前回からの続きです。(完結編)
あえて118dの不満点を挙げるとすればふたつ。
ひとつは、最近のほとんどの車種に搭載されているエネルギー回生システムの、挙動への影響。
このブログでも何度か書いてるけど、やっぱり僕は、どうしても慣れることができない。
自分でブレーキをかけていないのに、アクセルを抜いた時や減速時に不自然に乗ってくるGは、たとえわずかな感触ではあっても運転の楽しさを瞬時に吹き飛ばし不快にさせられます。
ほんの数パーセントの燃費向上のために、「駆け抜ける歓び」を明らかに阻害するこんなシステムをどうしても載せないといけないのかな。
辛うじて、現行Mモデル(F80系M3&M4)には採用されていないのが、せめてもの救い。どうか、走りを極めるMにだけは今後も搭載しないでほしい。
もうひとつは、メーターパネルの視界。
ステアリングはBMW共通デザインの3本スポークで、上半分の半月状の空間から計器盤全体を見通すようになっている。
僕は、ほんの一部でもメーターが見えないのは嫌いなので、四苦八苦してチルトやテレスコをいじって微調整するけど、どうやっても表示の一部(特に最下段)がステアリング中央部に邪魔されて隠れてしまう。
たぶんあと10ミリ、ステアの径を大きくしてくれたらすっきり全体が見えるのに。
これはおそらく、パネルの表示領域が以前(E8X系)に比べると大きくなっているからだろうと思います。改善・・されるかなあ。
・・なんか、同じことを書いた気がすると思って以前のブログを見返してみたら、1年以上前に118iの試乗記でやっぱり全く同じことを書いていました。
うーん、僕が神経質なだけなのかな。
ところで、3気筒ですと言われていたエンジンにもかかわらず、振動や音が気にならないのはさすがBMWだなあ、と思っていたけれど、このレポートを書くためにネットで118dの仕様を確認したところ、エンジンは直3ではなく2,000ccの直4でした。
出力は150ps、トルクはディーゼルらしく35.2kgm(1,500rpmから)と強大。
ちなみにガソリンモデルの118i(直列3気筒1,500cc)は、136ps・22.4kgmで、車重(118dが50kg重い)の差を考慮しても118dの圧勝。
価格は118iが21万円安いけど、カタログ燃費は118dが22.2km/l、118i(ハイオク仕様)が18.1km/lで、ハイオクガソリンと軽油の価格差や、購入時の減税額を考えれば実質的な差はないと言っていい。
118iも、非力なスペックからは想像できないほどの気持ち良いパフォーマンスを発揮してくれる(「118i試乗記」参照)けど、絶対にディーゼルは嫌だ!という人でなければ、僕は118dのほうをお薦めします。
総評です。
BMW 118d(スタイル)
次のモデルチェンジでFF化が明言されている1シリーズ。
BMWの技術力を持ってしても、FFのネガを消すことは不可能(2シリーズで体験済み)だったことを考えると、新車300万円台で、FR(後輪駆動)での「駆け抜ける歓び」を味わえる、文字通り最後のモデルです。
それはディーゼルであっても、少なくとも常用域では運転の楽しさをスポイルするものではない。
燃費計の表示では、市街地での平均燃費(渋滞あり)は約15km/lで、高速など長距離になればさらに伸びるはず。
軽油の安さを考えれば、コストパフォーマンスは抜群。年間走行距離が長い人ほど、そのメリットを享受できます。
デザインも、LCI前のブサカワ顔から、スマートな今どきのBMW顔に変わり、個性は薄まったけど万人受けはするだろう。
競合車は輸入、国産を問わず数あれど、絶対にライバル車たちが真似のできない唯一無二の要素。
それが、四輪自動車として最も理にかなった駆動方式とされる、後輪駆動です。
他の条件に妥協すべき点があったとしても、僕はこれだけで現行1シリーズを選ぶ価値が大いにあると思います。
最近メルセデスが、一度は捨てた直6エンジンを復活させることを発表して話題になっているけど、BMWは、3気筒エンジンの導入は仕方ないにしても、次期1シリーズFF化の流れをもう一度見直してくれないのかなあ。やっぱり無理だろうな。
せめて、FFは1&2シリーズだけに留めて、3シリーズ以上には絶対に採用しないでほしい。
FFベース四駆のM3とか想像すると、背筋が寒くなります。
BMWエンスーの、小さな呟きです。
航続距離 残り955km!おそらく、実際にはこれ以上走れます。(燃料タンク容量は、52リットルです)
エコドライブを極めて、無給油でどこまで行けるか限界にチャレンジしてみたい・・