ふんわり風船ハート みぶき えみ@月の記憶の声を聴く人

   

月の記憶の声を聴きながら綴る

みぶきえみの世界観🌙

サムネイル

 

前のお話

下矢印

 

 

幼稚園の年長になると

学芸会があった。

 

私たちのクラスは

「青い鳥」の劇を

することになった。

 

今のように、白雪姫が10人いたり

意地悪なおばあさんの役は先生が担当

みたいなことはなかった。

 

木の役の子もいたし、石の役の子もいた。

 

私が溺愛してたお腹が青いひなちゃん。

 

 

もちろん、主役はチルチルとミチルで

女の子の花形といえばミチル。

 

役をどうやって決めたのかも

覚えてないけど

主役のミチルは、クラスでも活発で

可愛いMちゃんになった。

 

羨ましいなと思いながらも

自分には主役は似合わないと思っていた。

 

私に与えられたのは夜の精。

 

青い鳥の中には

夜の御殿という場面がある。

 

夜の御殿に住む夜の精は

大きな鍵をもってた。


それは、夜の御殿の中にある

様々な扉が開く鍵で

夜の精はその扉の番人をしている。


扉の向こうにあるのは、

悪、戦争、病気、災難、恐れ

人間を苦しるすべてのもの。

 

だから、開けちゃいけない。

 

この時は、深くは考えられなかったけど

パンドラの箱そのもの。

下矢印

 

最後の扉の向こうには

青い鳥がたくさんいたけど

日の光の下では生きられない。

 

だから、この役を

夜の暗闇の中にいるのが好きな

私にふさわしいと思ったことは確か。

 

その時に母に作ってもらった

真っ黒のワンピースの衣装は

しばらくの間、私のお気に入りだった。

 

image

 

今にして思えば、夜の精は

その時の私自身だったように感じる。

 

必死で何かを抑圧し

そのカギを握りしめている。

 

それが、白日にさらされた途端

死んでしまう。

 

太陽のもとでは生きられない鳥のように。

 

学芸会では、劇の他にも

踊りがあった。

 

その衣装は、クラスの人数分

母が作ってくれた。

 

image

 

image

 

この衣装で踊ったのは

「荒城の月」

 

その頃は、歌詞の意味なんて

分からなかったけど

 

どんなときでも

お月さまは輝いてるって

教えてもらったような気がする。

 

この歌を歌いながら

母は、衣装を作っていた。

 

私にためっていうのもあったかもしれない。

 

けど、その衣装の縫製の正確さや美しさを

褒められるたびに

 

母は、誇らしそうに

笑っていたのを覚えている。

 

 

次のお話

下矢印