※※※※マティアス※※※※
僕は県立高校の1年生。中流家庭の三男坊だ。
昔から妙な夢を見ている。その夢で僕はある女性を大切に護衛しているのだ。その女性は幼い子供のような姿であることもあれば儚げな美少女の様な時も有る。そしてとても素敵で妖艶な女性の時も。そしていずれの時も女神のような輝きがあるのだ。
そんな女性をただひたすら護っているそんな夢。
中学に上がったばかりの頃塾の帰りに同じクラスの兎に角女にだらしのない金持ちを鼻にかけた嫌な奴ヒルデブランドが小柄な女生徒に何やらいいよっている所にぶち当たった。
女生徒は手首を掴んで離さないヒルデブランドに抵抗しているようだが力の差があり苦戦しているようだ。
僕はいけ好かないヒルデブランドの肩を掴んで彼女から引き剥がしてやった。
「何やってるんだ!嫌がってるだろ!?」
「なんだ!マティアスか!お前は黙ってろ!」
「いやっ!離してください!」
その時彼女の顔を見たら…主を助けなければ!と頭の中に声が響いた。とっさにヒルデブランドの空いてる手を捻り上げた。
幼い頃から合気道を習い、柔道、剣道、弓道と格闘系スポーツは何でもこなしてきた。親は呆れていたが…
だから中学になり体も少し大きくなってこの界隈では敵なし状態だった。
「なにするんだ!マティアス!離せ!」
「お前が彼女を開放したら離してやるよ。」
「彼女はマインは施設の女だ!金持ちの僕が彼女にしてやると言っているのだから従えは良いだけだ!」
「私はそんなこと望んでいません!貴方なんか嫌いです!私に触らないで!」
「そう言ってるぞ!?ヒルデブランド。さっさと離すんだな!でなければお前の体は宙に舞うことになるぞ!?俺は柔道も合気道もも黒帯だぞ!」
「段持ちが一般人に暴行してもいいのか?」
そこへ同じ塾に通っているクラリッサが入ってきて…
「私は全てを見てました。嫌がる彼女に無理矢理にキスを迫り手首を掴んだのです!私がいくらでも証言しますよ!」
「なんだお前!このブスが!あっちへいけ!!」
「もう諦めろ!それとも警察に行くか?」
そう言うとやっと観念したようでヒルデブランドは慌てて逃げていった。
紺色の艷やかな髪を持つとっても美しい少女が僕にお礼を言ってきた。
「ありがとう御座いました。」
彼女が例を言って改めて顔を上げるととても驚いた顔をしていた。
「…マティアス…クラリッサ…」
小さな声で名前を呼ばれたような気がした。
彼女は何度も頭を下げてお礼をいうと足早に帰っていった。
その時に残されたクラリッサが話しかけてきた。
「彼女を見て何か思うところはありませんか?」
「…ある。兎に角彼女を護らなければいけないという焦燥感が今の僕を支配している。」
「そうですか…記憶があるようで何のですね…」
「何を言ってる?」
「そうですか…彼女はマイン。とても身体が弱くて心臓に持病を抱えています。貴方も見ての通りとても美しい少女です。先程のような輩がまだまだ湧いてきます。私と一緒にそんな輩を排除する事をしませんか?」
「えっ!?排除?」
「いえ、言葉が悪いですね。彼女を影から護るというのはどうでしょう?」
「ああ、それならばいいが…」
と頭に響く声もあってクラリッサの提案を受け入れてしまった。
それからそれとなく彼女の護衛をしてきた。
やはり彼女は大変美しく狙う輩の多いこと。ヒルデブランドも何度となく付き纏い、隣町の中学からも何人も彼女目当てに仕掛けてきた。
それをことごとくクラリッサと防いできた。このクラリッサ。なかなかに強かった。何でも薙刀と弓道のジュニアチャンピオンだそうだ。
マインはあのあと幾つかの強行ナンパを経て魅力ある髪をボサボサの引っ詰め髪にして古臭いダサい眼鏡をかけるように自衛してきた。
それもあって中学の3年間はどうにか護衛することができた。
マインはどうやらセレブ学園の特待生として高校に通うようだ。そうなると僕は一般庶民であの学校には通えない。
腕っぷしは強いが合気道も柔道も大会に出るといつも2位なのだ。リンクベルク家のコルネリウスに決勝で勝てた試しがない。なのでセレブ学園からの推薦も来なかった。
まぁ学校では護れないと、がマインはバイトを始めるようなのでそちらで護衛を始めた。
そして7月に入ったある日クラリッサから呼び出しがあった。
と、ここまで。