僕は右腕から死んでゆく | Proof of...

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祈る神を持たない僕は、ただ言葉の力を信じている。全ての言葉に僕の意味を。

夜が更けて、いつまでも騒がしい家の前の通りにふと車の往来が止んだ時なんかに、僕の心臓とは関係無しに右腕が疼くの。

いつか読んだ本に、左腕が抜け落ちてしまうウィルスの話があったな。




3才のときに右腕を骨折した。
2ヶ月右肘にボルトをさして吊るしていたから、なんでも左手でやった。
だから僕はそもそも右利きなのか左利きなのかなんてことは関係無しに、左利きに強制されたことになる。


その時から、どうやら僕の右腕は最も脆く最も死に近いものになったようだ
骨折を4度繰り返した。肘は歪んでしまった。
力が入らずに左右の握力には20キロの差があった。
傷付くのはいつも右腕だった。
右腕にはいつも違和感があった。
自分の体では無いような、不自然さがあった。


そうして今、僕の右手はやはり死に向かい始めている。疼きは止まらない。傷は癒えない。膿みただれて、やがて渇き、ボロボロと崩れてゆく。

僕は右腕から死んで逝く