車もネットで買うのが普通になってきた(追記あり) | M3遣いのブログ

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ライカではなく、BMWのほうです(^^ゞ
日々想うことをまったりと・・・

先日、ブログを読んでくださった方からダイレクトメッセージで中古車の購入相談を受けました。


東海地方に住んである方が、ネットの中古車サイトに掲載されている九州福岡のBMWディーラーのクルマについて購入を考えているのでぜひアドバイスを、という内容でした。


僕自身は、単に運転好きでBMWの車歴もそんなに長くないので、何百万円もする買い物の是非をアドバイスできるような立場でもありません。


でも、僕のブログの試乗記を参考にしていただいたことが嬉しくて、自分もネットでできる限りの情報を集め、自分なりに良いと思った点、心配な点などをお伝えしました。




僕はこれまで、実車を見ずに車を買ったことは一度しかありません。


日本に十数台しか存在していないだろう、日本に正規導入されなかったBMW 1 Series M coupé(F87)です。


その際は、ネットでプライスASK(問い合わせください)と表示されていた車を見つけ、大阪府堺市にあるお店の担当者と何度もメールや電話でやり取りをして、車のコンディションや乗り味の特徴など、本来は自分自身で確認し納得してから購入すべき情報を、電話の向こうの担当さんの説明が信頼できると判断しての結論でした。


僕がそう感じた理由は、きわめて希少な1Mのエンジンの味わいや乗り味の特徴を、当時量販車の最上級グレードだった135iとの微妙な違いも含めて実に明解に、しかも乗り手の目線で詳しく説明してもらえたからです。


説明を聞きながら僕は、「この人は本当にクルマが好きで専門知識も豊富だ、この人の言葉は信用できる。」と思いました。


これが、僕の二十数台の車歴の中で「クルマを見ずに決めた」唯一のケースです。


もちろん、購入した1M Coupéは、担当さんの言葉通り本当に運転が楽しく、僕が好きなワインディングロード(峠道)をまさに風のように駆け抜けることができた極上のBMW車でした。





話が逸れました。


僕はこれからも、車を買うなら実際に見て納得してから、という姿勢は変わりません。

 

 

でも、昨今はコロナ禍でもあるし、以前のように運命の1台との出会いを信じて中古車販売店をたくさん回るというような買い方はもうできないし僕もしないと思う。


中古車ばかりか新車でもネットで契約まで完了してしまう時代です。


今回ネット購入の相談を受けてアドバイスさせていただきながら、ネットで比較検討して中古車を購入しようとする場合の、僕なりの留意点を整理してみました。



1.可能な限り販売店に行って、実車を見て運転席に座って、できるだけ試乗してから買う(店との往復に多少費用や時間がかかっても、長い目で見れば良かったと思えるはずです)

 

 

中古車の試乗は距離が延びるため嫌がられるお店も多いですが、気に入れば必ず買うという態度で頼めば試乗させてくれることもあります。


僕がディーラーの担当さんから聞いた話ですが、福岡の拠点にある中古車を、関西地方から飛行機に乗って見に来て、またすぐ空港に引き返すというお客さんもおられたそうです。



2.ネットで同グレードの複数のクルマを比較して、破格に良い条件(価格・年式・走行距離・オプション等)の物件には、必ず理由がある。


僕自身の経験を書きます。


今のM4は、長い付き合いのあるディーラーの担当さんの紹介で買いました。

 

 

新車登録後わずか半年・走行370kmというまるで新古車みたいな極上車でしたが、同じM4(前期)からわざわざ乗り換えたいと思えるほど破格の条件でした。


そのディーラーで新車で購入された前のオーナーさんが、購入後数か月も経たないうちに接触事故を起こしてしまい、別メーカーの車に乗り換えると言われてディーラーで修理して買い取った車だったのです。


担当さんは、修理箇所や修理費用等も教えてくれ、フレーム等には影響のない修理なので修復歴には当たらない旨、丁寧に説明してくれました。


車はBMWインディビデュアル(オーダーメイド)のボディカラーとカタログには載っていない内装色(アマロブラウン)が組み合わされていて、どちらも僕が理想とする色でした。


当時同じ条件で新車で注文したら総額で1,300万円以上。僕には一生乗れないはずの車でした。


でも、一期一会の出会いによって、今こうしてアズライトブラックのM4とのカーライフを楽しめています。

 

                 (福岡市東区志賀島)



本題に戻りますが、他の物件と比較して明らかに安いと感じられる場合は、必ずお店に確認することをお勧めします。


信頼できるお店(担当営業さん)なら、納得できる回答を得られるはず。逆に、安さの理由を曖昧にしか説明してくれない場合は、何かあると疑ったほうがいいかもしれません。


ネットの掲載情報の「修復歴なし」=無事故車、ではないのです。




もうひとつ(2台分)実例を挙げます。


僕と同じようにスポーツカー大好きな知人がいますが、ポルシェ911→ジャガーFタイプと乗り継いで、今はメルセデスAMG GTに乗っています。(どんだけお金あるねん!)


購入直後は、掘り出し物を見つけた!と大喜びしていたのですが、最近なぜか浮かない顔。


聞けば、エンジンをかけるとアイドリング中も運転中も、センタートンネルの辺りから「シャラシャラ」という気になる異音がするらしい。


販売店に掛け合ってみたけれど、「不具合でない限り音に関しては保証対象外」とにべもなかったそう。


ネットで検索すると同様の症状に悩まされているユーザーさんが複数いるみたいだけど、みんな大金持ちで細かいことを気にしない人たちばかりらしく、「運転に支障があるわけではないから」と皆さん寛大に受け容れている様子。


彼は自己負担してでも異音の解消をと考えたそうで、見積もりを依頼したら数百万(ドライブシャフト交換・しかも音がなくなるという保証はない)と言われ泣く泣く諦めたとか。



同じ彼(ごめんね何度も出演させて)。


セカンドカーで、ベース車FIAT500のABARTH(アバルト)695カブリオレに乗っています。日本限定30台の希少車だそう。へぇ〜


ネットで見つけて即買いしたのはいいけれど、納車された車は傷や劣化が目立ついわゆる「ハズレ」の車だったそうです。


「ネットの写真では綺麗そうに見えたんですけどね」


当たり前じゃん。写真なら、あえて傷の部分を撮らなかったり綺麗に見せたりすることなんて簡単なんだから。


極めつけは屋根(ソフトトップ)が紫外線で日焼けしていて、ツートンカラーになっていたらしい。


彼は怒り心頭で販売店にクレーム入れたけどなしのつぶて。


「(ABARTHの母国である)イタリア大使館に抗議してやろうかと思いましたよ!」って、矛先間違ってるよ。


結局、日焼けした屋根のまま走るのが我慢できなくて、自費で数十万出費して新品交換。


AMG GTも、ABARTHも、実際に車を見て乗っていれば上記のようなトラブルは未然に防ぐことができたはず。


引き合いに出して申し訳なかったけど、皆さんはどうか彼のような買い物をしませんように。




3.どの車を買うか、と同じくらい、どの店で買うか、というのがとっても大事。


ブログでも何度も書いてきたけれど、僕はクルマ選び=お店選びだと、長年のカーライフを通じて思います。


お店との関係は、購入する時がスタート。


ちょっとした不具合や法定点検、万が一のリコール時の対応など、誠実かつ丁寧な応対をしてくれるお店かどうかは何度か通っていればおのずと判ってくる。


加えて、信頼できると思える営業担当者さんが見つかればなお良し。



M4を購入したディーラーの担当さんとは、10年近くのお付き合いになります。きっかけは、中古車情報誌に掲載されていたBMW E90 320i(6MT)を僕が電話で問い合わせたのが始まりでした。


その車はすでに売れてしまっていて、車の購入そのものが担当さんとの出会いではありませんでした。


もし、最初にお店で僕の電話を取ったのがその担当さんでなければ、僕のカーライフはまた違ったものになっていたかもしれません。



そう思う理由があります。


担当さんは当時まだ若い方でしたがとてもマメな人で、僕が車を購入した後も、左ハンドル車やMT(マニュアルトランスミッション)や希少な車が入荷すると必ず電話やメールで情報を送ってくれました。


3台前に乗った蜜柑号(E92_M3コンペティション・ファイアオレンジ)も、そうやって情報をもらって購入したものです。


担当さんはその後、肩書も偉くなってお店も2回変わりましたが、僕はその度にその担当さんがいるお店でメンテナンスを受けています。


僕のような、店が変わっても担当さんについていくお客さんも多いらしく、遠方のお客さんのところまで往復するのが大変だと言われてありました。

 

 

でも、ついてくるお客さんが多いということはその人が優秀な営業さんであることの証でもある。


車で通える範囲でついていきますので、どうかこれからもよろしくお願いします。




信頼できる担当さんを持つメリットがもう一つあります。


それは、正式にネットに掲載される前の入庫したばかりの車の情報を提供してもらえる可能性があること。


もし、ピンポイントで探している車種・カラー・グレードの中古車がある場合、全国ネットの中古車情報サイトやディーラーの専用サイトに掲載されると、同じ車を探している人から問合せが入り、すぐに商談中になってしまうことがあります。


少しでも早く情報を得られることで、探している物件をいち早くゲットできるチャンスが増えるかもしれません。



以前のブログで、信頼できるお店かどうかを判断するポイントを挙げたことがあります(『愛車遍歴(番外編)その2』)が、ネットで車を買うのが普通になってきた今、ネットや電話だけでそれを判断するのは難しくなりました。


中古車情報サイトには、お客の口コミ情報なども掲載されているけれど、評価が高い=信頼できると判断するのは早計だと思います。


車は、安い買い物ではないと同時に、長く付き合い、きほん毎日乗るもの。後悔しないよう、あせらずじっくり選びたいと僕は思います。

 




【2021.8.14追記】


AMG GTの彼の後日譚です。


彼「この前話してたGTなんですけど、乗るのが嫌になったので売りました。」


僕「えっ、そうなの?・・で、次のクルマは?」


「同じGTの4ドアの63にしました。来月納車予定です。」(注:メルセデスAMG GT 63S 4MATIC)


「ちなみに、それって下取りなしでいくらぐらい?」


「2少し切るくらいですかね。」


「・・・」


きっと彼には、どんなにお金を使っても困らない神様が取り憑いてるに違いない。とっても羨ましい。



でも、音が気になるのにどうしようもないとわかって、最終手段で買い換えるという彼の気持ちは分からんでもない。



余計なお世話だけど、同じクルマの2ドアと4ドアなので、同じ症状が出る心配はないのかな。FRと四駆だし、シャシーも違う(63SはCLSベース)から問題ないのかな。



彼が、(異音が出ないことを)実際に乗ってみてちゃんと確かめてから買ったであろうことを祈ります。