逆殺館 | m-memo

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ネタバレだらけの映画メモ。

忘れ易いので自分用にメモしてます。
ネタバレ部分は詳細を記載することもあれば、
二言三言のこともあります。

 

■あらすじ

両親を亡くし孤児院で育ったヘーゼルは、人生を取り戻すために身代金誘拐を企てる。エイドら仲間たちとダイヤの元締めであるハドソン家に忍び込み、首尾よくひとり娘のキャサリンを誘拐。身代金として300カラットのダイヤをせしめようとする。しかし、キャサリンを廃墟に監禁しハドソン家に電話をするが、一向に誰も出ない。エイドらが様子を見に再びハドソン家に忍び込むが、そこにあったのはハドソン夫妻と神父の死体だった。一方、廃墟でキャサリンを見張っていたヘーゼルだったが、キャサリンの様子が何かおかしい。彼女は、「私を解放しないと、全員が死ぬことになる。」とヘーゼルに伝えるが…。(メーカーサイトより)

 

■ネタバレ
*ヘーゼルは幼い頃に火事で両親を亡くし施設で育った。マークとはその施設に居た頃からの付き合いだ。ヘーゼルの恋人エイドは近々被告として出廷しなければならないが、その前にパナマへの逃亡を企てている。エイドのいとこジェームズを加えた4人が犯罪で繋がった仲間だ。「まともに生きる最後のチャンス」として、ヘーゼルはダイヤ取引の元締めを標的にする事を仲間に持ち掛ける。娘を誘拐して、多量のダイヤを要求するのだ。
*6週間の準備期間を経て、計画を実行に移す4人。ヘーゼルは「銃はあくまで護身用」と念押しする。狙いのハドソン家に侵入しようとすると入口は施錠されておらず、警報システムもセットされていない。裏口も同様で難なく入り込める。拍子抜けしながらもエイドが廊下を進んで行くと、壁には一人娘キャサリンの写真が飾られている。夫妻の寝室では、横たわった人影は微動だにしない。鍵穴に刺さったままになっていた鍵で寝室を施錠しておき、誘拐の対象である娘を探す。
*エイドがキャサリンの部屋に入ると、クロゼットの扉が軋んで開く。クロゼットの壁には何かの文様が刻まれている。それを見て訝るエイドの背後で、フードを被った人影が立ち上がる。銃口を向けると、素直にキャサリンが両手を上げる。汚れた顔、鬱血した眼。
*キャサリンを捕まえて隠れ家に戻る4人。そこは古い工場跡で周囲に人影はない。キャサリンを地下室に鎖で繋いで、動いたら分かるようにベルも付けておく。監視カメラも設置済で万全の体制だ。キャサリンは自由を奪われる事を嫌がるが、どこか強気で「私を自由にするのがお互いのためよ」と言う。彼女は何故か傷だらけで、このままでは『無傷で返す』とは言えない状態に見える。
*隠れ家では電灯が不安定に点滅する。ジェームズが暗闇で人影を見た気がするが、電気を点け直すとシルエットは消える。気のせいだったと思いその場を立ち去るジェームズの背後に、血塗れの女が現れる。ジェームズはそれに気付かない。
*脅迫用の動画を撮影しようとするが、キャサリンはそれに抵抗する。ヘーゼルが「パパを大好きなのは分かるわ。でもパパは酷い事をした、他人の物を奪ったの。これで帳消しになる」と説き伏せると、キャサリンは協力的になる。動画は、300カラット分のダイヤを要求する内容だ。
*動画をメールで送信するが固定電話にも携帯電話にも繋がらず、これでは取引が出来ない。3日後の裁判までに高飛びしたいエイドは焦れる。已む無くハドソン家の様子を見に戻る事になるエイドとジェームズ。森の中を車で走りながら「厄介事はいつも俺達2人の仕事だ」とジェームズはボヤく。運転の荒いエイドには「ちゃんと見て運転しろよ。少なくとももう身内を殺すな」と釘を刺す。エイドは苦い表情だ。
*キャサリンが激しく鎖を振ってベルを鳴らすと、電気系統が完全にダウンする。まずはモニタを復旧する必要がある。機械類の担当であるマークが階上で操作して、ヘーゼルが地下のブレーカーを見に行く事になる。キャサリンは地下で鎖に繋がれたままだが、突然ヘーゼルの背後に傷だらけの女が現れる。気付いたヘーゼルは驚き後退るが、電気を点けるとその姿は消える。ヘーゼルがキャサリンに近付くと腕を掴んできて、突然歌を歌い出す。それはヘーゼルが幼い頃によく歌っていた曲だ。何故その歌を知っているのかと驚くと「他にも知ってるわ。誘拐した理由も、何故私を選んだのかも…あの火事で両親を亡くして、罪悪感に苦しんでるんでしょ?自分だけが生き残ったから」と言うキャサリン。「私を解放して。でないと今夜、全員死ぬわ」
*エイドとジェームズがハドソン家に到着すると、先刻は気付かなかったが酷い臭いが充満している。リビングの果物は腐っているが、これだけが原因ではないようだ。怪訝に思いつつエイドは寝室へ。布団を捲ると、ハドソン夫妻は胸を引き裂かれて血塗れの状態で死んでいる。死後日数が経過しているようだ。混乱して部屋を出ると、最初に押し入った時には正面を向いていたキャサリンの写真が右向きの横顔になっている。次いで左向き、そしてまた正面を向いてニタリとした笑みを浮かべる写真。目を強く瞑って再び開くと、キャサリンの写真は最初に見た状態になっている。勘違いしたのだろうと安堵するが、ふと横を見るとそこには血塗れで顔中にガラスが突き刺さったジョージ―が立っている。ジョージーこそ、エイドが[事故で殺してしまった身内]だった。絶叫するエイド。
*エイドと分かれて屋内を探っていたジェームズは、地下から人の声がする事に気付く。家族が隠れているのだろうと考えて地下室へ。しかしそこには人影がなく「何故娘が?何故この家が?」と同じ台詞を繰り返すテープが流れているだけだった。やがて、この家の住人ではない存在に気付くジェームズ。十字架を身に着けた2人の男達。身体中に工具等が突き刺さって、神父達が息絶えている。
*まだ何も得ていないのに、これでは自分達が犯人だと疑われるだろう。車で逃げ出すエイドとジェームズ。森の中の道でガラスが突き刺さったジョージーがまた現れて、エイドが咄嗟にハンドルを切ってしまい車は横転する。反転した車内、エイドは意識がなくジェームズが先に動けるようになる。「助けを呼ぶ」と言い残し、車外へ出るジェームズ。痛む身体で森の中を歩いていると、傷だらけで血塗れの女が現れる。アジトでも姿を見せたそれは、ジェームズの母親だ。ジェームズは押し倒されて、蛇のように蠢く舌を喉に捻じ込まれる。
*意識を取り戻したエイドが、森の中でジェームズを発見する。「母親を見た、また俺を打ちのめしに来た」と呟く。「5年前に死んだ、あいつは今は地獄に居る」とジェームズを宥めるエイド。
*アジトでは、マークが娘サラの幻を見る。泣いている後ろ姿に声を掛けると振り向くが、それは顔の歪んだ恐ろしい怪物だった。発砲すると怪物の姿は忽然と消えてしまう。一方、ヘーゼルは姿の見えないマークを探す。物陰に、炎で燻ぶったような小さな人影が見えた気がするが一瞬の出来事だ。やがて周囲が煙に包まれ、火の手が上がる。熱くて掴めないドアノブ。焼け爛れた母の姿が自分を呼ぶ。煤けた天井の下に導かれると、指で書かれたような『隠れろ』『立ち去れ』『自らを救え』と言った文字が見える。ヘーゼルとマークはそれぞれ信じ難いものを見たため、互いの恐怖を理解する。

*エイドとジェームズが戻って来るが、ジェームズは覚束ない足取りで白い泡を吐き出し続けている。仕方なく部屋に1人で押し込めておく事にする。エイドはハドソン家に、夫妻と神父2人の死体があったと話す。悪魔祓いの痕跡も。何が起こったのか分かるかもしれないと、3人でエイドが持ち帰ったビデオ[キャサリンの記録]を確認してみる。怯えてはいるが、今の粗暴な様子とは違う表情のキャサリンがカメラに向かって話す。彼女は地下室にあった[サイン]を発見したと言う。1900年代からこの家では奇妙な死が続いている。1920年代には教会が調査もした。1941年にはメアリーと言う女性が孫と2人でこの家に移り住み、2週間後に孫を殺した。チーズおろし器で喉を掻き切ったのだ。1960年代に住んでいたのはドン一家。ドンが愛人宅から帰宅すると、妻が自分の眼球を抉り出していた。子供は洗剤を飲まされて既に死んでいた。デイヴィーズ夫妻の場合、夫のジョンはキャサリンの父の共同経営者だった。火事に遭い、娘のヘーゼル以外は死んでしまった。
*ヘーゼルが問題の家に住んでいたと知り、エイドとマークは驚く。ヘーゼルの両親の死後、キャサリンの父親が事業と家を乗っ取ったのだ。『周辺の家からは離れて孤立した金持ちの家、一人娘』と言う条件を満たしていたから誘拐の標的にしただけだと言うヘーゼル。しかし、エイド達からすれば黙って復讐に利用されたように感じられる。釈然としないが、ヘーゼルに促されてテープの続きを見る。
*再びキャサリンの映像。メアリーは第一次大戦で息子が戦死。ドンは末の息子を失い悲しみを引き摺っていた。ジョンはダイヤ強盗に兄弟を殺された。嘘のような話だが、誰かを亡くした後にこの家に住むと危険なのだ。これは[トラングールの呪い]によるもの。傷を抱えた魂が奪われる。キャサリンの[心の傷]は、3週間前に中絶した事だった。普通は頭の中では自分の声が聞こえるが、今は自分以外の声が聞こえる。最悪なのは、私がその声に従う事…キャサリンのその言葉でテープは終わっている。
*テープはもう1本あり、こちらは[悪魔祓いの記録]だった。「以前の娘さんとは違っていると、分かっている筈です」と話す神父。母は「何故娘が?何故この家が?」と言う。ジェームズが聞いた録音の台詞だ。神父によれば、ローマのバチカン教皇庁図書館には最古の聖書写本[バチカン写本]がある。それは神が記したとされる写本だ。学者や預言者が書いたのではなく、神の手で記録されたもの。悪魔の活動はバチカンと同じ緯線上に、魂を侮辱し嘲るように集中している。写本は霊的な力を発しているが、距離が離れる程その力は弱まる。この家は地球上で写本から最も遠い陸地にある。悪魔が活動し易い場所なのだ。トラングールは人間の恐れを具現化する悪魔で、弱味に付け込んで相手を乗っ取る。目的は自分自身の実体化だ。4人の魂を奪えば地上に出る事が可能。地獄の四隅に人間の魂を捧げれば、解き放たれて自由の身になれるのだ。退治する唯一の方法は、1人目を焼き尽くす事。魂を手に入れればその度に力が強くなるため、早い段階で食い止めなければならない。1人目であるキャサリンの悪魔祓いが行われる事になるが、既に魂は蝕まれ一体化しつつある。分離は出来ず、キャサリンを殺すしか手段はない。両親は必死で止めようとするが、神父達はキャサリンにオイルを浴びせて燃やそうとする。しかしキャサリンの力は強力で、ライターの炎は掻き消され工具が宙に浮かぶ。拘束されたままで工具を操って神父達の身体に突き刺し、両親の身体を切り裂くキャサリン。両親の遺体に「ベッドに連れてってあげる。直ぐにお客がやって来る」と話し掛ける。[お客]とはヘーゼル達の事だろう。彼らの来訪を知っていたのだ。
*急いで逃げ出そうとする3人。キャサリンを置き去りには出来ないと主張するヘーゼル。しかし連れて行く訳にもいかない。ここから充分に離れたら通報しようと言う事になる。その時、ジェームズが叫び出す。自分以外の声が聞こえるようで、頭を抱えて苦しんでいる。閉じ込めていた部屋にヘーゼル達が駆け付けるが、ジェームズの姿は消えている。出口に向かうと、ジェームズの身体が宙に浮き上がっている。彼をどうにかする事も出来ず、この出口から逃げる事も出来ない。3人は廃工場の中へ戻る。
*マークはヘーゼルと共にキャサリンの元へ。銃口を向けるが、キャサリンはヒトとは思えない声で「逃げられない、諦めろ、お前等の魂をいただく」と言う。マークは発砲して、その間にヘーゼルを逃がす。キャサリンには銃弾は効かないようで、マークは締め上げられる。「私に憑りつかれたら永遠に地獄に落ちる。娘に会いたいなら悪霊と取引しない?ヘーゼルとエイドの魂を差し出すなら、解放すると約束するわ」
*エイドは逃げた先でまたジョージーの幻を見る。「事故が起こったのは不運だった。気付いたらお前はもう死んでいて…運転席にお前を移動させて、罪を着せた事を怒ってるのか?もう全部警察にバレた、裁判があるんだ」泣きながら詫びるエイド。程なくジョージーは姿を消す。許されたのかどうかは分からないが、エイドはいとこを探し始める。
*ヘーゼルはエイドを探している途中で通気口を見付ける。人が這い進める程度の大きさがある。ここから建物の外へ逃げられないだろうか。金網を外そうとするが上手くいかず、更に金網越しに焼け爛れた身体が見えてそこから飛び退く。しかし、直ぐにその影は消える。
*ジェームズの顔・腕・腹部には悪魔の文様が浮かぶ。エイドがやって来て、血を吐き出しながら宙に浮かぶジェームズに発砲。そこにヘーゼルが合流して、2人でマークを探す。マークは2人の魂を差し出す事で娘に再会したいと望み、キャサリンの拘束を解いてしまう。キャサリンは蛇のような舌で2人の魂を奪おうとするが、やはりマークには家族同様のヘーゼルとエイドを見捨てる事は出来ない。マークがキャサリンの身体を押さえ込んで2人を逃がす事は出来たが、彼は蛇を飲み込まされる。
*ひとまずキャサリンの手から逃れたが、何処へ逃げれば良いのか。ヘーゼルとエイドの前に焼け焦げたヘーゼルの母が現れて、行き先を示してくれる。それは例の通気口の方向だ。金網を外そうとしているとキャサリンに追い付かれる。銃で撃てば後退はさせられるが、ダメージは与えられない。キャサリンの背後には、変わり果てたマークとジェームズもやって来る。漸く金網を外す事に成功したエイドは、ヘーゼルだけを通気口に押し込んで自分はキャサリン達と向き合う。発砲するも弾丸は空中で浮いたままになり、逆にエイドの方へ弾かれる。弾に身体を貫かれるエイド。もう長くは持たない。彼は魂を奪われる前に、拳銃で自ら頭を撃ち抜く。
*ヘーゼルは涙を流しながら通気口を這い進み、やがて倉庫の外へ出る。森の中の横転した車に辿り着くが大した武器もなく、蛇と化す舌を持つキャサリン・マーク・ジェームズに取り囲まれる。絶体絶命と言う状況の中、焼け爛れた母が現れてマークとジェームズを焼き尽くす。ヘーゼルはレンチでキャサリンの頭部を繰り返し殴打、弱ったところでオイルを浴びせて車に放り込む。「地獄で焼かれな」と吐き捨てて点火。車は火柱を上げて炎上、遠くで緊急車両のサイレンの音がする。ヘーゼルは夜の森の中、1人で駆け出した。

 

■雑感・メモ等
*映画『逆殺館』

*レンタルにて鑑賞
*南アフリカ製侵入系+vs.悪魔系ホラー

*ジャケットでは『虐』に×印が付いていて『逆』に書き換えられている。こう言うの嫌いじゃないよ。

*そしてジャケットには『返り討ちホラー』とか書いてあるから、誘拐の標的の方に特殊なスキルがあったりするお話かな?と勝手に妄想してたんだけど、冷静に考えたら押し入った家の娘が生きていて両親が死亡してたらおかしいよな…ジャケット画像も明らかにおかしいよな…。

*そんな訳で思っていたのとは違ってガッカリしてしまったけど、一方的で理不尽な悪魔よりは物理攻撃が有効な悪魔は個人的に好感度高い。(銃弾が効かないかと思えば工具が効いたりして謎だけど。)

*キャサリンがあれこれ言っていた過去の事件では別の悪魔が実体化していて、今回はキャサリンを1人目にして新たな悪魔が出現しようとしている…と言う事で良いのかな。実体化した後はどうなるのか分からないけど。(それとも毎度同じ悪魔トラングールが実体化しようとしては燃え尽くされて失敗してリセットされてるの?)ヘーゼルの父親は魂を奪われたけど、母親は血が繫がった肉親が死んだ訳ではないから地獄に堕ちる事は免れてヘーゼルを守った?それにしても母が強過ぎてちょっと笑った。

*悪魔祓いを試みる神父が、対象者を積極的に殺そうとするのは珍しくてこれもちょっと笑った。