■あらすじ
薬物所持と育児放棄の疑いで裁判を控えていたリンダはある夜、1台の車に連れ去られ森の奥に置き去りにされてしまう。首輪で繋がれ逃げ出す事もできずにいると、土に刺さった1本のパイプから女性の声が聞こえて来る。リリーと名乗るその女性は、棺桶に入れられ土の中に埋められているのだとリンダに告げる。そして他のパイプからも、同じく誘拐され埋められた者達の声が聞こえて来るのだった。(メーカーサイトより)
■ネタバレ
*リンダには4歳と5歳の子供が居るが、ドラッグに溺れた生活をしていた。娘の父親レイは刑務所の中。息子の父親カルロスの家を訪ねるが、話もしてもらえず追い出される。カルロスは女に押し入られたと通報もしたため、警官がやって来た。その時、車の中でドラッグを使用していたリンダ。更に近所に住む9歳の子供にシッターを任せていたため、育児放棄も加わり逮捕される。
*数日間拘留され家に戻ると、子供は保護され居なくなっており、家具も何も残されていない。他に稼ぐ手立てもなく夜の街で男を誘い、寝た後は財布から金を奪う生活。出入り禁止の店から追い出されて暗い道を歩いていると、近くに車が停まったため運転手の男に声を掛ける。男が車を残して店に行く事を嫌がったため仕方なく車に乗り込むと、薬を嗅がされ意識を失う。
*気が付くとリンダは森に転がっていた。ワイヤーの付きの首輪を着けられていて、その先端は大きな木の高い枝に固定されており自分では外せない。困惑していると地中から「水が欲しい」と声がする。よく見れば地面からパイプが何本も突き出している。数人の男女がそれぞれ棺桶に入れられて、地中深く埋められ横たわっているようだ。リンダはテーブルの上に置かれていた水をパイプに流し込んでやる。
*ドラッグの禁断症状に苦しみ、リンダは繰り返し嘔吐する。そこへ昨晩の男がやって来て、ジャスティスと名乗る。釘を踏んで怪我をしたリンダを手当てして食べ物も与えるジャスティス。彼は棺桶を用意しているがリンダを直ぐには入れようとせず、彼女はテントで眠る。
*翌日、リンダはジャスティスを誘惑しようとして怒らせてしまう。彼は朝までに誰を殺すか決めておけと言う。「陪審員と死刑執行人になるんだ」と。彼が言うには、埋められているのは教師をレイプで訴え生活を壊した者・バーで酔っ払って7歳の子供をバイクで轢き殺した者・13歳の女の子とセックスした者…等らしい。「正しい決断を下せ」と言い置いて、ジャスティスは立ち去る。
*リンダはパイプに向かって話し掛け、彼らが何をした結果埋められているのか聞き出そうとする。サムは埋められるまで1日しかなかったと言う。彼には妻と2人の子供が居るらしい。ディーナは両親が金持ちで、助けてくれたら大金を払うと話す。誰もが自分は潔白だと言う。リリーは埋められるまでに2週間あった。ジャスティスから言われた事をやったからかもしれない。今のリンダのように選択を迫られたのかと聞いてみるが、それには答えたくないと言う。彼女は「置いて行かないと約束して」と言い、トラックのシートの下に尖った石が隠してあると教えてくれる。
*ワイヤーの長さで動ける範囲に、朽ち果てて動かないトラックがある。中にはスニーカーも転がっていて、幸いリンダの足に合った。リリーの言うように石があったが、それ程鋭利ではない。結局、朝までワイヤーを叩き続けても切る事は出来なかった。
*戻って来たジャスティスは誰を殺すのか決めていないリンダに怒って、リリーのパイプを引き抜く。そうする事で砂が棺桶に流れ込むようになっているらしい。泣き叫び、せめてリリーの苗字を教えて欲しいと頼むリンダ。リリーが「子供達に伝えて欲しい、傷付けるつもりはなかったと。時間が有限だとは思っていなかった」と言っていたためだ。しかし、ジャスティスは無情にもその願いを無視する。
*翌日は車で運ばれて、公園で遊ぶ子供達を見せられる。せめて少しでも長く見ていたいが、ジャスティスはそれを許さない。森に戻され、ジャスティスが去った後に尖った石で叩き続けていると遂にワイヤーが切れる。森の中を走るリンダ。するとジャスティスのものらしい小屋があり、そこにも繋がれている女が居て助けを求めてくる。停められたトラックの中には鍵はなく、倉庫にも役立ちそうな物はない。已む無く女を残してまた森を走っていると、元居たのと同じようにパイプが何本もある場所に出る。掘られた穴で転倒して狼狽えていると、ジャスティスが追い付いてきて捕まってしまう。
*次の日は穴を掘れと命じられる。深さは6フィート。自分の墓を掘るのは嫌だと拒否すると、ジャスティスはパイプを抜いて棺桶を1つ埋めてしまう。その後彼が立ち去ったため、リンダは与えられたシャベルでキャシーを掘り返す。一緒に逃げようとするが、キャシーは戻って来たジャスティスに撃たれて埋められる。
*失意の中、スコップの先端でワイヤーを切ろうとするリンダ。そこへジャスティスが新しい獲物を抱えてやって来る。そして「最後の夜を楽しめ」と言うとまた帰って行く。意識のない新しい被害者に呼び掛け、ワイヤーを切るように頼むリンダ。もう少しなのだが、自分の手は皮が捲れて血だらけなのだ。女は泣きながら先に自分のワイヤーを切ろうとするが、リンダに強く言われると幾らか冷静になり協力してくれる。やがてワイヤーが切れたため今度は女の分を切ろうとすると、ジャスティスが戻って来る気配がする。助けを呼ぶからと、女を置いて森を走るリンダ。
*夜が明ける頃森を抜けて、舗装はされていないが車も走る道まで辿り着く。たまたま車で通り掛かった老人に助けを求め、リンダは一番近い町まで運んでもらう。
*どうにか助かったが、刑事はリンダの話を信じずまともに取り合ってくれない。彼女は依存症を抜け出し真実を話していると訴える。新しい担当の刑事は、別の3人がリンダと同じ話をしたと言う。一通り話し終えると、刑事に貰ったまま吸わずに持っていた煙草を返すリンダ。ドラッグも煙草も止めると決めた。
*実はリンダが経験した事は、彼女の父親が更生計画への参加を依頼した結果だった。ジャスティスも被害者達も、リンダを町まで送ってくれた老人さえもスタッフだったのだ。キャシーが撃たれたと思った時にはリンダは背を向けていたし、リリーは棺桶の中には居らずモニターの前に座っている。新しい依存症患者がワイヤーに繋がれると、リリーはマイクに向かって話し始める。「誰か居るの?私はリリー。水をくれない?」
■雑感・メモ等
*映画『エンドレス・フィアー』
*動画配信サービスにて鑑賞
*簡潔にネタバレを言うと、全てがお芝居。棺桶系+お芝居系スリラー。
*このタイプのお話はご都合主義が過ぎると感じる事が多いけど、今作も御多分に洩れず。森の中でそんな正確に動向を把握出来ないだろと思う。危険も伴うよね初日から結構な怪我してるし。尺の前半1/3程度でリンダのどん底生活が描かれていて多少の荒療治が必要かなと思う部分もあるけど、自分が傷め付けられた事に加えて何も出来ずに3人死なせて2人置き去りにし(た事になっ)てる訳だから、それはそれで酷いトラウマになりそう。1人の依存症患者に対してコストが掛かり過ぎでは?とか色々考えてしまう。
*リンダが一切語らないので両親と何があったのかは不明だけど、父親がこんな特殊なプログラムに申込むくらいならもっと早くに子供達をどうにか出来なかったのかな。リンダが逮捕されるまで無理だったのかもしれないけど。そもそもよく親権持ってたなと言う気もする。