■あらすじ
湖畔の静かな別荘を久しぶりに訪れたサラ、そして父親と叔父。しかしその家からは、不気味な音が鳴り響き、最初に父親が殺されかけ、そして次に叔父が襲われる。誰もいない部屋で鳴るシャッター音とまぶしい光に、恐怖に追い詰められるサラ。闇のなか、彼女を追い回すのは一体誰なのか?!(メーカーサイトより)
■ネタバレ
*家を売却する事になり、父と共に旧家に戻ってきたサラ。彼女は進学も就職もしておらず、今は取り敢えず父を手伝っている。文句を言いながらも叔父も手伝ってくれている。
*幼い頃に一緒に遊んだと言うソフィアが訪ねてくるが、サラは彼女についての記憶がなかった。「昔の事を覚えてなくて…頭に穴が空いてるみたい」と言い訳するが、ソフィアは気にした様子もなく「後で写真を持ってくる」と言う。固定電話は繋がらず携帯電話も圏外だが、直接来るから問題ないと。
*ソフィアと別れ、叔父も一旦家を離れると、電気も点かない暗い家に父と2人になった。家を離れていた間に何者かに窓を残らず割られてしまい、板で塞いでいるせいで昼間だと言うのにランタンが手放せない。父は散らばった写真を慌てて仕舞いながら、サラに片付けを促す。
*薄暗い中で整理を進めていると、父以外の何者かの気配がする。危険を感じ、逃げ惑うサラ。やがて頭から血を流して倒れている父を発見し、泣いてばかりもいられなくなる。助けを呼ばなくては。
*侵入者から逃げながら、サラはどうにか外へ出る。すると、立ち尽くす少女の姿を見る。そこへ叔父の車が戻って来た。父が襲われた事・家の中に男が1人居た事・先刻見た少女の事を訴えるが、叔父は少女を見ていないと言う。
*助けを呼んで欲しいと懇願するが、叔父は父の状態を見るために家に入って行く。車の中で1人怯えるサラ。気が付くとトランクが開いていて、人影も見える。慌てて家の中に入り叔父と合流する。
*父が倒れていた場所に叔父を案内するが、血の跡を残して父の姿は消えていた。父を探して改めて家の中を確認していると、途中で叔父が慌てて写真を拾い集めてポケットに入れる。やがて暗闇の中で叔父も襲われてしまう。手近にあったカメラのフラッシュで周囲を照らしてみると、何者かの黒いシルエットが手を伸ばしてくる。
*怯えてビリヤード台の下に潜り込んで膝を抱えていると、2人の男が台の上で少女の写真を撮っているらしい会話が聞こえてくる。そして床の上を、腹部から血を流しながら叔父が引き摺られて行く。
*ベッドの下に隠れると、いつの間にか隣に少女が居る。彼女は足を掴まれ引き摺り出される。ベッドの上ではシーツから血が染み出す。バスルームでは少女が瓶の中身を浴槽に注ぎ、やがて赤く染まる。部屋の天井はカビで覆われる。この家の何処へ行っても、恐ろしい場所しかない。
*リビングで拘束された父を発見、傍にはソフィアが立っている。全て彼女の仕業らしい。やがて叔父が引き摺られてくる。引き摺っているのは自分だった。混乱していると、ソフィアが「終わらせたら?」とナイフを差し出してくる。取り乱してナイフでソフィアを切り付けると、自分の身体にも同じ傷が出来る。彼女は自分の別の人格なのだ。その事実を受け容れられないサラ。
*「お前は幻覚を見ているんだ、全部お前の考えた作り事だ。助けてやるから解いてくれ」と父が言う。しかし一部記憶が繋がったサラは、ソフィアが差し出した赤い箱の中の写真を撒き散らす。「これが父さんが私にした事よ」と泣き叫ぶサラ。
*それでも自分が自分でなくなる事に恐怖し、父の言う通りに拘束を解く。すると父は豹変し、ベルトを外してサラを鞭打つ。叔父がナイフを持ち「止めろ」と言うが、怪我をして倒れこんでいる状態では相手にならない。父が「情けない奴め」と叔父を罵っている隙に、サラはハンマーを掴んでそれを振り下ろした。「これは2人だけの秘密だからね」と、嘗て父が言った台詞を言いながら。
*命乞いをする叔父の傍にハンマーを放り出すと、サラは家を一度だけ振り返り出て行った。
■雑感・メモ等
*映画『サイレント・ハウス』
*レンタルにて鑑賞(動画配信サービスで再見)
*ウルグアイ製ホラー『SHOT ショット』のリメイクで、全編ワンカット風の撮影
*侵入系+それは自分だった系サスペンス
*過去に父から性的虐待を受けていて解離性同一性障害になった少女が、旧家に戻った事で不安定になり、父と叔父に復讐するお話。(鍵になる写真ははっきりとは映らず、虐待についての内容は明示されていない。)叔父は直接何かした訳ではなく見ていただけだったせいか、殺されはしなかった様子。
*あらすじでは「別荘」になっているけど、字幕の中にはその単語はなかったような。かなり大きな家で物も多いけど、実際のところどうなんだろ。携帯電話が圏外だし、人里離れた感じではあるのかな?でも「誰もいない部屋で鳴るシャッター音」は違うよね。自分でカメラを使ってた。
*「手伝いに来ない奴の物は捨てて良い」とか言う台詞があって、別離した母親の事なのかなと思ったけどこれもよく分からない。母親に事が露見して忌まわしい家を捨てた?とか考えたけど、その状況なら娘は父とは居ないだろうし。
*多重人格設定の場合、別の人格が表に出ている時は記憶が途切れると言うイメージ。(サラも「頭に穴」と表現している。)この映画は流れが途切れる事なくワンカット風に撮影されていて、見ている側は映像が現実だと捉えるけど、実際には主人公が[編集]した映像を見ている。そこが肝でもあり、釈然としない部分にもなる。何でもアリだもんね。
*お話が特別面白いと言う訳ではないけれど、殆ど1人で引っ張るエリザベス・オルセンは頑張ってた。