即位式は終わった。
第三王子は真のツェントになった。ダンケルフェルガーの騎士に護衛され離宮へと帰ってきたところへクラッセンブルグのアウブが目通りを願ってきた。
ツェントはアウブダンケルフェルガーに残るように言いアウブクラッセンブルグと面会した。
「ツェント就任おめでとうございます。」
「ふむ。」
「ところで何故ダンケルフェルガーがこの場に?」
「我がダンケルフェルガーはツェントの剣。真なるツェントをお護りするのは我らの役目です。」
「しかし私はツェントの義父になります。身内の話があるのですが!?」
「ダンケルフェルガーには私が残るように言いつけた。して、言祝だけでなく何かあるのか?」
「いえ、他人が居ましては…」
「ふむ。アウブクラッセンブルグよ。確かに其方は私の第一夫人の父親ではあるが私は其方の後ろ盾は要らぬ。」
「何を仰います!序列1位の我々の後ろ盾がなければこの国の政はうまくいきますまい。」
《いいえ。貴方の力はいりません。後ろ盾はわたくしですもの。》
天井から光の粒が降りかかり女神ローゼマインが降臨した。
「「女神ローゼマイン様。」」
《ツェント。クラッセンブルグの序列は最下位に。そしてアウブは交代を。次期アウブは思想的にアウブには向きません。他の者に。》
「何を!貴様!本当に女神なのか!?我がクラッセンブルグをなにがしろにするとは!許せん!」と、女神ローゼマインにシュタープを向けた!
女神ローゼマインは徐ろに手を上げるとアウブクラッセンブルグの手にあったシュタープは瞬時に消えた。
《本当に愚か者ですわね。どの織地でもそうでしたが…貴方は貴族の本分が分かっていないのですね。もう貴族にはしておけませんね。神を冒涜した貴方には神の意思は要らないでしょう。》
「何を!」
アウブクラッセンブルグはもうシュタープを出せなくなりました。
アウブクラッセンブルグはアウブダンケルフェルガーの光の帯に縛られ側近に引きずられていきました。
《ツェント、アウブダンケルフェルガー。フェルディナンド達がベルケシュトックを説得したようですよ。ベルケシュトックが黙ったなら第四は大人しくなります。第五もダンケルフェルガーを引き入れられなかった事で大人しくなるでしょう。クラッセンブルグを黙らせたなら反発していた下位領地たちも大丈夫です。あとはドレファンヒェルくらいですか?こちらもフェルディナンド達がどうにかするでしょう。》
「誠にありがとう存じます。これで政が円滑に行くと思います。弟たちも力を貸してくれると信じております。」
《そうですね。アーレンスバッハが少し心配ではありますが…アウブダンケルフェルガー。ヴェルデグラフは順調ですか?》
「はい。魔力圧縮に励み祠を1つ周り終わりました。」
《ヴェルデグラフが書を受けられればツェントももっと楽になるでしょう。早めに離宮を貴族院に移しなさい。》
「畏まりました。」
そこへ血相を変えたツェントの第一夫人が慌てたように入ってきた。
女神ローゼマインはいつの間にか消えていた。
と、ここまで。