神の領域 | M3遣いのブログ

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ライカではなく、BMWのほうです(^^ゞ
日々想うことをまったりと・・・

今朝のニュース番組の中で、生物の遺伝子操作の研究についての特集があっていた。


「遺伝子組み換え」というのはよく聞くけど、現在はより精度を高めた「ゲノム操作」という技術がトレンド(最新)だそう。


ミクロの世界の生物の遺伝子の鎖の中で、ある特定の部分だけを切ったり貼ったり(紙工作じゃあるまいし!)して、人間に都合のいい機能や特徴を持った動物や植物を生み出す実験が繰り返されている。例えば・・・


腐りにくいトマト
肉が1.5倍とれる牛や鯛
おとなしい(?)マグロ
角がない乳牛(農家の人がより安全に乳を搾れるそうです)
伝染病に強い豚 など


インタビューされていた研究者によれば、これらの「ゲノム操作」は、ヒトに応用できるレベルにまですでに来ているとのこと。現時点では、難病治療(筋ジストロフィやエイズ)などへの応用が期待されているとか。


番組では、最後のほうにちょっとだけ、倫理的な問題(人間がそこまでやっていいのか?)にも触れていたけれど、論調としては最新技術を礼賛する内容。



見終わって、しばらく考え込んでしまった。


研究者としての欲求・探究心はとどまるところを知らない。ましてやそれが、役に立つ、利益になるというお墨付きがあればなおさら。


番組では、この研究に投資して莫大な利益を目論む企業の経営者が、「時代は変わったのです」と得意顔で話していた。きっとこの人には、僕から見れば得体の知れない異形の生物にしか見えない異常に筋肉が発達した牛が、札束にしか見えていないのだろう。


でも、それでいいのか、僕ら人間は。


すでに、 当たり前に行われている胎児の染色体異常などを調べる「出生前診断」。それですら自分は「本当にやっていいのか?」と強く疑問を感じているけれど、今日知った「ゲノム操作」を駆使すれば、望む能力を約束された赤ちゃんを「造る」ことも不可能ではない、とテレビで言っていた。


ゲーム(映画)の「バイオハザード」は、遺伝子操作に失敗した生物兵器が研究施設から逃げ出し、自らの創造主である人間を襲うというストーリーだけど、これが現実のものにはならないと、誰が保証できるのか。


何より、そんなネガティブ要素が完全に排除できるとしても、僕ら人間が自分たちの都合だけのために、地球上の生命の何億年もの進化や絶滅の歴史を変えかねないにも拘らず、そこまで踏み込んでいいのか?


いい、とする理由はいくらでもあるだろう。世界的な食糧不足、人口爆発、難病治療、利便性や効率性、少しでも能力の高い子ども、不老不死。「ゲノム操作」は、そんなすべての問題を一気に解決する夢のような技術です。


でも、絶対にやってはいけない。僕は、そう思います。


それは、永遠に「神の領域」であるべきだから。