2007年末RLのライブハウス「柏StudioWUU」とSLのライブハウス「Music is good.」が
連携してライブを行うという企画が実現しました。
文章にすると別に特別でもないような気がしますが、冷静に考えると凄い事だと思います。
地方の方は好きなミュージシャンが東京でライブをしていても、なかなか足を運べないですが、
Second Lifeなら東京どころか世界中のライブに行くことが出来ちゃうんです。
ただ仮想世界ではあのライブ独特の雰囲気が味わえないと、
思われる方もいらっしゃるかもしれません。
ところが今回ご紹介する方が運営する仮想ライブハウス「Music is good.」では
その臨場感をいかに再現するかという事に尽力し、SL内で素晴らしいライブを提供しつづけてます。
http://www.musicisgood.info/
本日はそのライブハウス「Music is good.」を運営するPorta Fosseさんにお話をお伺いしました!
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emo8889 Xeno: 確か私と同じ2007年1月スタートですよね。
Porta Fosse: 元々IT系だということもあり、2005年末くらいから気になっていました。
2006年後半には「そろそろくるかなー」と思い始め、
ちょっと覗いてみようかなというくらいの気持ちで2007年1月に始めました。
もしかしたらなにか将来ビジネスにつながるかもって思ったので(笑)
emo8889 Xeno: 最初の印象はどうでしたか?
Porta Fosse: とにかく奇麗だなと。地上だけじゃなくて、空も高度10,000mくらいまで行くと、
まるで成層圏の外に出たような景色になることにも感心しました。
そもそもゲームというものに無縁だった自分にとっては、ルールを探すことも、
武器やアイテムを探すこともなく、会う人会う人みんなに話かけていました。
どこから来た(接続している)と聞いてみるとそれこそ世界中からなんですよね、
ヨーロッパも、ブラジルも、もちろんアメリカも、アジアからも。
その人たちが複数の同時に同じ景色を見ながら会話できるのは凄いなと思いました。
そしてたまたま辿り着いたマホロバで、そこにいた人に「Hi!」と声をかけたら「こんにちは!」と返され、
始めて日本語が使えることを知ったんです(笑)
その人に「大阪って知ってますか?」といわれてたどり着いたのがOsaka SIMで、
古い日本人の友人はみんなそこで知り合った人ですね。
emo8889 Xeno: SLで音楽と出会ったキッカケってあるんですか?
Porta Fosse: 海外を歩いている時に、グループ名に「Live Music Listener」ってついてる人を見つけたんです。
それで検索でグループ探したらLiveってつく音楽関係のグループが結構あったので勝手に参加(笑)
ちょうどその頃、Taifrog Moritaryさんに誘っていただいて
Keiko Takamuraさんのライブをみたのが大きな転機になりました。
それから毎日ひたすら世界中のライブを見に行って、
ただでこんなステキなものが楽しめるなんて一人じゃもったいないということで、
友人を誘うようになったんです。ちょうどそのころemoさんにもお会いしてますね(笑)
「リアルタイムでNYCからのライブ音を無料で聴けちゃう」
emo8889 Xeno: ちなみに最初にみたのは誰のライブだったんですか?
Porta Fosse: 最初に見たのがフランス人のシンガーソングライターのおっさんで
それは甘いボイスで良い歌きかせてくれたんですよ(笑)それが無料!
それに、その後見つけたのが、今ではすっかり有名なLouis Volareで
これまた物凄いムーディーなピアノを聞かせてくれたんです。
今までだと都会のJazzクラブとかでも行かないと聴けないようなものが
リアルタイムでNYCからのライブ音を無料できけちゃうんですよね
これは凄いと、そういう感じです。
emo8889 Xeno: 改めて考えれば凄い事ですよね。
Porta Fosse: それを最初はIMで一人一人に知らせていましたが、次第に知らせる相手が多くなり、
なんとか出来ないかと思って始めたのがMusic is good.というグループです。
この「ライブ情報のお知らせ」という役割はいまでも続いています。
emo8889 Xeno: ちなみに世界中の莫大なライブ情報はどうやって仕入れているんですか?
Porta Fosse: えーと、現在SL内には音楽好きがあつまるグループがかなりの数ありまして
その中でも老舗のものにいくつか参加しています。
最初は勝手にはいりましたが、やたらと顔だしてたので、逆にたくさん誘われまして(笑)
今はそういう所からくるもののうち、自分できいてみて友達誘いたいと思うものだけお知らせしてます。
emo8889 Xeno: その誘いたいと思う基準とかって何かあるんですか?
Porta Fosse: もうね完全に趣味です(笑)
僕はプロでもなければなんでもないので、聞いて気持ち良いとか。
上手い下手ももちろんありますけど、ショーとしてお客さんを楽しませようという気持ちが
伝わるものなんかはよく紹介する傾向があります。
でもあんまり基準ないかもです・・・。
emo8889 Xeno: なるほど、それからはどんな活動を?
Porta Fosse: 4月になった頃に、たまたまSolary Clary(イズミカワソラ)さんが別件で訪ねてきてくれまして、
色々聞いてみると「ライブやりたい」という事でしたので、
それまで数多くのライブを見て感じたことを活かした理想のライブ運営を、
自分でやってみたくなり支援を申し出ました。その後のSolaryさんの活躍は皆さんご存知の通りです。
http://www.sorasora.com/
emo8889 Xeno: 本当に大活躍されてますよね。
Porta Fosse: 僕がSolaryさんをサポートしたもう1つの理由で
それまでのライブって単なる集客の「出し物」でしかなくて、
アーティストって凄く立場弱かったんですよね。
「だしてあげるよ」みたいなね。
そういうのみてて嫌気がさしてて、Solaryさんをサポートし始めた僕がやった事は
オファーがあったイベントを「すべて断った」 んです。
100%自分たちが開催するライブしかやらない(笑)
でも結果的に彼女は「お願いして出演してもらう」人になったかもしれないし、
それをきっかけにアーティストに対する考えや態度が変わって
いったとしたら良かったと思っています。
emo8889 Xeno: 先ほどおっしゃってた具体的な理想のライブ運営とは?
Porta Fosse: 当時(3月とか4月)のライブ環境というと、
特に日本ではまだライブって定着していなかったこともあり、マナーが悪かったんです。リアルじゃやらないこと(迷惑になること)はSLでもやらないっていうのは鉄則だとおもうけど、
人の迷惑考えないで音の出るジェスチャー使うとか演奏に関係ない会話を延々とするとかね。とても「コンサートを楽しむ」っていう状況じゃなかった。
海外のライブのいくつかは、主催者がちゃんと前説をやって、ルールを説明して、
リアルのライブと同じように会場全体が一体となって音楽を楽しむっていうものがあったんです。
それを自分でやってみたいなと思ったのですねぇ。
emo8889 Xeno: まさに現実のものと同じですね。
Porta Fosse: 7月になってそれまでの経験をもとに、「ライブを楽しむための専用の場所」を
自分で作りたいと思い始め、koenji SIMにMusic is good.のホールを作りました。
koenji SIMにあった最初のMusic is good.ホール
人の会場を借りて運営するのはやはり限界があったからです。
ここでは会場をオープンした瞬間から、コンサートが終わってお客さんが帰るまでを
ひとつの体験として楽しんでもらう為のさまざまな工夫を凝らしてあります。
emo8889 Xeno: たとえばどんな工夫を?
Porta Fosse: emoさん、Music ONにしてください(女性の声でライブの注意事項が流れる)
端的にいうとリアルのライブと同じものを提供するということなのですが、まず会場の工夫から。
ここはアーティストと観客が一体感を得られるように、全てが20m四方の枠の中に収めてあります。
これはチャットが届く距離でもありますが、全ての人から綺麗に照明が見えるためでもあります。
またアーティストから見る(ステージから客席をみる)時に
カメラ移動なしで、ほぼすべての観客が画面に入るように設計されてます。
このあたりが会場の工夫ですね。
http://slurl.com/secondlife/MegaCity%20One/3/205/27
emo8889 Xeno: では続いて音に関してお願いします。
Porta Fosse: それから音ですが、今もかかっていますけど実際のライブや映画と同じように
会場に入った瞬間から、日常から切り離されるようにそのライブにあわせたBGMを流したり、
照明や音声をつかって、あーこれからライブを聴くんだっていう、
ドキドキを作り出す事にすごく力をいれてます。
emo8889 Xeno: めちゃくちゃ雰囲気ありますもんね。
Porta Fosse: 本番おわったあとも終了のアナウンスがあって、会場のお客さんみんなが一斉に立ち上がって
ワイワイガヤガヤしながら帰って行く。
中には名残おしくて、しばらくすわったままの人もいるので少し寂しく切なくなるようなBGMも
終了後のために作ってあったりもします。
そういうもの全部で「会場に来る前」から「会場についた時」、
「待ってる間」「演奏中」「 終わったあと」「帰るまで」
全部で1つの体験であってそれを最高のものに出来るように、毎日考えて工夫してるんです。
「僕がやりたかったのは、イベントじゃなくてコンサート」
emo8889 Xeno: こういったアイデアはどういう過程で思いついたのですか?
Porta Fosse: これは、それまでに見たライブで感じた漠然とした不満がキッカケだと思います。
SLのイベントってスタートとかエンドが曖昧なものが多くて
人がたくさんあつまって賑やかだったから成功みたいなのがほとんどですよね。
なんというか僕がやりたかったのは、イベントじゃなくて「コンサート」なんです。
それで自分が感動する所はどういう所かなと考えてこうなりました。
emo8889 Xeno: 演出のポイントはそこだったんですね。
Porta Fosse: その後粛々と同じことを繰り返していましたが、RLのファンの方が参加しやすいようにと
Webサイトをオープンしたころからアーティストの方からの問合せをいただくようになり、
その中からBE THE VOICEさんに12月にSLデビューしていただいたり、
千葉県柏市にあるライブハウスと連携してSLへの中継ライブができる設備を常設してもらい、
そこから4人のアーティストさんがSLに参入するなどしています。
2007年は合計12組のアーティストさんに出演していただき、
延べ1,200名の方にSLでのコンサートを楽しんで頂く事ができました。
また、お知らせしたコンサート情報は200を超え、
SLで音楽を楽しめるのだと知ってくれた人もずいぶん増えたのではないでしょうか。
emo8889 Xeno: 各アーティストさんはSLにどのような考え(思いを持って)で
ライブの打診をされてきているんですか?
Porta Fosse: その中で打診があって出演したのは5組なんですけれど、それぞれ違うと思います。
なんとなく雑誌でみて興味を持ったとか、たまたま知り合いがSLやってたとかがキッカケなんですが
まだ先は見えていなくて、とにかくやってみたいという方が多いです。
今まさにSLでライブする事の意味とかを僕らが作っていこうとしているんじゃないかなと思います。
emo8889 Xeno: 実際ライブをやられて、みなさんどんな感想を持たれてそうでしょうか?
Porta Fosse: ほとんどの人は驚いてます。
これは会場や運営に大きく影響受ける部分だと思いますが、
僕が運営するライブはさっきも話た通り、アーティストも一緒に感動できるように考えて構成しているので
ほとんどの方は「実際のライブより緊張する」「仮想とは思えない」「楽しい!気持ちいい!」
っていう感想になります(笑)
最近では、これは素晴らしいという事で
アーティストさんが友達の輪を広げていくような動きも出て来ています。
emo8889 Xeno: ここで改めてMusic is good.のご紹介をお願いします。
Porta Fosse: Music is good.は「俺がいいと思った音楽をみんなで楽しんじゃおう」という趣旨? で始まったグループで、
SL内で行われる世界中のライブ活動からピックアップしたものを日本語でお知らせする機能と、
独自の会場をベースにコンサートを主催運営する機能があります。
コンサートの運営では、一番いい感動をお客さんにもアーティストにも味わってもらいたいという想いが強く、
かなり色々お願いします。ライトはずしてくださいとか、チャットするなとか(笑)。
でもこれは、すべての人が最高の体験を共有するためにどうしても必要なことなので、
いつもご協力いただいている皆さんには本当に感謝しています。
最近は海外のお客さんも増えましたが、皆さん日本のお客さんのマナーの良さに感心すると同時に、
快く私たちのルールを受け入れてくれています。
また、Music is good.ではコンサートは会場に来る前からわくわくして、
終わってから友人と語りあうものだと考えてるんです。
映画もそうだけど、誰と行くか、何を着ていくかから始まって、会場に着いたときのワクワク、
開演直前にBGMが途切れて照明が落ちたときのドキドキ、
そういうものの積み重ねで全体の感動って作られていますよね。
そういうワクワク、ドキドキをとても大切にしています。
会場で開演までに流れるBGMも、毎回その日の公演に合わせて作り変えてるくらい。
emo8889 Xeno: 歴史を辿ると順風満帆ですね。
Porta Fosse: まぁでもMusic is good.に対する(多分ぼくにたいする)批判も多くて(笑)
音楽を勝手に格付けするのはけしからんとかね。
でも今日の話のとおり、物凄いコダワリでやっているので
それに合わない人はアーティストだろうがお客さんだろうか、来てくれなくていいわけです。
だから誰からもお金もらわないし(笑)
僕らは格付けしているわけじゃなくて、一緒に僕らのコダワリを理解してくれて
最高のものをお客さんに見せよう聴かせようって、そう考えてくれる人であれば大歓迎なんです。
でも今の所出演したいというお話いただいて、OKするのは1/5くらいの可能性になってます。
emo8889 Xeno: Portaさんの思うSL内での音楽活動の楽しさを教えてください。
Porta Fosse: 音楽活動のたのしさとは違うかもしれませんが、
東京中心に活動するアーティストのライブは、遠隔地にいる人はなかなか参加する機会が無かったりしますよね?
でもSLでのライブがあることで、大好きなアーティストのライブに仮想で参加できるわけです。
逆にアーティストサイドからみると、これまでより広い範囲のお客さんに気軽に
聞いてもらえるメリットがあると思います。全国ツアーって気軽にできるもんじゃないので、
うまくSLを活動の場所として使ってほしいなと思います。
実際にpro-musicista groupのコンサートでは、
四国のファンの方から「滅多に会えないアーティストにここ(SL)で会えて、感激した」というお礼をいただいたり、
数日前から下見にいらっしゃる方がいたりするんですよ。
emo8889 Xeno: そんな活動の中、改めて2007年を振り返ってみてどうでしょうか?
Porta Fosse: あっというまの1年!
まさか1年後の自分がこんな事をしているとは夢にも思ってませんでした(emoさんとあったころも(笑))
若かりし頃音楽好きだったおじさんが、SLでどっぷりと音楽につかることができて
とても幸せな1年でしたよー(笑)
emo8889 Xeno: 今後はどのような活動を予定されていますでしょうか?
Porta Fosse: Music is good.ではせっかく世界中つながっているのだから、
日本だけじゃなくて海外向けにもライブをやりたいなと思っていて、すでに昨年秋から始めています。
2008年は海外のユーザーを中心に集客するライブを増やすなどして、
素敵な日本のアーティストさんを世界に知らしめたいなと思っています。
それから、もう一つino Jieさんと一緒に*INOJIES* Galleryというギャラリーのオーナーをしていますが、
こちらも今年は世界のユーザーに日本のアーティストをがんがんプッシュしていこうと思っています。
http://slurl.com/secondlife/MegaCity%20One/4/205/471
emo8889 Xeno: ギャラリーもやってらっしゃるんですね。
Porta Fosse: これは3月に知り合ったino Jieさんというユーザさんの作品だけを置いているギャラリーで
特定の人の作品だけを置くギャラリーというとても変わったところです。
実はこの上空にありまして、見てもらえるとわかると思いますが、
ギャラリーに絵を置くんじゃなくて、絵にあわせて建物があるといっても過言ではない特別なギャラリーです。
ギャラリーって紹介むずかしいなぁー(笑)
みなさんも是非一度みてみてください。
「見た目はアバターですけど、感動しているのはその後ろにいる人間」
emo8889 Xeno: SLへの感想、そして感じている魅力を教えてください。
Porta Fosse: まったく別の場所にいながらにして、リアルタイムに同じ場所で同じ景色を見ながら同じ音を聴き、
感動まで共有できちゃうっていうのはSLならではのモノじゃないかなと思います。
見た目はアバターですけど感動しているのはその後ろにいる人間ですからね。
それを活かしたいというのが、僕がSLでやっている全てのことのベースにあるんです。
emo8889 Xeno: 最後に読者の方にメッセージをお願いします。
Porta Fosse: いつもMusic is good.を応援してくれるみなさん、ありがとうございます!
今年はアーティストの「友達の輪」が広がる年になりそうですので、
どんどん色々なアーティストさんが参加されると思います。
Music is good.らしいと言われ続けるグループでありたいと思いますので、これからもよろしくお願いします。
ライブの運営に関わってみたいという方(特に時間が自由な方)、Music is good.に出演してみたいという方、
グループに入りたいという方はInWorldでPorta Fosseまでご連絡いただくか、
http://www.musicisgood.info/
からお問い合わせください。
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お話をお伺いすると、その素晴らしいコダワリに驚きました。
世の中の素晴らしい音楽を、SL内で感動して体験するという挑戦をずっと続けてこられた
Portaさんの思いは非常に熱いものがあります。
取材中にHallで流していただいた、会場の音楽やアナウンスも現実のものと同じで
まさにパソコンの中から現実が飛び出してくるような錯覚にに見舞われるくらいです。
こういった活動がSLを始めるユーザーの増加につながると私は思います。
これを読んでいただいてる皆様も是非Music is Goodのサイトからhttp://www.musicisgood.info/
最新ライブ情報を入手して、素晴らしいライブを体験してください!
「うおー仮想世界もここまできたか!」と感動すること間違いナシです!!