ハゲタカがプロメテウスの腹の上に乗ったとき、プロメテウスはハゲタカを通して、自分にこのような罰を与えた主なるものに対して、語りかけた。
「さあ、わたしのはらわたを食い漁るがいい。
しかし、わたしは、少しも痛くもかゆくもない。
なぜなら、それは死の苦しみではないからである。
わたしが死なないようにしているのは、まさにわたしにこのような罰を与えているもの自身だからである。
死なないわたしは、どんなに痛めつけられても、それを生のことがらとして受け取っているのである。
すなわち、わたしは、わたしを罰するこのような方法でもって、ますます力をつけているのである。」
ハゲタカはプロメテウスの腹の上に乗ったまま、すぐには彼のはらわたをあさろうとはせずに、じっとしている。
プロメテウスは、そのとき、悟ったのである。
「ハゲタカよ、なにを躊躇しているのだ。
顔色が青いぞ。
おまえは、すぐわたしのはらわたに、そのするどいくちばしを差し込んでいるはずだのに。
わたしにはわかっている。
いまわたしの上に乗っているのがハゲタカではなく、ハゲタカを通して、わたしに苦しみを与えてきた、また苦しみを与えようとしてきた当のものである、と。
もう隠すことはやめよう。
わたしは、貴方の秘密を語ることにしよう。
これは、貴方にわたしが屈したからではなく、わたしが貴方を救おうと思い立ったからなのである。
貴方はわたしの決意によって、貴方が本来生きるべきものを生きることになるのである。
そして、わたしがそれを語り終えるとき、もはや貴方は、わたしをこの岩山に繋ぐ理由を失うであろう。」
そうして、プロメテウスは、自分を超えて自分を生きる、主なる自分であるものの秘密を語り始めたのであった。
※ここまで、長々と、岩山に繋がれたプロメテウスについて書いてきましたが、ここからが、いよいよ第二ステージの核心に向かいます。プロメテウスを通して、自分を超えて自分を生きる、自分であるものを、徹底的に解き明かしていきたいと思います。