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日々の戯言
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2025年10月5日(日曜日)

瀬戸芸2025秋会期!直島⇒高松⇒男木島⇒女木島

 

この日最後の島は、大島!!

瀬戸芸開始の2010年から会場になっているのは、直島、豊島、男木島、女木島、犬島、小豆島、そして大島。

その後、西の島も追加されて、毎回島めぐりをしてるけど、大島の訪問は今回が初めて!

大島行きの船に乗るため、高松に戻ってから、乗り場へ。

ちなみに、大島にはマスク着用が必要でした。

 

 

大島は、高松港の北東約8kmに浮かぶ、面積が0.62平方km、周囲7.2kmの小さな島。

1909年、日本国内に13ある国立ハンセン病療養所の一つが設立され、946年に国立療養所大島青松園と改称された。

らい菌によって皮膚や目、末梢神経などが侵される「ハンセン病」は、戦後に治療法が確立され、1996年に「らい予防法」が廃止されるまで、約90年にわたって入所者が強制隔離されてきた。

2008年には「ハンセン病問題基本法」が成立し、現在は園内で、入所者の日常生活の介助・療養生活の支援と、ハンセン病を正しく理解するための啓発活動が行われています。

大島は、他の島と違って、あまり気軽に行ける場所じゃない気がしてて、少し気後れしてたかも。

船の数も多くないのも理由のひとつでもある。

 

 

島に着くと、こえび隊のスタッフが島内の説明をしてくださった。

あまり広い島ではないので、時間をかけずに回れそう。

 

まず、一番遠い作品に向かう。

坂道を登って到着した?と思ったけど、作品が見当たらない。

で、作品説明を確認すると、この作品は遊歩道そのものをさしてるらしい。

 

『リングワンデルング』鴻池朋子

大島の北山は霊的な森のサンクチュアリだ。

ここに1933年、若い患者たちが自力で掘り、山を鉢巻状に一周する、1.5kmの瀬戸内の絶景を望む「相愛の道」があった。

そこは長いあいだ閉ざされてきたのだが、作家がその道を整備し再び開通。

2022 年には崖下の浜へ降りる階段を石組みし、円環で閉じる島という地形に、生き延びるための抜け道を新たにつくった。

今回は尾根沿いにあった頂上へのルートを探し、復活させる。

 

 

遊歩道をのんびり歩く時間はなさそうなんで、次の作品へ移動。

 

 

『海峡の歌/Strait Songs』山川冬樹

かつては自由を求めて大島から対岸の庵治の海岸まで泳いで渡ろうとする入所者が後を絶たなかったという。
その記憶に呼応するように、作家自らが庵治から大島へ泳いで渡り、島に遣る海の短歌を読む庵治の子どもたちの声と重なるインスタレーションを構成した。

 

 

『歩みきたりて』山川冬樹

一人の歌人の足跡を辿る 

終戦後、モンゴル抑留中にハンセン病が発覚し、大島で暮らした歌人、政石蒙。

政石の足跡を巡って、モンゴル、大島、松野(政石蒙の故郷)を旅し、各地で撮影した映像と遺品によるインスタレーションを制作。

 

各地で収集したものを瓶に詰めてる映像と、おそらくその瓶の中身が向かい合って展示されてるのは好きな感じだったな~~~。

 

 

『音(おと)と遠(とお)』梅田哲也

目の不自由な人、島で生きた人、現在島で暮らす住人に向けた音のインスタレーション。

廃屋の床下に大きな穴を掘り、石を敷き詰めて、共鳴窟を設置する。

建物のなかを水が循環し、天井から落ちる水滴は、床下の石と共鳴して、繊細でゆらぎのある豊かな音を奏でる。

 

この作品、水が流れる音が聞こえるらしいけれど、私たちがいた時は聞こえなかった(と思う)。

もっとじっくりと観ればよかったんかな?

 

 

大島で唯一出会えた、島にゃんこ。

かなり警戒心の強い子だったので、この後すぐに逃げちゃった~~。

 

 

『{つながりの家}GALLERY15「海のこだま」』やさしい美術プロジェクト

一般独身寮の15 寮全室をギャラリーに改装し、寮の床下を掘り、かつて大島で使用された木造舟をまるで浮遊しているかのように展示。

 

『稀有の触手』

大島の歌人、斎木創の歌「唇や舌は麻痺なく目に代る稀有の触手ぞ探りつつ食う」には自らの命を燃やし続ける人の生々しい姿がある。

 

遺されたものを通じて大島の一人ひとりから放たれた体温に触れるような場所をつくる。

 

静止画の持つ力が分かる作品だった。

 

 

『青空水族館』田島征三

入所者が暮らしていた長屋に、海底の世界が広がる。

大島の歴史から着想を得、漂流物や木の実などを素材に、ビー玉の涙を流し続ける人魚、魚が逃げ出す絵、動く海賊など、部屋ごとに立体絵本が展開する。

 

この作品は、海のごみで制作されたもので、「なんで捨てるの~?」って数か国語で話す。

 

どピンクにする必要ある?ww

 

 

『森の小径』田島征三

かつて独身寮が建っていた場所につくった庭。

 

島に自生するトベラやウバメガシ、香川県に自生する花の美しいハマボウ、ハマゴウを移植。

 

 

『「Nさんの人生・大島七十年」-木製便器の部屋-』田島征三

作家が交流を続けている同郷の入所者の人生を、元独身寮を使い立体絵巻物にした。
鑑賞者は5 つの部屋を進むと、母親との別れ、島の生活、結婚・中絶、N さんの叫びなど、N 夫妻の人生を辿る。
 
この作品が一番強烈だったかな~・・・。

明るいだけの作品を展示する場所にはなりえないとは思うけど、ちょっと重かったな・・・。

 

 

大島では、ずーーーっと童謡のアナウンス音が流れてる。

信号機や駅の電車の発着時に流れてる感じの、あの音。

最初は、何だろう?と思ってたけど、これは、弱視の方が歩行の手がかりとなるように音で誘導してるもの。

そして、道の中央部には白線があって、確認しながら歩行できるように道の脇には柵が設置されてる。

アート展示は限られたエリア内だけで展開されてて、他のエリアには立入禁止。

 

 

大島で一番好きだった作品たち。

『物語るテーブルランナーと指人形 in 大島青松園』鴻池朋子

この島で生活し仕事をする方々から聞き取った個人的な興味深い物語を、作家が絵に描き起こし、それを手芸でランチョンマットに制作。

今回は語部として指人形たちも並ぶ。

 

一つ一つの作品に説明文が添えられているので、どんなストーリーに基づいて造られたのかがよく分かる。

切ない話もあれば、思わずにやりとしてしまう話も。

 

漆喰の壁にはシーグラスが貝殻は埋め込まれ、レースで描かれた作品も並ぶ。

 

窓にも。

 

人形たちはみんな個性的!

作者の鴻池朋子さん。

どっかで聞いたな~~~と思ったら!

万博会場にあったオオカミベンチだ!!

 
このオオカミたち、万博後はいろんな場所で活躍中で、これからも旅が続くらしい。
全部に会いに行きたいな~。

 

そして、最後の作品はこちら。

 

『枝と杖(支えあうことのモニュメント)』ニキータ・カダン

細い枝のような黒いブロンズの棒を2本組み合わせ、棒が接する上部に、握りあった2つの手と棒を支える足の彫刻。

片方の手は生きている人の手からかたどり、もう片方の手と足は、資料館に展示されている義肢のかたち。
「作品は、島の悲劇的な歴史と、意思に反してここでの暮らしを強いられた人々のコミュニティを記念している。細い枝のような形状であることによって、脆いように見える作品だが、じつは脆いのではなく、耐えがたいものに耐えるための強さを持っている。脆さ、傷つきやすさというものに屈しない精神にかわっていくこと、それを賛美したい」

 

 
最終便で戻るので乗り遅れないように早めに港へ移動。
木陰に座って余韻に浸り。
お腹空いたからうどん食べて帰ろう~~と計画。(花より団子)
 
高松に到着したら、前回の高松泊のときに朝うどんを食べた、高松駅前のお店。

 

さすがうどん県。

安定の美味しさでございました~~~!

 

 

2025年の瀬戸内国際芸術祭、秋会期は直島から始まり、
男木島、女木島、大島と、まさに島めぐりな1泊2日。
大充実でした!!
秋会期はもう1回訪問行きましたYO!!