その日の夜遅くなってからイマヌエルを追っていたエックハルトが帰ってきた。
深夜だったがユストクスとフェルディナンドだけに報告があった。
イマヌエルはエックハルトの追跡に気が付くことなく真っ直ぐとフェルディナンドの家の別荘近くにある宗教団体の施設にたどり着いたという。
エックハルトはフェアベルッケンの神力そのまま施設に入ろうと試みたが黒い霧が薄く広がり結界を敷いている様で阻まれてしまった。
仕方がないのでダームエルをテレパシーで呼び出し周辺を探りながら施設に出入りする人をチェックすることにした。
別荘からは車で5分とかからない所に存在しておりかなりの敷地を要しているようで周辺に人家は極端に少ない。
ダームエルはこの教団に出入りしている日用品や、食料を配達している業者を突き止めハルトムートに報告した。
ハルトムートはリーディング能力があるので口の固い業者でも色々と聞き出してくれるだろうと判断していた。
出入りしている人をチェックしていると夕方日も沈んだところで黒塗りの外車が2台入ってきた。
すかさずスマホで車を撮ると誰の車かを割り出した。
この世界のダームエルはあちらの世界の彼よりも優秀でまだ年若いエックハルトよりも数段使える人物だ。それはエックハルトも認めていて何かあればすぐに彼に頼ってしまう。
ダームエルが割り出した車の所有者はクラッセンブルグのものだった。
ヴェローニカの実家とつながりがあることは分かっていたが光教団ともつながりがあることが分かった。
ヴェローニカの産んだフェルディナンドの兄は実はフェルディナンドの父の子ではなくヴェローニカがアウブクラッセンブルグと成した子ではないかとユストクスから聞いていたのでそれが真実なのかとエックハルトとダームエルは思った。
1時間ほどでクラッセンブルグの車は帰って行った。その後はこれといった出入りがなかったのでエックハルトとダームエルは洋館に戻ることにした。帰った時間はもう深夜に差し掛かっていた。
エックハルト達に報告を受けていた時にハルトムートからも連絡が入り出入り業者の証言も取れたという。
夜も遅いので翌日皆が揃ったところで報告をすることになった。
寝室に戻ったフェルディナンドに寝ていると思ったマインが話しかけてきた。
「エックハルトが戻ったようですね?大丈夫でしたか?」
「あぁ。何事もなく無事だ。」
「それなら良かった。」
「明日皆と話すのでもう休みなさい。」
「はぁ~いおやすみなさい。フェルディナンド。」とフェルディナンドの頬にキスを送るとマインは眠りについた。
フェルディナンドは穢れの化身以外にも穢れを背負った者がヴェローニカ以外にもいることに溜息をつくしかなかった。
と、ここまで。