M235i 試乗記 | M3遣いのブログ

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ライカではなく、BMWのほうです(^^ゞ
日々想うことをまったりと・・・

ディーラーで、BMWの2シリーズ(1シリーズから派生したクーペモデル)の最高グレード、M235iに試乗させてもらえる機会があったので、インプレを書いてみます。


試乗した個体は、8速AT・アシはフロント225/40/18(7.5J)・リヤ245/35/18(8J)の標準アルミホイールと、ミシュランのパイロットスポーツPS2の組合せ(非ランフラット)。


ちなみに、このアシは、自分が乗るとしたら理想の組合せ。ミシュランのPS2は、愛車M3が手元に来た時に履いていて、グリップもしっかり持ちながら、同時にしなやかさも感じさせてくれた。


現在はブリヂストンPOTENZAのS001を履いているけど(ようやく、タイヤのローンが今月で終わります。長かった・・・)、次はぜひミシュランに戻したい。ただ、最新のPS3には、M3にピッタリ合うサイズ(F245/35/19・R275/30/19)がラインナップに載ってないんだよなー(悲)!!


話がそれました。試乗した時間はディーラーの試乗コースをふた回りほどだけなので、限られた時間の中で感じたことを書いてみます。



良いと思ったところ


・エンジンフィールが気持ちイイ


BMWの代名詞、シルキー6。だけど、BMW直6エンジン全てをそう呼べるかというと、けっしてそうではない。愛車E46_M3が積む、BMW_M社謹製のS54B32型エンジンですら、パワーを絞り出すために極限までシリンダブロック隔壁を削って容積を稼ぎ、ストロークを伸ばして、間違っても「シルキー」とは形容できない獰猛でガサツなフィーリングになってしまっている。


それに比べると、M235iが積むN55B30Aは、シルキーと形容できる部類に入ると思う。下から上まで淀みなく吹け上がり、5,000回転前後からは「咆哮」を上げ326馬力のパワーを炸裂させる。


そのサウンドに、ターボの「ヒューン」というタービンの音が混じり、運転しながらテンションも上がる。


ただし、体感加速GはM3に比べると若干マイルド。おそらく、フラットトルク(最大トルクをわずか1,300回転から発生)なのでだろう。パワーとトルクが比例するように盛り上がるM3のS54B32のほうに、ここは軍配を上げたい。


・ATの仕事ぶり


試乗車は一般的なトルコンの8速AT(パドルシフト付)。マニュアル至上主義の私としては、全く眼中にないけれど、結構いい仕事をする。


加速時の変速ショックは皆無。いつシフトアップしているのか、タコメーターを見ていてもわからない。CVT並み、といったら言い過ぎかな。


ステアリングの左右に付いているパドルでのシフト操作も気持ちいい。プログラムも優秀で、パドル操作している間はドライバーにギアの選択を完全に任せてくれる。これももちろん、トルコンATとは思えないほどの変速スピード。


悔しいけど、このATのデキは、「もっと歳をとって、MTがしんどくなってきたら、乗ってもいいかな」と思えるレベル。素直に、脱帽です。



次は、中立で評価したい部分


・シートの出来は、さすがBMW。M3とは10年以上離れているし、Mモデルと2シリーズ(とはいえ元は最廉価グレードの1だし)という明らかな差があり、シートの出来には正直不安を抱えていたけど、そんな心配は無用でした。


座った瞬間に、「だいじょうぶ、問題ない」と、自分のカラダが伝えてくれる。シートポジションもすぐに決まる(電動でポジションメモリー付)。おそらく、一番安いグレード・手動調整であってもこの感覚は変わらないはず。他社も見習ってほしい。


・M Performance Partsのブレーキ


確認できていないけど、おそらくOEMの供給元はブレンボ。乗る前には、ガツンと効くタイプかも、と危惧していたけど、全く問題なかった。ブレーキの踏力を正確に反映してくれる優秀なブレーキシステム。ただし、盛大にダストが出ると思うので、もし自分が乗るなら速攻でディクセルのMタイプに交換します。


・コーナリングの感覚とステアフィール


曲がる感覚は、極めてフラット。あまり横Gを感じさせずに、滑らかに曲がっていく。ただし、ハナ先の重さはいかんともし難いところ。


重たいストレート6をフロントに詰め込んでいるから、BMW車としてはかなりフロントヘビーなM235i。220i(直4ターボ)がほぼ前後重量配分50:50を達成しているのに比べると、前軸と後軸で100kg近い差がある。ステアを切った瞬間に、その重さを感じます。


電動電子制御パワステも、それと知らなければ油圧制御と変わらないレベルで問題ない。

しいて注文をつけるなら、ステアリングの握りの径が太すぎて手が大きくない自分にはちょっと握りづらいと感じる。



最後に、ちょっと残念に感じたところ


・やっぱりカタい足回り


今のM3での唯一の不満点が、普段使いでの足回りの硬さ。もちろん、本当に300km/h出せる高速域での安定性と、凸凹の狭い路地を這うように走る状況を両立させようとしても無理なことは分かっている。


でも、M3が出て12年の歳月を経たテクノロジーの進化は、その矛盾を解決してくれているかも、と秘かに期待していたけど、やっぱり無理でした。


M235iには、アダプティブMサスペンションが標準で搭載されていて、エンジンのマッピング(出力特性)も含めてトータルで電子制御している。


切替モードは、エコプロ⇒コンフォート⇒スポーツ⇒スポーツ+の4段階。試乗で試したのは、コンフォートとスポーツの2種類だったけど、コンフォートにしてもやはり硬いと感じた。


アシは18インチでしかもミシュランだから、もっと柔軟に路面不整を処理してくれると期待したけど、残念ながらゴツゴツ感はかなり強い。


これが、限定車の19インチ+ランフラット(ピレリP-ZERO)になるとどういうことになるのか、ちょっと怖い気がする。


・メーターパネルに、シフト表示が出ない


ATモードだと、今何速で走っているのか全くわからない。昔のオートマだったら、4速しかなかったから、表示がなくてもタコメーター見ていれば何速かはすぐに判断できたけど、さすがに倍の8速もあると回転数で判断するのは無理。


もちろん、パドル操作に切り替えれば「M4」とかの表示はでるけど、ATモードでも表示してほしい。


・スピードメーターが、260km/hまでしか切られていない


こんなところを気にしてしまうのは、自分の中の極めてミーハーな一面。(死語だったらごめんね)


メーターパネルは、1シリーズの最廉価グレードから、4シリーズの最高グレードまでほぼ一緒。


つまり、120馬力そこそこの非力な116i(どう転んでも200km/h出ないっしょ!)と、本当は300km/h出せるだろうM235iのスピードメーターが一緒だというのは、ちょっと情けない。


M3&M4の330km/hフルスケールとは言わないけど、せめてMパフォーマンスモデルとしての差別化は図ってほしかった。(メーターパネルの下部中央に、“M235i”の表示は出てるんだけどね)



・・・と、こんな感じでした。もっと短く書くつもりだったけど、クルマのことになると、ついつい熱くなってしまう私です。M3遣いの名に免じて、許してやってください。



追記(2014/12/3)
コメントで、メーターパネルと最高速についての情報をいただきました。どうもありがとうございました。

メーカー公称の250km/hリミッター作動に、長年疑問(それ以上出てるし!)を感じていましたので、ようやく謎が解けました。