いつもの場所でM3の洗車をしていたら、目の前の洗車機に一台の黒いセダン。レクサスのGSかな。確か、レクサスGSの黒はソリッドではなくメタリックだったはず。
車の主のおじさんは、下回りなどを念入りに手洗いした後、車を洗車機に突っ込む。一番高いコースらしく、10分以上かけて布ブラシの洗車機は何度もレクサスの上を行ったり来たり。
「丁寧に洗っているつもりなんだろうけど、洗車機のブラシ(布でもつきます)によるキズは気にならないのかな?」と、他人事(たにんごとではなく、「ひとごと」と読んでね)ながらちょっぴり気になる。
かく言う私も、以前ホワイト系の車に乗っていたときは、毎回のように洗車機のお世話になっていた。多少の洗車キズがつくのは承知のうえで、手軽さを優先した妥協の結果として。
今のM3の2台前に乗った最初のBMW車は、320iセダンの白(アルピンホワイトⅢ)。購入してまもなく、いつものように洗車機にかけようとすると、スタンドのスタッフの人が血相を変えて駆け寄ってくる。
いったいなにごと?と思ったら、スタッフさん、このようにおっしゃいました。
「すみません、これ、ガイシャですよね。ガイシャはミラーが洗車機に引っかかって取れやすいので、なるべくなら手洗いでお願いしたいんですが。」
Σ(・Д・ノ)ノ
「ガイシャだからミラーが取れやすいなんて、私は初めて聞いたんですが、実際にそういうことがあったんですか?」
「いや、私は知らないんですが、上の方からガイシャのお客さんには念のため必ず言うように言われていますので。」
多少ムッとして、
「洗車機に通すときミラーは格納するので、引っかかって取れるなんていうことはありえないんですが、要するに、ミラーが取れても会社に文句言わないでくれっていうことなんですね。」
「まあ、そういうことです。後から苦情を言われても困りますので。」
「わかりました。それを承知で洗車機かけますので、ほっといてください。」
そんなやりとりを何度繰り返したことか。同じ系列のスタンドだけでなく、まったく別の系列のスタンドでも同じことを言われて閉口した。
これこそまさに、風評被害というものなのだろう。もしかしたら、遠い昔日本のどこかで、洗車機にかけてミラーが取れてしまった車が実際にあったのかもしれない。そして、文句を言われた会社が困ったことが本当にあって、それがたまたま国産車ではなく、輸入車だったのかもしれない。
しかし、それが都市伝説のように噂として広まるうちに、「ガイシャのミラーは取れやすい」「苦情を言われると面倒なことになる」⇒「ガイシャは洗車機お断り」となってしまったのだろう。
現在は濃色系(カーボンブラック)なので洗車機にかけることはないけれど、将来白の輸入車に乗ることになったら、洗車機の前でまた同じことを言われるんだろうな~。
風評。風のようにつかみどころのない、評判や言い伝え。風評に踊らされる、とも言う。まさに言い得て妙。こんなことを書いている私も、知らず知らずのうちに根拠のない噂や言い伝えに踊らされていることもしばしば。得体の知れない風の評判に惑わされ、踊らされないよう、自分の意志と、事実(fact)をしっかりと見極める目を持ちたい。
あと、レクサスのおじさんへ。洗車場に備え付けの拭き取り用のタオルは、気をつけないとかえってボディに傷をつけちゃうことがありますよ。ちなみにこれは、風評ではなく自分の体験に基づく事実ですので念のため。