M4(F82)試乗記(その3) | M3遣いのブログ

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ライカではなく、BMWのほうです(^^ゞ
日々想うことをまったりと・・・

M4試乗記もいよいよ(?)最終回。さて、M3遣いの結論は?


BMW M3 (F82)

・ブレーキシステム
ブレーキについては、試乗ということもあって急制動などは試せないから、きわめて一般的なことしか書けないけど、問題ないです。BMW車のブレーキで、問題があるはずがない、と言ったら語弊があるかな。試乗車が履いている19インチ鍛造のホイールは、ハイグロス仕上げのブラック塗装でダストの掃除もしやすそう。おバカなコメントですみません。


他メーカーが早くからブレーキの大径化、多ポッド化を進めてきたのに対し、BMWは例えばE46_M3では、片持ちキャリパー&フローティングマウントという手法で、300km/hからの安全な制動や、耐フェード性を担保してきた。


それはおそらく、必要とされるブレーキ性能と、バネ下重量の増加やジオメトリの理想的な設計という二つの要素を慎重に天秤にかけた結果だと思う。少なくとも高速道路やワインディングを安心して楽しむために上記の仕様で不足はない。


営業さんには、オプションのカーボンセラミックブレーキシステム(およそ110万円)の装着を勧められたけど、そういうのはM4でサーキットを走ろうとする人か、他人に自慢するためにクルマを買う人が付ければいい。


BMW M3 (F82)


長々と、各要素について書いてみましたが、M4をひとしきり転がしてみた印象は、
「確かに速いんだけど、なんだかなー」と、何に引っかかりを感じるのか、今ひとつはっきりしなかった。


しかしそれは、ディーラーを出ていつもの愛車M3を運転したときに、まるで霧が晴れるようにわかりました。


M3に戻って明らかに感じたのは、「軽さ」


クルマの身のこなし、ステアを握ったときの感覚、踏んだときの加速感。クルマの三要素(走る、曲がる、止まる)すべてにおいて、M4(F82)より、M3(E46)のほうが「軽い」と感じる。


そんなの当たり前じゃん、E46のほうが軽いんだから・・・と言うなかれ。


愛車M3の1,590kg(サンルーフ仕様)に対して、M4は1,610kgと、20kgしか変わらない。パワーやトルクの差(+88PS、+18.9kgm)を考慮すれば、ウエイトレシオを計算するまでもなくM4のほうに軽さを感じてもいいはず。


しかし、M4は重かった。好意的に表現すれば、重厚。


理由を考えてみる。


・ステアが重いこと。しかも電制のためかちょっと不自然な重さ。BMW乗りの私が言うから、相当です。国産の、指1本で回せるスカスカのパワステに慣れた人だったら、絶対にムリ。確かに、こんな大パワー車を指一本で動かせたら怖いけど、自分なら長時間運転すると間違いなく疲れるレベルです。


・DCTで、クリープがないためアクセルの踏み出しを必然的に丁寧に行う。しかも、発進時は矢継ぎ早に勝手にギアチェンジしていくので、速度は上がってもエンジンの回転は意識して踏まない限り上がらない。慣れたら、もっと発進で踏めるようになるのかなあ。


これらの要素が、スペックで圧倒的にM3を上回るにもかかわらず「重い」と感じる理由なのだろうと思う。


試乗を終えて営業さんから、「どうですかM4、参考までにお見積もりを作成してみましょうか?」と言われたけど、1,000万円を軽く超える車を買えるのかどうかは別として、所有して運転を楽しみたい、という気にはなれそうにない。(買えるおカネを用意してから言いましょうね)


M3(M4)は、先代E92でV8を搭載してから、純粋に走りを極めるスポーツカーから、セレブリティも意識した豪華なGT(グランドツーリング)カーに変容しつつあるのだろう。


愛車M3には、改めて「軽快かつ、速い」という称号を自分でつけてあげたい。E46_M3のデビュー当初には、先代E36と比べてサイズも重量も増加していたため、「重くなった」「BMWは繊細さを失った」などと、散々酷評されたけど、その後どのメーカーのどの車も大きく、重くなっていく中で相対的にM3は「軽快」な部類に入ってきてしまった。


自分の手足のようにクルマを自在に操って、運転することそのものに楽しみを感じたい、という僕のポリシーを満たしてくれる車が、本当に少なくなってしまったと感じます。

辛うじて2シーターならばそういうクルマもないわけではないけど、家族持ちで複数台所有が難しい一般庶民にも、選択肢を残してほしい。120,000kmを超えたM3も、大事に乗っていきたいけど、いつ深刻なトラブルに見舞われるかわからないし。


「駆け抜ける歓び」を掲げ続けるBMWは、そんな僕らのために、その答えをちゃんと用意してくれていると信じたい。待ってるよ、M2。もちろん、左MT仕様が前提ですけど。