ライフ (2017) | m-memo

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ネタバレだらけの映画メモ。

忘れ易いので自分用にメモしてます。
ネタバレ部分は詳細を記載することもあれば、
二言三言のこともあります。

 

■あらすじ

火星で採取された地球外生命体の細胞を極秘調査するため、世界各国から6人の宇宙飛行士が国際宇宙ステーションに集結した。世紀の大発見に立ち会った彼らは、まさに神秘としか言いようのない地球外生命体の生態に驚愕するが、その細胞は次第に進化と成長を遂げ、高い知能を誇るようになる。やがて地球外生命体に翻ろうされ、宇宙飛行士たちの関係が揺らぎ始める。刻一刻と事態が悪化する中、命がけで生命体を隔離しようと試みるも、ついには命を落とす者も出る。助けを呼べない宇宙で追い詰められた彼らは……。(メーカーサイトより)

 

■ネタバレ

*[火星ピルグリム7]計画初日。探査機ピルグリムが火星の土を採取、8ヶ月掛けて戻って来る。宇宙ゴミと衝突し軌道を逸れたピルグリムを国際宇宙ステーション(ISS)の研究者達が回収する。現在ISSには司令官キャット・ゴロフキナを筆頭に6人のクルーが居る。航宙エンジニアのローリー・アダムス、システムエンジニアのショウ・ムラカミ、疾病対策センターから派遣されている検疫官ミランダ・ノース、宇宙生物学者ヒュー・デリー、そして医師デビッド・ジョーダン。デビッドはISS滞在473日が経過している。彼は過去に軍医をしていた事もあり、争いのある地上よりも今の環境を好んでいる。彼らはそれぞれの位置を把握するため、手足等数個所にセンサーを取り付けて生活している。

*計画2日目にはサンプルの検証が始まる。火星の土中からは予想外に、大きな単細胞の生命体が発見される。地球の生物と同様に細胞核がある。繊毛のような毛は地球上のものよりも長く、鞭毛に近い。不活発で、温度を上げても動きはない。環境を変えてみようと、酸素を減らして二酸化炭素を増やしてみると生命体が動き出す。初めて確認された地球外生命体だ。

*このニュースは地球にも伝わり、代表となった小学校が自分達の校名から生命体を[カルビン]と名付ける。計画12日目のカルビンは、ブドウ糖の摂取が速くなり勢いよく増殖している。研究を主導しているのはヒューだ。彼は地球では車椅子の生活だが、ISSでは重力がないため移動が自在に出来る。カルビンは幾つもの細胞が集団で動いている。電気的活動も共有、神経回路網に似た動きだ。急速に分裂する単細胞生物の集まりではなく、数兆もの細胞が協力し合う大きな1つの生命体となっている。大多数の多細胞生物とは異なり、カルビンは単独でも機能する。それぞれの細胞に筋細胞・神経細胞・視細胞が存在。全身の細胞全てが筋肉であり脳であり目であると言う事だ。ヒューが指を伸ばすと、カルビンも触れ合うように近付いて来る。

*順調に研究が進む中、ショウに娘のメイが生まれる。地上に居る妻と娘をタブレット越しに見守るショウ。クルー達も祝福する。計画25日目になるとトラブルが発生。ヒューの点検ミスにより器内の圧力が一時的に変化したのだ。活動を停止するカルビン。防衛手段として冬眠状態に入っているのではないかと考え、電気で刺激を与えてみる事にする。狙い通りカルビンは動き出すが、手袋越しにヒューの手に巻き付いてしまう。カルビンは強い力でヒューの手の骨を粉砕する。力を失くしたヒューの腕が手袋から抜けると、カルビンは培養器内の器具に絡み付いて動かし、手袋を裂いて外へ出る。実験用のマウスを包むようにすると、その水分を奪い取るカルビン。

*堪らずラボのドアを開けたローリーがヒューを助け出すが、今度はローリーの足にカルビンが絡み付いたために彼をラボから出せなくなる。閉じ込められた状態のローリーに、キャットが「酸素キャンドルを割ってカルビンを焼くのよ」と指示を出す。お陰で足から剥がす事には成功したが、まだドアは開けられない。キャットはカルビン殺処分の許可を出す。ローリーが焼却機で焼き殺そうとするが、動きが早く仕留められない。やがて燃料が切れると、ローリーの背後から接近したカルビンが彼の口内へ侵入する。内部から食い荒らされて絶命するローリー。

*浮遊していた焼却機はまだ僅かに燃えていた。その炎がセンサーに触れ、ラボ内のスプリンクラーから水が排出される。それに反応して、ローリーの体内から這い出てくるカルビン。その姿は侵入時よりも遥かに大きくなっている。カルビンはスプリンクラーの僅かな隙間からラボの外へ出ようとしているようだ。慌ててショウがスプリンクラーを閉じてラボを密閉しようとするが、最後の1つからカルビンは抜け出してしまう。

*キャットは救助を求めて交信する。「生命体が逃走中、敵意があり狂暴です。規則に従い隔離・駆除する予定です。指示がなければ実行します」しかし途中で通信が途切れてしまい、どの程度伝わったのかは不明だ。船外で修理すれば通信が可能になるかもしれない。ローリーに次いで修理が得意だからと、司令官のキャットが自ら船外へ。調べてみると、通信装置に必要な冷却材が空になっていた。カルビンは炭素生命体で食料・水・酸素を必要とする。カルビンが冷却材を食い尽くした可能性がある。船にある水状のものは、大量の飲料水・通信用の冷却材・CPUの冷却材・そして宇宙服の冷却材。

*その時、潜んでいたカルビンがキャットの宇宙服に張り付いた。その姿は最後に見た時よりも更に大きくなっている。内側に入ろうと、宇宙服の表面を這い回るカルビン。宇宙空間でも活動可能なのは、体内に酸素を蓄えられるからなのかもしれない。通信は回復していないが、それよりもキャットが船内へ戻る事が優先になる。彼女がエアロックを目指し始めると、宇宙服の冷却装置が壊れてヘルメット内に水の球が溢れてくる。水分に視界を遮られながらも必死に進むキャット。危険だが時間が足りないため安全帯を外してジャンプし、漸くエアロックに到着。デビッドが内側からレバーを下げてキャットが外側から時計回りにハンドルを動かせば中に入れるが、彼女は逆に回している。ヘルメット内が水分で満たされパニックに陥っているのかと思ったが、彼女はクルーを守るためにハッチを開けるのを止めたのだ。やがて息絶え、宇宙空間を漂い始めるキャット。カルビンは嘲笑うようにISSに飛び移ると窓に張り付く。

*悲痛な空気に包まれるISS。しかし何か手を打たなくてはならない。宇宙空間でも生きられることは驚きだが、そう長くは持たないだろう。現在考えられる侵入口としてはスラスターがある。どの噴射口から入ろうとしているかが分かれば、吹き飛ばせるかもしれない。暗くて目視は出来ないが、センサーがある。ノズルに触れれば温度が上がる筈だ。温度が上がったノズルを噴射しては、カルビンの侵入を防ぐ。やがて動きが弱まるだろう。しかし軌道を外れたピルグリム回収用に使ったため、燃料が想定よりも少なくなっている。噴射を続ける事が出来ない上に、今の噴射によってISSは降下軌道に乗ってしまった。このままだと大気圏に突入するのだ。残った燃料で軌道修正しなければ、カルビンを地球へ運ぶ事になってしまう。大気圏突入で燃え尽きる可能性もあるが、カルビンの生存能力はどんな生物をも超えている。楽観出来ない。

*地球と比較すれば、ISSに入れた方がマシだ。センサーの温度が上昇するのを見守り何もしないでいると、やがて温度が元に戻る。カルビンが船内に戻ったのだ。その後噴射して軌道を修正、ISSが大気圏に突入するのを防ぐ。残っているクルーは4人。ヒューは「何億年も前に火星を支配したのかもしれない。だが、空気がないと冬眠する」と仮説を話す。自分達は立て篭もって、他のエリアの空気を抜けば、カルビンは冬眠に入るのではないか。彼らは分担してそれぞれの区画をロックする事にする。鉄板やダクトテープで隙間を塞いでいく。手の自由を奪われたヒューは休んでいるが、具合が悪そうだ。やがて作業が終わるが空気を抜くには4時間掛かる。暫く待つしかない。

*待っている間にヒューは、カルビンについて「生存するための攻撃だ、憎しみじゃない」と言う。奴が生きるために自分達は殺されてしまうのだと。感覚のない自分の足に触れるヒュー。彼は何かに気付いて心拍が乱れ「僕を許してくれ、こんな…」と呟くと意識を失う。AEDで救命措置をしてどうにか一命を取り留めるが、ヒューの作業着を捲ると足にカルビンが巻き付いていた。ヒューの足に吸い付き食べているのだ。カルビンにAEDで電気刺激を与えてヒューの足から引き剥がすと、今度はデビッド達へと向かってくる。

*船内を泳ぐように移動して別のエリアへ。デビッドやミランダと同じエリアに入るのを諦めたショウは、自分の睡眠用ポッドに入る。仲間達との通信は繋がらず、状況を伝える事も出来ない。カルビンはショウを追って来て、ポッドを壊して侵入しようと試みるが、やがて諦めてその場から離れて行く。

*デビッドとミランダはその間に元のエリアへ戻る。ヒューはまだ辛うじて息があるが、時間の問題だろう。彼は最後の瞬間に床に固定されたままである事を嫌い、宙に浮かべて欲しいと頼む。希望通りにすると、そのまま息を引き取るヒュー。「この感情は科学的でも理性的でもないけど、カルビンが心の底から憎い」と呟くミランダ。その時モニタに、移動するカルビンらしき信号が映る。ヒューの足を食べた時に、センサーを一緒に飲み込んだのだろう。これで追跡が可能になる。

*船内に浮遊する血液を摂取しながら移動してくるカルビン。ヒューの遺体まで辿り着いて身体を巻き付けるのを見計らって、デビッド達はそのエリアの扉を閉める。あとは空気を排出して、窒息するのを待てば良い。しかしそこにタイミング悪く、救命艇がやって来る。キャットの通信が届いていたのだろう。不味い事に接合するのはカルビンの居るエリアで、今もISSは外部と通信不能だ。何とか合図を送ろうとするも失敗し、ソユーズがISSとドッキングする。

*乱暴な接続を罵るデビッドに「救助に来たんじゃないわ」と告げるミランダ。隔離の第一段階は培養器、第二段階はラボ、そして今が第三段階。ISS全体が隔離対象なのだ。危険な生命体を地球から遠ざけるために、深宇宙の彼方へとステーションごと弾き飛ばす。それはミランダが提案し、委員会が同意した規約だった。それを受け容れるデビッド。

*睡眠用ポッドに入ったままだったショウは、救命艇が到着したのだと思い船内を移動し始める。それはカルビンへ向かっている事にもなり、到着したのは救助隊でもない。モニタでその動きに気付いたデビッド達は通信しようとするが叶わず、ショウはハッチを開いてしまう。船同士が繋がるとカルビンは到着したクルーにも襲い掛かり、人々はパニック状態に陥る。やがてデビッド達も合流して、ショウを自分達の居るエリアに引き戻そうとする。船同士が再び離れようとするとカルビンも戻って来て、ショウに張り付く。彼の身体を這い回り、やがてショウの腕を掴んでいるミランダの身体へと移動しようとするカルビン。それを察したショウはカルビンを掴み、共にソユーズ側に落下。結局デビッドとミランダだけがISSに戻る。

*恐らく大半か全てのクルーを失い、制御を失ったソユーズは壊滅的な状態になる。ISSはまだ奇跡的に操作可能だが、生命維持システムが故障して船内の温度が急激に低下。あちこちから空気が漏れていて、残り時間は2時間もないかもしれない。しかもまた降下軌道に乗っている。大気圏に突入するまで39分。自分達はもう助からないが、カルビンは違う。

*絶望の中、様々なものが浮遊する船内。その中にはキャットが「メイに読んであげて」とショウに贈った絵本もある。「おやすみ月、おやすみ星、おやすみ空気」絵本の言葉を真似ながら、デビッドはカルビンを誘い出す事を思い付く。今カルビンは飢えているため、酸素キャンドルに飛び付く筈だ。誘導して救命艇の1艇に入れる。デビッドが乗り込み、可能な限り手動で飛んで、大気圏とは逆方向へ向かう。カルビンを道連れに宇宙の彼方を目指すのだ。もう1艇の救命艇にはミランダが乗り、自動操縦で地球へ着陸する。ミランダはデビッドにだけそんな事はさせられないと言うが、彼は「俺は宇宙に長い。80億人のバカが居る所へは戻りたくないんだ」と笑う。

*救命艇への道筋で酸素キャンドルを灯すデビッド。狙い通りにやって来たカルビンは、酸素キャンドルを奪うと抱え込むようにしてそれを味わう。吸い尽くしたと見ると、デビッドは少し離れた場所で次の酸素キャンドルを灯す。やがてデビッドとカルビンは救命艇の中へ。「ISSの壊滅的な軌道変化により、緊急脱出シーケンス開始」と記録に残すデビッド。一方、ミランダも救命艇に乗り込む。それぞれISSを離れる2艇の救命艇。

*ミランダも万一に備えて記録する。「生命体に仲間を4人殺されました。デビッド・ジョーダンは生命体と共に宇宙の彼方へ。地球を守るために命を捧げたのです。犠牲になった5人に名誉を与えてください。火星の生命体は敵であり、その知性と順応力を甘く見ないように。撃退法は不明ですがもし地球に漂着したら、あらゆる手段で駆除しなければ人類滅亡の危機になる」
*それぞれのコースを進む筈だった救命艇だが、ソユーズの残骸に衝突する。ミランダの救命艇ではアラームが鳴り、デビッドの方はカルビンに動きを制御されつつある。徐々に離れて行く2艇。1艇は宇宙の彼方へ向かう。1艇は大気圏を抜けて海上に着水、言葉の通じない漁師が救命艇の扉を開けようとする。中に居るのは、まるで繭のようにカルビンに絡み付かれて動きを封じられたデビッドだ。必死に「開けるな」と訴えるが伝わらない。扉は開かれ、他の漁船も駆け付けてくる。一方ミランダは1人、深宇宙へと弾き飛ばされて絶叫している。しかし彼女の叫び声もメッセージも、もう誰にも届かない。

 

■雑感・メモ等

*映画『ライフ』(2017)

*レンタルにて鑑賞

*地球外生命体系SFホラー

*お話の構造自体には目新しさはないけど、丁寧に作られていて見易く好感が持てる。更に言うとギレンホールが好き。

*最終パート、デビッドの方はカルビンと力が拮抗してる感じで短めに映してくれたら良かったのに。あの時点で完全に負けていて、着水時にはこちらがデビッドだよなと明白過ぎる。ミランダの録音とその後の絶叫は、とても毒を感じて好き。

*酸素キャンドルと言うものに馴染みがなかったので検索してみたら、JAXAの頁が引っ掛かった。「非常用の酸素発生装置SFOG(Solid-Fuel Oxygen Generator):塩素酸カリウム(KClO4)や過塩素酸リチウム(LiClO4)のカートリッジを加熱分解することにより酸素を製造します。これは“キャンドル(ろうそく)”と呼ばれています。このカートリッジの小缶は、1日間1人のための十分な酸素(600リットル)を発生します。カートリッジを缶に入れ、点火ピンを引くと化学反応で加熱が始まり酸素が放出されます。これは、旅客機の乗客用に用意されている酸素マスクと同じ技術です。旅客機では緊急時に酸素マスクが落ちてきて、乗客がぐいと引っ張ることで、点火装置ピンが作動します」との事。この説明文を読むと映画に出てきたものとはデザインが違うようだけど、原理としては同じなのかなと。

*この酸素キャンドルを抱え込むカルビンが「あったかい…」てな風情で妙に可愛いんだよね。

*劇中に出てくる絵本はそのまま『Goodnight Moon(おやすみなさいおつきさま)』

*序盤に「『死霊のしたたり』だな」「分かり難い喩えね」「マニアにはピンとくる」との台詞あり。