サウスバウンド (2015) | m-memo

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ネタバレだらけの映画メモ。

忘れ易いので自分用にメモしてます。
ネタバレ部分は詳細を記載することもあれば、
二言三言のこともあります。

 

■あらすじ

謎の怪物/荒野を走る一台の自動車。疲れ切った顔の二人の男が乗っている。そしてかれらの自動車につきまとうかのように空中に出現する謎の怪物。怪物の正体は一体何なのか?彼らは怪物から逃げられるのか…

狂人一家/荒野をワンボックスカーで旅する女性バンド3人。タイヤがパンクをして困っていた彼女たちは、通りかかった夫婦の車に乗せてもらい彼らの家に一泊する事になる。しかし、彼ら夫婦は恐ろしい狂人一家だった…

残酷手術/荒野をドライブ中、飛び出してきた女性を轢いてしまったサラリーマン。彼は近くの病院に電話するが、電話に出た医者の指示で瀕死の女性を病院に運ぶ事になる。そして電話の医者の指示で緊急手術をする羽目になってしまう…

カルト教団/荒野を疾走する自動車。運転する男はカルト教団に入った妹の行方を探し出し、今からそのカルト教団に乗り込むつもりなのだ。そこで悲惨な結末が待っている事など知らずに…

殺人鬼/荒野を走る自動車。幸せそうな家族が乗っている。自宅に着いた彼らは、マスクをつけた残忍な3人の殺人鬼が家に侵入してきた事を知る。家族と3人の殺人鬼の壮絶な戦いが始まる…(メーカーサイトより)

 

■ネタバレ

*THE WAY OUT:血塗れのミッチとジャック、南へ向けて走る車。2人には宙に浮かぶ死神のようなクリーチャーが見えている。夜更けから朝になってもその姿は消えない。ガソリンスタンドに立ち寄ると、トイレの鏡にも死神の姿が映る。ジャックの腹部には大きな傷がある。捲り上げたTシャツを戯れのように強く引く死神。ガソリンスタンドが大きく振動するが、ミッチ達以外はそれに気付かないようで何の反応も示さない。外に出て再び走り出すと、何度も同じスタンドの前を通る事になり、その度に死神の数が増えていく。ミッチは車を停めるようジャックに言う。もう逃げるのは止めると。ジャックは「お前とキャサリンのためにやった事だ、走り続けて家に帰るべきだ」と主張するがミッチを説得する事は叶わず、1人で車に乗り込む。すると死神が突然距離を縮めてジャックに迫り、彼の口に腕を突き立てる。次は自分の番かと思ったが、死神はミッチに近付いて来ない。逆に死神を追うように歩いていると、モーテルに辿り着いた。傍らの赤いドアの内側からは大きなノックの音がする。中に入ると壁は血で汚れており、やがてモーテルとは違う家へと変化する。娘のキャサリンが助けを求めるが、近付こうとしても彼女はその度に姿を消してしまい、どうしても触れる事は出来なかった。

*SIREN:ミッチが入った赤いドア、その傍の部屋。中からは女性の3人組が出てくる。彼女らはスムースジャズのバンドで、車で移動してはライブを行っている。今日は不運にもタイヤがパンクしてしまった。スペアタイヤはなく、携帯電話は繋がるがGPSで現在地を表示する事は出来ない。歩いて行けるような距離に町もない。途方に暮れていると1台の車が通り掛かる。親切な態度だが、何か奇妙な雰囲気のある夫妻だ。夫妻は50年代のような暮らしをしているらしい。家に招かれ夕食をご馳走になるが、卓上にあるのが何の肉か分からない。菜食主義者であるセイディは肉を食べる事を断る。夫人は「アレックスの事は気の毒に」と言う。3人にはアレックスと言う仲間が居たが死んでしまったのだ。何故彼女の事を知っているのか?用意された部屋に戻ると「セイディは悪くないわ、誘われた男とセックスしたくてアレックスを放置したけど」と笑って言われる。怒ろうとすると、肉を食べた2人が黒いものを嘔吐する。夫妻はこれも得体の知れない液体を、薬だと言って2人に飲ませる。2人は無表情になり、古風な服を着せられて大人しくベッドに横たわる。深夜には何かの儀式が始まり、2人は夫妻の仲間になってしまったようだ。教徒になれば現在の姿を保てるようで、夫妻は何十年も変わらぬ姿で生きているらしい。彼らと、アレックスの亡霊にも追われるセイディ。どうにか昼間に走っていた道路まで辿り着くと、1台の車がやって来る。背後には死神が浮いている。車線に立って必死に手を振り助けを求めるが、余所見運転をしていた車に跳ね飛ばされてしまう。

*THE ACCIDENT:深夜、辺鄙な道を妻と携帯電話で遣り取りをしながら運転していたルーカス。直前までセイディに気付かず、ブレーキは間に合わなかった。彼女は頭部に怪我を負い、明らかな骨折が複数ある。かなりの重症だ。救急車を呼ぼうとするがGPSが役に立たず、現在地が分からない。遠くに灯りが見えると救急の担当者に告げると、自力で搬送するように指示される。戸惑いながらもセイディを後部座席に乗せ、町の灯へ向かって走るルーカス。どうにか町に到着するが人影も車もなく、病院の救急外来にも誰も居ない。電話は繋がったままで、電話対応の女性以外にも男性医師があれこれと指示を出してくる。ベルトで止血をして、チューブを探し出し気道挿管する。しかしセイディの容態は悪化するばかり。更に肋骨の下部を切開し、肺を押し上げるようにと言われる。流石に躊躇するが、彼女は今にも死にそうだ。思い切って指示通りにやってみると、セイディは遂に絶命する。嘲笑が聞こえ、ルーカスは思わず携帯電話を投げ捨てる。目的は不明だが揶揄われたようだ。病院から出ようとするが扉は開かない。絶望しているとまた電話から声が聞こえ、更衣室のロッカーを調べろと言う。血塗れの服を脱ぎ、ロッカーの中の白いシャツに着替える。今度は扉も開いた。新しい服のポケットに入っていた鍵で損傷のない車に乗る。そのまま帰って良いと電話越しに女が言う。ルーカスは電話を切り、死神の傍を通り過ぎて夜の道を走る。

*JAILBREAK:ルーカスと公衆電話で話していた女は満足気に受話器を置く。近くのバーに入って酒を注文。しかし、バーテンダーに「ドアに鍵を掛けないと酒は出さない」と言われる。「扉は閉まっているから大丈夫」と女は言うが、銃を持った男が飛び込んできた。ダニーと言うその男は「強盗じゃない」と言い、客に写真を見せて回る。妹のジェシーを探しているようだ。バーテンダーは彼女を知っていた。彼の手の甲にはジェシーが彫った刺青がある。手で顔の半分を覆うと、刺青の眼が本当の眼と同様に瞬きをする。その眼で見ると、ダニーが人ならざるものに付き纏われているのが分かる。バーテンダーはダニーをファストフード店の裏に連れて行く。ジェシーはそこで彫師をしていた。妹を13年間探し続けて男はすっかり老けていたが、ジェシーは全く変わらない姿だ。ダニーはバーテンダーを撃ち、ジェシーを連れて町から逃げようとする。やがて道は途切れて、前方には砂漠が広がる。そこは踏み込んではいけない場所で、入ったら走り続けるしかない。しかし、砂漠を走る内に車は壊れて動かなくなる。ジェシーは、両親を殺したのは自分だとダニーに告げる。「自分の居場所は自分で決めるわ。ここに居たいの」ダニーが車を降りると、彼に付き纏っていた何物かに襲われる。ジェシーは動くようになった車を運転して自分の居場所へ戻り、手で顔の半分を覆う。死神が宙に浮いている。そして、少女と目が合った。

*THE WAY IN:居合わせた女から「何を見てるの?」と責めるように言われ、ジェムは両親の待つテーブルに戻る。食事を済ませると借りた家に到着。母は「写真の方が良かった」と少々不満気だ。寛いでいるとドアがノックされる。こんな時間に、しかも住み慣れた土地でもない。外を見ても誰も居ない。困惑していると裏口もノックされ、正面も再びノックされ、その音は大きくなっていく。通報するが、警察の到着には30分程掛かると言う。窓から逃げようとするが、車の傍にはゴムマスクを被った男が待ち構えていた。父は「何が目的だ」と叫ぶが男は何も言わない。已む無く部屋に戻ると、ゴムマスクの男が3人、ドアを破って乗り込んできた。ジェム達は知らないが、それはミッチとジャック、そして仲間のシェーンだ。ジェムは両親と離れてクロゼットに隠れる。やがて両親は見付かり、ミッチ達に拘束される。相変わらず何も言わない男達。再び「何が目的だ」と言い、父は何かに思い当たったような表情になる。「償う方法を教えてくれ」母がその態度に困惑していると、男の1人が彼女に耳打ちする。夫のした事を知り嗚咽する妻。彼女の口に布を押し込み、鼻も塞ぐ男。父は許しを請うが、母はそのまま息絶える。その時、車のライトの光が部屋を照らし出しクラクションが鳴り響く。クラクションが鳴り続けるようにゴルフのクラブが固定されており、そこに人影はない。油断した隙に物陰からジェムが飛び出し、シェーンをハサミで刺す。ミッチとジャックの2人も駆け付けるが、ミッチはジェムに「行け」と言い、戸惑いながらも彼女は走り去る。ジェムを逃がしてくれた事に礼を言いながら涙を流す父。彼にキャサリンの写真を突き付けながら、ミッチは繰り返しナイフで刺す。そこへジェムが戻って来て、ジャックに深手を負わせる。「見逃したのに」と叫ぶジャック。ミッチはジェムを捕まえて、彼女も刺し殺す。全て終わったと思われたが、ジェムの腹から死神が現れる。続いて、彼女の両親の死体からも。シェーンは地中から突き出た触手に搦め捕られ、その場所から地面が次第に崩れ落ちていく。ミッチとジャックは死神の影を見ながら夜通し車を走らせ、やがてガソリンスタンドにやって来る。

 

■雑感・メモ等

*映画『サウスバウンド』

*レンタルにて鑑賞

*全5話からなるふりだしにもどる系オムニバス・ホラー。これはなかなか好きな1本。

*お話は原則的に独立しているけど、映像は区切りなく続いて行く形式。例えば1話の最後にドアが閉まって2話は隣のドアから始まり、2話の最後に主人公が車に轢かれて3話は轢いた方が主人公になる…と言う具合。道を軸としているオムニバスだから、シームレスなのは内容に合っていて良いと思う。更に最後の話と最初の話も繋がっている。

*1話と5話が好き。これは同じ監督が撮っていて、登場人物も被ってる。ここに出てくる怪物のデザインがとても良い。第一印象から[死神]と書いてるけど実際に何物なのかは謎。パッケージ中央にも居てるけど、本編の方が出来が良く見える。1話と5話以外でも、全部の話にチラリと映る。

*3話も面白い。死神が追い掛ける様子もなかったからルーカスだけは無事に帰宅出来たと思いたいな。最後に店の看板に[TRAP]て書かれてたように見えたけど、それはそこまでの内容を指しているんだよね?

*あらすじにある各話のタイトル、[カルト教団]は寧ろ2話のような。4話は闇に棲んでいる人達と言う感じ。あと5話は自宅ではなく、会話の内容からしてレンタルした家だと思う。

*南へ何処までも続く道、その周囲では明日も明後日も奇妙な事が起こる。その場所のある一夜を切り取ったと言う雰囲気が好き。謎があれこれ残ったり特に解決しなかったり、でもそれが良い。