このページにたどり着く人は、もう既にMD8の事を知っている人が殆どだと思うので、
どんなものなのかは簡単に。
「MD-DATA」という特別な規格のMDディスクに、8トラック多重録音が出来るという。
カセットMTRしか無かった時代には神のような存在だったオーディオレコーダー。
しかし、その後時代はすぐにHDDに録音するタイプのレコーダーが増えていき、
MDに書き込むタイプのレコーダーは「MD4、MD4S、MD8、MD8S」という4機種のみで
姿を消してしまうという、ある意味時代の過渡期に現れた遺物。
このMD8、今では完動品は数少ない。
大体は何らかのエラーを吐き出し、直せないままご臨終となる。
MD-DATAという特殊なディスクに書き込むので、そこに録音されていた
データを復旧するのは不可能に近い・・・
今回、ネットで「サービスマニュアル」を偶然発見したので、物置から引っ張り出して
修理してみることに。
このようにディスクエラーを起こして再生しない。
録音タイムが表示されているので、TOCは読んでる様子。
このエラーコードがわからず、ずっと悩んでいた。
しかし今回サービスマニュアル入手によって、やっと内容が判明!!!
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ディスクエラー01録音再試行失敗
ディスクエラー02記録データオーバーフロー
ディスクエラー03 PLAY Data Lack(録音中にデータがオーバーフローしたことを示す)
ディスクエラー10記録中のアドレスの不一致
ディスクエラー08(または80)磁気ヘッドが所定の位置に落ちませんでした。
エラー01スレッド(またはレーザーユニット)が内側の位置に移動しませんでした。
エラー02スレッドが外側に移動しませんでした。
エラー04磁気ヘッドがディスクから持ち上げられませんでした。
エラー05スピンドルエラー
エラー06フォーカスエラー
エラー07追跡エラー
エラー08磁気ヘッドが検索しません。
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原因は磁気ヘッドだった。早速分解してMDユニットを取り出すことに。
まず、MDディスクトレイの蓋をスライドして取り外す。
裏ぶたを外すと、MDメカユニットは電源ユニットの下にあるので、
電源ユニットも取り外す。
姿を現したMDメカユニット。
平型ケーブルなどを基盤から取り外す。
(この時、写真一番右についている大きめの平型ケーブルの先端を
クリップなどでショートしておくよう指示がありました)
取り外したMDメカユニット。
写真上部についている金物のホルダーも外しておく。
両端のスプリングを飛ばしてしまわないように注意!
レンズのようなものがピックアップ。
その上にあるレコード針のようなものが磁気ヘッド。
こいつの動きが異常との事で、エラーが出ていた。
磁気ヘッドを上下に動かすギアがココ。
ここを微調整する。
動作確認しながら調整すると、ディスクエラー80とエラー04を行き来するようになった。
いい感じ!何度も試行錯誤をしたら、エラーが起きなくなった!
ちなみにオレンジの平型ケーブルの付け根(レンズ側)に
光量調整用と思われる可変抵抗ネジが見える。
(マニュアルには、ここの値を8.120mW~8.220mWに調整すると書いてあります。
参考までに。自分は測定器を持ってないので出来ません)
自分は目検討でちょい右に回した(苦笑)
せっかくなのでレンズを無水エタノールで磨き、レンズ可動部分の
白く固着していたと思われるグリースを除去し、そこら辺にあったシリコングリスを塗る。
見事復活!20年ぶりに蘇ったMD8...
久しぶりに過去に録音したデータを聴いた。大事なものはPCに保存しなくちゃ。