今日は、BMW車のブレーキのお話。
輸入車、特にドイツ車は、ブレーキから黒っぽい粉が出てすぐにホイールをこげ茶色にする。油断していると、あっという間にこんな姿に。ここまで汚れると、表面に汚れの粒子が熱で固着(融着)し、さらに酸化し(サビ)てしまった状態なので、完全に落とすにはかなりの手間と時間がかかる。常にクルマをなるべく綺麗に保っておきたい私のようなタイプには、泣きどころのひとつ。
しかし、BMW車のブレーキから粉が出やすいのには、ちゃんとした理由がある。黒い粉の正体は、ブレーキパッドと、ディスクローターが摩擦によって削れて出たもの。削れ方が激しければ、パッドもローターもより早く磨耗し、交換時期も早い。なぜ、そこまでしてでも削りカスを大量に出すのか?
それは、フェード(過熱)によるブレーキ性能の低下を極力抑えるために他ならない。ドイツのアウトバーンの速度無制限区間や、国と国をまたぐような超長距離の山岳道路を一日に1,000km以上も走破するのが日常茶飯事のヨーロッパでは、ホイールを汚さないようなヤワなブレーキシステムでは到底乗員の安全を担保できない。
自分もBMWに乗ることになった時、そのことはある程度覚悟の上で臨んだつもりだった。しかし・・・
最初に乗った白の320iセダンで、丁寧な洗車で苦労してホイールまでピカピカに磨き上げたのに、洗車場からたった数分、数kmを走行して自宅まで戻ると、さっき磨いたばかりのホイールは薄黒く汚れ、前後のタイヤの後ろのボディ(フェンダー)も指で触ると絵が描けるくらい汚れている。
しばらく我慢して、折れそうになる心を奮い立たせて毎回掃除していたけど、洗車時間の大半をホイールの清掃に費やしていることに虚しさを感じ始めた頃、ショップの人から、「粉が出にくい」ブレーキパッド(社外品)の存在を教えてもらった。
純正品に比べると、ブレーキ性能は多少落ちるそうだけど、メンテナンスの手間は格段に向上するとのこと。多少のネガ(マイナス要素)には目をつぶって、思い切って交換してみることにした。
最初に試したパッドは、確かに粉は出にくくなったけど、ブレーキを踏んだときのタッチ(感触)がかなり変わってしまった(純正パッドは、ジワッと真綿で締め上げるように強力に効く感じだが、交換品は踏んだ瞬間からガツンと効いてしまう)ことと、頻繁にブレーキがキーキーと「鳴く」ようになってしまった。
そこで、次に乗り換えた320iクーペでは、別メーカーの製品を試してみた。それが、DIXCEL(ディクセル)の「Mタイプ」というパッド。ホイールやフェンダーの汚れはごくわずか。心配していたブレーキフィールも、素人の感覚では純正とほとんど変わりない。もしかしたら、サーキットのような場所でブレーキを酷使したら違いがはっきり出るのかもしれないけど、少なくとも高速を飛ばす程度なら、まず違いはわからない。
メーカーの説明によると、このパッドは「粉が出にくい」のではなく、「粉は出るがこびりつきにくい」素材を使用しているとのこと。320iクーペからM3に乗り換えた際も、同じパッドを迷わず選択。
今は基本的に毎週洗車しているので、一週間程度ではホイールに汚れはほとんどつかない。いずれにしても、ホイール清掃の無間地獄(×無限地獄)から解放されたのはありがたい。だから、僕のM3のホイールはいつでも手で触れます。ホイールの汚れでお悩みのBMWユーザーさんは、検討してみてはいかがですか?