※※※※※マイン※※※※※※
ディートリンデ達に叩かれて呆然している所に呼びかけられた前世での呼び名で
「ローゼマイン様」
そうやって呼びかけたのはなんとハルトムートだった。
「えっ?どうして..」
ハルトムートは両手を交差して跪いた。
「お久しぶりでございます。今生は癒やしはかけられませんがご無事ですか?」
「あぁ…叩かれてビックリはしましたが大丈夫です。えっと…貴方には記憶があるのですか?」
「ハイ。私は命の神エーヴィリーべからの命でこちらに転生いたしました。」
「どういうことですか?」
「ここでの会話は不味くはないですか?場所を変えましょう。英語のパウリーネ先生は私の叔母です。彼女の研究室に行きましょう。」
なんとハルトムートもこの学園の生徒だった!まぁ制服着てるからそうだとは思ったけど…
※※※※ハルトムート※※※※※
私ハルトムートはこの学園に幼稚園の時から通う所謂お坊ちゃまだ。
国のトップ医療機器メーカーの会社のオーナー1族である。叔父の妻であるイギリス人のパウリーネはこの学園で英語の教師をしている。イギリス貴族出身の彼女は学園でマナーを英語で教えてほしいと請われたのだ。
私が前世の記憶を思い出したのは5歳の頃父について大病院の演奏会に行った時。
演奏会でヴァイオリンを弾くフェルディナンド様を見かけその時に車椅子に座り涙を流しながらその様子を見守るローゼマイン様を見たからだ。
突然頭の中に前世の一生が流れてきた。不覚にも倒れて診察を受ける羽目になったが。
そして何故自分がここにいるかも思い出した。
私は前世ローゼマイン様に名を捧げていた。ローゼマイン様は何度も石を返そうとしたが私は受け取らなかった。私と、妻のクラリッサの石は結局返されることなくローゼマイン様が亡くなる時にお供することが出来た。勿論フェルディナンド様も一緒だったが。
そして階を登っていたと思ったら真っ白い部屋に居ることに気が付いた。
そこには眩い光に包まれた二柱があった。あぁ神の御元に召されたのだと思ったが周りにはローゼマイン様もフェルディナンド様もいない。クラリッサはいるのだが…
二柱の神は命の神エーヴィリーべと土の神ゲドゥルリーヒであった。
「其方はローゼマインの眷属だな?ローゼマインに忠誠を近い高みまで共をしてきたと。その忠誠は死をも乗り越えるものか?」
「勿論でございます。私の主はローゼマインで揺るぎません。」
「ではローゼマインを次の世でも護ることを命じる。そこの妻であった者と一緒にローゼマインに付いていき守れ。」
「はっ!かしこまりました。」
そして…それからずっとローゼマイン様を見守ってきた。何と父があのユストクス様だったのだ。ユストクス様は土の神ゲドゥルリーヒに呼び出されて転生してきたと。
今生はローゼマイン様が亡くなる時に神に祈ったのだそうだ。自分は情の深い親から愛されて生きた。けれどフェルディナンド様は親との縁が薄く特に母親からの愛情を知らずに生を終えた。もし次に生まれ変われるのなら自分はどんなに不幸になってもいいフェルディナンド様が親からの溢れるばかりの愛情を受けて子供時代を過ごしてほしい。とそれは強い願いだったという。それほどにもフェルディナンド様を愛していたのだろう。
闇の神と光の女神達はその願いを聞き入れたという。夫婦神は夫を愛する妻の心に打たれて。しかしその時に自分が不幸になることでフェルディナンド様が幸せになるという一言がカーオサイファに聞かれ呪いになってしまったという。
闇の神達はフェルディナンド樣の幸せはけしてローゼマイン樣の不幸の上に成り立つものではないと思っていたのだが…
それを知った命の神と土の女神がローゼマイン樣とフェルディナンド様の眷属を高みに呼び出してカーオサイファの呪いからローゼマイン樣を護るように命じたという。
ローゼマイン樣の願いからフェルディナンド様の子供時代は親からはそれはそれは愛されて育った。しかし祖母はあのヴェローニカの魂がカーオサイファによって送り込まれてしまったが…
それでも前世のような淋しく苛烈な子供時代ではなく十分な、いやそれ以上に幸せに暮らせたはず。
問題はローゼマイン樣。今生も大変な虚弱でその上心臓が悪い。そして父親は早くに亡くなり母親からも捨てられるというとても前世からは考えられない状態だった。
5歳で目覚めたのはローゼマインがその時に目覚めたから。
ユストクス様とローゼマイン様のバックアップを図るために動き出した。
ユストクス様は国内トップの医療機器メーカーのオーナーで経営者。フェルディナンド様の病院と取引がありフェルディナンド様のお父様とは親友。フェルディナンド様の情報は直ぐに入ってくる。
その関係で入院中だったローゼマイン様の情報もかなり入った。
退院してからローゼマイン様の母親が再婚したのも直ぐに分かったのだが再婚した相手が悪かった。あの前世ではアーレンスバッハの一族であった者の家だ。アルステーデにディートリンデ、ヴォラフォムまで居た。そして母親がゲオルギーネだった。
金融業を営んでる一家でゲオルギーネとは政略結婚だったようでローゼマイン様の母親のことを子供の頃から知っていて昔からずっと好きだったようだ。ローゼマイン様の父親が亡くなると直ぐにゲオルギーネを追い出したという。
ユストクス様の調べによるとローゼマイン様の父親の交通事故はディートリンデの父親が仕組んだものらしい。
そして本当は再婚を嫌がったローゼマイン様の母親だったがローゼマイン様の治療費や、手術費がかさみ再婚するしかなかった。そして再婚するとディートリンデ達や、父親からの凄絶ないじめがローゼマインに待っていた。まるで前世でフェルディナンド様が受けた虐待のような…
ローゼマイン様の母親が庇うと苛烈を増すので庇う事もできなかった。そして秘密裏にユストクス様が母親と接触を図りあの施設に避難させたのだ。
あの施設はユストクス様がローゼマイン様のために作ったもの。フランとヴィルマも探し出して側につけたのだ。そして米国の投資会社が後援者と偽って…
影からずっと支援してきたのだが…ローゼマイン様の自分は不幸のほうがフェルディナンド様の幸せのためという考えが病を進行させてしまうし、不幸でなければいけないと、自己暗示をかけてしまうので今まで影でいるしかなかった。
しかしとうとう余命宣告までされてしまっては致し方ない。
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パウリーネの研究室に場所を移してハルトムートとローゼマインが向き合った。そこへ1人の女性が入ってきた。
庶民クラスのおさげの少女だ。確かトゥーリの親友でいつも私の側に居た。
「お久しぶりです。ローゼマイン様」
「えっ!クラリッサですか?」
「ハイ。」
と、ここまで。