新しきブッダ 第七回 苦行 その二 | 同胞たる、おっとりとした頬を求めて!

同胞たる、おっとりとした頬を求めて!

世界とは、貴方について書かれた書物である。

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 貴方の同胞であるまわりの者たちは、貴方の人生にさまざまに介入した。
 すなわち、貴方の同胞であるまわりの者たちは貴方を高く導きはぐくもうとしたが、貴方を高く導きはぐくむのは、貴方の同胞であるまわりの者たちではない、貴方を高く導きはぐくむ貴方自身であるものであるべきだった。貴方は貴方の同胞であるまわりの者たちではない、貴方を高く導きはぐくむ貴方自身であるものを得るべく、貴方の同胞であるまわりの者たちとたたかったのだった。
 また、貴方の同胞であるまわりの者たちは貴方を限りなく在らせようとした。だが、貴方を限りなく在らせるのは、貴方の同胞であるまわりの者たちではない、貴方を限りなく在らせる貴方自身であるものであるべきだった。貴方は貴方の同胞であるまわりの者たちではない、貴方を限りなく在らせる貴方自身であるものを得るべく、貴方の同胞であるまわりの者たちとたたかったのだった。
 また、貴方の同胞であるまわりの者たちは貴方を深く満ち足らせようとした。だが、貴方を深く満ち足らせるのは、貴方の同胞であるまわりの者たちではない、貴方を深く満ち足らせる貴方自身であるものであるべきだった。貴方は貴方の同胞であるまわりの者たちではない、貴方自身を深く満ち足らせる貴方自身であるものを得るべく、貴方の同胞であるまわりの者たちとたたかっていたのだった。
 また、貴方の同胞であるまわりの者たちは貴方を堅く庇おうとした。だが、貴方を堅く庇うのは、貴方の同胞であるまわりの者たちではない、貴方を堅く庇う貴方自身であるものであるべきだった。貴方は貴方の同胞であるまわりの者たちではない、貴方を堅く庇う貴方自身であるものを得るべく、貴方の同胞であるまわりの者たちとたたかったのだった。
 また、貴方の同胞であるまわりの者たちは貴方を一に支え持とうとした。だが、貴方を一に支え持つのは、貴方の同胞であるまわりの者たちではない、貴方を一に支え持つ貴方自身であるものであるべきだった。貴方は貴方の同胞であるまわりの者たちではない、貴方を一に支え持つ貴方自身であるものを得るべく貴方の同胞であるまわりの者たちとたたかったのだった。
 また、貴方の同胞であるまわりの者たちは貴方をあまねく所有しようとした。だが、貴方をあまねく味わうのは、貴方の同胞であるまわりの者たちではない、貴方をあまねく味わう貴方自身であるべきだった。貴方は貴方の同胞であるまわりの者たちではない、貴方をあまねく味わう貴方自身であるものを得るべく、貴方の同胞であるまわりの者たちとたたかったのだった。
 貴方は貴方の同胞であるまわりの者たちと自身との間を絶つことで、貴方の同胞であるまわりの者たちにとっての自身ではなく、貴方にとっての自身であるものを生きることを決意したのである。
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 貴方はあるときは麻を着、あるときは麻の交織りを着、あるときは捨てられたボロ切れを着、あるときは樹の皮を着、あるときは平らな木片を着た。また、貴方の中にたまった垢に生じた皮の苔を自身から払いのけないことで、自身を超えて自身を生きるものから庇われようとした。
 すなわち貴方は自らでなく、自身を超えて自身を高く生きるものから、聡くあるものに庇うことで、自身のより聡くあるものを生きる、と聞いた。貴方のより聡くあるものは、自らでなく、自身を超えて自身を高く生きるものから、聡くあるものに庇うことで生きられる、と聞いた。自身を超えて自身を高く生きるものから、聡くあるものに庇うことは、貴方自身から貴方のより聡くあるものを解き放つ、と聞いた。
 また貴方は自らでなく、自身を超えて自身を限りなく生きるものから、とらわれなくあるものに庇うことで、自身のよりとらわれなくあるものを生きる、と聞いた。貴方のよりとらわれなくあるものは、自らでなく、自身を超えて自身を限りなく生きるものから、とらわれなくあるものに庇うことで生きられる、と聞いた。自身を超えて自身を限りなく生きるものから、とらわれなくあるものに庇うことは、貴方自身から貴方のよりとらわれなくあるものを解き放つ、と聞いた。
 また貴方は自らでなく、自身を超えて自身を深く生きるものから豊かくあるものに庇うことで、自身のより豊かくあるものを生きる、と聞いた。貴方のより豊かくあるものは、自らでなく、自身を超えて自身を深く生きるものから、豊かくあるものに庇うことで生きられる、と聞いた。自身を超えて自身を深く生きるものから、豊かくあるものに庇うことは、貴方自身から貴方のより豊かくあるものを解き放つ、と聞いた。
 また貴方は自らでなく、自身を超えて自身を堅く生きるものから貴くあるものに庇うことで、自身のより貴くあるものを生きる、と聞いた。貴方のより貴くあるものは、自らでなく、自身を超えて自身を堅く生きるものから、貴くあるものに庇うことで生きられる、と聞いた。自身を超えて自身を堅く生きるものから、貴くあるものに庇うことは、貴方自身から貴方のより貴くあるものを解き放つ、と聞いた。
 また貴方は自らでなく、自身を超えて自身を一に生きるものから重くあるものに庇うことで、自身のより重くあるものを生きる、と聞いた。貴方のより重くあるものは、自らでなく、自身を超えて自身を一に生きるものから、重くあるものに庇うことで生きられる、と聞いた。自身を超えて自身を一に生きるものから、重くあるものに庇うことは、貴方自身から貴方のより重くあるものを解き放つ、と聞いた。
 また貴方は自らでなく、自身を超えて自身をあまねく生きるものから広くあるものに庇うことで、自身のより広くあるものを生きる、と聞いた。貴方のより広くあるものは、自らでなく、自身を超えて自身をあまねく生きるものから、広くあるものに庇うことで生きられる、と聞いた。自身を超えて自身をあまねく生きるものから、広くあるものに庇うことは、貴方自身から貴方のより広くあるものを解き放つ、と聞いた。
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 はじめて妻のからだであるものに触れたとき、貴方は、貴方を高く導き、聡くあるものをはぐくませる、貴方の妻であるものが永遠なものではなく、はかなくむなしいものであることを聞いた。
 すなわち貴方が、貴方であるものとして貴方の妻から高く導きはぐくまれる、聡くあるものは永遠なものではなく、はかなくむなしいものであり、貴方であるものとして貴方を聡くあるものに高く導きはぐくむ貴方の妻であるものは永遠なものではなく、はかなくむなしいものであり、貴方の妻であるものから貴方が聡くに高く導きはぐくまれることは一時のことであり、はかなくむなしいことである、と知ったのである。
 またはじめて触れる妻のからだであるものを通して、貴方は、貴方をとらわれなくあるものに在らせる、貴方の妻であるものが永遠なものではなく、はかなくむなしいものであることを聞いたのだった。
 すなわち貴方が、貴方であるものとして貴方の妻からとらわれなくに在らされるものは永遠なものではなく、はかなくむなしいものであり、貴方であるものとして貴方をとらわれなくに在らせる貴方の妻であるものは永遠なものではなく、はかなくむなしいものであり、貴方の妻であるものから貴方がとらわれなくに在らされることは一時のことであり、はかなくむなしいことである、と知ったのである。
 またはじめて触れる妻のからだであるものを通して、貴方は、貴方を満ち足らせ、豊かきものにする、貴方の妻であるものが永遠なものではなく、はかなくむなしいものであることを聞いた。
 すなわち貴方が、貴方であるものとして貴方の妻から豊かく満ち足らされるものは永遠なものではなく、はかなくむなしいものであり、貴方であるものとして貴方を豊かく満ち足らせる貴方の妻であるものは永遠なものではなく、はかなくむなしいものであり、貴方の妻であるものから貴方が豊かく在らされることは一時のことであり、はかなくむなしいことである、と知ったのである。
 またはじめて触れる妻のからだであるものを通して、貴方は、貴方を世界から分かち貴くあるものとする、貴方の妻であるものが永遠なものではなく、はかなくむなしいものであることを知ったのである。
 すなわち貴方が、貴方であるものとして貴方の妻から貴くに庇われるものは永遠なものではなく、はかなくむなしいものであり、貴方であるものとして貴方を貴くに庇う貴方の妻であるものは永遠なものではなく、はかなくむなしいものであり、貴方の妻であるものから貴方が貴くに庇われることは一時のことであり、はかなくむなしいことである、と知ったのである。
 またはじめて触れる妻のからだであるものを通して、貴方は、貴方を重くあるものとして支える、貴方の妻であるものが永遠なものではなく、はかなくむなしいものであることを聞いたのだった。
 すなわち貴方が、貴方であるものとして貴方の妻から重くに支え持たれるものは永遠なものではなく、はかなくむなしいものであり、貴方であるものとして貴方を重くに支え持つ貴方の妻であるものは永遠なものではなく、はかなくむなしいものであり、貴方の妻であるものから貴方が重くに支え持たれることは一時のことであり、はかなくむなしいことである、と知ったのである。
 またはじめて触れる妻のからだであるものを通して、貴方は、貴方を広やかなものに押し広げる、貴方の妻であるものが永遠なものではなく、はかなくむなしいものであることを聞いたのだった。
 すなわち貴方が、貴方であるものとして貴方の妻から広やかに押し広げられるものは永遠なものではなく、はかなくむなしいものであり、貴方であるものとして貴方を広やかに押し広げる貴方の妻であるものは永遠なものではなく、はかなくむなしいものであり、貴方の妻であるものから貴方が広やかに押し広げられることは一時のことであり、はかなくむなしいことである、と知ったのである。
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 また貴方は森の中に棲み、誰とも交わらないようにした。森が、貴方が在る場所を示し、誰もいないということが、貴方が自身を超えて自身を生きるものから支え持たれてあることを示していた。
 すなわち貴方は自らでなく、自身を超えて自身を高く生きるものから、聡くあるものに支え持たれることで、自身のより聡くあるものを生きる、と聞いた。貴方のより聡くあるものは、自らでなく、自身を超えて自身を高く生きるものから、聡くあるものに支え持たれることで生きられる、と聞いた。自身を超えて自身を高く生きるものから、聡くあるものに支え持たれることは、貴方自身から貴方のより聡くあるものを解き放つ、と聞いた。
 また貴方は自らでなく、自身を超えて自身を限りなく生きるものから、とらわれなくあるものに支え持たれることで、自身のよりとらわれなくあるものを生きる、と聞いた。貴方のよりとらわれなくあるものは、自らでなく、自身を超えて自身を限りなく生きるものから、とらわれなくあるものに支え持たれることで生きられる、と聞いた。自身を超えて自身を限りなく生きるものから、とらわれなくあるものに支え持たれることは、貴方自身から貴方のよりとらわれなくあるものを解き放つ、と聞いた。
 また貴方は自らでなく、自身を超えて自身を深く生きるものから豊かくあるものに支え持たれることで、自身のより豊かくあるものを生きる、と聞いた。貴方のより豊かくあるものは、自らでなく、自身を超えて自身を深く生きるものから、豊かくあるものに支え持たれることで生きられる、と聞いた。自身を超えて自身を深く生きるものから、豊かくあるものに支え持たれることは、貴方自身から貴方のより豊かくあるものを解き放つ、と聞いた。
 また貴方は自らでなく、自身を超えて自身を堅く生きるものから貴くあるものに支え持たれることで、自身のより貴くあるものを生きる、と聞いた。貴方のより貴くあるものは、自らでなく、自身を超えて自身を堅く生きるものから、貴くあるものに支え持たれることで生きられる、と聞いた。自身を超えて自身を堅く生きるものから、貴くあるものに支え持たれることは、貴方自身から貴方のより貴くあるものを解き放つ、と聞いた。
 また貴方は自らでなく、自身を超えて自身を一に生きるものから重くあるものに支え持たれることで、自身のより重くあるものを生きる、と聞いた。貴方のより重くあるものは、自らでなく、自身を超えて自身を一に生きるものから、重くあるものに支え持たれることで生きられる、と聞いた。自身を超えて自身を一に生きるものから、重くあるものに支え持たれることは、貴方自身から貴方のより重くあるものを解き放つ、と聞いた。
 また貴方は自らでなく、自身を超えて自身をあまねく生きるものから広くあるものに支え持たれることで、自身のより広くあるものを生きる、と聞いた。貴方のより広くあるものは、自らでなく、自身を超えて自身をあまねく生きるものから、広くあるものに支え持たれることで生きられる、と聞いた。自身を超えて自身をあまねく生きるものから、広くあるものに支え持たれることは、貴方自身から貴方のより広くあるものを解き放つ、と聞いた。
 森の中をさまざまな虫や蛇が潜み、ときおり貴方のからだの上を這い、また、さまざまな獣たちが、瞑想にふける貴方の頬などを舐め回していった。森の中のさまざまな虫や蛇が、貴方が在る場所を示し、さまざまな獣たちが、貴方がここに在らされてあることを語った。孔雀が落とした樹の枝が肩に当り、また風が落ち葉を吹き寄せた。樹の枝が、貴方が在る場所を示し、風が、貴方がここに在らされてあることを語ったのだった。