ドント・スリープ | m-memo

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ネタバレだらけの映画メモ。

忘れ易いので自分用にメモしてます。
ネタバレ部分は詳細を記載することもあれば、
二言三言のこともあります。

 

■あらすじ

米国内で、健康体の人間が睡眠中に死亡するという事例が多数発生。原因は不明で、「悪夢死」として世間を騒がせていた。アルコール依存症だったベスも、毎晩悪夢にうなされていた。それは、金縛りにあったまま、何者かに首を絞められるというものだった。心配した姉のケイトはベスの通院に付き添うが、依然として悪夢が収まることはなかった。ある夜、ケイトも奇妙な夢を見て目が覚め、胸騒ぎがしてベスに連絡をするが、彼女はその晩、眠りについたまま帰らぬ人となっていた。その事件からケイトも悪夢を見るようになり、ベスの恋人エバンと共にその謎を探ろうとするが…。(メーカーサイトより)

 

■ネタバレ

*弁護士のケイト・ボーマンは、双子の妹ベスの(そして自分の)28歳の誕生日にサプライズパーティに招かれる。画家でベスの恋人であるエバンに誘われたのだが、姉妹は仲違いしていてベスは不機嫌になる。不仲の原因はベスのアルコール依存症にあった。ケイトはベスを救いたいと思っていたが、ベスは「家族を放り出して他人ばかりを助けている」と感じてケイトを拒絶したのだ。どうにかベスの気持ちを解きほぐすケイト。

*ぎこちなさもあるが楽しい時間が過ぎる中、[睡眠障害]についての話題になる。ダリルは夢遊病の症状があるらしく、クロゼットに放尿した事を妻リンダに暴露される。一方のリンダも、悪夢を見て叫んで飛び起きた事があるようだ。ベスは思わず「私は目覚めた時に動けない事がある。何かに首を締め上げられるの」と話すが、周囲の共感は得られない。

*結局また不機嫌になり、両親と猫のトリックスが待つ家に帰るベス。しかし、その夜も悪夢で飛び起きる羽目になる。翌日ケイトは助けを求められ、妹に付き添って病院へ。サイクスと言う女医からベスの症状は[睡眠麻痺]だと説明される。睡眠中に一時的に身体が麻痺する現象で、米国だけでも年間300万件以上の症例が確認されていると言う。通常は目覚めと同時にスイッチが入って身体が動くようになるが、稀にそのスイッチが入らず脳だけが覚醒するのだ。ベスは「自分は何かに首を絞められる」と訴えるが「それは身体が謂わば[サバイバルモード]の状態になっていて、パニック・呼吸困難・幻覚が起こる」とサイクス先生は言う。妹の症状は説明可能なものだと納得するケイト。もし次に症状が出たら、抵抗せずに身を委ねてみたらどうかと提案する。

*ベスも幾らか安堵したが、その晩ケイトが悪夢を見る。自分がベスになっていて、周囲が暗くなり、麻痺して動けない状態で老婆に襲われる夢だ。ベスも同じものを見たのではないかと感じ、深夜だが実家に電話をする。父親にベスの様子を見て欲しいと頼むと、彼女はもう息絶えていた。

*ベスの葬儀で、睡眠障害の専門医ハッサン・デービーズと言う男に声を掛けられるケイト。「力不足だった」と項垂れるハッサンに「あなたのせいじゃないわ、喘息の発作だったみたいで」と言うが、ベスには喘息の持病はない。ハッサンもそれを知っている。

*両親を気遣い、ケイトは暫くベスの部屋に滞在する事にする。後日、彼女はトリックスを連れてエバンの住居兼アトリエを訪ねる。トリックスは彼が飼う方が良いと考えたためだ。エバンはベスと2年付き合っていたが彼も依存症で、ケイトは「エバンがベスを堕落させた張本人」と考えている。一方エバンは「パーティに誘うまでは、ケイトはベスを放置していた」と思っている。口論になるが「ハッサンが胡散臭いからサイクス先生を受診した」とエバンから聞き出す。

*サイクス先生を訪ねると、彼女はハッサンについて「有害無益」「免許を剥奪された」と話す。ハッサンの間違った診療がベスを死に追いやったのではないかと感じるケイト。施設にはリンダも居て、彼女も睡眠麻痺の治療を受けたと知る。皆の反応を見て、恥ずかしくて言い出せなかったと言うリンダ。

*ハッサンを呼び出し医師免許の件について詰問する。ハッサンはサイクス先生について「元同僚だが、見た目通りの奇人で自由思想の持ち主だ。物事の全体像を見られない」等と話す。実際にはハッサンの方が余程風変わりに見える。彼は『モン族文化センターの事例研究』と言うファイルを持ち出す。睡眠中に死亡した何百件もの事例を30年間に渡って調査したものだ。全員が健康体で、死亡の医学的理由は見付かっていない。そして全員が「醜悪な何かが身体に圧し掛かり、首を絞めてきた」と証言している。それは[腰掛ける亡霊]と呼ばれている。ハインリヒ・フュースリーが1781年に描いた絵もそれがモチーフになっているようだ。そして睡眠麻痺の別名は[鬼婆症候群/オールド・ハグ・シンドローム]だと言う。ハッサンはケイトの様子を見て、彼女も鬼婆を見たのだと察する。「危険が迫っている、君を助けたい」と言うハッサンを残して、ケイトはファイルを持ち帰る。

*帰宅してバスタブに浸かっていると、キャンドルの灯りが消えて周囲が暗くなる。悪夢の前触れだ。お湯も黒くなり、動けなくなって沈んでしまうケイト。どうにか解放されると家を飛び出す。車を走らせながらリンダに電話して彼女の症状を尋ねても、詳しく話したがらない。エバンを訪ねてまたハッサンの話をする。ベスは幻覚だと思い込もうとしたが、ハッサンに現実だと言われて心底怯えていたと言う。

*ハッサンの事を調べると、1989年にアメリカ睡眠障害協会の会員になっている。7歳の時に、夢遊病の父親が階段から転落死するのを目撃したのが切っ掛けのようだ。彼が睡眠障害の専門家である事は間違いないらしい。睡眠障害については100万件以上ものサイトが存在し、恐ろしい形相の鬼婆の絵が掲載されているものもある。アジアでは先祖の怨霊と考えられ、アラブ人は妖霊(ジン)と呼ぶ。古英語では悪魔(メア)であり、その派生語が悪夢(ナイトメア)だ。エバンが「シェリル・クロウがインタビューで睡眠麻痺の話をしてる」と話し始めると、ケイトはもうソファで眠りに落ちている。エバンも別のソファで横になると、ふいに周囲が暗くなり、鬼婆に歯を引き抜かれる悪夢を見る。

*エバンが傍に居る事で安心したせいか、熟睡出来たケイト。逆にエバンはずっと起きていたのか、一心不乱に絵を描いていてケイトの呼び掛けにも反応しない。実家に戻ると、ハッサンの資料を見付けた両親が「こんなものはエセ科学だ」と咎める。もうベスの部屋で眠るのは止めろと忠告もされる。

*その後、悪夢が再開したリンダに呼び出されて2人でサイクス先生を訪ねる。リンダを治療した際には「きちんと幻覚である事を説明した」と言うサイクス。ケイトは「世界中で大勢の人が同じものを見てる、私達も見たわ。幻覚じゃない」と反論するが「折角リンダは治ったのに」「とんだ迷信マニアだわ」と罵られる。

*電話の着信音を切っているエバンの部屋へ直接押し掛けて「リンダも同じものを見ていたわ、信じないだろうけど」と訴える。エバンは「信じるさ」と言い、今朝描いていた絵を指差す。それは昨晩の悪夢で見た鬼婆の姿だ。

*リンダはサイクス先生に説き伏せられて家に帰る。夫ダリルに電話が繋がらず苛立ち、アルコールで薬を流し込む。するとリンダの周囲が暗くなり、自分が居る部屋で夫が浮気する悪夢を見る。夫の過去の浮気がまだ彼女を苦しめているのだ。悪夢の中の浮気相手の顔が鬼婆に変わると、本物のダリルが帰宅。リンダの目は開いているがダリルに反応しない。彼女は悪夢の中で鬼婆に首を締め上げられているのだ。ワインと薬に気付いたダリルが慌てて駆け寄るが、リンダはそのまま死亡する。

*翌日ケイトがリンダの家に行くと、サイクス先生に出迎えられる。リンダは酒と薬で自殺したも同然だが、恐怖を煽ったのはケイトだと非難される。「不幸を悪魔や亡霊のせいにするのは間違っている」とサイクスは言う。彼女はハッサンの治療法を頑なに否定している。

*エバンと一緒にハッサンを訪ねて、友人のリンダが睡眠中に死んだと伝える。自分もエバンも最近まともに寝ていない。「睡眠不足は脳を疲弊させ、恐れや疑念は心を疲弊させる。弱った心が鬼婆を呼ぶんだ」「一旦狙われれば繰り返し襲われる。弱り切って抵抗を止めると殺される」「鬼婆は弱い者の恐怖心を捕食する。信じたら最後、信じる心が目印になる。狼煙のように鬼婆を引き寄せる」ハッサンの話を聞き、ベスに「抵抗しない方が良い」とアドバイスした事を悔やむケイト。

*動画投稿サイトで、鬼婆に打ち勝ったらしい男ジョン・パンを見付けるケイトとエバン。電話をすると冷たい態度の女性に対応されるが、彼はどうやら生きているようだ。ハッサンは「本当に鬼婆を倒したのなら自分が知っている筈だ。何千件もの医療記録を調べ、世界中の対処法を研究したのに」と訝る。しかし、ネット動画は調べていないようだ。鬼婆を本物だと感じたら勝てないが、幻覚だと信じられたら勝てるのかもしれない。

*電話で「彼は誰とも話さない」と言われたが、ケイトとエバンはパンを訪ねてオースティンへ。彼は生きていたが、鬼婆を撃退した訳ではなく単に1年以上眠っていないだけだった。寝ていないから睡眠麻痺は起こらない。致死性の不眠症と診断され、余命は長くて2ヶ月。パンの家からの暗澹とした帰り道、ケイトが運転中に睡眠不足のせいで事故を起こしそうになる。エバンが気付いてどうにか事故を回避したが、このままでは睡眠麻痺以外の原因でも命の危険がある。

*ハッサンにパンの件を報告。実はハッサンも4ヶ月眠っておらず、パンと同じ運命にあると言う。高濃度のカフェイン剤を飲み、起き続けているのだ。どうしても必要な時には、2分後にアドレナリンが投与される薬剤注入ポンプをセットして眠る。鬼婆の絞殺には4~5分必要で、酸素不足による脳障害が起きるまでは3分。2分なら安全に眠る事が出来る。2分では寝た内に入らないと驚くケイト。傍にはデスフルランと言う麻酔薬も用意されている。少量で眠れるが、大量なら二度と目覚めない。これを使う予定はない。

*ハッサンの考えでは、鬼婆は夢と現実の境界線上に存在している。まずは身体的な脅威と戦う必要がある。身体が動かない事から恐怖が始まる。動けないと言う思い込みから完全な麻痺状態が完成するのだ。対抗策として、鬼婆の接触中に大量のアドレナリンを投与。鬼婆との繋がりを弱める。一度麻痺を解ければ、自力で動けるようになり戦う事が出来るだろう。リスクはあるが急ぐ必要があり、他に方法もない。

*ハッサンとエバンが見守る中、ケイトがソファで眠る。やがて鬼婆がやって来る。ケイトの目が開いていないため麻痺ではないとハッサンは判断するが、エバンが触れてみると麻痺が起こっている事が分かる。睡眠不足で手が震え、注射器を落とすハッサン。代わりにエバンがアドレナリンを投与する。作戦は成功し、鬼婆は姿を消す。ケイトからは離れたが、エバンにも同じ事をする必要がある。そこで、両親も資料を見た事を思い出すケイト。自分が強く言ったために信じてしまうかもしれない。急いで帰宅すると父親は居眠りしていたが無事で、母親にも変わった様子はない。

*資料を回収してひとまずは安心出来た。しかし父親がケイトとエバンが一緒に居る事を不審がるため、着替えも諦め服を抱えてエバンの部屋へ。着替えついでにシャワーを借りるケイト。エバンが眠そうだからと壁越しに話しているが、彼は途中で眠ってしまう。暗くなる部屋で鬼婆の絵から血が流れ、全裸のベスが(或いはケイトが)近付き「目を覚まして…あなた、眠っているわ」と言う。やがてシャワーを終えたケイトが昏睡状態のエバンを発見。意識が戻っても脳に障害が残るだろう。

*ケイトが居るエバンの病室に、ハッサンも見舞いにやって来る。彼は「繋がりは弱まったが未だ倒せていない、またやる必要がある。戦うには自力で麻痺を解かなくては」と言う。ケイトは自信を持てないが、鬼婆は彼女の恐怖を一度味わったため殺すまで諦めない筈だ。時間が経てばケイトが衰弱もするため、今やるしかない。

*再びハッサンの家で鬼婆撃退に挑む。前回は過電流で照明が落ちてしまったため、今回はキャンドルを並べている。ケイトの悪夢と現実が一体化しつつあるのだ。ハッサンはベスへの[罪悪感]の他にどんな感情が隠されているか訊いてくる。ベスやリンダ、エバンにされた事に対しての感情は[怒り]だ。恐怖心と向き合い、怒りを解き放つ必要がある。

*念のためアドレナリンも準備もしておいて、ケイトが眠りに入る。程なくして暗くなり、鬼婆がやって来る。今回のケイトは目を開いている。「君の罪悪感が麻痺を起こしている、戦うんだ」とハッサンが励ますが、2分経過してしまう。諦めて再度挑もうとするが、薬剤注入の機械が動かない。ハッサンは「今行くぞ」と言うと、デスフルランで眠りに入る。

*ハッサンの意識の世界も暗くなり、鬼婆がケイトを離れてハッサンに向かう。その結果ケイトは目覚めるが、部屋の中にハッサンが居ない。彼を探していると何かの気配を感じて、咄嗟に包丁を掴む。そこへベスが現れて「目を覚まして」と言う。ベスに促されて部屋に戻ると、自分とハッサンが眠っている。未だ目覚めた訳ではないのだ。「私を行かせて。私を忘れたら、あなたは助かるわ」とベスに言われて、ケイトが「そんなの無理よ」と答えると、ベスの態度が冷たくなる。「出来るわよ、以前にもやったでしょ?助けて欲しかったのに見放したわ」「私を殺したように、リンダもベスもハッサンも殺した」そんな風に言い募られて思わず「ごめんねベス、許して」と謝るが、ベスの瞳が黒く染まる。ケイトは「あんたなんかベスじゃない」と包丁をベスの偽物に突き刺す。暗い悪夢の世界に戻り、どうにか身体を動かす事に成功するケイト。鬼婆に圧し掛かり、首を締め上げる。

*今度こそ本当に目覚めると、自分の手が鬼婆の残滓で黒く汚れている。倒したと言う証拠だろう。生き延びられたのはハッサンのお陰だが、彼は傍らで息絶えている。ケイトは彼の亡骸に触れ、家を後にする。

*「エバンが意識を取り戻した。先生は回復すると言ってるわ」とケイトがモニター越しに話す。ケイトは睡眠麻痺を再発しているが、彼女からは逃げ出したのか鬼婆が現れる事はない。彼女は複数の謎の死について尋問を受けた。危険が多いが、ハッサンの遺志を継ぐ事を決意している。鬼婆を永遠に封じ込めるのだ。情報を募るケイト。「でも気を付けて。奴はまだそこに居て、誰かが信じるのを待っているから」

*ハインリヒ・フュースリーの絵等の資料を広げたテーブル。そこはサイクス先生の自宅で、彼女は寝室で横になっている。サイクスがハッサンの主張を徹底的に拒絶していたのは、自分自身が鬼婆を見ていたからだった。やがて周囲が暗くなり、サイクスの悪夢の世界に鬼婆が現れる。

 

■雑感・メモ等

*映画『ドント・スリープ』

*レンタルにて鑑賞

*vs.悪魔系ホラー。内容的にはそれぞれ無関係だけどタイトル『ドント・**』系の1本でもある。

*台詞でグダグダと説明しつつ、特定の場所を行ったり来たりするスタイルの作品。個人的には嫌いなタイプだった。多少の理由付けは欲しいけど説明が長過ぎるし、設定上[悪夢]の中が舞台だから概ね実家・エバン宅・ハッサン宅のいずれかに居る事が多くて変化に乏しい。鬼婆も攻撃パターンが画一的。そして日本語だと[鬼婆]と言う語感にどうにも物足りなさが。音声では原語も吹替版も[オールド・ハグ]て言ってるけども。(因みに移動する姿は鬼婆と言うよりは貞子的。)

*怖かったのは、麻痺状態で動けない時に蜘蛛が眼球を這って行く場面。

*終盤で機械が故障した時に、ハッサンがデスフルランを使うのは何故なの。手動で(注射器で)アドレナリンを投与すれば良いのでは。多少手が震えてもどうにかならなかったのかな。

*自分のメモを読み直していて「年間300万件の症例」て間違ってるかと思った。多い。

*全くどうでも良いけど、ベスの部屋を見て『Life Is Strange』を思い出した。