愛車遍歴(その18)BMW_M3(7) | M3遣いのブログ

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ライカではなく、BMWのほうです(^^ゞ
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E92_M3ドライブレポート、今日は「曲がる」「止まる」を中心に書いてみたいと思います。


ひとことで結論を言うと、ハンドリングは「重厚」。E46で感じられた軽快さと、手足の先にタイヤが付いているような人車一体感は、残念ながらE92への世代交代で影を潜めてしまった。


理由を考えてみる。ホイールベースを含むボディサイズはE46からわずかに拡大したが、操作感を大幅にスポイルするほどではない。


車重も50kg増加(1,580kg→1,630kg)しているけれど、それを遥かに凌駕するパワーアップ(343PS→420PS)を果たしているので、重量増が原因でもないだろう。もちろん、BMWがこだわる前後重量配分もほぼ同じ。


僕が考える理由。


第一には、パワーステアリングが油圧式から、電動電子制御に変更されたこと。これによって、ステアは総体的に重くなり、狭いワインディングを右に左に素早く切り返すような場面でも相当な力(握力と腕力)が必要になった。


さらに、モード切換によってスポーツ走行をしようとすると、エンジン出力やサスのセッティングに応じてステアも自動的にさらに重くなる。また、ノーマルモードであっても、車速感応式なのでコーナーの進入速度が高いと切り返しがやけに重い。


第二に、BMWにおけるM3の戦略的ポジションが、従来(E36→E46)よりもさらにスポーツカーからGT(グランドツーリング)カー寄りへと設計思想が変わったのではないかと感じます。


それを感じるポイントは、静粛性の大幅な向上であり、電子制御サスによる滑らかな乗り心地であり、アクセルワークに対する微妙に緩やかなレスポンスであったりする。


GTカーに求められるのは、どっしりとした(直進)安定性や、長時間乗っても疲れない快適性能なのだから。


もちろん、420馬力のモンスターを例えばロードスターのようにひらひらと軽快なハンドリングで動かせたとしたら、それはそれで違和感があるだろう。


M3が8,400rpmまで回せるV8エンジンの官能、そして圧倒的パワーと引き換えに失ったもの。それが、ドライバーとの一体感の喪失であり、ハンドリングの軽快さであると、二世代のM3を乗り継いだ僕は正直に思う。


一方、コーナリングそのものについては、軽快さを失ったことによるマイナス面と、重厚さがもたらすライントレース時の粘りというメリットが同居しているように感じます。


先述したように、狭いワインディングで左右を頻繁に切り返すような場面ではステア操作に労力を割かれて走りを楽しむ余裕がなかなか持てない。


しかし、コーナーで路面いっぱいにゼブラペイントが盛られているような路面不整の激しい道だと、電子制御サスと優秀な左右トルク配分によって、E46では段差によってリアが浮き気味になって不安定になりがちだった場面でも蜜柑号はドライバーにストレスを感じさせることなく難なくクリアしていく。


以前E92_M3(左MT)試乗の際に感じた、「上りならE92、下りならE46のほうが速く走れそう」というコメントは、両車を所有してじっくりと乗り比べた後でも変わらない。


今思えば、通い慣れたいつもの峠でタイム計測しておけばよかった。そうすれば、上りと下りでどちらが速く走れるのか、数字(タイム)が証明してくれる。


妄想。


ストレートで圧倒的に速いE92を、コーナーでE46が追い詰める。残すは最終コーナーと最後の短いストレートのみ。さあ、コーナー出口で並んだ!先にフィニッシュするのは、46か?92かっ!


・・・ハチロクでライバルを追う拓海になってました。失礼いたしました。


脱線はこのくらいにして、次は「止まる」について。


ブレーキ性能については、納車時にDIXCEL(ディクセル)のMタイプ(低ダスト仕様)に交換したので純正パッドは未体験。また、ABSが作動するようなハードブレーキングの機会もまだないので、ちゃんとしたことは書けない。


現時点では、特に問題はない、としか言えない。しかし、ブレーキフィールは、E46のほうが微妙に上回っている気がする。E92は制動力の立ち上がりに、0.0何秒かのもどかしさ(遅れ?)を感じることもある。この感覚は一度や二度ではないので、おそらく錯覚ではないだろう。


原因はわからない。アクセルと同じように、ブレーキもレスポンスをわざと緩めているのか、それとも右ハンドル仕様のネガなのか。


E46と比較すると、ローターはひと回り大径化され、放熱対策としてのフローティングマウントとドリルド仕様は継続。


キャリパーはE46と同様の鋳鉄製の片持ち。真っ黒で素っ気なくブレンボなどに比べると極めて地味な佇まい。人に自慢するためにM3を買う人は速攻で4または6ポッドの赤や青のキャリパーに変えたくなるだろう。


でも、先日あるショップに展示されていた6ポッドのキャリパーを何気なく持ち上げてみてビックリ。片手でヒョイとつまもうとして全く持ち上げられず、両手でよいしょっと。感覚では、間違いなく5kg以上はあっただろう。


思わずお店の人に、「めっちゃ重いですね」と言ったら、「これでも本体はアルミのモノブロックだから軽いほうだよ」と言われてしまった。


ブレーキ性能を上げようと、せっかく6ポッドや8ポッドの大径ブレーキを組み込んでも、バネ下重量の大幅な増加によって走りそのものがスポイルされてしまっては何もならない。BMWが片持ちで時速300km/hからの安全な制動を保証しているのだから、僕自身は特に変える必要はないと思っています。


ドライブレポートはまだまだ続きそうですが、これを書くことで自分の中で像がなかなか定まらなかった蜜柑号のイメージが徐々に鮮明になってきている気がする。


すべてを書き終えたとき、蜜柑号との距離をさらに縮めていることを願って、次回に続きます。