M3とはどんなクルマだったのか | M3遣いのブログ

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ライカではなく、BMWのほうです(^^ゞ
日々想うことをまったりと・・・

1Mクーペ納車から1ヶ月を過ぎ、ぼちぼち所有レポートを書いてみようと思っているのですが、その前にどうしても自分自身で整理しておきたいことがあります。


それは、


「M3って、結局どういう車だったのか?」


ということ。


蜜柑号(E92_M3コンペティション)はおよそ1年半弱という短い所有期間だったけど、乗って分かったこともあるし、その一方で手放してみて初めて、「そうだったんだな」と納得することもある。


今日はそのことを書いて、蜜柑号への惜別の詞としたい。


結論から先に。


「M3って、高級車だったんだなー」


別に、お金(蜜柑号の新車価格は1,200万円近く)のことではありません。


1Mに乗って蜜柑号との違いを実感するたびに感じるのが、M3の上品さというか優雅さというか、懐の深さというか器の大きさというか、まあ、そのへんの言葉で表される感触。


M3は、ドライバーに求めるものが少ない。どんな運転をしても、クルマなりにそれを呑み込んで、現れる挙動はあくまでも紳士的。


その一方で1Mは、ドライバーに逐一的確な操作を要求してきます。もしそれを怠るとエンジンはグズってボディは不平を鳴らし、決して思い通りには動いてくれない。


もう少し具体的に書くと、例えば発進加速でM3なら1速⇒3速⇒5速・・その後は広いパワーバンドを生かしてセミオートマ風に、と手抜きでよかったけれど、1Mではそうはいかない。


きっちり1速から順番にシフトアップ&シフトダウンしていかないとスムーズに走ってくれないし、パワーバンドはM3に劣らず広いのに常に細かい操作をドライバーに要求してきます。


これは、排気量やパワーの差だけでない、BMWがクルマ造りで意識したM3と1Mの性格付けの違いによるものだと、僕は思います。


BMWは、昔から常にポルシェを意識して車を造ってきた。E30から登場したM3も、当時数々のレースでしのぎを削っていたポルシェ911をライバルとして、お互いに切磋琢磨しながら走行性能を高めてきた自他ともに認める好敵手同士だった。


その後もM3は、性能やニュルのラップタイムなどで911を強く意識し、新型を出すたびにライバルへの優位性をアピールしてきた歴史がある。


しかしポルシェ911は、RR(リアエンジンリアドライブ)で4座(2+2)のスポーツカーというアイデンティティを守りながらも、ターボや四駆、GTシリーズなどバリエーションを増やしていき、最近のラインナップでは素のカレラでも1,300万円、GT3に至っては2,500万円超と、M3やM4とは別カテゴリのクルマ(半分スーパーカー?)になってしまったと言っていい。


そんな流れの中でM3は、単純に速さを追求するスポーツカーから、箱型乗用車という基本思想を守りながら2+2ではない4座という特徴を生かして、GT(グランドツーリング)カー、もしくはスポーティーカーという位置付けに路線変更を余儀なくされたのだと思います。


現行M3&M4のライバルはもはやポルシェではなく、メルセデスのC63AMGであり、アウディならRS4かな。ある意味、今のM3はダウンサイズされたM5のような立ち位置に変化しているように見えます。


M5は、ある程度社会的地位のある人が自ら運転するために乗る「ステイタスカー」としての性格が濃い。M3もそれに追随して同様の道を歩もうとしているのなら、冒頭の僕の感想「M3って、高級車だったんだなー」というのも合点がいくような気がします。


BMWに乗るならば、いつかはM3。そう思って夢を持ち続けてきました。それは、M3こそが僕が子どもの頃から憧れたBMWの頂点に君臨するスポーツカーだと固く信じてきたから。


M3を手放した今、その憧れが少し違っていたことを残念には思うけど、後悔はしていません。


高速域での絶対的な安定性と超高速コーナリングは1Mを含め他の追随を許さないことは間違いないし、8,400rpmまで回せる4リッターV8自然吸気エンジンが奏でるシンフォニー(サウンド)は、まさに「官能的」と呼ぶのにふさわしい。


もう一度M3に乗りたいか?と聞かれたら、僕は迷うことなく「また乗りたい」と答えます。


ただし、もう少し歳を重ねて、ドライバーとしての仕事がしんどくなってきたら、という条件付きで。