昭和名作選 【涙に染まったかっぽう着】 の巻
あれは、忘れもしない 昭和〇年3月の事。 私が、八百八の特売野菜を 更に値切り 『母ちゃんヤル時はヤルだろ』と ドヤ顔で振り返ると さっきまで かっぽう着のすそを握っていた ゆたぼう の姿が見えない 駄菓子屋を探しても 空き地で めんこ遊びに夢中な子供達を片っ端から探してみても ゆたぼう は、いない・・・。
いつかきっと合える。・・・そう信じて 毎日、嵐が来ようと大雪が降ろうと お参りは欠かさなかったのです。 すると 御キツネ様から 『コ~ン やまの湯へ コ~ン』 と聞こえたような・・・ 人ずてに やまの湯は神奈川にあるという 情報を聞き 空耳であったとしても 行ってみなくちゃ
方向音痴な私は 3時間で行けるところを 何処をどう間違ったのか 二日もかけて ようやく「やまの湯」へたどり着いた
ゆたぼうと言う 男の子を知りませんか 今、ちょうどこの子くらいになってるハズなの・・・。『おおその子ならオイラの友達だよ』 『あたしも、ここでたまに会うよ』 二人が、ゆたぼうを連れて来てくれたのです
お客さん 風呂で寝てちゃ危ないですよ それに今日の営業は・・・
いつの間にか、寝ていた 風呂に入る前に 食べたリンゴに何やら 仕込まれていたのかなぁ? 風呂で寝かせ 危険な目に合わせようとした (ヤツ) の仕業かもしれない。