視聴率絶好調のTVドラマ「逃げ恥」を毎週観ています。
主人公の津崎平匡さんの仕事は、IT会社のシステム開発担当、という設定。
前回のお話の中で、システムに予期せぬトラブルが発生し、大勢の社員が連日会社に缶詰め状態で昼夜を問わず対応に追われる、という場面がありました。
その大騒ぎの中で同僚から新たな不具合を報告された平匡さんが、「今日はバグの日か!」とつぶやいて頭を抱えるシーンが。
唐突に、僕の遠い記憶が甦ってきました。
もうかれこれ20年ほど前、平匡さんと同じシステム開発の仕事をしていて、プログラムを書いたりシステムのBug(虫=不具合)潰しに明け暮れたりしていた日々を。
例えばクライアントから「こんなリストを出してくれ」という要望がくると、まず丁寧にヒアリングをおこなって、何のためにどんなリストがいつまでに必要なのかを特定し、可否を判断して開発に着手します。
急ぐものであれば、複数の担当者で分担することも多い。例えば、データ抽出のプログラムは僕、並べ替えと制御プログラム(JCL)はMさん、帳票設計と印刷はNさん、とか。
プログラムは過去の資産が多数あるから、ゼロから作るより既存のものをコピーして必要に応じて作りかえるほうが早い。
古い資産の署名欄に先輩の名前を見つけて懐かしんでいたら、そのプログラムの中にちょっとした悪戯(お遊び)を見つけて「あの気難しいひとが・・」と驚いたり。
ひと通り書き終えると、コンパイル(ぷよぷよの開発会社名じゃないよ)といってコンピュータでエラー(論理)チェックをかけます。
〓COMPLETE〓
の表示が出るまで、ひたすらバグつぶし。初心者の僕は、エラーの原因がわからずに先輩に泣きついてしまったこともしばしば。
また、コンパイルがOKでも、設計ミスでデータが途中でループしてしまって走らせたプログラムが永久に終わらないなんてこともある。今となってはいずれも懐かしい思い出。
その部署にいた間に、システムトラブルで「逃げ恥」の平匡さんのようなてんやわんやの状況になってしまったことが数回ありました。
そんな時は1分でも早く復旧しないと大変なことになるのがわかっているから、関連会社の社員にも緊急動員をかけたりして関係者総出で対応。
大きなシステムになると、1本あたり3,000行にも及ぶプログラム数十本で動かしていることも珍しくなく、その中からバグを見つけ出す作業は、まさに砂漠の中でアリ1匹を探すようなもの。
そのうちのたった1回だけど、空も白み始めた夜明け前に最初にバグ(原因)を見つけたのが僕だった、なんてこともあったっけ。
僕は、ゼロから発想して何かを生み出す創造性は低いと自覚しているけれど、論理的にエラーの原因を追及していく過程は嫌いじゃない。
実際にプログラムを書いていたのはたった3年ほどの期間だったけど、その間に得た貴重な経験は今でも役に立っています。
中でも、専門用語だらけのSEさんの説明が論理的に理解できるのは大きな強み。
「あー、その要望だと、○人月ほどかかりますねぇ」という見積もり(見立て)に、どのくらいハッタリが含まれているのか。「できません」の本当の意味は?(技術的に不可能なのか、やれるけどやりたくないと言っているのか)
SEさんには嫌がられると思うけど、けっして意地悪をしようと思っているわけではないです。これからもよろしくお願いします。
それにしても「逃げ恥」の今後の展開が気になります。人見知りの僕は、平匡さんのあたふたを、「あるある!」って、つい自分と重ねて見てしまっています。
がんばれ、平匡さん。みくりさん、もっと素直になって、いいんだよ。