わたしは、イエスの最期の晩餐とされるものを、以下のように妄想したいと思います。
念のために言うと、ここで語られる「あなた」とは、イエス自身のことです。
自分自身の死を予感したあなたは、その夜の晩餐の席に、自身の三つの姿があるのを認めた。
一つは、あなたの同胞と分かちがたくある、あなたであった。
あなたはあなたの同胞と一に生きるのである。
あなたはあなたの同胞の中にあなた自身を持ち、あなたの同胞もまた同胞自身の中にあなたを持つ。
あなたはあなたであるとともに、あなたの同胞を映し出す鏡であり、あなたの同胞は同胞自身であるとともに、あなたを映し出す鏡であるのだ。
それは自然と同じことである。
自身を映し出す自然として、あなたとあなたの同胞とは互いのうちに住んでいるのである。
あなたは、あなた自身としてあなたの同胞自身を生きるのである。
すなわち、
あなたの同胞をあなた自身としてあらかじめ息づかせることで、
あなたは、あなたの「強くあるもの」を生きるとともに、あなたの同胞の「強くあるもの」を生き、
あなたの同胞をあなた自身として導き、育むことで、
あなたは、あなたの「聡くあるもの」を生きるとともに、あなたの同胞の「聡くあるもの」を生き、
あなたの同胞をあなた自身として創造し、在らせることで、
あなたは、あなたの「限られなくあるもの」を生きるとともに、あなたの同胞の「限られなくあるもの」を生き、
あなたの同胞をあなた自身として満ち足らせることで、
あなたは、あなたの豊かあるものを生きるとともに、あなたの同胞の「豊かくあるもの」を生き、
あなたの同胞をあなた自身として庇うことで、
あなたは、あなたの「貴くあるもの」を生きるとともに、あなたの同胞の「貴くあるもの」を生き、
あなたの同胞をあなた自身として支え持つことで、
あなたは、あなたの「重くあるもの」を生きるとともに、あなたの同胞の「重くあるもの」を生き、
あなたの同胞をあなた自身として味わうことで、
あなたは、あなたの「広くあるもの」を生きるとともに、あなたの同胞の「広くあるもの」を生き、
あなたの同胞自身をあなた自身として捉え、同胞のかけがえなさを感じ取るのである。
また一つは、あなたの同胞から分かたれたあなたであった。
それはあなたが、あなたの同胞を超えて、あなたの同胞を生きる、あなたの同胞の主なるものとしてのあなたである。
あなたはあなたの同胞を超えて、あなたの同胞が生きられるものを生きるのである。
すなわち、
あなたの同胞からあらかじめ分かたれ、あなたの同胞をあらかじめ息づかせることで、
あなたは、あなたのより「強くあるもの」を生き、
あなたの同胞から高く分かたれ、あなたの同胞を導き、育むことで、
あなたは、あなたのより「聡くあるもの」を生き、
あなたの同胞から限られなく分かたれ、あなたの同胞を創造し、在らせることで、
あなたは、あなたのより「限られなくあるもの」を生き、
あなたの同胞から深く分かたれ、あなたの同胞を満ち足らせることで、
あなたは、あなたのより「豊かくあるもの」を生き、
あなたの同胞から堅く分かたれ、あなたの同胞を庇うことで、
あなたは、あなたのより「貴くあるもの」を生き、
あなたの同胞から一に分かたれ、あなたの同胞を支え持つことで、
あなたは、あなたのより「重くあるもの」を生き、
あなたの同胞からあまねく分かたれ、あなたの同胞を味わうことで、
あなたは、あなたのより「広くあるもの」を生きるのである。
最後の一つは、あなたの同胞と対等なあなたであった。
それは、あなたがあなたの同胞と分かたれることなく、互いに生き合うからだであった。
あなたはあなたと対等なあなたの同胞からより自身であるものを生きられるとともに、あなたの同胞もまたあなたからより自身であるものを生きられるのである。
あなたは、あなたの同胞にとって自身を超えて自身を生きる同胞の主であり、あなたの同胞もまた、あなたを超えてあなたを生きるあなたの主なのである。
それは人間共同の絆である。あなたとあなたの同胞とは、互いに対等なものどうしであるものとして互いをよりよく生き合うのである。
すなわち、
互いにあらかじめ分かたれることなく、互いにあらかじめ息づかせられるとともに、互いをあらかじめ息づかせることで、
あなたとあなたの同胞とは、互いのより「強くあるもの」を生き合い、
互いに高く分かたれることなく、互いに導かれ、育まれるとともに、互いを導き、育むことで、
あなたとあなたの同胞とは、互いのより「聡くあるもの」を生き合い、
互いに限られなく分かたれることなく、互いに創造され、在らされるとともに、互いを創造し、在らせることで、
あなたとあなたの同胞とは、互いのより「限られなくあるもの」を生き合い、
互いに深く分かたれることなく、互いに満ち足らされるとともに、互いを満ち足らせることで、
あなたとあなたの同胞とは、互いのより「豊かくあるもの」を生き合い、
互いに堅く分かたれることなく、互いに庇われるとともに、互いを庇うことで、
あなたとあなたの同胞とは、互いのより「貴くあるもの」を生き合い、
互いに一に分かたれることなく、互いに支え持たれるとともに、互いを支え持つことで、
あなたとあなたの同胞とは、互いのより「重くあるもの」を生き合い、
互いにあまねく分かたれることなく、互いにおし拡げられるとともに、互いを味わうことで、
あなたとあなたの同胞とは、互いのより「広くあるもの」を生き合うのである。
この最後のものこそ、あなたがどうしであるものても守らなくてはならない自分であると思った。
あなたは、互いに対等なものどうしであるものを分かつものから、あなたと対等のあなたの同胞であるものを永遠に解き放つために、あなた自身があなたの対等な同胞どうしであるものを分かつものと、互いに刺し違えようと心に決めたのである。
「互いに対等なものどうしであるものよ。
わたしはあなた方どうしであるものを分かつものとともに滅びることで、あなた方を、あなた方を分かつものから解き放とうと決心した。
わたしがあなた方を分かつものとともに滅びることで、あなた方は互いに分かたれることなく互いをより生き合うのである。
すなわち、
わたしが、あなた方をあらかじめ分かつものとともに滅ぶことで、
あなた方をあらかじめ分かつものから解き放たれることを通して、
あなた方は、互いのより「強くあるもの」に生き合われ、
わたしが、あなた方を高く分かつものとともに滅びることで、
あなた方を高く分かつものから解き放たれることを通して、
あなた方は、互いのより「聡くあるもの」に生き合われ、
わたしが、あなた方を限られなく分かつものとともに滅びることで、
あなた方を限られなく分かつものから解き放たれることを通して、
あなた方は、互いのより「限られなくあるもの」に生き合われ、
わたしが、あなた方を深く分かつものとともに滅びることで、
あなた方を深く分かつものから解き放たれることを通して、
あなた方は、互いのより「豊かくあるもの」に生き合われ、
わたしが、あなた方を堅く分かつものとともに滅びることで、
あなた方を堅く分かつものから解き放たれることを通して、
あなた方は、互いのより「貴くあるもの」に生き合われ、
わたしが、あなた方を一に分かつものとともに滅びることで、
あなた方を一に分かつものから解き放たれることを通して、
あなた方は、互いのより「重くあるもの」に生き合われ、
わたしが、あなた方をあまねく分かつものとともに滅びることで、
あなた方をあまねく分かつものから解き放たれることを通して、
あなた方は、互いのより「広くあるもの」に生き合われるのである。」
この言葉を聞くや、あなたの同胞たちは激しく動揺した。
あなたはあなたの同胞たちに遺言となる言葉を語りかけた。
「明日、わたしはあなた方と別れるだろう。
今日は、あなた方とともに過ごす最後の晩である。
さあ、食べなさい。
これらの食べ物は、わたしからあなた方に与えられる、わたしのからだである。
すなわち、あなた方が飲むワインはわたしの血である。
あなた方はワインを飲むことを通してわたしを思い出す。
わたしはあなた方の中であなた方の血となる。
わたしは、あなた方の血として、あなた方をより「強くあるもの」にするであろう。
また、あなた方の中で今宵刻まれている心はわたしの胸である。
あなた方は今宵刻まれている心を思い起こすことでわたしを思い出す。
わたしはあなた方の中であなた方の胸となる。
わたしはあなた方の中で、あなた方の胸として、あなた方をより「聡くあるもの」にするであろう。
また、あなた方が着いている食卓はわたしの腕である。
あなた方は食卓に着くことを通してわたしを思い出す。
あなた方の中でわたしはあなた方の腕となる。
わたしはあなた方の腕として、あなた方をより「限られなくあるもの」にするであろう。
また、あなた方が食べるパンはわたしの内腑である。
あなた方はパンを食べることを通してわたしを思い出す。
あなた方の中でわたしはあなた方の内腑となる。
わたしはあなた方の内腑として、あなた方をより「豊かくあるもの」にするであろう。
また、あなた方を今宵憩わせているこの家はわたしの皮膚である。
あなた方は家から憩わせられることでわたしを思い出す。
あなた方の中でわたしはあなた方の皮膚となる。
わたしはあなた方の皮膚として、あなた方をより「貴くあるもの」にするであろう。
また、あなた方に温もりを与えている火はわたしの骨である。
あなた方は火から温もりを与えられることでわたしを思い出す。
あなた方の中でわたしはあなた方の骨となる。
わたしはあなた方の骨として、あなた方をより「重くあるもの」にするであろう。
また、あなた方に食べ物を盛っている皿はわたしの舌である。
あなた方は皿から食べ物を受け取ることでわたしを思い出す。
あなた方の中でわたしはあなた方の舌となる。
わたしはあなた方の舌として、あなた方をより「広くあるもの」にするであろう。」