雪女 (完成) | 絵描えみうのありのまま

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雪女

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2015.1.30 色鉛筆画










薄れゆく記憶のなかで・・・




女の吐く白い息は

ガラスの欠片のように

キラキラと光りながら

祖父の体に貼り付いていった





あなたの命は若くて輝いているから助けてあげる

だけど 今夜見たことは決して 口にしてはいけない





翌朝、消えた囲炉裏の横に 祖父が冷たくなっていた









今日は、十年振りの大雪になるそうだ

夜更けに誰かが戸を叩く

女は「雪」と名乗った。

吹雪で道に迷ったのだろうか?







お雪は、働き者で献身的に尽くしてくれ 幸せな日々が続いた

ただ一つ欠点があるとすれば

お雪の作る飯は いつも冷たいことだ








ある吹雪の夜

お雪と出会ったのも こんな夜だった事を思い出した

「そう言えば・・・

祖父ちゃんが死んじまったのも こんな吹雪の晩だったんだ。」と

ポツリと口にした途端

幼い頃 見た女の顔が 霧が晴れるように鮮明に蘇ってきた。






  お雪   おまえ・・・








お雪は、悲しそうな目をして

スーっと立ち上がった

「決して口にしてはいけない」と云ったはず








お雪の着物が 

白くかわってゆく