ふつう、わたしたちは、作者がこの作品を作ったと理解します。
作品のテーマ、構成、筋立て、人物設定は、作者の意図が表れたもの。
けれど、これは表面だけを見ているのに過ぎません。
そこからは、創作の真実は見えてきません。
正しくは、作品が作者を作るのです。
詳しく述べましょう。
作者はどうしてその作品を作ろうと思ったか。
それは、作者を超えたものがあるはずです。
その作者を超えたものが、作品を書かせたのです。
そして、作品に必要なものを、作者に準備させた。
作者は、作品が欲していることを、自分の命をすり減らしながら、掻き集めてくるのです。
その行為こそが、作者を作るのです。
そして、それは時として、作者自身を予期しない事柄へと誘うことになります。
作品が、作者の生き方を決定づけるのです。
すべての人のことを思う作品を書き上げたとき、作者もまた、すべての人のものになるのです。
そうして、作者は鍛え上げられてゆく。
すべての人のことを思う作者にしてゆくのです。
自分のために書き続けるうちは、だから本当の作家ではありません。
自分を超えてすべての人のために書く作者になったとき、本当の作家になるのです。
このことを今、とみに感じています。
すべての人のために書く作者になろう。
わたしが書いた作品が、今あるわたしを作り上げたのです。
そして、そのためなら、命を惜しいとは思いません。
また、それを批判するものがあれば、どのような批判でも受けて立とうという決意です。