の映像も見直し、何かヒントがないかと探すマットとジェス。すると人工衛星破壊のニュースの中に、例のシンボルが浮かび上がるのを発見する。怪物がマットに向かって指を伸ばす時には、狙いはマットではなく隕石のように見える。仕舞い込んでいた隕石を取り出してみると、その表面にも以前はなかったシンボルが光っている。バスルームのガラスのヒビも、同じシンボルを象ったように見える。
*この隕石は電波発信機か何かだろうと予測するマット。怪物がこの隕石を奪還したがっているのなら、人質との交換が要求出来るかもしれない。リビングを抜けて外へ出ようとすると、テーブルに黄色い風船がある。「怪物がここに居る」とマットが呟くと風船が破裂、テレビにはあのシンボルが映し出される。白い光に包まれ、あらゆる物が宙に浮き激しく動くリビング。やがて全てが静止して落下する。
*2人は外に出て走り始める。地面には自転車と、ジョーとリズの衣類が散乱している。動揺しつつ森の中へ入ると、大きな身体の怪物が現れ、驚異的な跳躍力で一気に距離を詰めて来る。隕石を奪われそうになるが、どうにか振り切って逃げ出す2人。森を抜けてやがてトウモロコシ畑へ。マットは肩を掴まれ放り投げられるが、ジェスが必死に引き戻す。再び走り出すが、ジェスの身体が空高く吸い上げられて消えてしまう。
*それでも隕石を渡さなければ、まだ望みはあるかもしれない。逃げ続けるマットだが、やがて倒れて隕石が地面に転がる。その上空に宇宙船が浮かび、周囲が光に照らし出される。そして宇宙人がマットの前に現れる。大きな身体と大きな黒い瞳。[怪物]と捉えていたがマットを傷付けるような素振りは見せず、隕石を掴む。すると隕石が割れて、中には小さな宇宙人が居ると分かる。恐らく自身の子供なのだろう、欠伸をした姿に笑みを浮かべる宇宙人。[返してくれなければ子供が死んでしまう、手遅れになる]と言うメッセージを伝えたかったのだ。マットにもその姿を見せるかのような仕草。「悪かった、知らなかったんだ」と言うマット。言葉が通じているのかは不明だが、相手は頷いたように見える。雄叫びのような声を上げると、巨大な宇宙船からの光に包まれて姿を消す。
*宇宙船が遠ざかり見えなくなると、上空から5つの光の矢が放たれる。裸のジェスと抱き合うマット。妻や仲間達を返してくれたのだ。また空が光り、今度はヘリコプターが現れる。ジェスの通報が届き、救助に来てくれたレンジャーだ。
*1年後、マットとジェスにはエミリーと言う娘が生まれていた。3人の姿を追うカメラ。マットは笑いながら手を伸ばし、掌でレンズを覆い隠した。
■雑感・メモ等
*映画『グレースフィールド・インシデント』
*レンタルにて鑑賞
*未確認生命体系POVホラー
*主人公の義眼に仕込んであるカメラの映像が主だけど、友人のカメラや勝手に撮影が始まる設定のスマホ映像も多く、結果主人公の姿もよく映る。それ何の映像?角度おかしくない?と言うような場面もちらほら。
*義眼のカメラがスマホ部品を利用した手作りで、そんなので大丈夫なの?と思ったけど医者だから衛生面とかはちゃんと配慮されてるのかな。ジョーも同じ病院勤務の医者みたいだけど、医者設定は特別活用されてなかった。
*全体的にはグダグダ展開に苛立つ。大声出すなと言いつつ自分が叫んだり、逃げちゃ駄目だイヤやっぱり逃げようとなったり…主人公は不安定に感じるし、女性陣は影が薄いし。尺の9割は駄目なんだけど、あまりにも躊躇いがなく爽やかなオチは好き。異星人から誇らし気に我が子自慢されちゃうハートウォーミング展開。ここまでされたら負ける。
*人工衛星との衝突で船の一部分が落下したと言う事なら、マットの上司が狙っていたビッグフットは別に居るのか(それなら宇宙人と対決しても楽しかったかも)或いは過去にも宇宙人が目撃されていたのか。
*最後は姿が映る訳ではないけど、仲間は全員助かったと言う事だと思う。犬のテディ(ボーダーコリーかな)も戻って来たと信じたい。洞窟で迷子にでもなってたら許し難し。