パーフェクトマン 完全犯罪 | m-memo

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ネタバレだらけの映画メモ。

忘れ易いので自分用にメモしてます。
ネタバレ部分は詳細を記載することもあれば、
二言三言のこともあります。

 

■あらすじ

作家志望の青年マチュー・マーサーは、運搬業で生計を立て屈折した日々を送っていた。仕事で身寄りのない孤独死した男性の遺品を片付けていると、故人が書いたアルジェリア召集兵の日記を見つける。日記を盗み自分が書いたように仕立て“黒い砂”というタイトルに代え、出版社に売り込むと、本は出版され、たちまちベストセラー作家となる。周囲にもてはやされ名声と富豪の娘アリスを手にしたマシュー。早く新作を書いてほしいと出版社から催促されるが、自らの才能では新作が書けずイラつく日々を過ごしていた。常にマシューの才能と行動を疑いの目で見る富豪の娘の友人スタンの視線。サイン会の席上で、「盗んだものの代償を支払え!」と、突然、男から脅迫される。虚栄に固執し続け、脅迫、催促、疑心に追いつめられたマシューの人生の歯車が徐々に狂い出してきた。(メーカーサイトより)

 

■ネタバレ

*マチュー・ヴァサーは小説家を夢見る26歳の青年。書き上げた小説『陰の男』を出版社に送るが、定型文で素気無い断りの返事が戻って来る。本当に読んでいるのかと訝って出版社に電話をするが、疎ましがられたのか電話を切られてしまう。

*マチューは運送業に就いている。ある日、故人の荷物を撤去する仕事が舞い込む。その部屋にはレオン・ヴォーバンと言う老人が、単身で長く住んでいたらしい。彼の日記を見付けたマチューは興味を持ち、革のカバーが掛かった手帳を持ち帰る。戦争について綴った日記に夢中になり、その内容を書き出して小説に仕立てる。タイトルはこれも日記に走り書きされていた言葉から『黒い砂』とした。

*セルクル出版に送ると、直ぐに編集者マルサンから連絡が入る。是非出版したいと言う内容だ。「17日に会いたい」と言われるが「その日は用事があるから」と31日延ばしてもらう。その間に戦争についての資料を読み漁り、文学者のインタビュー等を見て参考にするマチュー。持ち帰った日記やヴォーバンの写真は後々証拠とならないように燃やしてしまう。本は無事に出版され、マチューは成功を収める。

*3年後、マチューは美しい恋人アリスから別荘に招かれて、彼女の両親と対面する。アリスは過去に大学で『匂いと文学』と言う内容で講義をしていた事がある。マチューは運送業の仕事中にたまたまそこに居合わせて、彼女に一目惚れしていた。アリスも彼女の両親もマチューを称賛するが、そもそも『黒い砂』は自力で書き上げた訳ではない。その後1行も書けていない状態で、出版社から原稿料を何度も前借りしている。エージェントからは次の本の原稿を厳しく催促され、週末までに送れなければ前借り分は返金させると言われてしまう。

*別荘にはアリスの父親のお気に入りであるスタンもやって来る。アリスの父親が名付け親で、アリスとも長い付き合いらしい。彼は『戦争論』フランス語版の初版を手土産に持参しており、アリスの父親を喜ばせる。マチューも『兵法の奥義』と言う本を持って来ていたがスタンに引け目を感じ、結局渡せないままになる。

*マチューはふと思い付き、以前自分が書いた『陰の男』の作者名をマルク・エデンと変えて、さり気なくアリスの目に触れさせる。「マルサンから書評を頼まれたが時間がない」と言うと、アリスが「読んでみるわ」と言う。彼女はなかなか最後まで読み切れず、途中まで読んだ段階で「薄っぺらで、出版出来るとは思えない」と評価する。

*小説は書けず、銀行からは「残高がマイナスだ」との連絡が入る。追い詰められたマチューは2人組の暴漢に襲われたように装う。パソコンや車を壊して、フロントガラスに頭をぶつけて服を破く。その結果、原稿の納期を少し延ばしてもらう事に成功。安堵したのも束の間、別荘に日記の主レオン・ヴォーバンの写真が送られてくる。

*アリスの父親がお膳立てしたマチューのサイン会。3年前に1冊出版されただけだが、多くの人々が集まる。ヴォーバンを名乗る男にサインを求められ、更に「死者の記憶を奪ったな」と耳打ちされる。写真を送ってきた人物だろう。日記の存在を知っているのだ。男と2人だけで話すと、口止め料として5万ユーロを要求される。盗作について証拠はないと突っ撥ねようとするが、日記について知る男がどんな切り札を持っているかは分からない。

*「2日経ったが連絡がなく、携帯電話も繋がらない」と別荘の固定電話に連絡してくる男。アリスの今日の服の色も知っていて、どうやら近くから見ているようだ。現金には余裕がなく、困ったマチューは「彼女の父親の銃を渡す」と約束する。アリスの父親は見事な銃のコレクションを持っているのだ。夜中に銃を盗み出す事は成功するが、アリスの父親が一番気に入っていた銃が残っていた事をスタンに怪しまれて、隠しておいた銃を発見されてしまう。揉み合いになり咄嗟に掴んだ銃で頭を殴ると、打ち所が悪くスタンは死んでしまう。

*マチューはスタンの荷物を鞄に詰めて、死体と一緒にバスルームに隠す。彼の携帯電話から別れの挨拶をメールで送り、黙って出て行ったように装った。夜になると死体をビニールシートに包んで、2階の窓から投げ落とす。海まで運んでボートで沖に出て、死体と荷物を海へ沈める。一息つく間もなく巡視船のライトを浴びて、海に飛び込むマチュー。必死に泳いで岸まで戻り、アリスの眠るベッドに潜り込む。

*レオン・ヴォーバンを知る男に、マチューは盗んだ銃を渡す。男はひとまず入手したものに満足したようだ。彼の父親とヴォーバンが戦友だったらしい。別荘に戻ると、アリスに最近の言動を責められる。昨夜も起きていたようで、一晩中姿を見せない事や怪し気な電話が多い事で浮気を疑っている。彼女から妊娠している事も告げられたマチューは、執筆活動が上手くいかない事や彼女を心から想っている事を伝える。伝えられない事実も多くあるが、アリスは納得してくれる。

*マチューは何かが吹っ切れた様に書き始める。タイトルは『偽り』。昼夜を問わず集中して書き続け、やがて作品が完成する。充足感を得るが、丁度そのタイミングでスタンの遺体が発見される。スタンは揉み合った時に相手を引っ掻いていたらしく、容疑者の皮膚片が発見されている。徹底的なDNA検査が行われるようだ。ヴォーバンを知る男からも再び脅迫があり、マチューはいよいよ追い詰められる。

*アリスの父親の家に連れて行くと偽り、脅迫者と一緒に車を走らせるマチュー。「高価なものが揃っている」と誘ったのだ。コインを挟む細工でシートベルトが使えない状態にしておいて、スピードを上げて崖に突っ込む。マチューはシートベルトとエアバッグに守られるが、男は絶命。男を運転席側に移して、アリスから贈られた腕時計を男に着けると、用意しておいたガソリンを撒いて火を放つ。後日、マチューの死を伝えるニュースが流れる。

*2年後、マチューは日雇いの仕事に就いている。髭を伸ばしていて風貌も変わっている。本屋には新作で遺作の『偽り』が並ぶ。自分が[死ぬ]前に、出来上がった原稿をアリスに渡していたため出版が可能だったのだ。作品の評価は不明だが、話題性はある。覗いた本屋には、出版キャンペーンのために訪れたのであろうアリスが居た。赤ん坊を抱えた彼女を見詰め、そのまま立ち去るマチュー。アリスもその後ろ姿を見て何かを感じるが、男は振り返る事なく雨の中を歩いて行く。

 

■雑感・メモ等

*映画『パーフェクトマン 完全犯罪』

*レンタルにて鑑賞

*フランス製スリラー

*盗作した男の顛末。この題材で転落以外の着地点はあまり見ない気がする。

*タイトルからして機転を利かせて窮地を脱するタイプなのかと思ったんだけど、割と行き当たりばったりな風情。スタンについては運が良かったなと言う感じだけど、脅迫者の方は流石に無理を感じる。2人はかなり年齢差もあるし、燃やしても色々と分かる事があるのでは。

*脅迫者についても謎が多い。父親と戦友だったからと言っても、日記の存在やその内容を詳しく知っているものだろか。部屋に遊びに行って日記を読んだ事があるとか言う事なら、ちょっとは説明が欲しかった。

*冒頭、マチューの部屋には[1日2500字書け]と言うスティーブン・キングの言葉が紙に書かれて貼られている。

*『偽り』の内容は不明。字幕で表示されるのは「執筆とは才能の…」「それは呪いだった」「失敗の1つは…」のみ。盗作以降の実体験をベースにしていたら面白くなる可能性はあったかも。そうでなくても夭逝した作家の遺作となれば、話題性はあるから出版されたんだろうけどね。