大晦日に格闘技RIZINのTV中継を観ました。
堀口恭司選手の、猛攻を耐えに耐えた末の最終ラウンド終盤での劇的な逆転勝利(チョークでのタップ)の余韻が残る中さいたまスーパーアリーナで行われた、ボクシング界の伝説の男フロイド・メイウェザーと、キックボクシング界の風雲児、那須川天心とのエキシビジョンマッチ。
体重(計量時4.6kg差)で二階級以上も差があること、キック禁止のボクシングルールでの試合と、天心に圧倒的不利の条件下で行われたこのマッチメイク自体、当初から疑問視されていて、残念ながらその不利を覆すことはかなわず1回TKO(ダウン3回、セコンドからタオル投入)となった試合後には、「そもそも無謀過ぎた」「一歩間違えば天心の選手生命が奪われかねなかった」と、ネット上で非難の嵐が渦巻いている。
でも、素人の僕が生で試合を見ていて本当に感動したし、観られてよかったと思っています。
確かにメイウェザーは、明らかにすべてを舐めきっていたし、試合で本気を出したとも思えない。10億円とも囁かれるギャラを手にプライベートジェットで物見遊山の観光に来たついでに、日本の生意気な若造と遊んでやった、くらいのものだろう。
一方の天心は、ハンディを背負うのは百も承知の上で、本気で彼を倒すつもりだった。不利なボクシングルールで戦うための準備も怠りなく、彼にとってはエキシビジョンでもショーでもなく、真剣勝負で50戦無敗の王者メイウェザーに正面から挑んでいった。
その彼に対して怖いもの知らず、という見方は正しくないと思う。ただの「オレが最強だ」とか「勝って名前を上げてやる」というビッグマウスではなく、格闘家の本能として自分より強い相手と戦いたい、という純粋な気持ちで臨んだと確信できる。
それを商業的に利用された、という解釈はさておき、パンチを食らって倒れる時の驚愕の表情、彼がこれまで経験したことのないダメージを受けながらも、相手から目を離さず必死で立ち上がろうとする姿。
終了のゴングが鳴らされてからずっと号泣していた天心。試合翌日にネットに掲載されていた、試合後の天心のインタビュー記事を読み、ふだん格闘技をほとんど観ないド素人の僕が、このブログを書きたいと思いました。
天心の言葉。
「自分しか、メイウェザーを知らないんです。」
そう、彼は日本人の(ボクサーを含めた)格闘家として間違いなく、ずっとこの言葉を真実として語れる資格を持っている。メイウェザーとリング上で向き合った139秒は、20歳の彼にとって数年分のキャリアにも勝る何にも代えがたい経験だったに違いない。
それだけで、昨夜の試合は十分すぎる価値があったのだと僕は思います。
蛇足ですが、TV中継の解説席にいろんな人が座っていましたが、一番まともなコメントをしていたのがGACKTだと思いました。正月の特番(格付けチェック)での真贋を見分ける才能にいつも感心させられていますが、あらためて彼の多才ぶりに驚かされました。
なんだか新年にはそぐわない内容になってしまいましたが、今年もどうぞよろしくお願いいたします。
年末年始はほぼ仕事でつぶれてしまっているので、せめて良い天気に恵まれますように。また、皆様が笑顔で過ごせる一年になりますように。